■□■□■□■□■□■□■□■  若狭ネット第59号(2000/8/26) ■□■□■□■□■□■□
 
8・3関電公開討論会に参加して
 
無表情の向こうに
 
京子(大阪)
 
「日本は資源がないですよ。」何度も何度も技術担当者はくり返した。三年越しの公開討論会をという要求に、やっと開かれた討論会。 関電の答弁は、本社の小部屋での解答と同じだった。
 台湾の第四原発検討委員会では、その模様が六時間もぶっ通しで全部テレビ中継されるのだという。討論者の表情はもちろんのこと、会議の合間にサンドイッチを食べている所まで皆の目にさらされるのだそうだ。
 壇上にあがった関電の社員の中には若い人もいる。あるときは統計的にだいじょうぶだと言い、言葉を返すと統計だから例外はあるとすり抜ける。
 北東大西洋海洋保全に関するオスパー条約の委員会が、関電が委託している英仏再処理工場の閉鎖を決議したことに対して、強制力はないと言ってのけた。
 そんな技術担当者の答弁を聞いて、この春に見た「アイヒマン」という記録映画を思い出した。
 ユダヤ人強制収容所の責任者だったアイヒマンは、収容されていたユダヤ人の追求に対して、自分はただ専門家だっただけだを繰り返し述べる。実務的にノートを確認しながら、自分は義務を遂行しただけだと答えていた。 公開討論会とは名前だけ、市民の側からの追及に何も答えず、「燃料に不備があっただけで、市民に影響があったわけではない。」と平然と答える関電の担当者に同じ表情を見た思いがした。
 グリーン・アクションのアイリーンさんが、関電がBNFLスキャンダルのさなかに軍事企業の色彩の濃いコジェマ社にMOX燃料を注文したことを追及し、データの開示を要求した。関電は、企業秘密を盾に公開をしないと言っていたが、会場での多く人の追及で関電は、公開することを検討すると約束した。
 そもそも1998年に地元の事前了解前に燃料加工を発注したことからして、なぜ電力会社がそんなにプルサーマルを急ぐのか不思議に思っていた。プルサーマルの影に透けて見える核の姿が、いままでの態度を崩そうとはしない関電の向こうに見えた。
 今回の討論会のような催しが多くの人々に知られ、皆が議論に参加していって欲しい。もし、再処理をする必要がなくなったら、イギリスやフランスの子どもたちをこれ以上白血病で苦しめることや、六ヶ所村の人々の危険、そして高レベル廃棄物を増やすこともなくせる。輸送の際に海路にあたる国々を危険にさらすこともなくなるのだ。そのための第一歩として、プルサーマルを止めていきたい。