<県交渉議事録>
来馬課長による最初の説明は小さな声のため、録音不十分で再現困難でした。メモ等によるその要旨は以下の通り:
「もんじゅ」については議論する段階ではないとしてきた。年内に新長期計画を策定する予定と聞いている。10月23日に知事が上京し、国民から出された意見を反映してほしい、「もんじゅ」の位置づけを明確にしてほしいと要請した。要請に対する国の対応を見ながら議論する段階に入った。そういう時期に来ている。現行の長計は使用済核燃料対策が不十分であり、原子力政策について国民的合意をすべき。長計は現実と乖離している。ビジョンと現実が離れており、長い目で見ると問題が出てくる。FBRをどうとらえるかについては、FBR懇談会や動燃改革検討委員会や第3分科会で議論されてきた。ナトリウム技術を明確にするという、「もんじゅ」の位置付けは、わりとはっきりしてきた。
敦賀3・4号増設については、県議会では平成5年12月に促進決議をしているが、県としては白紙、調査についても判断しないという立場だ。2月末の事前了解願いは議論するために受けた。議論の入り口に入った段階だ。最終的な議論の集約というのは来年の秋以降になる。そのために報告書をまとめた。今は方法書の段階であり、影響評価書が作成中であり、今後議論が出てくる。
質問:「もんじゅ」については、これまで議論できる段階にないということできていて、この間の記者会見では長計の方で12月の県議会前後で事前了解願いを出してもらってとか言われているが、県としては国民的合意は理解できる段階に至ったと言うことですか。一歩進んで議論できる段階になったという理解になってるんですか。
県:なぜ長計、長計といってきたかということになるんですが・・・(小声で聞き取れず)
質問:第3分科会で議論されて長計案が出ている。それを受けて、栗田知事が上京して、「もんじゅ」の位置づけを明確にしてほしいと要請した。その「もんじゅ」の位置づけの曖昧さが今度の反映版でどのように明確になったのか?
県:反映版はまだまだ作成途上ですからね。
質問:ただ、20日にもう確定するような話が出ていますよね。
県:20日には、8日のさらに修正版が出ると思いますけどね。
質問:根本的に大きくは変わらないと思いますよね、たぶん。
県:今いったような趣旨で言えば変わらないでしょうね。
質問:「もんじゅ」の位置付けがわりとはっきりしてきたとおっしゃいましたよね。
県:わりとはっきりしてきたというのは、FBR懇談会でも同じような結論が出ていると言われればそうなんでしょうけれども、第3分科会でもいろいろな議論があったと思いますけどもね。
質問:FBR懇談会での結論というのは、実用化を2030年を目途にするというのが明記してあり、それに向けて電力会社が実証炉計画を着実に進めているという一文も入っていたんですね。そこでの「もんじゅ」の位置づけは、FBRの実用化に向けての位置づけだった。それが現行長計にも書かれている。そういうことが一切書かれていないのが、現在の長計案ですよね。
県:そうですね。
質問:その案の状態で「もんじゅ」の位置づけが曖昧だというのは、一般的に見れば、FBRの開発の中で「もんじゅ」がどういう位置づけになるのか、すなわち、その延長上で実証炉があるのか、実用化があるのか、それが曖昧だという意味だと思われる。そうではないのか?「もんじゅ」を動かしても、FBRの将来と全く関係がなくてもいいんだ、ナトリウム技術を開発したら、技術者が満足したらいいんだと、そういう問題なんですか?
