福井県三方から 石地 優さん
 
 こんにちは。三方から来ました石地と申します。
 私はこの10年、おかげさまであちこち行って福井県のあちこちで住民の皆さんの話を聞かせてもらえる機会も多くありましたので、そのことについてお話をさせてもらいます。
 私はこの若狭ネットに接する機会があったのは、若狭ネットができたすぐの頃に、先ほども報告がありましたが、若狭ネットの大阪とか関西の方から美浜の現地にビラをもって来られて、そして各戸を戸別訪問されて、それでそれ終わったあとにどっかの場所に集まって、それの報告集会と言うんですかこれこれこんな話があってこんな状況やったというのに参加させてもらったのがきっかけです。その時ちょうど僕は、美浜事故があったので、今度の夏のマスコミや新聞では今度の夏の、その年の海水浴ですね、もうガタ減りするんじゃないかなという話もよくあったんですが。それで、ほんなら、水晶ヶ浜というんですが、そこの海水浴場に来られる人はどんな感覚を持って来られるんかなと、そういう興味もありましたんで、そしてまた聞いてみたいこともあったんで。その夏に水晶ヶ浜に来られた海水浴の方にアンケートを、勝手なアンケートの内容をこっちで決めたんですけど、アンケートをさして頂いて。それでほぼ100人の方に聞いて、ま、それも勝手にこっちで聞けるもんですから、年とか男の人とか女の人とかこっちが勝手に選択できるもんですから、年代も若い方から年寄りの方とかいろいろしたつもりなんですが、結果も出たんですけれど、そのことについて結果出てるのにどこにも発表するわけでもなし、どこでも使うわけでもない、そういうアンケートって一体なんやろかとよく言われたこともあるんですけど。別に発表したいわけとかいうつもりで、思ったわけじゃないんで、自分としてどう感じられるかなっちゅうことがあって、さしてもろうたんです。
 今日の福井新聞で、原発の世論調査の結果が出てまして、廃棄物の処理場、処分場を自分の住んでるとこに作ったらええかどうかという質問がありまして、その項目の中で答えられた方の90%が、原発に賛成している方も含めて、90%を超える方が自分のとこには作ってほしくないというアンケートだったらしいです。
 それで僕も美浜の事故があったときに、来られた方にまず最初に聞いたのは、もし原発が必要で自分の地域に原発を作ることになったら賛成されますかという質問したんです。そしたら、その時でも8割の方が自分のとこにはつくってほしくないという回答になってます。だからその回答も今日の処分場の回答もやっぱりいやなもんはいややということは共通してるかなというふうに思いましたけれど。
 それはそれとして。100人のうち1割が地元の福井県の方で、残り9割が、特に水晶ヶ浜に来られるお客さんは中京方面の方が多くて、岐阜とか三重とか、名古屋とかそっちの方のお客さんが中心で、高浜とかあっちの方は逆に、大阪とか神戸とかそっちの方が多いんやと思いますけど、美浜の水晶ヶ浜はそっちの方が多くて、それで一番最初に心配してたのは、こんな質問しても答えてくれるんかなちゅうのが、一番最初心配してたんですが、その心配はみごと良い方に解消成りまして、皆さんほとんどの方が積極的に、こっちが勝手に思ってるだけで本人はそう思ってないんかもしれませんが、まあ、こっちが思うに、積極的に答えてくれました。
 で、その中身でですね、積極的にというのはただ単にアンケートに答えてくれただけじゃなくて、それ以外の話もいろいろしてくれてまして。若い男の人女の人、家族連れ、それからカップルで来られている方、それから個人で来られている方あるんですけれども、さっきも言いましたように年代別にせなあかんかったんで、カップルの方の男の人、女の人にも無理矢理、間に入って行って、アンケートも取らしてもらいましたんで。それでも、いやがられるかなと思ったけど、女の人の所に聞きに行っても、男の人の所に聞きに行ってもいやがられることはほとんんどなかったです。ほとんどちゅうか全然なかったです。
 だから、そういう意味からして、原発の問題ちゅうのは町の人にも何というか関係ないわという形だけではないんかなという気はしました。
 それともう一つそこで印象に残ったのは、30過ぎくらいの男の方やったと思いますけど、その方は電力会社関係のとこに勤めておられる方でして、ずーっと質問してたら、まあ最初は質問に答えてくれてたんですけどあるときになってきたら、「ちょっと待った」って言われまして、何かなと思ったら「あんたの質問は誘導質問してるみたいや。あかんよ、あかんよ。答えさせるような誘導質問されるアンケートの方式は。こんなん、あかん」ちゅうて言われまして。まあ、僕反対してるさかいそういう気持ち入ってるかもわからんけど言うて。自分は電力会社に勤めとるんでいう話もその時言われて。それでもその話そこで収まって、次の質問に行ったんですが一番終わりにお上を信用しますかいう質問入れたんです。その質問したら、もう完全に怒られまして。「もう、知らん。もう、せん」と言われまして。ほんで最後に言われたのが「あんたみたいな人がおるさかいに、電力会社にとっては原発進めるときに困るんや」と言われまして。「ああ、ほんならええことしたんやな」思うて(会場から笑い声)、これが一番印象に残ったアンケートだったんですが。
