■□■□■□■□■□■□■□■ 若狭ネット第52号(1999/11/21) □■□■□■□■□■□■□
 
英国ではMOX燃料ペレットに欠陥があっても
法的な安全規制の対象にならない!
 
 英国では5年前に高速増殖炉開発を中止し、プルサーマル計画もなく、MOX燃料を使う予定はありません。MOX燃料を使わないのですから、英国では、MOX燃料製造工程そのものの安全性は規制されていても、作られたMOX燃料が安全なのかどうかは規制されていません。英核燃料会社BNFLは「発注通りに作るだけ」なのです。今回のように製造工程での品質管理がデタラメで、欠陥MOX燃料ペレットが製造されても「発注先から文句が出なければそれで良し」。品質検査を厳重にやればコストが高くつきますから、関西電力は通常産業製品レベルの品質検査で良しとしています。英BNFLも「お客さんの言う通り」にして、品質検査を厳重にはやりたくない。両者の利害が合致して今の検査レベルになっています。私たちが文句を言わなければ、誰からも「それではダメだ」とは言われない仕組みです。
 MOX燃料ペレットで最も大事なことは、外径などの寸法・外観が正確であることと、燃料ペレットのプルトニウム密度が正確で均一であることです。現に、高浜4号用に作られたロットは204ですが、そのうち5ロットがプルトニウム富化度仕様はずれで除外され、残ったのが199ロットなのです。ところが、そのプルトニウムが均一に分布しているかどうかの検査は、14ロットに1件の検査、つまり、MOX燃料ペレット4〜5万個からわずか2個を取り出して検査するだけです。これで、プルトニウムが均一になっているとどうして言えるのでしょうか。もし、プルトニウムが不均一で、プルトニウム・スポットと呼ばれるものが多くできていたら、そこで核反応が異常に進み、MOX燃料ペレットが局所的に溶融する危険すらあるのです。