県:いろいろな修正も書かれていると思うんですけれども、要するに、高速増殖炉の実用化というのは、2030年実用化という具体的な形の技術的な見通しがあるかと言われれば、ないんだというのがこれまでの議論で明確になっている。ただ、フランスとかを含めて積み上げられてきて、そういう評価の中では最も確からしいものとしてはナトリウム冷却炉であるということで来ている。もちろん、その延長上に実用化があるかどうかということではなくて、将来の技術を評価する上でも、いずれにしろ、高速増殖炉を将来見通し、技術的な選択肢の中の一つとして残していくということで、価値があるということでやろうとしているわけです。「もんじゅ」という今あるタイプの、ナトリウム冷却型の今のあのタイプが本当に実証炉のタイプになるのかどうかという答えは、今は出せないと言うのが現状かと思う。じゃあ、他の技術がいいのかどうかについては、技術的評価をしていくということも書いてあるわけですね。15年くらいかけながらもう一度検討しようというのが、今の立場だ。
じゃあ、「もんじゅ」は何なんだ、何の意味があるんだといういろんな議論があったと思うんですが、そういう意味で言うと、いずれにせよ実用化に向けたいろんな調査・研究をするという一方で、いろんな調査研究をやっているわけですけども、そういった技術評価を支える上でも、今のナトリウム冷却型の高速増殖炉技術をきちっと我が国がフランスみたいに持たないと実用化も難しいじゃないかというのがある。だから、「もんじゅ」の役割というのは、一つは今最も確からしい、現実的にあり得るナトリウム冷却の高速増殖炉開発を進めて、その延長線上にあるかないかは別として、しかし、それは、今のところ技術的選択としてはそれが今まであったわけだから、その集大成というわけではないけれども、「もんじゅ」をきちんと動かす。そのことによって一つの大きな経験を積み上げていくということが、もう一方でやろうとしている実用化の調査・研究の支えに十分なりうる。そういうことによって2015年か2020年か、その先に実用化の選択肢を残していく、というふうに我々は今回の長計がまとまりつつあると考えている。そういう意味においては、はっきりしてきたのではないかと思っている。
質問:今の反映版と前の案はほとんど変わっていない。知事は前の案では曖昧だとして上京して位置付けを明確にしてほしいと要請し、それを受けて、さらに国民から千通以上の「ご意見」を受けて反映版が出てきた。しかし、ほとんど変わっていない。「もんじゅ」の延長上に実証炉を考えるのか、実用化を考えるのかが一切なくて、「もんじゅ」は将来と必ずしも結びついていない。しかも、ナトリウム冷却技術の一つをやるだけにすぎない。これまで「もんじゅ」を引き受けてきたのは、実証炉、実用炉があって、明確に位置づけがあった、それがなくなった。その意味で、ナトリウム冷却炉が選択肢の一つだという位置づけでやるんであれば、「もんじゅ」をわざわざやらんでも、他の溶融塩炉とか、いろいろな再処理の仕方も含めて全部、そっちの方を研究すべきであるということになる。にもかかわらず、なぜ今、事故を起こした「もんじゅ」を今わざわざ動かさな、いかんのか。しかも、巨額の投資がいる。建ってしまったといっても、維持するために200億円とか、300億円とかいるわけですよね。そういうような予算をボンとつぎ込むよりは、エネルギー政策全体の中で言うならば、もっと安全な別なやつを増やした方がいいんじゃないかということを福井県の方から提言するぐらいのことが必要なんじゃないんですか。
県:それはちょっと話が違うと思いますけど。
県:8日に出まして、8日のバージョンのはそれほど変わっていない。実際上、あのとき、鈴木先生ももう少し書き加えたいということをおっしゃってて、5-2の最後の所が一つのポイントじゃないかということをおっしゃってたんで、5-2の中にこれだけが出てくるのは流れからするとおかしいところもありまして、最終的な案でここの表現を工夫されるんではないかと期待しているんですけど。「もんじゅ」の先に実用炉があるとは絶対言ってない。それは言えないというのが今の現状だ。
質問:なぜ言えないかというと、電力会社が金を出すのをやめたからだ。
県:それは、炉型としていろんな研究をして、経済性として軽水炉の延長というか、将来と同じくらいの経済性がないと電力会社としてメリットがないでしょうというか、実用化というのは難しいでしょうというのは事実です。
質問:「もんじゅ」を今動かしたとしても、20年、30年たっても、たぶん実証炉については経済性を判断できないと思いますよ。
