■□■□■□■□■□■□■□■ 若狭ネット第59号(2000/8/26) ■□■□■□■□■□■□
公開討論会での関西電力の発言(抜粋)
今回の公開討論会へは、市民側が経営責任者の出席を強く求めたにも関わらず、関西電力側からは、社長以下取締役クラスはだれも出席せず、原子力事業本部から技術責任者が出席しました。以下は、その発言の抜粋です。発言者の括弧内の「山手」は原子力事業本部燃料技術グループチーフマネージャーの山手浩一氏、「安積」は原子力事業本部燃料技術グループマネージャーの安積聡氏です。彼ら二人が関電側代表として主に回答しました。
関電による冒頭の説明
(山手)BNFLのMOXのデータ問題につきましては、皆様に非常にご心配あるいはご迷惑をおかけしまして、心より深くお詫び申し上げます。本問題の発生に関しては我々の調査が少し不十分であったということを深く反省し、改めてお詫び申し上げますとともに、社会の信頼を裏切ってしまったということは非常に重く受けとめております。
(山手)それから資格審査の段階で、今回も一応ISOの認証を取っているということで、不正ということはそこまで想像できていませんでした。そういうことで品質管理の実態がどうなっているかということを事前によく見て人の教育・訓練も含めてきっちり訓練されているかと、ある程度きめ細かく見てそういうことがないということの審査をすべきであったと考えている。そういう意味では製造中の段階で監査をすべきであった、これは一部で言われておったんですが、実態をよく見ると、不正がないかという目である意味では疑って見るということも必要であったという反省点がある。
(山手)我々がBNFLを通じてもらっていたデータを通産省に報告しなかったということで、厳重注意を受けて厳しい叱りを受けた。この辺についても速やかに連絡するというふうな対応体制を取っていかなければならないという反省点と、再発防止の課題だというふうに考えている。
MOXデータ不正について
(山手)統計的調査が不十分であった点では、おっしゃるとおり。ただ、当時はペレットの測定値が統計的に処理できる形ではないと思い込んでいた。
不正を行った人がいたかどうかに比重を置いたのが反省点だ。
不正があれば使わないのが品質管理の当然の考え。測られておれば純技術的には安全は保たれている。不安という点では反省すべき。不安をかけ心配をかけた点にについてはおわびする。
(山手)使えないものは安全上問題がある。ただ、そのこと自体がすぐ環境に影響するのではない。
ベズナウ原発放射線漏れ隠しの自己責任問題
(山手)我々自身も反省していて、「品質を絞り込む工程」がなかったと、反省している。
グラインダーの一部の指導は三菱重工を通じてやっていた。不正が起こるという観点での発想はなっかた。確かに自動化は遅れている。
工程そのものの安定性をきっちりフォローすべきだった。その中にちゃんと入ったものを作るであろうと考えていた。
加工を理解の前に始めたのは、プルサーマルをやるべしという目標としてスケジュールがあったので。早くつくったからといって地元了解なしに装荷はしない、いまでもそうだが。
工程に余裕をもって、きっちりしたものを作りたかった。地元の了解はなかったが、そういう意味での「自己責任」ということで加工を始めた。
データがおかしいと不安を与えた点は反省すべきだし、社会的信頼を失ったと大きな責任を感じている。
(山手)今回不正を軽視して見つかったが、不正でいい加減なものができるとわかってた上でものを進めたのではない。自己責任で、いい加減なものでいいんだというのではない。確かに品質のつくり込み、工程の管理の点で若干弱い点があったことは認めている。
自己責任は、いい加減なものができることを前提にして作らせたということではない。そこは誤解ないように願いたい。
(山手)ペレットがきれいなヒストグラム、分布になっていない、工程にバラツキがあったことはメーカーも含め認識していた。
ただ、スペックをはずれたものがドンドンできてくるのではない。仕様値の中に入ったもので安全に使えるという考え方である。
(山手)スイスの件については、我々武生で皆さんと討論させていただいた時には、BNFLを通じて、非公開で、スイスの顧客との問題なんで、関西電力の方から外へ出すというのはやめてくれということで聞いていた。
ただし、実際にはいろいろな工程の問題があってそれらについては改善したというふうに聞いている。
武生の討論会の時には皆さんから事故は起こるかという質問があったが、MOXだからといって特異なものが起こってくるというのではないという主旨で説明した。だからベズナウの燃料のリークもそういう考え方の中に入ってくると考えている。
言わなかった点は否定しないが、この手のデータについては約束というのがある。わかっている方はわかっていると思いますが、外に出さないというものをボンボンボンボン出していくということですと、社会的な信頼、逆のある意味での我々の中での信頼を失いまして、今後貴重なデータがドンドン入ってこなくなるので、この点については申し訳ありませんがご理解をいただきたい。
(山手)ぼくらデータを見ているし、検査そのものにも立ち会っている。不正がない状態かとか、検査員がしっかりした状態かとか、管理がされているかと、そういう点での視点が抜けていた。あるいは、今から反省すれば不正が起こりうるという前提でチェックするという所まで思いが至っていなかったという点はおっしゃるとおり。
統計データと製造工程について
(安積)統計の話から説明する。そういう仮説はある意味で正しい。統計の話だから必ずしもそうでないということも何%ある。過失がある程度可能性として高いのもその当時からわかっていた。
平均値が違うのは全数測定の場所は温度が高い、ミクロン単位で測っている。数ミクロンの話は成立しうると思っている。
ランダムサンプリングが悪いというが、ランダムサンプリングが必ずそうなるというのではない。
可能性としてはわかるけれど、そうじゃないと判断した。
統計とはかならずそうなるとは言えない。
だから調査不足であった。
