敦賀3.4号炉の増設計画を許すな
プルサーマル計画を撤回させよう!
2000年もあと50日を残すのみとなりました。脱原発への道を20世紀中にさし示すことは、残念ながら日本ではできそうにありません。しかし、21世紀に入るにあたり、希望の光を指し示したいものですね。
世界を見ると、脱原発の流れは、台湾にも及びはじめています。「第四原発2基の建設を中止する」と、台湾政府が発表しました。台湾の首相は、「原発建設中止の決定は、今はすべての人を満足させるとは言えないが、我々の子孫には台湾のために勇敢に選択をしたと言えると信じている」と、発表しています。このような英断に惜しみない拍手を贈りたいと思います。
ひるがえって、日本の場合を見直しますと、あいもかわらず、原発推進をうたい、「もんじゅ」の運転再開すら目指しています。
10月31日には、山口県上関原発をめぐる第一次公開ヒアリングが強行されました。この日は、午前7時半から約800人が抗議行動をおこし、「地元無視の公開ヒアリング反対」を訴え、会場前で座り込みました。「公開ヒアリング」は、民主的な手続きをとるかのように見せていますが、原発建設を前提とした結論の変わらない儀式であり、「原発推進のレールの上を突っ走ります」という意思表明の場にほかなりません。上関で計画をしている原発の型は、皮肉なことに、台湾で中止になった原発と同型です。上関では出力137.3万kWの改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)2基が計画されていますが、台湾では135万kWのABWRが2基建設中だったのです。
原発銀座の福井を見てみますと、またぞろ敦賀3・4号炉の増設のうごき、そして、ナトリウム火災事故を起こした「もんじゅ」運転再開の動きと、あわただしくなってきています。関電のプルサーマルの計画を断念させる運動とともに、これらへの取り組みを強めねばなりません。
敦賀3・4号増設をめぐっては、今年2月に日本原電から福井県と敦賀市に増設計画の事前了解願いが出されました。日本原電は敦賀3・4号増設をめざし、福井県内各地でミニ説明会を開いて回っています。JCO事故等で原子力推進に逆風が吹き、電力自由化の中で原発建設が困難になる中、日本原電は生き残りをかけた闘いを展開しているようです。
敦賀3・4号増設反対で福井県に申し入れを!
これを受けて、福井県は9月に「福井県内の原子力発電所における安全対策・地域振興などの状況と課題の評価」という報告書をまとめ、県議会へ提出し、増設計画をめぐる議論を行うよう依頼しました。
その報告書は、意外なことに、原発15基を誘致した県内電源地域では、「道路の延長、道路の舗装、医療施設、文化施設などで不十分であり、原発によって地域振興ができていないこと、企業の誘致もなく、地元産業の育成もままならず、地元で働くなど全く不十分であった」ことを率直に認めています。さらに、原子力事故が起こるたびに、電源地域の観光産業が深刻な打撃を受けていることが明らかとなり、観光客も減ってきたことを具体的に認めています。「原発が来て良かったことなどなかった」というのが、率直な評価なのです。ところが、不思議なことに、「だから、もう、原発をやめよう」という話にはならないのです。
栗田県知事は、「消費地は生産地の痛み」を受け止めてほしいと言う一方、国に対しては「釣った魚には餌をやらない行政では困る」と、「もっと餌をください」とあさましくおねだりしているのです。こんなことを繰り返していては、「生産地の痛み」が増幅することはあれ、決して癒されはしません。このことを肝に銘じてほしいと思います。
若狭ネットは11月16日に県知事と県議会へ公開質問状を提出し、申し入れを行います。県内外から一緒に参加してください。
もんじゅ再開への急な動きを阻止しよう
死に体の「もんじゅ」を生き返らせる策謀がまたぞろ動き始めました。福井県知事が高速増殖炉実用化の見通しと「もんじゅ」の位置づけを明確にするよう求めているため、科技庁は、3年前に演じた高速増殖炉懇談会報告書の大幅書き換え(原案にはなかった実証炉計画ごと現行長計を復活させた)を今度は原子力長計案で行い、12月福井県議会に間に合わせるため、11月末〜12月初めの繰り上げ策定をめざそうとしています。省庁再編で文部省へ吸収される前に、科技庁の威信をかけて「もんじゅ」を生き返らせようとしているのです。核燃料サイクル開発機構(旧動燃)は、「もんじゅ」の早期再開を期して、福井県内各地をこまめに「お願い」して回っているようです。核燃機構も生き残りをかけた、せっぱ詰まった状態なのです。長計策定会議への監視を強める必要があります。
プルサーマル白紙計画に向け、MOX燃料加工新契約と再処理追加契約を阻止しよう!