県:そこは、だから、「もんじゅ」そのもののベースではなくて、「もんじゅ」を動かした一つの技術成果と、たとえば、溶融塩炉とかいろんなことがやられても、プラントとしてはまだできあがっていかないわけですよね。もし、やるとしても、もっと巨額のお金がかかるわけですから。そういうものとの比較の中で、たとえば、「もんじゅ」そのもので経済性があるかといえば、たぶん難しいと思うんですよね、設計上の観点から言うと。だから、そこを一つのベースにして、こいつをたとえば実用炉にした場合の経済性と比較してみる。その一つのベースとしての運転ということを考えてみるというのが、ここの表現かなと思っています。
質問:電力会社はすでに結論を出しているんですよ。実証炉には自分らは投資しないと。それが決まって初めてFBRの議論になっているわけですよ。切り離して、国の予算でやれるだけはやっておけと。電力会社は金と人は出さんよ、と。そういうようなシステムにせえというのが長計ですよ、今度の案は。それを栗田知事は、いやそれでは困る、実証炉との関係でちゃんと明確にしてくれということでしょう。
県:「もんじゅ」の先にこれとこれがこうあって、その流れとして「もんじゅ」の運転があるんだよという部分と、それが高速増殖炉懇談会を含めて、実用化というのはもっともっと先ですよと、言えないだろうということで、そのための技術開発はどんどんやるべきだというのが、実用化戦略調査みたいな。あれは電力も投資して、人を入れて研究開発している。ある意味では基礎研究的なところですけどね。
質問:そこから先の実証炉をやるということが決まってて、炉型もトップエントリー型ということも決まってて・・・
県:それは昔・・・
質問:昔というか、わざわざ炉型も変えてやっているわけですよ。「もんじゅ」の単なる延長上ではもうだめだと判断して。
県:あれは、あの時点でのあの当時の経済性ですよね、日本原電さんとしての・・・
質問:トップエントリーにしてもやっぱりだめだったと。ナトリウム冷却炉の延長上ではだめちゃうかという判断をしているわけですよ、すでに。
県:そこまでは判断しているかどうかは読み切れない。
質問:日本原電はすでに判断してますよ、あなた方のほうがよくご存じでしょう。
県:ふげんの問題も同じですけどね。実証炉をなぜやめたのかというのと。ただ、要するに、昔からその経済性の議論はあるわけですよね。ふげんのコストの問題とその次の実証炉のコストの問題と。それは、じゃあ、なぜあの新型転換炉を開発したんだという話ですよね。いわゆる中性子経済の見通しの話。それはやはり、ニーズがやっぱりどんどん薄れてきたと言うことと、コスト的な議論というのがある。「もんじゅ」も、たとえば、経済性の話をして今の段階で判断するとすれば同じ結論になるでしょうけども。ただ、実証炉そのものも、従来の現行長計までの考え方というのは、当然おっしゃるように、原型炉「もんじゅ」のコストがある、実証炉1号がある、2号がある、さらに実用炉がある。まあ、そういう形でコストダウンというか、その程度の、悪く言えば悠長なというか。経済性をズーッとやりながら、何とかやっていけばいいという感じで、電力も含めて合意というか、一定の見通しがあった。ところが、ふげんのように、要するに、そこまで投入して実用化2030年を目指すという意味合いと、果たしてそういう経済性というか、コストダウンという形で実証炉1号を作って、2号を作ってと、2ステップも踏まえながらやってようやく実用化できるという、そのステップではもうできないよ、というのが今の確かに電力側の大きな意向だろうと。だから、いきなり原型炉の次は、軽水炉と同じような経済性を持った実証炉ができるか言えば、どのタイプを持ってきてもそれはできないでしょう。ただ、問題はやはり、そのときの高速増殖炉の開発の大きな意味でのニーズがあるのかないのかという、将来見通しをどう、いわゆるウラン資源であれ何であれ、エネルギー資源問題の大きな、2020年になるのか、2015年になるのか、いわゆる15年か20年先の判断として出てくるものだと思う。だから、いわゆる実用化研究として、戦略研究的なベーシックなことをやっていく。その中で、ただ紙の上だけで、こういうものでやれは経済的に成り立つよというそんな甘いもんじゃあないと思うんですね。たとえ溶融塩炉がどうのこうのといきなり言ってもですね、それは一つのイメージとしてはできあがるかもしれないけども。
大きな経済性の議論は、フランスのスーパーフェニックスがああいう形でやめざるを得なかったというのは、経済性の議論もありますし、そこまで原子力にリプレース用ですかね。元々フランスはスーパーフェニックス以降のやつを軽水炉にリプレースする用に、全部いわゆる高速増殖炉でやろうというみたいにまで。まして、増殖なんていうのはプルトニウムの問題からいっても、そのときの経済的な意味がないという話とか、そういうことも含めて、大きな意味で軽水炉をFBRでリプレースしていこうという計画をやめたし、やめるような条件が出てきたからやめたと思う。
