チェルノブイリ原発事故

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チェルノブイリ原発事故とその被害

1986年4月26日にウクライナにあるチェルノブイリ原発4号炉が大爆発を起こしました。この大事故によって、広島の原爆の約600発分もの放射能(セシウム137)がばらまかれたと言われています。放射能は旧ソ連のベラルーシ・ウクライナ・ロシア(被災3国)、ヨーロッパ、そして日本にまでも飛んできました。それによって、ベラルーシ・ウクライナ・ロシアの三国だけでも900万人もの人々が新たなヒバクシャとなってしまいました。汚染地域(セシウム137で1キュリー/平方キロメートル以上の汚染地)の面積は、被災3国だけでも日本の面積の40%にも相当します。

高汚染地域から移住しなければならなかった人々は40万人にものぼっています。そして事故から20年を経ても650万人もの人々が1〜15キュリー/平方キロメートル以上の汚染地域に住み、放射能の中で農業を続け、汚染された食べ物を食べ、子供を産み育てるという生活を余儀なくされているのです。豊かな自然、森や湖、人間以外の全ての生物の生きる環境が、今も放射能で汚染されたままなのです。

<右はの拡大地図(セシウム137による放射能汚染)>
※汚染の強さは色分けされており、汚染地図の右下にある通り

子供たちはとりわけ放射能の影響を特に受けやすく、ベラルーシ・ウクライナ・ロシアの汚染地域では子供達の健康状態が悪化しています。小児甲状腺癌が激増し、ベラル−シでは事故後9年目には、事故前の約90倍の発生数になりました。事故当時の子供達(14才まで)が成長するにつれ、近年ではティーンエージャーや若年成人の甲状腺癌が増え続けています。また、被災した住民の間では肺癌,胃癌、膀胱癌、乳癌等も増え、癌以外でも血液造血器、内分泌、免疫、呼吸器など様々な病気が増えていることが報告されています。

 ベラルーシの子供・若年者の甲状腺癌罹患者数(人)

1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002
ティーンエージャー 2 3 1 0 4 8 7 17 19 23 19 25 35 45 62 75 28 373
子供(14歳以下) 1 2 5 7 28 55 67 78 82 90 83 66 54 51 34 13 4 720

(2002年は途中までのデーター、ミンスクの甲状腺癌専門医のディミチク教授より)

事故が人々にもたらしたものは、健康被害だけではありません。人々は放射能汚染による移住のために、先祖代々守って来た伝統的な生活、心の拠り所であった文化を捨てなければなりませんでした。新たな土地での生活の中で、周囲の人々の理解が得られずに差別的な扱いを受けることもありました。また汚染地域では、農業などの産業が立ち行かなくなり、国全体の経済困難とあいまって、生活は苦しくなるばかりです。そんな中でアルコール依存などの社会的問題も深刻化しています。

事故後20年を経た今も、チェルノブイリ原発事故は被災地の人々に大きな癒えることのない傷跡を残しているのです。

50基以上の原子力発電所を抱えている日本でも、経済性を優先したずさんな管理、地震の頻発などの下で、チェルノブイリのような大事故が起こらないという保証は全くありません。チェルノブイリ原発事故は日本の私達にも、大きな警鐘を鳴らし続けているのです。


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