反原子力デーの10月26日、私たちは例年通り全国一斉行動の一環として今年も関西電力本社へ申し入れを行い、プルサーマル計画の白紙撤回を強く求めました。
原子力長計案では高速増殖炉の実用化計画が遠のいた分だけ、「もんじゅ」だけでなくプルサーマルも、再処理も、その位置づけが一層曖昧になっています。核燃料サイクル政策の要の部分が破綻しているにもかかわらず、既定路線だけが進められようとしているのです。このような危険極まりない巨額の浪費を断じて許すことはできません。原発・核燃料サイクル政策の根本的転換が必要です。
英BNFLの新MOX燃料加工工場SMPは来年2月頃までに日本の電力会社からMOX燃料加工の新契約をとれなければ、操業を開始することなく閉鎖に追い込まれます。また、仏の海外顧客用再処理工場UP3も、今のベースロード契約が終われば仏国内だけの需要では採算がとれず閉鎖に追い込まれます。六ヶ所再処理工場の運転員訓練を口実とした再処理追加委託はその延命策なのです。
日本のMOX燃料加工新契約と再処理追加委託を何としても阻止したいものです。また、再処理遅延を見越した使用済核燃料中間貯蔵施設立地計画も今年度末を目途に進められており、これを阻止することも必要です。
それには、関西電力本社に粘り強く圧力をかけ続ける以外にありません。若狭ネットは引き続き、
11月28日に関電への申し入れ行動を行います。一人でも多くの方が参加されるよう呼びかけます。
(日程が変更されましたので、「集会・催し」の欄をご参照下さい)
福井県と関西電力に向けたそれぞれの行動に、あなたもぜひ参加してください。福井県内新聞折込のための1口500円の新聞折込基金へのご協力もお願いします。原子力推進への逆風を脱原発への順風に変え、皆さん一人一人の小さな支えが大きなうねりになるよう私たちも力一杯頑張ります。
これから寒くなりますが、反原発の熱い思いを大きく燃やすよう、共に頑張りましょう。
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「年次別、市町村別、事業所数、従業員数、製造品出荷額等の推移」(福井県統計)に見る原発誘致前と現在の電源地域とそれ以外の比較
原発誘致前(1965年)と比べた1998年の製造品出荷額の伸びは、原発立地市の敦賀市では5.7倍に留まっていますが、周辺の武生市や鯖江市では24倍と15倍と高い伸び。原発立地町である美浜町、高浜町、大飯町でも、11倍、19倍、4.5倍に対し、周辺の三方町、上中町、名田庄村では、100倍、70倍、68倍と大きく伸びています。原発の誘致が地場産業の育成につながらず、むしろ原発に頼らなかった地域で地場産業が真剣に育成された結果と言えるのではないでしょうか。
(別の記事「原発で地域振興は幻想」もぜひ読んでください。)
製造品出荷額の原発誘致前と現在の比較
市 名 |
1965年 |
1998年 |
1998年/1965年比 |
備 考 |
敦賀市
武生市
鯖江市
|
232.7億円
166.2億円
154.4億円
|
1334.8億円
3978.3億円
2252.0億円
|
5.7倍
24 倍
15 倍
|
原発立地市
|
市 名 |
1965年 |
1998年 |
1998年/1965年比 |
備 考 |
美浜町
高浜町
大飯町
三方町
上中町
名田庄村
|
4.2億円
5.4億円
2.8億円
2.1億円
3.7億円
0.2億円
|
45.0億円
104.7億円
12.5億円
213.3億円
259.2億円
13.5億円
|
11 倍
19 倍
4.5倍
100 倍
70 倍
68 倍
|
原発立地町
原発立地町
原発立地町
|
注:武生市と鯖江市は敦賀市と同規模。三方町、上中町、名田庄村は、原発立地町周辺自治体です。
「美浜町の原子力」(美浜町の税収状況)
年度 |
町税総額 |
町民税(関電分) |
固定資産税(関電分、%) |
1996年度
1997年度
1998年度
|
25.9億円
30.6億円
32.9億円
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8.6億円(2.3億円)
8.9億円(2.4億円)
7.8億円(1.8億円)
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16.4億円(12.7億円、77.4%)
20.6億円(16.9億円、82.0%)
24.0億円(19.8億円、82.5%)
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☆★☆★☆★☆★☆★ 編集後記 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
11月2日、関西電力の小松課長から電話がありました。9月4日付けの公開質問書の文書回答は、今のところ全く見通しが立たないことをわざわざ返答してきました。2ヶ月もたっているのに、回答できないとは、どういうことなのでしょうかね。関電は、また以前と同じように私たちに対しては、のらりくらりとした姿勢で対応する事にしたのでしょうかね。やはり関電の体質はどうしようもないところまできているんですね。
若狭ネットもホームページ http://www4.ocn.ne.jp/~wakasant/ を開設しました。ぜひご覧下さい。また、電子メールも使えるようになりました。 きよ子
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