福井県今立から山崎隆敏さん
どうも、ご苦労様。今まで話をした4人は原発立地してるところと、あるいは原発の隣の市町村。僕は北陸トンネルから北の、原発とは関係ない(会場から笑い声)、あんまり力を持っていない、立地していない自治体の人間です。
今日、本当はもう一人武生市から女性の岡村葉子さんがみえる予定だったんですけど、都合がつきませんでした。岡村さんは、神戸大学の橋本先生や京都大学の山田先生らを講師に迎えて小学校のPTA総会で、原発だけではなかったんですが地震の問題を中心にして最後に原発の話でしめるという後援会を半年以上かけて準備されました。その話をしてもらいたいなあと思ったんです。そのことを僕のニュースで書いて送ったら、大阪の方から手紙もらって、「PTA総会でこんな原発の講演ができるなんて本当にすばらしい。自分も努力してみたけどなかなかそれはできない」という文でした。実はそれ、マスコミにも伝えて取材するように言ってたんですけど、やっぱりああいうものは記事になりにくかったのかと思ってます。そういうことで、岡村さんは、原発の問題も日常の生活の中で頭の中の一つに置いて、できるところでみんなに話を聞いてもらっていくという活動をやってますから、これからも、この形でやっていきたいからよろしくお伝え下さいというふうに言ってました。
えーっと、私はさっきからね、この10年の間を振り返ると、みんな大変だったなあと思うんですが、2回大きな署名活動をやって、最初は美浜事故の直後に美浜現地に入って、敦賀まで足伸ばしてという感じで始まったんですが、これを全県的な運動にしていこうということになって、最後は僕の家が泊まり場になってしまって(会場から笑い声)、久保さんなんかは布団をたくさん持ってくるし、炊飯器まで持ち込んで(爆笑)。
最近の嶺北の方の状況をお伝えしときたいと思います。やっぱり、増設の問題が持ち上がるとか、もんじゅの事故の直後はかなり嶺北の方でも住民あるいは議会の中でも、「もう、こりゃ、なんとかせなあかん」という機運が盛り上がったんですけど、やっぱり最近は、こう弛緩してきているというか、もうみんなの気持ちがゆるくなってきているなということがあります。ちょっと前ですけど、越前町、越前町も河野村も日本原電の対岸の町ですから、増設とかもんじゅに対して厳しい意見書とか反対決議をやっていますけど、その越前町の議長さんと会ったことがあって、「これからもよろしくお願いしますね」って声かけたんですが、「あっ、君が山崎か」そういう風に言われて、「いつまでももんじゅに反対しててどうするんや。政治家は引き際も肝心やぞ」って言われて、もう愕然としたんですけどそういう気持ちの人達しか政治家にならないんじゃないあかなあと思うんですけど、そういう状況があります。ただ、河野村の村長さんの所は、何回か泊まりに行っていろいろ話したんですけど、ま、村長は去年の春に辞めてますけど、次の後継者も強い増設反対の姿勢示しています。住民もそうです。
ただ、さっきから何回も出てきますけど、これやっぱり松下さんなんか言ってるように、原発の増設というのは公共事業ですから、それに立地自治体だけじゃなくて、例えば、うちの町の県会議員なんかは土建屋さんで敦賀なんかでも車を頻繁に見かけるんですが、彼なんかもそういう公共事業の一環として増設ということを今考えているみたいで、そういう動きをうちの町の中でもやっぱりやってます。うちの町会議員は18人いるんですが、多数派がむこうに持って行かれてしまいました。ある程度対立してたんです。前の町長とね、県会議員が対立してたんです。前の町長が破れてしまって、今の県会議員が力を持ち始めた。そんなことがあります。それで、彼らの欲望っていうか、それが手に取るようにわかるというような気がしてます。
一方、住民側はそんな簡単に説を曲げるってことはないと思うんで。去年の秋に、35自治体のうち、うちの町が最後になったらしいんですけど、日本原電の説明会。新聞折り込みされたらしいんですけど、僕は気付かなくって行かなかったんです。そのことをいつも来る刑事が「山崎さんなんで来なかった。あのとき婦人団体がいっぱい来て最後までしつこく批判してましたけど。もの凄く痛烈な批判してました。あれ、山崎さんの薫陶を受けた人達だと思うけど。日本原電側はとにかく『山崎が来る』というので、手ぐすね引いて待ってたらしいんですが(会場から大きな笑い声)、主婦の人達も『なんか、敵前逃亡したんでないか』と疑ってるんで、あんた釈明しとかなあかんで」って言われて「ああっ、こりゃ票を減らしたかな」(会場爆笑)と思ったんです。
こんな状態で住民側はやっぱり相変わらずどんどん、そういう、何と言うか、反対の気持ちは変わらずにね、ただ、運動として参加していこうという、そういう所まで行かないのがなかなか難しいところだなと思うんです。
それと、空港と新幹線との取り引きということでいろいろと取り沙汰されているんですが、これに対しても県民は相当怒ってます。空港の問題なんかはやっぱり、坂井郡に空港があるんですが、北の方にね、あの辺の周辺だけの運動だったんですが、最近は武生の知人の所なんか行くと、今まで全然運動と関係ない人達が空港反対の署名を始めています。そういうものと取り引きするというのでかなり県民は憤慨しているということがあります。
増設とかもんじゅの運転再開に関しては、やっぱり客観情勢がどうであろうとあるいは道理がどうであろうと、彼らはゴリ押しでしゃにむに進めていくと思うんです。それに対して、これからも、本当に、叩けるときに叩くだけの運動じゃ駄目なんで、どうしても我々がどんな形で止まろうと、阻止ができた場合でも、やっぱり住民の力で止まったんだということをみんなに自覚してもらうような、そういう運動をこれからも僕らは造っていきたいなというふうに思います。
ま、そういうことでなかなか厳しいんです。手だてが全然ないというような所もありますけど。これ、まだ県内の人にも話してないんですけど、もし、福井県内で、福島県で1年半か2年くらい前から準備進めて、まだ実現はしてませんけど、県民投票条例を、もしできるとしたらやってみたいなと、単なる案ですけど。だいたい35自治体でこれくらい集めればいけるという数字を書いて来ました。そういう議論を県内でもやっていきたいとと思います。
ということで、簡単ですが終わります。どうも、ありがとうございました。
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