日本が今、さっきから言ってますが、元々、平成6年6月に現行長計が、2030年FBR実用化と、それがその時点に遡ってもね、それだけの政府の可能性といわゆる現実的見通しがあったかと言われると、本当はなかった思うんですよ、2030年実用化なんていうのは、その当時から言ってもなかったと思う。ただ、2030年FBR実用化という前回長計にはほぼ現実的見通しがなかったというのをそのままずっと引きずってきてきたということと、今言ったように、実際の実用化ということになれば、ナトリウム・ハンドリングという技術もあれば、いろんな技術が全部総合して経済的に成り立つかどうかという話ですから、それはやはり、時間がかかる。いわゆる軽水炉の延長上ではないという意味で時間がかかる。
じゃあなぜ、「もんじゅ」を今何で急いで動かすんだという、結局、元へ戻ることになるんですが、それはあのう、今回の議論の一番の中心だと思えるのは、フランスが、ドイツが、イギリスが、アメリカが、といろいろありますが、ナトリウムを含めた高速増殖炉技術というのは、いろんな失敗を含めて、イギリスのような失敗を含めて、技術的には一定の所までやり終えているわけですよね、ドイツも含めて。日本がこのまま常陽でやめてしまうのか、「もんじゅ」でそのところまでは技術をやり終えて、その上でいろいろなことを判断する、いわゆる国としてのポテンシャルを持っていくのかということの議論だと思うんですよね。そこを、おっしゃってるようなことで、やめてしまえというのもあるでしょう、間違いなくね。
質問:「もんじゅ」みたいな規模のレベルでナトリウム技術を研究していくとかになった場合に、それを管理していく核燃料サイクル開発機構の組織のレベルの問題が問われるんではないですか。まかせていって十分目的を達成できるものかどうかということになるとね、JCO問題でもそうだが、もっと厳しい現実があると思うがどうか。MOXの問題にしても、ああいう危険なものを回していくレベルにもうないんではないか。
県:それは違った意味で今回の長計でも議論された。当然JCOのことが長計の議論でも出ていますし、書いてもいますけどね。単に原子力発電ということではなく、サイクルを、燃料加工も含めてでしょうけども、いろんなものを、そこに関わる組織というものが、基本的な意味での安全を維持する、または確保していく、それだけのレベルが維持できているのかというのは、おっしゃる通り議論のあるところだと思う。サイクル機構そのものが東海の事故、再処理の事故にしろ、「もんじゅ」事故にしろ、これそのものはやはり、国の法人として、どうしてもやはり外部に開かれてないという、組織としての、自分の中だけで物事を解決していくという形の価値観とか組織的な行動というのが、ああいう形ででてきたと結果として言える。サイクル機構という名前だけでなく人が変わらなければならないし、組織として、どう住民とか県民とかに開かれたものにするのかというのが一番、本来的には課題だ。これは別にサイクル機構だけじゃなく、電力会社なども全部の課題だと思う。たとえば、情報の公開という議論にしても、どの情報を出すかという議論ではなく、情報そのものが本質的に、誰が持っているかということで、事業者であろうと政府や電力会社であろうと、求められたから出すということではなしに、それそのものを積極的に公開していこうという本質的なものがないということで、原子力開発そのものがこのままの形では維持できないということで、そういう指導を求めてきた。サイクル機構そのものが、そういう観点で組織として変わらないと、不安感は拭えない。
質問:核燃料サイクル自体が、IAEAの報告書でウラン資源は65年間安定供給できるという報告書が出たりするように、サイクルするような、ウラン資源を引き延ばすという時代ではない。
県:今はそういう時代ではないかもしれない。現実にウランの供給は過剰だと言われれば過剰だと言えるでしょう。新規のプラントがどんどん運転を開始しているわけでもないし。
質問:これからどんどん減っていくわけですしね。長計案の意見反映版には、「もんじゅ」の運転再開を前提とした、こういった安全規制行政機関による厳正な安全審査とか、こういうふうに書かれているが、こういうのは実際に福井県が了承した上での話であって、こういう形で福井県の意見が長計案に反映されるというのはおかしいと思う。
県:ご意見を聞く会を福井でやったときにややそういう感じのことを何をどういうふうにやるのかわからないといった手続き論的なことを仰ったことを受けてのことだと思うが、それは福井県の意見の反映ということではなくて、全国から1千件の意見を受けて・・・
