■□■□■□■□■□■□■□■ 若狭ネット第58(200/8/26) ■□■□■□■□■□■□
 
あつーい あつーい 夏のたたかい
 
関電は自己責任でプルサーマルを中止せよ!
英・仏再処理契約を破棄せよ!
 
8・3公開討論会で関電を追及しよう
 
 粘り強く関電交渉を積み重ねた結果、関西電力は遂に、BNFLのMOX燃料データねつ造問題で8月3日に公開討論会を開催すると確約しました。関電は、若狭ネットの集めた2万名のプルサーマル反対署名を経営責任者が公開討論会の場で受け取ることも約束しました。夕方ですが、ぜひ、一人でも多く集まって下さい。そして、署名の力をバックに、一緒に関西電力の責任を追及しましょう。
 私たちは、昨年9月にBNFLのMOX燃料品質管理データねつ造問題が発覚して以降、昨年9月29日付公開質問状を皮切りに、11月6日付、今年1月24日付、3月20日付、7月6日付と5つの公開質問状を提出し、厳しく問い正してきました。ところが、関西電力から文書回答が得られたのは最初の公開質問状だけです。私たちは再三再四、公開討論会の開催を求め、関電も3月末には「4月下旬開催」を約束しながら4月になると「何も決まっていない」と反故にし、逃げ回ってきたのです。
 こうして、関西電力は公開討論会を開かないまま6月14日、「BNFL製MOX燃料問題に関する調査について」の最終報告書を通産省と福井県などに提出しました。それと同時に6月22日の公開討論会開催を一方的に通告してきたため、私たちは「株主総会前のガス抜きだ」と拒否し、改めて公開討論会の開催を求め、やっと8月3日開催にこぎつけたのです。
 やっとのことでの実現です。今までいかに関電自身がこの問題の深刻さを把握せず、監査もええ加減にし、安全性を無視してきたかを徹底的に暴き、追及したいと思います。あなたもぜひ参加して下さい。ともに追及していきましょう。
 ただし、関西電力の最終報告書の中身をすべて公開討論会で追及することは時間的に不可能です。そのため、私たちは公開質問状(後ろのページ参照)を7月6日に提出し、遅くとも公開討論会の1週間前に文書回答するよう求めています。関電からは未だに回答がありませんが、私たちは、他の市民グループとダブらないよう配慮し、公開討論会では次の3点に絞って追及したいと考えています。積み残しの課題については継続して公開討論会の開催を求めていきたいと考えています。
 
関電を追及する その@ 関電は自己責任を取れ
 
 2年前にさかのぼります。関西電力はMOX燃料装荷のための原子炉設置変更許可はおろか、設置変更許可申請のための事前了解も福井県から得ないまま、皆の反対を押し切って、1998年1月、MOX燃料加工をBNFLに発注しました。
 関電は当時、「加工発注は自己責任で行っている」と居直り、最終責任は関電がもつと偉そうに話していました。
 しかし、このときすでに今回の最終報告書で再発防止策の一つにあげている品質保証の基本、すなわち、「品質を作り込む工程になっていること」「品質の安定した製造工程であること」が、BNFLではクリアできていないことを知っていたのです。関電はそれを知りながら、英BNFLに強硬発注していたのです。加工精度が悪く、少々不安定な製造工程でも、安上がりに済ませるため、そのまま認め、その後のチェックも十分しなかったのです。
 昨年9月に高浜3号用MOX燃料に品質管理データのねつ造が発覚した際に、私たちは高浜4号用MOX燃料を含め、品質管理そのものに問題があること、番号をずらしてコピーするなど別のやり方によるデータねつ造が考えられることを具体的に警告しました。関電は今回の最終報告書でやっと、関電の方が間違っており、私たちの主張が正しかったことを認めましたが、関電らの調査が不十分だったというだけで、なぜ不十分だったのかについて掘り下げた自己批判はありません。関電はこれらの自己責任を明らかにし、口先だけの反省ではなく、厳正なる措置をとるべきです。
 
関電を追及する そのA 関電はウソツキの責任を取れ
 
 関西電力は「自己責任」で今回の事態を招いただけでなく、福井県民や私たちに大ウソをついてきました。
 福井県武生市で1998年4月に開かれた若狭ネットとのプルサーマル公開討論会で、関電は「BNFLのMDFというMOX燃料加工工場ではトラブルや不良はない」と強弁し、「自らペレットの品質管理をやっていること、あるいは
直接現地で検査していること」を強調し、安全のために徹底したMOX燃料検査をしているかのように言い張ったのです。
 ところが、昨年末に明らかになったところによれば、BNFLからスイスのベズナウ原発に納入されたMOX燃料で過剰な放射線漏れが発見され、1997年に回収されていたのです。その後で開かれた武生市の公開討論会の時点でこの事実を知らなかったはずはないのです。また、関電の今回の最終報告書にも一切書かれていません。
 このような関電の大ウソ、根拠のない「徹底した品質管理」、都合の悪いことを徹底して隠す関電の姿勢は断じて許せません。
 
関電を追及する そのB 欠けたペレットを合格させる?
 
