美浜2号事故9周年対関電行動
 
関電にプルサーマル問題で公開討論会を要求
 
 美浜2号の蒸気発生器(SG)細管のギロチン破断事故の9周年に当たる、2月9日若狭連帯行動ネットワークの呼びかけで関電行動を行いました。
 この行動は美浜2号事故後毎年行ってきたもので、今年は1月24日の関電交渉に引き続くものとなりました。
 関電からはいつものとおり安部広報課長以下3名が対応しました。反原発、反ヒバク団体やチェルノブイリ救援関西代表の山科さんなど約20名が関電を追及しました。
 始めに、若狭ネット、原発の危険性を考える宝塚の会、ヒバク反対キャンペーンがそれぞれ申入書を読み上げたのちに関電に手渡しました。
 若狭ネットは、高浜3・4号のプルサーマル計画の白紙撤回、BNFLとの一切の契約を破棄すること、原発新規立地計画撤回、敦賀3・4号増設計画への非協力、美浜1号即時廃炉を要求しました。そして、プルサーマル問題で納得できる説明がされるまで公開討論会を何度も開催することを求めました。
 
美浜2号事故を反省せず、開かれていない関電
 
 関電の安部課長は、「美浜2号事故はインパクトを与えた。当時のSGは『負の遺産』として美浜原発内に展示している。教訓としなければならない。忘れてはならない大変な事象のひとつだ」と答えましたが、実は見せかけだけの「教訓」で、本当に教訓としなければならないことについては全く反省していないのです。
 当時多くの反原発団体が細管破断の危険を指摘したにも関わらず、「SG細管はねばりがあるから大丈夫」との理由を付けてそれを無視し事故を予見できなかったことを追及されると、認めざるを得ませんでした。しかし「当時(細管腐食に関する)新たな知見を知り得なかったのだ」とごまかしました。しかし事実は、新たな知見を知っていたのにそれを関電が考慮できなかったのです。政府による事故の報告書にも記載されていることなのです。安部氏は事故原因をねじ曲げようとしたのです。
 関電は、美浜2号事故後平謝りした見せかけの「反省」さえかなぐり捨てて、市民団体など外部の意見を聞き入れない閉鎖的な姿勢を一層強く取り続けようとしているのです。JCO事故にも現れた、経済性優先の閉鎖的な原子力推進の姿勢です。
 私たちは、専門家以外にも市民の意見を聞けば新たなことも明らかになるのではないかとも指摘しましたが、安部氏は警戒して首を縦に振りませんでした。
 関電は今でも市民の指摘を真摯に受けとめていないのです。「SG細管はねばりがあるから大丈夫」といった技術への過信が未だに消えていないのです。こういった傲慢な姿勢は昔のままなのです。
 
1月24日の公開質問書には答えられない?
 
 1月24日に提出した公開質問書については答えず、「一部は本日答えている」と強弁する始末。1998年4月5日の武生市での公開討論会で示した「ウラン燃料費は0.8円/kWhで、MOX加工費はその1.5〜2倍」との見解をくつがえし、安部氏は「MOX燃料費はウラン加工費0.3円/kWhの1.5〜2倍」であると、口からでまかせのウソをしゃべり始めました。追及されて全くのウソだと気付いても、一切誤りを認めない。
 「これが関電の広報か?」と、いまさらながらみんなで立腹。
 他の質問項目については何も答えず、後日コスト問題等について若狭ネットにFAXで答えると約束しましたが、安部氏は送ってきません。後日督促しましたが答えぬまま。答えるとまずいのでしょうか。
 MOX燃料データねつ造問題に関する関電の調査委員会の報告は「2月を目途にやっている」と答えました。
 また昨年12月17日に約束したプルサーマル問題に関する公開討論会の開催について安部氏は「私はこの2年間に若狭ネットと17回も会っている。対話の窓口を持つことはやぶさかでない」として言い逃れる始末です。
 