質問:森嶌座長代理が8日の策定会議の冒頭に発言したように、意見を聞いたからといって方針を変えるわけじゃないという趣旨のことを言ってますからね。だから、策定委員の人達は、最初から、意見を聞いても反映させる気がないというのは最初からわかっていたが、この間敦賀であった国際エネルギーフォーラムでは、核燃料サイクル開発機構の理事長はもう長計が決まったかのような発言をして、科技庁、原子力委員会、長計、そして核燃料サイクル開発機構の間で初めからできあがっていて、それに則ってことが進んでいくように見えた。こういうなれ合いのやり方じゃあなくて、本当に国民や福井県民の声が長計に反映されるように、県としても頑張ってほしい。今度、大島科技庁長官が福井県へまた説明しに行きたいとか報道されてますけど。「もんじゅ」じゃないとできないことじゃないでしょう。長計を見てても要素技術の成長とかこういうふうな書き方だけでしょう。実際にプラントとして実用化されるかどうかの検証というよりも、ナトリウム技術であるとかのね。核燃料サイクル開発機構が言っているように、今までにさんざんやってナトリウムに達しているのに、冷却材として他のものを使うとか、まだナトリウム技術を確立しなければいけないとか、まだ言っているわけでしょう。何十年も言っているわけですし。当然、実用化という点では電力会社はもう見切りをつけているわけですから。恥ずかしくないような長計にもしてほしいし、県としても現長計自体でも現実と乖離しているという趣旨のことを言われたように、今度の長計でも、「もんじゅ」がいかにも実証炉につながるかのような長計にしないように・・・
県:それは、どこを読んでもそうならないとは思うんですけども、「もんじゅ」がそのまま実証炉になるとかいう話ではなくて。いわゆるナトリウム冷却型の今のタイプで、このままの延長線上に実用炉があるかということは、もうないだろうということだ。
それはあくまでも技術が蓄積していくという意味で、原研が今やらないというのは別として、やるということもあると思いますが、実用化戦略研究の中には民間も原研も入って、核燃料サイクル開発機構も入ってやろうとしている。だから、これまでにも、冷却材として鉛とかいろんなことがあったわけですね。いわゆる最初の段階から、常陽から積み上げてきたわけで。じゃあ、また元へ戻っちゃうのかという2つの議論がある。それはそうじゃなくて、国際的に見ても、ナトリウム冷却炉をきちんとやっておく。もちろんナトリウムだけじゃなくて、ナトリウム冷却型の発電プラントをきちんと技術的に確認しておくということは、たとえば、冷却材が鉛であるとかほかのものになるとしても、それを次にそれをどう評価していくかとという過程では、そういう技術的積み上げというのは、ないものはないのであって。やはり、今回の長計の表現は最終的には我々はそういうことが一つの大きな位置づけだ、と。30年も、40年も、何十年もそのために動かすということはないでしょうけども。今考えている実用化戦略研究の中で、「もんじゅ」の経験を積んだ実績をどう活かしていくかということだと我々は理解している。
質問:今は長計の位置づけについて話しているが、たぶん原安課も、「もんじゅ」については軽水炉と同じには考えていないと思う、炉の条件の違いから危険の問題まで全部含めてですね。20万人を超える署名が集まったことからしても、署名を集めさせてもらった立場から言うと「「もんじゅ」はあかん。「もんじゅ」は危ない」という感覚はすごく多い。県としても違うという感覚を持っておられると思いますが、今回の位置づけがはっきりされて、それが実証炉のスケジュールも全部決まったら、それじゃあ「それでええか」というと、そういうことにはならない。根本的には高速増殖炉に対する不安がある。原安課の中にもそういうことがあると思うんで、そういうことをきちっと考えてほしい。
県:それはあくまでも、「もんじゅ」を議論する、運転再開とか議論する大前提として、安全性が高いのかどうか、安全性の確認があるだろうし、仰っているようないろんな反対もあるし、理解が得られるかどうかというのが前提で、今、長計の問題というのは、前段というか、「もんじゅ」をどうこう議論する以前の問題として、「もんじゅ」を含めた高速増殖炉の開発を国としてどうしようとしているのか、それを国民に示すなり、国民がそれをどう受け止めるかというのを前提とするというのを一貫して言って来ているわけで。それが、長計がどうのこうの、「もんじゅ」の位置づけがどうのこうのという議論がある程度済めば、じゃあ、「もんじゅ」をどうするのかという議論に入っていく。その中で何が一番重要かというのは、安全性についてどいうふうに確認するかという、次のステップはそういうことになる。
質問:これまでは「議論する段階にない」ということから、今は長計を確定して、それを整理して、今度の12月議会でも議会として議論せえという流れになって来ているんで・・・
県:議論がスタートしたからすぐ結論が出るとかいう、我々はそんな簡単なものではないと思っている。まず安全の問題をどう考えるのかとか、住民の理解が本当に得られているのかとか、そういうことがない限りは判断できるわけがないわけですから。12月議会になるかどうかは別として、議論はそこからスタートするんだという考え方で、だから、それですぐに結論が出るという話ではない。「わかった。「もんじゅ」はゴーサインだ」とこういうことを今決めようという話にはならない。安全性がどうのこうのという議論もなしにそういう話にはならない。先日の記者会見でも、たとえば、地域振興が先にあったりとかいうことではない。まず一番最初は安全性だ。その議論をしないで、「もんじゅ」の問題について何らかの結論を出すことはない。