 ちょっと前置きが長くなりましたが、さっきからずっと話ありまして、もちろん地元の僕は三方ですから、三方の方、隣、さっきの松下さんとこの美浜町やら、増田さんとこの敦賀やら大飯、高浜、それから嶺北の方まで含めてですね、若狭ネットの方がそうやって戸別に入るとええなあって話をこっちにも教えてもらいましたんで、その機会を通じて自分なりに話して、県内のどこの場所の人でも、町の人とはまた違う面があるかもわかりませんが、原発の話については、胸に残っているもんが必ずどっかにあるというのが、大小あるかもわかりませんが、それは行くとこ行くとこで感じました。あの、三方と美浜で比べると、三方は原発が立地してないんです。場所は隣で、あのう15km圏内には入っているんですけど美浜の原発から。立地してなくて。美浜町は立地してるんです。署名、どんな署名でもそうですけど、行くとですね、もちろん美浜町の方がずっと署名もらえる数が少ないです。三方町の方がずっと多いです。
 住んでいる人の反応もですね、やっぱり美浜町のとこ行ってするといろんな形で、嫌味言われることも、三方に比べるとずっと多かったです。それでも三方と美浜の違いというと、美浜町の方は全員ちゅうわけないんですが嫌味言われる方おられますけど、中身、話されるときの中身の話が、僕自身が聞いてると重たいというか、その人自身が抱えている問題を感じる話が、たくさんじゃないですが、感じられる部分が三方町と比べると美浜の方が多かったです。これは敦賀市と比べても、僕自身感じる分からいくと美浜町の方が重たい話をしてくれる人が多かったように思います。まあ敦賀の場合には人口も多いからそこらへんのところ広がりがあるからかもわかりませんが。そういう意味でさきほどお2人の方からも話がありましたけれど、福井県の方はそういうとこ踏まえて、増設はしていらないというのはもちろんのこと、原発に対してもいい思いを持っていないというのはそれでよく感じられました。
 ところが今の行政サイドですね、知事とか市長とか各県会議員、市会議員、町会議員とのですね県民とのギャップがものすごく大きくて、これが、さっき増田さんのはこれから30年というて話されてましたけど、そこの所をなかなか埋められないとこになってるんかと思います。
 それで今回の増設とかもんじゅ再開の話についても知事とかはかなり進めていながら、はっきりした態度という形になっていないような返答してますけど、現実的には福井県の経済界とか地元の方では商工会議所とか、そういうとこは完全に、もう今景気が悪いし金が入ってくるものを見つけなあかんっちゅうことで、そのために推進を表明してます。
 だから、そこんとこの差がどうやって埋められるんかというとこがこれから、大事なというか、ポイントになってくると思うんですけど。
 原発のことよく思っていない、またこんなもんない方がええと思われる方はたくさんおられるんですけど。それじゃ、その方たちが表に立って声を大にして知事とか市長、議員に対してそういうことをちゃんときちっとした形で言ってくれるかというと、悲しいかな、今そのことで仕事を抱えているしがらみもありまして、なかなかそうできないという現実があって。今日福井県からたくさん来られているんですけれど、ここだけ見ると「あっ、福井県は地元に帰ると市民の反対する人、もっとたくさんあって、大丈夫やな」と思われるかも知れませんが、ここに来られている方は総動員がかかっているんです(会場大きな笑い声)。勘違いして頂きませんように。
 若狭ネットの方でさっき戸別の訪問されたり、署名に対してものすごい積極的な取組をしていただいたり、そこら辺は今度の3・4号炉増設にしても、もんじゅにしても、まだここまで止まってきてると、この大きな力になってるという風に、僕らも思います。
 もう10年もたってますんで、顔ぶれもたぶん10年全部年取ったんやと思います。これから年取って先、足腰立たなくなるという話がありましたが、なお大変なこと、体力的にも大変な面があるかもわかりませんが、せめて口だけでも(会場大きな笑い声)。
 今年の時期は、ものすごく厳しい時期かと思いますので、景気の悪いことも合わせて、今までにも増して一緒にやっていただけるようにまたお願いしたいと思います。
 それだけじゃなくて、知恵の方も、知識の方もいっぱい注入してもらって、ただ知識はいっぱい入れてもらってもそのまま残ればいいんですけど、出ていく分が多いもんですからなかなかうまいこといかん部分もありますけれども、やっぱりビラとかそういうので、さっき言いました戸別対話とか通じて、そういうのが県民に伝わっていくというのが、この間の感じて、即目に見えてこんかもわかりませんが、一番効き目があるんかなというふうにこの10年間で感じましたんで、またそこら辺のとこよろしくお願いします。ありがとうございました。