10.26反原子力デー関電本社申し入れ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
コジェマへの再処理追加委託中止、BNFLとの新契約断念を迫り
 
プルサーマル公開討論会の継続的開催を要求
 
 10月26日に反原子力デー対関電行動を行いました。4時半から2時間、関西電力本社で、さまざまな要求を突きつけ、追及しました。
 まず最初に、若狭ネット、原発の危険性を考える宝塚の会、チェルノブイリ救援関西がそれぞれ申入書をじっくり読み上げ、BNFLによるMOX燃料データ改ざんに係る関電の責任を追及し、プルサーマル計画の白紙撤回、再処理契約破棄・追加契約中止、全原発の運転停止等を要求しました。
 関電からは小松マネージャ(課長)と山崎マネージャーの二人が対応し、いつもの大森マネージャーは「出張中で留守」でした。小松氏はこれらの申し入れに対し、「申入書として預からせていただきます」とだけ答えました。この全く官僚的な応対に、参加者は憤慨し、関電の長年にわたる不誠実で横柄な応対を思い出し、厳しく追及を開始しました。
 
コジェマへの再処理追加委託の話は「知らない」
 
 私たちが追及し始めると、関電の方から申入書を指して「再処理委託計画?これはどの計画?日本原燃から出てた話でしょうか?」と、切り出しました。私たちが「新聞で報道された電力十社のコジェマへの再処理委託追加計画のことだ」と言うと、関電は「日本原燃が、計画があるやにという文面(記事)だ」、「使用済燃料自体は電力各社の持ち物だが、いずれにしろ具体性のない話で、私らも知るところではない」、「何もないというのが事実だ」、「(日本原燃が建設中の六ヶ所再処理工場の)運転員の訓練のため、こちらやあちらでやる手だてもあるんだろうと思う」と他人事のような素振りでした。「関電として承認しているのでは」と畳みかけると、「電事連と申しましょうか、日本原燃と申しましょうか、電事連からはそういう風に聞いている」と、はぐらかすような回答。
 そして、「コジェマで再処理を日本原燃が勝手にやることはない」、「(使用済核燃料の再処理は)協議の対象であり、関電には拒否権はある」とし、「具体的な計画はないというのが電事連の統一見解だ」と言い張りました。そこで、「(情報を)リークされても関電としては構わないのか、困っているのか」と聞くと「おっしゃる意味がわからない」と、とぼけました。
 「国内再処理工場で再処理するというのが大きな方向性だ」と関電が答えたので、私たちは「追加委託によって作業員が熟練することを考えているのでは」と問いただすと、「熟練のために決まれば、そういうこともあり得るんじゃないですか」と、またまた他人事のようにごまかす小松マネージャー。
 「2005年に予定される六ヶ所再処理工場の稼働前に準備はしない計画か」とさらに追及すると、「2002年か2003年には試運転に入るはずです。しかし具体的には何も決まってないと聞いている」と逃げる一方。
 「核不拡散にもかかわるプルトニウムの問題について関電がわからないというのはおかしい」と追及すると「試運転は水を流すところから始まるから」と唐突な返答。
 「日本原燃がやっているからとやかく言えない」、「核不拡散については難しいんで勉強させてもらいます」などと、全く無責任な姿勢で、プルトニウムを扱うことの重大性をわきまえない姿勢をあらわにした返答が続きました。
 新聞報道されたことに関しては「電事連を通じて『日本原燃にそういう事実はあるんですか』という確認をしてもらったところ、『今のところそういうことを決めたことはない』との回答だった」とのことで、「(報道は)ウソかもしれないし、本当かも知れない」と無責任な回答に終始しました。そこで、「『六ヶ所再処理工場操業のため、熟練のため、追加委託が必要だ』と言われたら承認するか」と問うと、小松氏はしばらく考え、「そこはこれからの話でしょ」と煮え切らない態度。しかし、「再処理のプランは当初の計画からかなり遅れている。いろんなものをクリアーしていかなければならない。それなりの品質を確保していく手順を踏んでいかなくてはいけない」と答え、運転員訓練のための再処理追加委託の余地を残しました。
 この再処理追加委託の方針は、欧州で脱再処理への転換が進む中、仏再処理事業と連携して、あくまで強引に六ヶ所再処理工場の操業開始を狙う危険な動きです。また、海外再処理委託の再開に道を開き、六ヶ所再処理工場の遅れに備えるものとも言え、「海外再処理をやめる」方針を明記した原子力長期計画案のなし崩し的な改変でもあります。それは、高価につく六ヶ所再処理工場との併用により再処理費の上昇を抑えたいとの、電力会社の意向を反映しているのかもしれません。
 
核廃棄物は「手に乗せられない」
 
 再処理問題に続いて、「核廃棄物の量は一般ゴミに比べて少ない」と関電らが言い張っていることを批判し始めると、関電側はすかさず「手の平にはよう乗せません」と尻込みしました。実は、23日の放射性廃棄物シンポジウム(神戸)で若狭ネットの久保さんが「1gの核廃棄物を手に乗せられるか」とパネリストに鋭く迫り、パネリストが返答に窮したことを念頭に置いてのリアクションなのです。
その結果、核廃棄物の危険性という質の問題を量の大小の問題にすり替える原発推進派パネリストの試みは失敗したのです。ところが、関電は交渉の場で、「手のひらには乗せられない」と言いながら、そんな危険なものを生み出していること自体への反省の弁を一切唱えず、「地層処分が一番良い」などと無責任な暴言を性懲りもなくくり返したのでした。
 
BNFL社長からは「改善」の話だけ?
 