これまで、事故原因であるとか、総点検があったり、いろんな過程の中で安全性の議論をしてきましたけどね、だからそれでいいという話にはなっていない。これは元々、再開するということを議論しようとすると、「もんじゅ」が、壊れたあそこをどう直すかという議論だけでは、済まないと我々は思っている。「もんじゅ」そのものが全体として、いわゆる最新の知見を含めて、「もんじゅ」全体の安全性が本当に納得できるものなのかという議論がなしには、「もんじゅ」の問題については前に進まない。
質問:今までの経緯から見ると、それをすんなり受け入れられないところがある。
県:今までの経緯、しっかりやってきたかどうかは・・・、5年か6年かは別として、まあ仰っているように、原因の調査は終わった、総点検も終わった、だからもう安全性の問題は終わったという言い方をされる方がおられるかどうかは知りませんけども。そうではなくて、やはり安全性の問題は、いわゆる運転再開を議論する上で前提となる第1の問題ですから、今まではそういうことを議論する段階にないと言ってきた、原因調査がよいとか悪いとかではなく、それを含めてこれからやることだと思う、最終的に運転再開という議論をするならばですね。それは今から、そういう議論をするかどうかを判断していこうということですから、そのスタートを切るかどうかを判断していこうということですから、今の時点では我々はそれを受けるか否かを含めてこれからやるわけで、その上で受けたとしたら何からやるかと言えば、それは当然、安全性の議論だ。
質問:これまではエネルギー不足になるので、2030年ぐらいから軽水炉を高速増殖炉に置き換えないと大変なことになるということで、ある程度危険を承知の上で進めてきたところもあると思うんですよ。現在の長計では、「もんじゅ」の後、どう実証炉ができて、どうなるということがなしに、選択肢の一つで、選択肢の一つということは選択しない可能性もある。そういう意義付けなしに安全性は別だというわけにはいかない。危険であることにかわりはないわけで。県としては実際の実用化というか、役に立つということが国民に説得できないといけないので、長計としては、やはり必要だということをきちんと言ってもらわないといけないわけで、危険なかけに、将来使わないような危険なものに賛成するという無責任な対応ということになる。
県:仰っている通りと言えば、その通りだと思いますね。「もんじゅ」を含めた高速増殖炉の有り様をちゃんと国民に示す。それが長計ですから、それで国民がどう理解するかということをずっと一貫して見ていって、その上で、「もんじゅ」をじゃあどうしようかというのはその先だといっているわけですから。今まさに仰っているようなことで、我々も一貫してやろうとしている。議論していく過程では、何よりも「もんじゅ」全体の安全を確認できるのかどうかというのは第1ステップであり、それを経ないでその先があるということはありえない。
質問:そのステップのために、12月議会の後に事前了解願いを受けて、安全審査にゴーサインを出すというということはないんですか。
県:それはこれからの話ですから、あるのかないのかは・・・。
質問:いやぁ、安全性を確認する議論を始めるためだということで。
県:それも一つの考え方でしょうね。
質問:いやいや、それが一番濃厚じゃないかと思って我々は危機感を持っているんですよ。それで、事実上もうゴーサインに行っちゃう。
県:いや、事実上のゴーサインとは言えないと思いますけども。仰ることもよくわかりますけども・・・。(時間切れで、次の会議の連絡が入り、まとめに)
質問:一つだけ、来年の秋以降まとめると敦賀3・4号炉について言われましたけど、今事前了解願いが出ておってですね、安全審査入り、それとまとめとは別ですか。
県:敦賀3・4号の来年秋というのはいわゆる電調審ですね。もう来年は、電調審はなくなりますけども、それは、すなわち、知事が意見を言うか言わないかですね、電調審で。イエスかノーかを。それが秋以降だと。だから、安全審査というのはそれ以降ですから。
質問:それで、今出ている事前了解願いね、あれに了解するかどうかのまとめが来年以降だという理解でいいんですか。
県:そうです。
質問:それまで何か動くというのはないんですか。
県:ありません。
質問:2月に事前了解願いが出て、1年以上放ったらかすというのはあるんですか、過去に。
県:増設問題での過去の経緯というのはちょっと調べてないんですけど、それは当然、それぐらいかかっているものもあるでしょう、と思いますけど。
