4・25交渉時に宿題としたことについて、関西電力本社広報部より5月中旬に電話回答がありました。以下はその要旨です。

コンピュータ画面上での破断部位のスケルトン図表示について

(回答)ステンレス鋼と炭素鋼とで表示法は異なるが、余寿命が2年未満となった部位については赤色で表示することになっている。破断部位については、スケルトン図に反映されたものの、色分けされていなかった。

(解説)
美浜3号の破断部位が点検対象登録漏れになっていることを日本アームが発見し、コンピュータシステムNIPSのスケルトン図に記入しましたが、余寿命を計算していないので色分けしていないと関電広報部は言いたいのです。美浜3号で28年間未点検であることを発見したのと前後して、高浜4号では、同一部位で減肉が進んでいることを点検して確認し、次回定検での取替を決めています。このとき、高浜4号ではこの部位を赤色表示に直しているはずです。高浜4号より9年も古い美浜3号で点検漏れを見つけながら「余寿命を計算せず、色分け表示もしなかった」というのです。関電によれば、日本アームでは「点検漏れを発見したら次回定検で点検することにしており、余寿命は計算していない」と言うのですが、それなら、なぜ4月に点検漏れを発見して、なぜ5月からの定期検査で点検しなかったのでしょうか。高浜4号では、日本アームが点検漏れを発見して関電にすぐ連絡し、直近の定検で点検計画に組み込んでいるのです。美浜3号でなぜ直近の定検に組み込まず、1年4カ月先の次々回定期検査まで延ばしたのか、その明確な説明は、未だにありません。

コンピュータシステムNIPS開発への関電の支援方法について

(回答)NIPSは日本アームが自主的に開発したもので、関電から開発支援のための出向はしていない。回線を使って外部から見えるようにするシステムは関電が作った。

(解説)NIPSには、管理指針に基づいて未点検箇所の余寿命を初期減肉率で計算する余寿命計算プログラムが入っていたのですが、日本アームはそれを使っていなかったと関電は主張しています。点検部位が未点検か何回目の点検かで余寿命計算のやり方が異なりますので、通常なら各場合に応じて余寿命を自動的に計算して人為ミスや意図的操作が入らないようにプログラム化するはずですが、そうしていません。関電は余寿命が短いとき管理指針以外の方法で余寿命を「不適切」に計算し直していましたから、管理指針通りにプログラム化するとまずかったのでしょうか。関電はこのシステム開発に「出向」してまでは関与していないと主張していますが、どの程度、どのように関与したのでしょうか。日本アームの外部から見えるようにしたというのですから、関電がNIPSの重要性を認識し、それを利用していたことは確かなようです。