(山手)統計の議論で専門の先生に立ち向かおうとしたのが、多少議論があるかも知れませんが。
ただ、彼が言っているのは正直でして、測ったものが不正かどうかいうのは統計議論だけでは整理がつかない面がある。
品質の話とものの話を切り替えたいと思うが、品質が確保されていないものを使っちゃいかんのおっしゃるとおりだが、使わないと即危ないもの恐いものというふうに聞こえる。
(山手)だから使えませんと言っている。スペックの10倍の寸法の差があってもすぐにそのものが……
ペレット外径測定と製造工程の問題
(安積)全数は±2mmのところを測っていますが、こちらの抜き取りは±3.5mmになりますが。これだと誇張され過ぎるんで、これだと3倍くらいにふくらませていると思うが、1.5倍くらい。
(安積)もともとの仮説で、植木鉢型になるところで我々はひっかかってしまう。BNFLは25ミクロンの幅を超えたものが出てくれば、検査で引っかけることは確かですし、仮定されているようなそういうところの分布、BNFLがちゃんと測っていれば、そういうのが増えていたというところについては承服しかねますね。
(山手)もともと、我々はいろんな形が当然マクロにミクロに見るわけです。細かく見ればいろんな形はしていますよ。所詮は数ミクロンの間にに入ってますよと。我々が示しているグラフは、植木鉢のようなものもあれば引っ込んでいるものとか、トータルに見てこれですよと言っているんですから、みなさんおっしゃってるのはこんなのばっかし前提でおっしゃってるのはおかしいと思います。
(安積)乾式と湿式でペレットのできが違うという話から入っていますが、それは削るときにセンターレスグラインダーというのを使うが、世界中で使っているんで、確立された技術です。
乾式、湿式と言われたら定性的には湿式の方がやさしいのかなと認めますが、乾式だからといってミクロンのオーダーを削るというのは世界中の機械どれでもとは言いませんが、普通の燃料工場の、量産型燃料工場で使われているものなら、この精度は十分出るもんです。
我々BNFLさんの出来が悪いというのを抑えようというつもりは、全くなくって、確かに今から思うと、他社さんよりはというか、他のメーカーよりも、工程の作り込みが劣っていたとは、今では認めます。
BNFLとの契約の問題
(山手)補償の話、おっしゃるとおりで64億円の中の44億円が燃料を加工・輸送したことによる被害。
指名停止で土俵の上に乗せないと言っていたが、制裁措置的なものは、彼らも返送について真摯に取り組んだ、補償の内容も真摯だというので、土俵に乗せないと、門前払いだというのは取引上もう許してやろうということだ。
ただ、実際に契約をすぐにするかというと、BNFLの組織、品質安全の考え方がきっちりしたものでないと発注しませんというのが実態。加工はBNFLの態度を見て、彼らの工場が動き、品質管理が問題なく、もっと言えば我々の契約上のコスト等のメリットがあれば、チャンスは残していこうという内容にはなっている。
ただし箸にも棒にも掛からなければお金でもらうことになっているし、そのための金利もカウントできるようになっている。
(今は)厳しい条件を作っている。
(山手)(NIIからBNFLについていろいろ改善点をあげられているが)NIIについては進捗しているし、いろんな要件が整わないと契約しない。契約するときには我々の方から要求をつけて、それを満足しないとという常識的な条件だと思っている。
(山手)(MOXの新工場SMPについては白紙かの問いに)その通りです。
COGEMAとの契約について
(山手)現在メロックスで作っている。現在我々も監査している。むこうの第3者機関にも監査してもらっている。
データ測定機器、自動化はきっちりできた工場だと思っている。破棄という必要はない。
当社の体制は反省している。元請けの原子燃料工業にきっちり監査するとか、我々自身も監査している。
第3者機関に確認を受けている。
我々自身が監査し、メーカー長期派遣、きめ細かに現場を見るなどやっている。それを第3者機関に見てもらっている。
MDFとちがってこれまで800体以上を安定して、商業レベルの工場。メロックスではMDFの品質管理の問題は全て克服されている。それは我々自身も確認している。
当社は(COGEMAに対して監査を)行っていないが、原子燃料工業は行っていた。
(山手)(COGEMAの情報公開については)現在加工中なので、加工した段階でデータをどう整理するか、どう公表するかを検討する。
COGEMAと交渉する過程で、生データだけではなくて、ヒストグラム等で見れば満足するという考え方だと思う。
加工中でデータを収集中で、皆さんに公開の仕方その時期については、実際公開をどこまでできるかについては整理していきたい。
データはCOGEMA側、メーカー側の所有権があるが、我々が公開するとは・・
少なくとも我々はデータに関しては明瞭になっている。
データそのものは工場のノウハウが入って来るので、申し訳ないが、我々自身も彼らに強制することはできない。
(山手)(情報公開について)我々も議論している。一方的に出すということはできない。
(山手)(COGEMAの情報公開について)データの公開は加工の状況を見極めて、あるいはCOGEMAとの交渉をいろいろ致しまして、できるだけ公開する方向でCOGEMAとも交渉して検討していきたいというふうに考えております。
(山手)(情報公開について)データについてはやみくもにと私が勝手に決めているんじゃない。いろいろ意見があったので・・・・COGEMAと交渉していきたい。
(庄野)COGEMAと情報公開を進めるという前提で交渉をするということでよろしいでしょうか。
(山手)公開するかどうかは、先ほどと同じ繰り返しになりますが、我々としては努力はしていきたいと考えます。
BNFLは不正をしたというので公開した。COGEMAはきっちりつくっているからBNFLのようには行かないと聞いている。おっしゃるとおりいろんな意見があったので、今加工している分についてはCOGEMAと話をしていきたいと思う。
|