質問:来年秋以降だと、1年半になりますね。事前了解願いが出て1年半以上・・・
県:大飯の3・4号なんかのときは・・・はっきりはよく覚えてないけども、増設問題では大体時間がかかる。プルサーマルでは安全審査の期間を中に入れての話であり、今回の増設問題では安全審査は別ですから、電調審で議論する話ですから。それは、1年半かかろうが、3年かかろうが、それはたとえば島根3号炉なんかも、時間がかかっていると思いますけども。
質問:電調審とかにかける場合でも、地元の合意があるかどうかですよね。
県:それは敦賀市の合意であったりね。
質問:ということは、電調審に合わせて判断するとかね。
県:いやあ、電調審にあわせるんではなくて、泊とか島根とか最近の例を見てもらえばわかりますけども、知事がウンと言ったら電調審を1ヶ月後にやるとか。それが最近の、たぶん、たぶんですよ・・・
質問:たとえば、島根なんかだったら、県が調査委員会をつくって、いろんな学者を呼んでやりましたよね。私も行きましたよ。そういうような意味では、そういうような議論を県全体でやる、組織する、そういうようなことは考えておられないんですか。
県:今のところ福井県はやらない。
質問:それが弱いと言ってるんだ。そういう体制をとらなかったら・・・
県:それは考え方だと思います。我々はすべて勝手に決めてはいません。
質問:いやいや、それは違う。報告書まで出して・・・
県:だから、そういう報告書を出すなり、ずっとやってきていますから、そういう手続きは十分やってきていると思いますし。
質問:報告書でね、原発を誘致しても地域振興できんかったというふうにちゃんと書いてあってね、それでまたやるんやというのはこれは通らへん。
県:だから、今やるとは誰も結論を出していない。これからちゃんと議論していこうということですから。
質問:長計では国民から意見を受け入れてますね、1100通ぐらいね。県はそういうことさえしないんですか。国民合意については一定ね、形式的にはやったんですよ。
県:それはもう、これから考えますけども。長計の方は県じゃないと思いますんで。敦賀3・4号炉をどうしていくという議論の過程では、県民の意見をどうやって汲み上げていくかというのはあると思いますけども。
質問:質問状に対する回答は今月中に得られるということでよろしいでしょうか。
県:まあ、努力します。(終了)
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(原子力委員会・長期計画策定会議)
原子力長期計画「第2部 原子力の研究、開発及び利用の将来展開」「第3章 原子力発電と核燃料サイクル」「5.高速増殖炉サイクル技術の研究開発の在り方と将来展開」の高速増殖炉および「もんじゅ」に関連した箇所
長期計画意見反映版(案)平成12年11月8日
<ご意見募集の8月案から、下線部が追加、 消去線部が削除された>
5−2.高速増殖炉サイクル技術の研究開発の方向性(最後の段落)
高速増殖炉サイクル技術のうち、最も開発が進んでいるものは、MOX燃料とナトリウム冷却を基本とする技術である。他の選択肢との比較評価のベースともなるもので、同技術の評価をまず優先して行うことが必要である。
5−3.高速増殖炉サイクル技術の研究開発の将来展開
(もんじゅ)
1995年のナトリウム漏えい事故以降運転を停止している原型炉「もんじゅ」については、高速増殖炉懇談会等においても、その意義、役割等について検討がなされてきたところであるが、上述の高速増殖炉サイクル技術の位置付け及び研究開発の方向性を踏まえれば、「もんじゅ」は、高速増殖炉サイクル技術の研究開発の場の中核として位置付けられるものであり、安全の確保を大前提に、立地地域を始めとする社会の理解を広く得つつ、早期に運転を再開し、発電プラントとしての信頼性の実証とその運転経験を通じたナトリウム取扱技術の確立という所期の目的を達成することが必要である。
そのためには、施設の安全性の向上を図り、立地地域を始めとする社会の理解を広く得つつ研究開発を進めることが必要であることから、安全規制行政機関及び原子力安全委員会による厳格な安全審査を経てナトリウム漏えい対策を施すとともに、安全総点検の結果を踏まえた改善措置を講じていくことが必要である。
「もんじゅ」は、最も開発が進んでいるMOX燃料を用いたナトリウム冷却型の炉であるとともに、発電設備を有する高速増殖炉プラントとして世界的にも数少ない施設であり、高速増殖炉の将来の研究開発にとって国際的に見ても貴重な施設である。このため、「もんじゅ」及びその周辺施設を国際協力の拠点として整備し、内外の研究者に開かれた体制で研究開発を進め、その成果を広く国の内外に発信する。
長期的には、実用化に向けた研究開発によって得られた要素技術等の成果を「もんじゅ」において実証するなど、燃料製造及び再処理と連携して、「もんじゅ」を実際の使用条件と同等の高速中性子を提供する場として有効に活用していくことが重要と考えられる。
