■□■□■□■□■□■□■□■ 若狭ネット第47号(1999/1/25) □■□■□■□■□■□■□
 
1999年1月14日
福井県知事 
栗田幸雄 様                       
 
関西電力の高浜4号プルサーマル計画と
MOX燃料の欠陥輸送容器等に関する申し入れ
 
若狭連帯行動ネットワーク
 
 県民にとっても、国民にとっても、一大分岐点となる年が始まりました。
 新しい年を迎え、プルサーマル先進国であるドイツとベルギーでは、再処理・プルサーマル路線からの撤退が具体的な日程に上り始めました。他方、日本では今年から、欠陥輸送容器を使ってまでMOX燃料を輸送し、プルサーマルを始めようとしています。福井県がその先頭に立たされようとしているのです。日本や福井県は歴史的現実から何も学ばず、同じ過ちを繰り返すのでしょうか。
 県民の多数はプルサーマルに反対であり、プルサーマル推進はわずか数%です。この県民の総意を踏みにじることは断じて許せません。立ち止まって熟慮し別の道を選択するのは今です。国際的な流れと県民の総意をバックに、福井県が率先して脱プルトニウム路線への転換を政府に提言すべきです。
 にもかかわらず、知事は、今春の知事選に向けて、昨年11月26日には「プルサーマル計画と日本原電(3・4号機)増設の諸問題は、安全性確保を第一に積極的に進める」との政策協定文書を自民党と締結し、今年1月8日には来訪した関西電力社長に対し「今、選挙で頑張っています。ひとつよろしくお願いします」と述べ、公職選挙法違反の事前運動の疑いさえもたれています。県民の利益より再選という私的利益を優先させるこのような知事の姿勢には憤懣やるかたない思いです。厳重に抗議します。
 プルサーマルを巡る重大局面を迎え、以下の項目を申し入れます。
 「知事選」や「地域振興」は国の原子力政策とは全く別物であり、これらを取引材料にせず、国際的視野に立って、後世に悔いを残さない賢明な判断をされるよう強く求めます。
1.関西電力に対し、中性子遮へい材に欠陥のあるMOX燃料輸送容器をそのまま使うための設計 承認申請を取り下げるよう、また、欠陥輸送容器を今後一切使わないよう申し入れること。
運輸省に対し、関西電力の設計承認申請書における「設計基準値引き下げ」を承認しないよう、また、欠陥輸送容器をそのまま使うための容器承認申請を受理しないよう申し入れること。
2.プルサーマルや高速増殖炉開発など日本のプルトニウム利用政策に国民合意や県民合意が得ら れていない現状では、高浜3・4号でのプルサーマル計画への最終了解を与えないこと。
3.1997年末の約22万人の「もんじゅ反対」署名を尊重し、もんじゅの原子炉設置変更許可申請 の事前了解願いを絶対に受理しないこと。
4.1994年末の約21万人の「これ以上の原発はいらない」署名を尊重し、敦賀3・4号炉増設に ついて「白紙」を堅持し、増設を絶対に認めないこと。
5.運転開始から約30年経過し老朽化の進んだ敦賀1号炉と美浜1号炉の早期廃炉を求めること。
6.使用済核燃料の貯蔵・再処理、MOX燃料の欠陥輸送容器、プルサーマルなどプルトニウム政 策について、原子力情報の全面公開の下、県民・国民の間で広く自由に十分時間をとって議論で きる公開討論会を全国各地で何度も開くよう国に要請すること。
7.原子力安全委員会の原子力推進行政からの独立と権限強化など安全審査体制の抜本的改革を国 に要請すること。
8.プルサーマル計画を含め、原子力開発利用長期計画の抜本的な見直しを国に要請すること。
(4ページの運輸大臣への申し入れ文の続き)
 関電の今回の再申請の中では、レジンの水素含有量の基準を低く設定し直すという基準の改ざんが行なわれています。また、このような申請を運輸省が認めれば、内容はともかく形式さえ整えれば欠陥品を作っても構わないとの潮流を強めることになります。
 以上の観点から以下の点を強く申し入れます。
@ 容器不承認となったMOX燃料輸送容器をそのまま使うための設計承認申請書を即刻関西電力に  返却すること。
A 高線量の被曝を強要される輸送労働者の被曝線量のデータを公開し、健康調査を実施すること。
B 輸送容器の法的な安全基準である、「表面線量率2mSv/hおよび1m離れた位置での空間線量率  100μSv/h」を、この約10年間の国際的な議論を踏まえ見直すこと。
C 輸送容器のデータ改ざん問題と安全審査に関する全ての情報を公開し、この問題に関する公開討  論会を全国各地で開催すること。