 プルサーマルについては、高浜原発での実施計画やBNFLのSMPとのMOX加工新契約は「白紙です」と答える一方、プルサーマルをやる意志は「ございます」とも明言しました。10月2日に来社したBNFL社長が「その後関電を再訪して新契約の話をしたのではないか」と問いただすと、「その後関電に来たという話については聞いていない。社長さんは。」と答え、社長以外の再訪には含みを持たせました。また、10月2日のBNFL社長訪問では「MOX燃料工場の改善状況の報告があった。再処理新契約の話は出ていない」と答えました。改善状況の話は、今後商業利用しないことになったMDFの方の話で、新契約が問われているSMPの話ではないという奇妙な説明でした。「設備はSMPとMDFではバラバラだが、人の話は共通事項だから」との苦しい言い訳。MOX燃料加工で今後に向けた「改善」と言えばSMPでの改善しかあり得ません。これは矛盾ではないかと突っ込むと「いやいや。そこはもう一回勉強してみますわ」とゴマ化しました。
 また、「関電はSMPなどでMOX燃料の新しい評価はやっているか」と聞くと、「英国が出した改善項目や当社が最終報告で出した項目についての進捗状況の報告を受けている」との答え。「関電がBNFLで行うための改善として聞いているわけではない。むこう(BNFL)が自分とこの対策としてこうだと言っているだけの話で、それを聞いたということ」と、少し距離を置くポーズです。
 「プルサーマルを計画通りにやろうとしたら、どこかでMOXをつくらなければならない」と畳みかけると、「計画は白紙だ」と突然言い出し、みんなあっけにとられました。さらに、「プルサーマルはやりますが、実施計画は白紙だ。計画はない。計画は何もございません」と、まくしたてる始末。「無期延期もあり得るか」との問いには「ううん。それも白紙です」と苦しそうな答弁。「イギリスを排除した形でのMOX燃料加工はあり得ると判断しているのか」と聞くと、「日本で作れということですか」と混ぜ返す始末。最後には「向こうさんあっての話ですから」とわからない答弁。「(関電は)ここがダメだったらという議論はしていない。どこができるかという議論をしている」とも述べました。
 「プルサーマルは使用済燃料運び出しの口実作りのためか」と突いていくと、最後には弱音を吐き、「いろいろ悩んでますよ。私らも考えているつもりなんですけどね。そんなね、原子力しかないとか・・・」などと意外な本音?がポロリ。
 一方では、再処理中止、原発停止の要求に対しては背筋を伸ばして見せて、「国策です」と言ったり、「オフィシャルな見解としてはリサイクル。資源の有効利用」と強弁したり。最近の欧州での原子力政策の後退には口をつぐんだまま、強気と弱気の入り交じった、振れの激しい珍しい関電でした。
 
8月3日のウソつき是認は、一転、認めない?
 
 8月3日の公開討論会で、ベズナウ原発でのMOX事故を1998年の武生市での公開討論会で隠していたと認めたのに、その後の若狭ネットへの文書回答でベズナウでの事故について「説明しなかった」だけだと後退したことについて、問い詰めました。
 「8月3日に山手が言ったとおりでベズナウの事故は内々には聞いていた」、「山手はMOX燃料固有の問題ではないと言っていたと思う。燃料を入れた燃料棒の端栓の溶接の問題と聞いている」、「3日の討論会の通りだ」と、文書回答での後退を認めません。「(ウソを言ったんじゃなくて)説明しなかったんです」、「(両回答に)不一致はないと思う」と強気の姿勢を見せようとしました。「(公開して)言うべきかどうかは別だ」、「言うべきとは思っていません」など、開き直った傲慢な態度さえ露わにしました。
 そこで、総掛かりで関電を問い詰め、真意を問いただした結果、「大森マネージャーが書いた文書なので、きっと山手に話を聞いてるでしょうから確認します」との返事でした。
 
文書回答・公開討論会を要求
 
 9月4日付再質問状への文書回答が未だに出されていない件については、「2ヶ月近くたっているが、この日の前から回答を作っておくべきじゃないか」と詰め寄ると、関電は「なかなか一朝一夕に行かない会社なんです」、「こちらの方でお出しできる形で集まってないんで(出せない)」と弱い素振りを見せました。「関電の広報として市民のために頑張れ」と何度も何度も追及し、最後に「回答できるかどうかを含めて後日連絡させて頂きます」との回答をやっと引き出し、11月2日までに連絡すると合意し交渉を終えました。
 約束の11月2日には関電から若狭ネットに電話が入りましたが、「文書で回答するか、口頭で回答するか、あるいは回答しないか、そのどれにするか関電として決めていない」との迷答。8月にウソつきを認め、再質問状提出から2ヶ月もたっているのに、全くふざけた態度です。
 逃げ回る関電をみんなで追い詰めましょう。関電の逃亡は、プルサーマルでの手痛いつまづきが関電を追い詰めている証左でもあります。継続は力なり。みんなで関電を、厳しく、粘り強く、追及し続け、公開質問状への文書回答と公開討論会の継続的開催をかちとりましょう。