また、「もんじゅ」等の施設において、マイナーアクチニドの燃焼や長寿命核分裂生成物の核変換等に関するデータを幅広く蓄積することも重要である。
(実用化に向けた展開と研究開発評価)
高速増殖炉サイクル技術の研究開発に当たっては、社会的な情勢や内外の研究開発動向等を見極めつつ、長期的展望を踏まえ進める必要がある。そのため、高速増殖炉サイクル技術が技術的な多様性を備えていることに着目し、選択の幅を持たせ研究開発に柔軟性をもたせることが重要である。
具体的には、高速増殖炉サイクル技術として適切な実用化像とそこに至るための研究開発計画を提示することを目的に、炉型選択、再処理法、燃料製造法等、高速増殖炉サイクル技術に関する多様な選択肢について、現在、核燃料サイクル開発機構において電気事業者等、関連する機関の協力を得つつ実施している「実用化戦略調査研究」等を引き続き推進する。
また、核燃料サイクル開発機構、日本原子力研究所、電力中央研究所、大学、メーカー等は、国内外の研究開発施設の活用や海外の優れた研究者の参加を含め、高速増殖炉サイクル技術について裾野の広い基盤的な研究開発を行っていく。
高速増殖炉の実証炉の具体的計画については、実用化に向けた研究開発の過程で得られる種々の成果等を十分に評価した上で、そ具体的計画の決定が行われることが適切であり、実用化への開発計画については実用化時期を含め柔軟かつ着実に検討を進めていくに対応していく。
このため、国は研究開発の進め方や到達度について随時チェックアンドレビューを行う。その評価に当たっては、単なる技術評価にとどまらず、必要に応じ社会的状況の変化などを踏まえて研究開発政策等の見直しを行うことが必要である。
原子力長期計画(案)平成12年11月22日
<移動を除き、ゴシック部分が追加された>
5−2.高速増殖炉サイクル技術の研究開発の方向性(最後の段落)
<この段落は変更なし>
5−3.高速増殖炉サイクル技術の研究開発の将来展開
(もんじゅ)
1995年のナトリウム漏えい事故以降運転を停止している原型炉「もんじゅ」は、高速増殖炉サイクル技術のうち最も開発が進んでいるMOX燃料とナトリウム冷却を基本とする技術を用いた原子炉でかつ発電設備を有する我が国唯一の高速増殖炉プラントである。
「もんじゅ」の意義、役割等については、高速増殖炉懇談会等においてもこれまで検討がなされてきたところであるが、今後、発電プラントとしての信頼性の実証とその運転経験を通じたナトリウム取扱技術の確立という「もんじゅ」の所期の目的を達成することは他の選択肢との比較評価のベースともなることから、同目的の達成にまず優先して取り組むことが今後の技術開発において特に重要である。
このことから、原型炉「もんじゅ」は我が国における高速増殖炉サイクル技術の研究開発の場の中核として位置付け、早期の運転再開を目指す。
そのためには「もんじゅ」について、今後、安全規制行政機関や原子力安全委員会の厳格な審査等を経て、核燃料サイクル開発機構は、ナトリウム漏えい対策を確実に実施するとともに、安全総点検を踏まえ施設の安全性の向上を図り、立地地域を始めとする社会の理解を広く得つつ運転を再開し研究開発を進めることが必要である。
研究開発を進めるに当たっては、「もんじゅ」事故及びその後の一連の事故や不祥事によって国民の原子力に対する不信感と不安感が著しく増幅されていることを重く受け止め、研究開発段階にある原子炉であることを認識し安全確保に万全を期すとともに、徹底した情報の開示と提供を行うなど、国民及び地域住民の信頼確保に格別に留意する必要がある。
「もんじゅ」は、高速増殖炉の将来の研究開発にとって国際的にも貴重な施設であり、「もんじゅ」及びその周辺施設を国際協力の拠点として整備し、内外の研究者に開かれた体制で研究開発を進め、その成果を広く国の内外に発信することが重要である。
長期的には、実用化に向けた研究開発によって得られた要素技術等の成果を「もんじゅ」において実証するなど、燃料製造及び再処理と連携して、実際の使用条件と同等の高速中性子を提供する場として「もんじゅ」を有効に活用していくことが重要と考えられる。また、マイナーアクチニドの燃焼や長寿命核分裂生成物の核変換等に関するデータを幅広く蓄積する上からも「もんじゅ」の役割は重要である。
(実用化に向けた展開と研究開発評価)
<最後の下記段落以外は変更なし>
このため、国は研究開発の進め方や到達度について随時チェックアンドレビューを行う。その評価に当たっては、研究開発投資の効率性の観点を重視するなど、単なる技術評価にとどまらず、必要に応じ社会的状況の変化などを踏まえて研究開
発政策等の見直しを行うことが必要である。
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