■□■□■□■□■□■□■□■ 若狭ネット第53号(1999/12/25) □■□■□■□■□■□■□
 
1999年12月17日
関西電力株式会社社長 
石川 博志 様
 
高浜4号炉の欠陥MOX燃料使用中止決定に際し、
プルサーマル中止と公開討論会の開催を求めます
 
若狭連帯行動ネットワーク
 
 貴社は昨日、「高浜4号用MOX燃料ペレットP824の他P783やP814でもデータねつ造あり」との英国原子力施設検査局NIIの指摘やBNFL報告を受け、MOX燃料集合体の使用を中止しました。これは、私たちが、「BNFLの品質管理データは全数自動測定データと母集団が違う」という統計的事実から「データねつ造」か「恣意的なサンプリング」が行われていると警告した内容を裏付けるものでした。私たちが9月29日付質問状で指摘し、10月26日の関西電力本社交渉で説明し、11月6日付け再質問状で念を押し、11月30日と12月13日の関西電力本社交渉でも繰り返し説明してきた通りでした。
 そこで、以下のことを緊急に要求します。真摯に対応されるよう強く求めます。
1.11月30日および12月13日の若狭ネットとの関西電力本社交渉で「公開討論会の開催を検討する」
と約束したとおり、即刻「プルサーマル問題に関する公開討論会」を開くこと。
2.公開討論会で、関西電力の経営責任者および技術者による以下の釈明を特に行うこと。
@今回報告されたデータねつ造のやり方については、若狭ネットをはじめさまざまな市民団体がこ
れまでに何度も指摘し、品質管理のやり方に根本的な欠陥があることを明らかにしてきた。にもかかわらず、誠意ある対応をとらず、無視し続けたことを深く反省し、謝罪すること。
 福井県民および国民に対しても「高浜4号用MOX燃料ではデータねつ造はない」とウソをついてきたことを全面的に謝罪すること。
A今回の欠陥MOX燃料集合体の使用中止に至った経緯を詳しく説明すること。とくに、高浜4号
用MOX燃料ペレットのデータねつ造疑惑を示唆する英NII副主任検査官から日本国大使館経済参事官への11月8日付け書簡にどのように対応したのか、説明すること。
B英NIIと同じデータを分析しながらBNFLの品質管理上の欠陥を貴社、三菱重工業、日本政府の独自
調査で見抜けなかったが、それは貴社と三菱重工業自身の品質管理・品質保証の欠陥、日本政府の安全審査の欠陥を写す鏡である。貴社として深く反省し、その原因を明らかにすること。
C今回のデータねつ造を貴社が見抜けなかった根底には、高価なMOX燃料加工に際し、安全性を
少々緩和してもコストダウンを優先させる姿勢、すなわち、JCO東海臨界事故の社会的原因となった「電力会社による原発の経済性追求」にあり、この点を深く反省すること。
D貴社は、使用済燃料を原発サイトから搬出するための苦肉の策として、経済性がなくウラン節約
効果にも乏しいプルサーマルを強行しようとしてきたが、プルサーマル後の使用済MOX燃料は再処理できないため搬出できる見通しは全くない。これも、データねつ造を隠してきたのと同様に、福井県民をだますものである。人々を欺き、再処理による放射能汚染と原発重大事故の危険を高めるプルサーマル計画を白紙撤回すること。その上で、関連データを全面公開し、再処理・プルサーマルの是非について国民的討論を各地で開くよう確約すること。
3.使用済燃料輸送容器のレジン・データねつ造事件では原電工事が解散し、東海臨界事故ではJCOのウラン燃料加工事業許可が取り消されたが、これにならい、BNFLとのMOX燃料加工契約を破棄し、本格操業認可前のセラフィールドMOX燃料加工工場(SMP)との契約を行わないこと。
4.プルサーマル先進国のドイツ、ベルギー、スイスが相次いでプルサーマル撤退の方針を打ち出したことにならい、今回の事件を機に、日本でも再処理を中止し、プルサーマル計画を中止すること。                                    −以上−