■□■□■□■□■□■□■□■ 若狭ネット第50号(1999/6/20) □■□■□■□■□■□■□
 
1998年6月21日
関西電力株式会社社長 
秋山喜久様                     
 
  申し入れ
運輸省にMOX燃料運送届を出さないこと!
 
若狭連帯行動ネットワーク
 
 貴社は 6月17日、福井県知事が「事前了解」を出した高浜3・4号炉でのプルサーマル計画に対して、即刻、MOX燃料の運送届を運輸省に提出しようとしています。
 私たちは、このような動きに断固反対します。
 プルサーマル計画は、本格的なプルトニウム利用計画ではなく、「高速増殖炉開発までのつなぎ」にすぎません。この高速増殖炉も技術的・経済的展望がなくなり、プルトニウムを取り出す六ヶ所再処理工場の建設計画は、またまた2年半延期されています。
 プルサーマルは、ウラン資源の節約にもならないし、今の燃料より、高くなってしまいます。
しかも、貴社がやろうとしている高濃度、高燃焼度の核燃料の安全性は、いまだに確かめられず、実際に高浜に装荷して、発電しながらの実験をしようとしているのです。こんなとんでもなく危険なことは許されるはずもありません。
 それにもかかわらず、貴社は、高浜4号の11月運転再開を目指し、英国から日本へのMOX燃料の輸送を開始しようとしています。
 英国の再処理工場では、工場でヒバクさせられた父親から生まれた子供に白血病が発生する割合は通常の約6倍にものぼることが、二転三転しながら、この5月末に出された英政府委託研究所で改めて確認されました。
 また、英再処理工場から放出されたプルトニウムの4割がどこに拡散したかもわからない、遠くノルウエー沿岸にも放射能が漂い、蓄積されていると問題が明らかとなってきています。
 英再処理工場と再処理契約している貴社にも責任があります。この事態を正面から受けとめなければなりません。貴社は、英再処理工場との海外契約を即刻破棄し、今回のMOX燃料輸送も撤回すべきです。
 英国から日本へのMOX燃料輸送は、プルトニウム災害の危険を高め、核拡散の危険を促します。世界的にも批判が高まります。輸送ルートの沿岸諸国から、日本の強引なプルトニウム利用への批判が高まり、経済水域内航路拒否・抗議・懸念などが集中することになります。
 しかも、貴社の輸送容器は中性子遮へい材が当初の設計通りに製造されなかった欠陥品です。別の試験体による燃焼試験では外つけになっている中性子遮へい材が焼けこげたと言います。これで大丈夫だとは決して言えないのです。万一海難事故で沈没すれば、回収などできるはずもなく、被害は深刻にならざるを得ません。
 MOX燃料輸送の中止とプルサーマル計画の中止を貴社に強く申し入れます。