□■□■□■□■□■□■□■□■□若狭ネット第51(1999/9/18)■□■□■□■□■□■□■□
 
MOX燃料輸送中止を求め、国際連帯行動・・・・・関西電力本社へ7月19日と9月8日押し掛け
 
MOX燃料輸送ルート諸国から抗議の声が
「届いているかかどうかは存じ上げません」??
 
 
MOX燃料輸送中止を関電に要求
 
 高浜4号でのプルサーマル発電開始に向け、英国からの武装船によるMOX燃料海上輸送が東京電力福島原発のMOX燃料と合わせて、7月の第4週にも開始されるのではないかとの報道が流される中、若狭ネットの呼びかけで7月19日、MOX燃料中止を求める関電本社交渉を行いました。また、この日はMOX燃料輸送反対の国際共同行動日となっており、プルサーマル中止・MOX輸送反対の国際連帯を掲げ、多くの反原発団体が関電本社内や本社前などで様々な行動に取り組みました。
 3時30分から始めた交渉では、最初に若狭ネットと京都原発研究会が申入書を読み上げ、欠陥輸送容器によるMOX燃料輸送を内外の反対の声を無視して強行することなどを厳しく非難し、その中止を求めました。
 同時に、7月12日に起きた敦賀2号事故で1次冷却水漏れを起こした、再生熱交換器と同型で同じ住友金属製の配管を使った高浜3・4号の運転の危険性を指摘し、そこでのプルサーマル強行の危険性を指摘しました。
 関西電力からは3名が対応し、敦賀2号事故については、安部課長は「必要な対策は取っていくということにしていかないといけない」「こういうことが起こると皆さんに安心感を与えるまでには行かないということで、残念なこと」と述べたものの、「徹底的な原因究明と対策の検討で引き続き努力して参りたい」として具体的な関電としての方針は示しませんでした。
 MOX燃料の海上輸送開始時期については、関電の一部のものは作業管理とかを把握しているが自分たちは部外者なので知らされていないとして答えませんでした。また、イギリスやフランスの国内の移動ルートは核物質防護の観点から広報できないと述べました。
 イギリスやフランスの領内内のことも言えないので、欧州国の領海を出る2日前には「日にち」を発表できるとも答えました。
 若狭ネットは6月17日付けで関電が運輸省にMOX燃料輸送の届けを出さないよう要請しましたが、関電は船舶安全法にのっとって運輸大臣に申請し、海上保安庁長官にも届けを出していると思うと答えました。
 
諸外国への説明を外務省が肩代わり、まるで人ごと
 
 輸送ルートで大きな迷惑をかけるではないかとの追及には、「外交で関係国に説明とか理解活動を行っているというふうに聞いている」と極楽トンボのごとき答弁。無神経にもほどがあります。
 関電として何も努力していないじゃないかとの追及されると、「関電としても直接的にはそういうことができないとしても、周りのサポートということで」と間の抜けた答え。
 すでに抗議を表明した国があるがどう対処しているのかと聞くとカエルの面に何とかの答えが出ました。安部課長曰く「関電に届いているかどうかは私も存じ上げません」。
 よくもしゃあしゃあと言えたものです。こんな関電では何をしでかすかわかりません。プルサーマルは何としても阻止したいと改めて思いを強くしました。
 韓国ではプサン市議会が反対し、市民団体が船を阻止すると言っているが、関電としては何もしないのかと聞かれると、「国ともよく相談させてもらって対応することにはなると思う」と、抽象的に答えるに留まりました。
 「誰が武装船を指揮し、発砲命令を出すのか」と聞くと、英国の警察官との答え。また、警護費用や武装船改造費は電気料金で消費者の負担になるとの認識を明らかにしました。
 輸送船が沈没した場合については、サルベージなどでMOX燃料を回収するかどうかはその場所の状況によると明言しました。
 回収されなかった場合については、「基本的には漏れない」として環境影響評価はしていないとの回答。海外諸国の理解は得られないではないかとの追及には、「非常に国際的な規則にのっとって」「最優先の技術を選択している」などと、かつて動燃が誇らしげに吐いていた言葉を繰り返していました。
 
使用済MOX燃料を福井県に押しつけないとの確約を栗田知事とはしなかった?
 
 福井県の栗田知事は6月17日に、高浜4号のプルサーマル計画に「事前了解」を出しましたが、福井県民にとって使用済MOX燃料をも子々孫々押しつけられるのは、なお一層のこと由々しき問題です。
 県知事の「事前了解」に当たって、使用済MOX燃料を福井県が抱え込まないとの確約はしたのかとの質問には、安部課長は使用済ウラン燃料も同じ扱いだとか、向こうが(福井県側が)「ずっと貯蔵場所ではないんですよ」とおっしゃってるとかと答えてごまかそうとしましたが、確約した文書はあるかと追及すると「私は存じ上げません」と事実上確約がなかったことを認めました。
 プルサーマル問題に関する公開討論会を、大阪で開催することをこの日も強く要求しましたが、関電は討論会開催を堅く拒みました。規模をいつもの関電交渉の枠に留めておきたいとの意向を露骨に出し、これ以上公の場でプルサーマル問題を議論したくないとの気持ちがありありと見えました。
 私たちは交渉を4時30分に終え、関電本社前に待機する大阪の反原発諸団体との共同行動に合流しました。約40名で、本社前でシュプレヒコールと各団体のアピールを続けました。
 
韓国の仲間から反原発運動を聞く
 
 9月8日には、韓国の環境運動連合の若い2人のメンバーを迎え、グリーン・アクション、ストップ・ザ・もんじゅ、ノーニュークス・アジア・フォーラム・ジャパン、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会とともにプルサーマル計画の中止を要求する5団体連名の申入書を関電本社に提出しました。この日も関電はプルサーマル強行の姿勢を崩すことなく要求を拒否しました。
 同日夕から森ノ宮の私立労働会館にて、韓国からの2人のゲストを囲んで交流集会が持たれました。
 韓国の2人は20歳過ぎの女性で、とてもはつらつとしていました。運動に参加して2年ほどとのことでしたが、韓国では、大学生が反原発運動の先頭に立ち、大衆的に闘っていると紹介、日本の学生はかわいそうだと同情さえされました。自分の反原発運動の体験を熱っぽく語り、最近の金大中政権は企業寄りの環境政策をとっていると鋭く批判しました。そして、MOX燃料輸送、プルサーマル反対の闘いで「大阪の運動こそが重要だ」と叱咤激励されました。
 私たちも全く同感です。若狭ネットは、何よりも自国のプルトニウム政策に反対することが重要であるとの観点から、国際的連帯を強めながら、関電や政府に対する運動を、今後とも、粘り強く続けていく重要性を強調しました。また、この9〜10月にかけて、反核・反原発の具体的な行動提起を行い、みんなで力を合わせて闘おうと呼びかけました。
 集会の最後には「頑張ろう」の拳を皆であげて、日韓の国際連帯を互いに確認しあいました。私たちも、この日に交わされた友情と連帯の確認を無にすることのないよう、力の限りを尽くしたいと思います。