 MOX燃料ペレットに使われるプルトニウムは臨界事故を起こしやすく、強い放射線を出す超猛毒物質であるため、燃料加工そのものが極めて困難です。BNFLのMDFでは、ペレットの外径を精度良く加工できないだけでなく、ペレットの両端に微細な欠けが生じていたのです。そのため、この欠けを検出しないようにBNFLは外径を測定するペレットの上中下の3点の位置を中央寄りに操作していました。関電もそれを了承していたのです。
 具体的には、全数自動選別では中央と中央から±2mmの2点、抜取検査では中央と中央から±3.5mmの2点で外径を測っていました。これはペレット両端からそれぞれ3.7〜4.3mmおよび2.2〜2.8mmの位置に相当します。かなり中央よりです。関電は、これは「研削後のペレットには微小な欠けなどの発生が考えられる」ため「ペレットかけが発生しやすいペレット端部からできるだけ離した位置にセットしている」からだと説明しています。
 これでは、ペレットの端部が欠けていてもわからず、ペレットに少々欠けがあっても問題ではないかのようです。いくら品質管理の徹底を叫んでも、もともとの品質が悪いままなのに、どうして品質管理だけを徹底できるというのでしょうか。ペレットの作り直しによるコストアップを避けるため、品質の悪いペレットを合格させるように品質管理のやり方を緩和するようでは、「ペレットの品質は大丈夫だ」と言っても誰が信じるでしょう。
 
 関西電力が自己責任をとる道はプルサーマルを中止することだと私たちは考えます。今回のMOX燃料の品質管理データねつ造の社会的原因は「安全性を無視した経済性優先」にあります。これはJCO事故の社会的原因でもあります。MOX燃料費はこのような品質管理の手抜きをしてもウラン燃料費の5〜7倍になります。プルサーマルはウラン燃料を燃やす場合より一層危険です。ましてや、自己責任もとれない関西電力には、こんな危険なプルサーマルを絶対許すわけにはいきません。
 英国内でさえ電力会社が再処理中止を求めています。ドイツやスイスもプルサーマルをやめる方針です。北大西洋の放射能汚染を防ぐためオスパー会議も再処理中止勧告を決議しました。もはやプルサーマルをやると宣言しているのは仏と日本だけです。関西電力は英仏との再処理・MOX燃料加工契約を破棄し、プルトニウム利用から撤退すべきです。それが関電の自己責任ではないでしょうか。
 英国は最近、64億円の賠償を関電に支払い、高浜4号用MOX燃料の英国への返還輸送を受諾しましたが、これ以上、危険なMOX燃料を輸送すべきではありません。MOX燃料輸送ルート沿岸諸国を危険にさらし、住民の命と健康をもて遊ぶようなまねはすべきではありません。プルサーマルを中止し、一切のプルトニウム輸送を中止すべきです。
 私たちはこれらを公開討論会の場で関電に突きつけていきたいと思います。ぜひ皆さん参加して下さい。
 
 東海村と広島・長崎をむすんで      
             ヒバクを許さないつどい  
日時:8月5日(土)午後1時30分〜4時   
 場所:「東方2001」広島市東区光町2-7-31 JR「広島」駅新幹線口から北東へ徒歩5分
 
 昨年9月30日に起きたJCO臨界事故によって「安全確保を最優先」するという原子力政策は根底から崩れ去りました。しかし、国は、作業員3人を除いた周辺住民や労働者の被曝は健康被害が出るほど被曝していないとして、あくまでも原発を推進しようとしています。
 「国はJCO事故の責任を認め、住民・労働者の健康被害を補償せよ」を求める全国署名が4月1日から進められています。全国各地の反原発運動、反核運動、あらゆるヒバクシャの補償を求める運動、在外被爆者への援護法適用運動、二世被爆者の健康生活補償を求める運動などと結んで広がっています。
 被爆55周年の節目となる今夏の原水禁大会に積極的に参加しましょう。署名運動を各地に広げ、ヒバク反対と脱原子力を結び運動を強めていきましょう。8月5日の「東海村と広島・長崎を結んで ヒバクを許さないつどい」は原水禁関連企画として開かれます。このつどいに集まり、「ノーモアヒバクシャ!」の闘いに結びつけ、心を新たにして署名運動を展開していきましょう。熱ーい、暑ーい夏、共に汗して頑張りましょう。
 
 
編集後記
 
 8月5日広島へ行きませんか?
 今年は広島・長崎原爆投下から55年、20世紀最後の夏に被爆地広島へ行きませんか?アメリカ・フランス・中国・インド・パキスタン等で核実験が強行されました。そのつど、いつも平和公園で座り込み抗議行動を続けてこられたヒバクシャの人たち。JCO臨界事故で被曝させられた東海村の人たちと共に、国の原子力推進の根本的見直しを迫理、二度とヒバクシャを出させないため、「ヒバクを許さないつどい」に参加しましょう。
 広島を初めて訪れる方は集会前に一緒に平和公園・資料館を見学しましょう。
 参加ご希望の方は久保までご連絡下さい