相次ぐBNFLのMOX燃料の製造欠陥
 
 BNFLのMOX燃料製造がずさんな管理体制のもとで進められていることが、新たに判明しています。
 2月18日英国核施設調査局(NII)は、「BNFLの管理体制に欠陥があり、1996年から組織的にねつ造が行われていた」と発表しました。同時に一部の燃料にねじやコンクリートの塊が混入していたことも明らかになりました。
 ねつ造には「検査を担当する作業グループ5班のうち4班が関与しており、管理部門の責任も問われる」とNIIは明言しています。ねつ造の背景として「劣悪な労働環境、単純な仕事内容、容易にねつ造できる体制」が示され、BNFLの「組織的な管理体制の欠陥」とはっきりと述べています。
 異物混入問題については、21日の原子力安全委員会で通産省がねつ造問題を報告したのち、委員から「混入は意図的な妨害行為では」との
声が相次いだと報道されています。
 ドイツでは、高浜原発のMOX燃料データねつ造が発覚したのちに、ニーダーザクセン州のウンターベーザー原発に装荷されたBNFL製のMOX燃料にもデータねつ造があったことが判明し、所有者のプロイセン・エレクトラ社は運転を一時中止し別のMOX燃料に交換すると24日発表しました。
 スイス電力ベズナウ原発で異常に高い放射線が出ていたMOX燃料もBNFL製でした。BNFLのMDF工場では日本、ドイツ、スイス向けのMOX燃料しかつくっておらず、BNFLはこれら3国全てに不正なMOX燃料を供給していたわけです。
 さらに、スイス電力はベズナウ原発に納入されたMOX燃料に、データねつ造がなかったかを調べるための調査チームを派遣することを、25日までに明らかにしました。
 BNFLは放射能を含む危険なものをつくっているとの自覚がないのです。企業全体として、平気で危険な製品を「つくる」体制になっているのです。関電がこのように、明らかに品質管理のズサンな企業の製品を使用することは、常識的に考えて、会社経営上も不適切です。製品の検査を行ってきた発注元の関電そのものの姿勢も問われます。
 それ以上に重要なことは、BNFLの品質管理体制がMOX燃料の事故の危険を高めるものであり、そういったBNFLの製品の使用は住民・市民としてとうてい認められるものではありません。
 英国政府の原子力検査機関も管理体制の欠陥を認めた以上、関電としてBNFLとの契約を継続する根拠は根こそぎ崩れ去りました。
 BNFLが行っているMDFでのMOX燃料製造、操業開始を目前にしながら止まったままの新工場SMPでのMOX燃料製造計画、ソープでの再処理など一切の契約を関電は破棄すべきです。
 スイスやドイツが契約破棄したあとからおずおずと、鸚鵡のものまねのように同じ手だてを取るなどとは恥ずべきことです。データねつ造問題の出発点の日本自ら率先して契約を破棄すべきです。
 ソープでの再処理にともなう放射能汚染の深刻化から、北海周辺諸国の政府からはこれまでもソープ稼動に対する懸念の声が上がってきていました。さらにアイスランドのアスグリムソン外相は、25日英国のクック外相に対し、これまでの放射性廃棄物海洋投棄中止の要求をさらに強め、BNFLの操業そのものを中止するよう要請しました。アイルランドもデータねつ造問題を受け、BNFLの安全体制確立までの全施設の操業中止を英国に求めました。 
 そうしてついに、29日にはBNFLに使用済み核燃料4.8トンの再処理を昨年夏委託していたスウェーデン政府が、データねつ造問題を受け、同社での再処理計画を中止すると明らかにしたのです。
 再処理の最大の顧客である日本の企業として、関電は責任を自覚し、再処理契約を取りやめるべきです。1998年3月現在日本の契約分2,700t中、再処理済みは500tで、18.5%にすぎません。現在でも20%に達していないものと思われます。BNFLの欠陥が明らかとなった今、再処理契約を解約しても関電が罰金を取られることはありません。再処理中止に関して関電は何をためらっているのでしょうか。関電はスウェーデンの英断を見習うべきです。
 
BNFLとの一切の契約を破棄せよ! 敦賀3・4号増設に協力するな!
対関電署名を広げよう!
 
 関電は、「高浜4号のプルサーマル延期」でお茶を濁したのみで、BNFLとの契約は維持したままです。そして、若狭ネットとの公開討論を避けて、MOX燃料に関する様々な諸問題が、突っ込んだ形で、関西で深くおおやけに取り上げられることを回避しようとしています。その間に、関電副社長の鷲見氏を社長に送り込んだ日本原電に当面は敦賀3・4号増設を開始させようともくろんで、福井で画策しているのです。
 これは、巻町での反原発町長の2度目の当選、芦浜原発立地への三重県の拒否など地方行政レベルまで広がった原発拒否の流れに敢えて挑もうとする愚かなたくらみです。
 今後、関電に向けてSMPやMDF、ソープなどBNFLとの一切の契約破棄、余剰プルトニウムのガラス固化による密閉管理を求め、運動を強めていく必要があります。
 それと同時に、高浜3・4号のプルサーマル計画白紙撤回、敦賀3・4号増設協力反対を関電に求めている対関電署名を関西各地で広め、関西の都市部でも広範で力強い反原発の流れを形成していきたいと思います。