■□■□■□■□■□■□■□■ 若狭ネット第50号(1999/6/20) □■□■□■□■□■□■□
 
「プルサーマル受け入れるな・
増設認めるな」
 
6月11日、福井県を14名の交渉団で追及
 
プルサーマルを積極推進する国の姿勢を追認する福井県知事
 
 6月11日、若狭ネットは、栗田知事によるプルサーマル受け入れ表明が危惧される中、福井県と交渉し、緊急の申し入れを行いました。
 午前11時から、県庁の原子力安全対策課において、来馬課長と長谷川課長補佐が対応し、若狭ネットからは14名(福井12名、大阪2名)が臨みました。プルサーマルが計画される高浜町からは2人がかけつけ、共に県の居直りを厳しく追及しました。いつになくマスコミ取材陣10数名が取り囲む中、12時前まで交渉を続けました。
 交渉では最初に、5月18日付けの「原発・プルトニウム政策に関する公開質問状」に対して、県から文書回答(原発・プルトニウム政策に関する公開質問状に対する回答 平成11年6月11日 福井県消防防災課・原子力安全対策課)が出され、大まかな説明がなされました。
 「回答」では2000年末とされる長計見直しについて、「国民に信頼される長期計画が策定されることに期待している」と答えるのみで、高浜原発のプルサーマル計画をはじめ現長計が国民に信頼されていないことを暗に認めながら具体的には全く触れていません。
 また、プルサーマルの意義について「ウラン資源の有効利用や核不拡散の観点から、最も確実な利用方法である」として、国の主張を鵜呑みにした回答を行っています。これらがウソで塗り固められた宣伝文句であることは、科技庁交渉や関電との公開討論会(武生市、大阪市)などで昨年までに決着が付いていることです。
 
木で鼻をくくったような県の態度
 
 交渉では、「県民合意は取れていない」との追及に対し、「県会の意向を尊重すべき」との返答がありました。来馬課長は(この5月に課長へ昇格したせいか)以前にも増して仏頂面で答えましたが、「核燃料税率引き上げは以前から要望していたことで、プルサーマルとの取り引きではない」との詭弁を平然と言ってのけました。私たちはこれらに対し厳しく追及しました。
 また、「安全性は確認されたのか」との質問には、国の安全審査を持ち出し、「通産省も認めている通り実証データはない」との追及には無言のままでした。
 プルサーマルは余剰プルトニウム対策のためとの説明に、「使用済燃料のガラス固化などは検討したのか」と問い詰めると、これまた無言。
 緊急の申し入れ書を武生市の参加者が力強く読み上げ、プルサーマル計画や敦賀3・4号増設、もんじゅ運転再開を認めないよう知事に要請しました。県は「上に伝える」と回答し、私たちは今後も県民の真摯な要求に応えよと迫りました。
 この日は関電が美浜3号事故の釈明のため県庁に来ているという事情もあり、来馬氏と長谷川氏は12時前にはそそくさと立ち上がり、交渉を打ち切りました。
 
敦賀3・4号は「現時点では白紙」
シュラウド交換・上蓋交換などでは回答回避
 
 時間がなくて追及できませんでしたが、回答文書では敦賀1号のシュラウド交換には「適切に対処していく」とするのみで、深刻な労働者被曝問題への言及を避けています。さらに、敦賀1号は今後10年程度運転を継続する「運転方針が示されている」として、それに対する県の判断を回避しています。
 美浜1号の上蓋交換問題では、それが30年を超える寿命延長につながることには触れず、「総合的予防保全対策」との見解を示しました。原子炉容器の脆性破壊の問題に関しては「健全性が確認されている」として無視し、関電による監視試験片再使用の方針は「一度使用した試験片を装荷するとの関電の方針は承知していない」と逃げました。
 敦賀3・4号増設に関しては「現時点では白紙であることに変わりはない」として、増設容認に傾いたかのような栗田知事の最近の変貌を覆い隠しました。  
 中間貯蔵施設については2010年までの運用開始を国や事業者に求めているとするだけで、福井県が使用済燃料の大量貯蔵県になる可能性については言及を避けています。
 県の防災計画では、昨年3月の修正案からの後退の経過については、「平成10年3月26日開催の福井県防災会議において修正案が承認され、平成11年2月2日内閣総理大臣の承認を得たものである」と回答しています。実際には、この修正案はそのままでは政府に承認されず、大幅に再修正され、今年2月2日にようやく承認されたのです。県の回答は明らかに事実をねじ曲げています。また、「より安全な側面に立って」と強弁しつつ、県民を事故時にコンクリート建屋内に閉じこめることには口を閉じて、「国の基準以下の段階から退避避難を行う」とごまかしています。
 2000年問題では「国や事業者に強く要請していく」と答えています。もんじゅについては「位置付けを原子力長期計画の中で明確にし、国民合意を確認していただくことが先決」として、浮上している運転再開論には触れませんでした。
 プルサーマル問題以外のこれらの課題に今後も交渉に応じることを約束させて終わりました。