■□■□■□■□■□■□■□ 若狭ネット第57号(2000/5/22) ■□■□■□■□■□■□
 
■□■□■□■ 4・26チェルノブイリ14周年 対関電行動 ■□■□■□■□■□■□■□■□
 
逃げ続ける関電に、2万の署名を積み上げ
プルサーマル公開説明会開催をあらためて要求
 
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 チェルノブイリ原発4号炉で核暴走事故が起こり、広島原爆に換算して約600発分の死の灰が大気中に放出されて14年目を迎えた4月26日、今年も若狭ネットは関西の反原発団体と共に関電本社を訪れ、関電交渉を行いました。
 事故で放出された「死の灰」はウクライナ、ベラルーシ、ロシア、欧州各国をはじめ世界各国を襲いましたが、最近になって、旧ソ連ではこれまでに事故処理作業者の5万5千人以上が死亡したと伝えられています。また、JCO臨界事故で大量の放射線をあびた篠原さんは危篤状態にあることが報道されていました。
 関電は安部課長ほかいつもの3名が対応しました。交渉には関西各地から12名が参加し、はじめに、若狭ネット、チェルノブイリ救援関西、原発の危険性を考える宝塚の会、ヒバク反対キャンペーンがそれぞれ申入書を読み上げ、提出しました。その際、これまでに集めた、プルサーマル反対等を求める対関電署名1万8千名分を積み上げて圧力をかけました。「この署名を公開討論会で経営責任者に直接手渡したいので、早く公開説明会を開くように」と求め、交渉後持ち帰りました。
 
チェルノブイリは関電にとって人ごとか
 
 関電の安部課長はこれらに対し、「チェルノブイリ事故は悲しい、残念な出来事です」とは言いながら、「旧ソ連の体制下で炉を止める装置を無視して実験していた」と論点をすり替えようとしました。これまで市民団体の指摘を関電が無視してきたことや、関電自身が起こしてきた美浜2号事故、MOX燃料輸送容器の製造欠陥・データねつ造事件、さらには今回のBNFLによるMOX燃料の品質管理データねつ造とそれを見抜けなかった関電のずさんな品質管理体制などはどこ吹く風の様子でした。
 「関電はささいなトラブルでも知らせている。自然エネルギーだけで電力を供給できればよいが、現実的にはできない。原子力に理解をお願いしたい」と結んで、原子力・プルトニウム利用への「強い意欲」を示しました。
 
まだまだ逃げる関西電力
 
 若狭ネットは、昨年11月6日、今年1月24日、3月20日と一連の公開質問書への回答を求め、昨年12月17日に確約した公開討論会の早期開催を求めましたが、安部課長はそれらには直接回答しませんでした。このところ、公開討論会の開催を一旦は約束しながら、結局はホゴにして逃げ回る関電に対し、私たちは業を煮やし、その場で「どうなっているんだ」と厳しく追及しました。
 安部課長は馬耳東風の様子で、「5月中にMOX燃料データ改ざん問題の最終報告が出る。その後で文書回答をする。株主総会までには説明会を開きたい。『5月には』と関係者はある意味ではメドを持っている」と5月中の開催をにおわせる発言。
 さらに厳しく追及すると、2月9日の関電交渉で公開討論会を「平日の夜。100人規模で」と明確に約束していたのは、「開催することを関電が一時決めていたからだ」との返事でした。「3月28日の交渉でも約束したではないか」と詰め寄ると、「確かに4月26日とか具体的に日をあげて開催するとお約束しましたが、結果としてできなくなった」と弱々しい釈明。そこで、「一転してこの2ヶ月ほど逃げ回るようになったのはなぜか。誰がダメだと言ったのか。」と追い打ちをかけると、「どこからか指示があったせいではない」との回答。どうも理解しかねる説明です。
 
BNFLの今後の行方を見ている?
 
 欧州各国で再処理やプルサーマルからの撤退が進む中で、BNFLのMOX燃料製造欠陥やデータねつ造がドイツやスイスでも露見し、米国政府とのBNFLの核兵器施設除染契約の見直しが伝えられ、英国内でも政府や電力会社レベルで再処理からの撤退が検討されるなど、BNFLの経営そのものの見通しがつかなくなっているため、関電も今後の方針を確定できないからではないかと疑問を差し向けると、安部課長は答えに窮しました。
 英国政府は5月末に、セラフィールドでの再処理を今後どうするかを明らかにするグリーンペーパーをまとめる予定であり、スウェーデンやアイルランドなどがセラフィールドの閉鎖を求めているOSPAR委員会の会議も6月に予定されるという日程の中、関電もBNFLが再処理業務から撤退する可能性を考慮して、態度決定を遅らせているのではないかとも聞きました。
 関電はその点については沈黙して全く明らかにしません。関電のためにも、情報の公開、透明化、市民の声を聞き入れる姿勢などが必要との声が上がると、逆にムッとする安部課長。
 
現時点で公開説明会を開かせよう
 
 私たちは、経営責任者が出席して対関電署名を正式に受け取り、現時点で説明できる範囲内で、技術者が市民の側の質問にきちんと答えるような公開討論会を早く開くよう再度強く要求しました。
 なんとも、さえない関電でした。
 関電を公開討論会に引きずり出せるよう、今後も引き続き、多くの団体、多くの方々とともに粘り強く頑張りたいとの思いをみんなで共有し、関電の追及を終えました。プルサーマル反対の対関電署名を各地でさらに集め、関電に一層の圧力を加えていきましょう。