■□■□■□■□■□■□■□■ 若狭ネット第53号(1999/12/25) □■□■□■□■□■□■□
 
関西電力が、高浜4号炉の
プルサーマル計画大幅延長を表明
 
プルサーマル計画中止へとさらに前進しよう
 
 
 高線量被曝した大内さんが亡くなる
 
 12月21日、大内さんが死亡されました。ここに慎んで哀悼の意を表したいと思います。
 この死亡の原因は、9月30日、東海村JCOの燃料加工工場でウランの臨界事故が起こり、16〜20シーベルトもの高い被曝線量をうけたことです。広島原爆の爆心地で被曝した被害者に匹敵する高い線量でした。
 このような深刻な事態を招いたウランの量は、わずか1ミリグラムといわれています。この量は、なんと耳かき1杯分のさらに千分の一なのです。改めてこわさを再認識させられます。
 このような事故を招いた大きな責任は、安くすることを徹底的に追及する原子力を推進する会社にあります。安全性軽視がはびこり、安上がりの操作が平気でまかり通る状況だったのです。
 これは、JCOという一会社だけの責任ではありません。原子力を推進してきた政府、原子力メーカー、電力会社側の徹底した原発の経済性追求の結果なのです。
 今まで、原子力関係機関は、「安全を最優先して来ました」とウソをついてきたことに対して、正直にあやまり、真摯に反省し、原子力を推進すべきではなかったと、自己批判すべき時期なのです。
 しかし、残念ながら、いまだに一切そのような意思表明をした人を聞いたことがありません。
 原子力安全委員会の事故調査委員会の最終報告書では、原発事故が起こることをリスクとして受け入れるように国民に迫り、これまで何度となく言われてきた原子力産業界全体で「安全文化」を作り上げていく必要性をむなしくくり返しています。今後は、「原発は絶対に安全」ということは申しません。「原発事故はあります。その危険を承認して下さい。」と、言うのです。そうして、原発を推進はしますと居直っているのです。この国は、世界で一番危ないのではないでしょうか。
 原子力施設の事故で、大内さんのような人を二度と出してはなりません。突き詰めて考えていけば、勇気を持って原発NO!、核燃料サイクルNO!というべきではないでしょうか。
元をたたないと、必ず、次には今以上に大きな事故へとつながっていくのです。
 
 関電、ついに燃料装荷を断念
 
 そんな中、みなさんと喜びたいできごとがありました。
 それは、高浜4号炉でプルサーマルを実施する時期を大幅に遅らすと関電が発表したのです。
 12月16日、関西電力は、高浜4号炉MOX燃料ペレットにもねつ造があったとして、プルサーマル計画の大幅延長を発表しました。
 この9月以降、関西の市民グループとの関西電力への共同抗議行動、若狭ネットの反原発デーの10月26日の申し入れ、11月3日の共同集会、そして、12月3、4日の原水禁関西ブロックのプルサーマル反対・もんじゅ再開阻止の集会と学習会、5日のもんじゅ反対福井集会、データねつ造疑惑のある高浜4号用MOX燃料の使用差し止め仮処分申請、MOX燃料加工に疑惑ありの国外からの指摘、そして、若狭ネットの11月福井県知事申し入れ、12月4日福井でのJCO講演会、11月30日、12月13日の若狭ネット対関電行動など、一連の諸行動を闘っての勝利です。多くの闘うみなさんによって、この勝利が勝ち取ることができたのです。プルサーマル計画反対の国内外の運動によって勝ち取られたものです。この勝利を運動を担った人たちとともに喜ぶと共に、関電が、プルサーマル計画を中止するまで闘いを広げていきたいと思います。共に闘いましょう。
 
 署名を拡大し、関電を追い込もう
 
 プルサーマル計画は、大きく延期させることができました。しかし、日本の政府は、プルトニウム政策と原子力政策をいまだに維持させようとしています。
 私たちは、関電に対して、原発推進を断念させるまで、これからもねばり強く追求していきます。
 ・ 高浜3・4号のプルサーマル計画をあきらめさせること
 ・ 原発新増設を許さないこと。
 ・ 2000年度の中間貯蔵施設候補地の明示を許さないこと。
 ・ 美浜1号の寿命延長を許さないこと
など、取り組む課題があります。
 これらの闘いは、青森の六ヶ所での再処理反対の闘いとも連動しています。そして、全国の反原発・反核燃の闘いとも連帯しています。
 下からの反対運動をねばり強くつくっていきましょう。対関電署名を広げることが関電に対する大きな圧力になります。これをバックに具体的な課題で関電の手足をさらにしばっていきましょう。
 さらに署名に御協力をお願いします。
 また、年初には、プルサーマルで福井県内新聞折込を行います。一口5百円で100戸に折込ができます。集まった基金の額で折り込み戸数が決まります。ご協力下さい。
 
 
「編集後記」
 関電が、ついに外国からの圧力によって、高浜4号へのMOX燃料装荷を断念しました。私たちが、何度も交渉に行って危険な動きを指摘していたのに、一向に耳をかそうとはしなかったのですのに、外国から指摘されるとやめるといういつものパターンです。何とも情けない話ですね。ともあれ、燃料装荷を大幅延期したことにホッとしています。
・12月23日、3回目の街頭署名をおこないました。
 前日、大内さん死去のニュースを聞いて二度とこのような事故をくり返さないためにプルサーマル発電中止!新規原発計画反対!を訴え、署名をとりました。
 大阪梅田ロスト前には、若者はもちろんクリスマスのプレゼントを買いに来る親子連れも多く、大内さんの死に心を痛めておられる人も多くいました。
 ここは、遠いところからも買い物に来ます。広島・岡山・三重・愛知・京都・奈良・滋賀と様々でした。福井の敦賀市で関電関係につとめているから申し訳ないが署名はかんべんして下さいという方もいました。いろいろですね。
 来年こそ、反原発元年にしたいですね。
きよ子