2.20 JCO事故政府交渉に参加して
 
「これでは国に原子力行政やる資格なし」
 
 「国はJCO事故の責任を認め、住民・労働者の健康被害を補償せよ」の署名に係わる行政交渉に、2月20日、参加しました。
 住民側は、茨城、静岡、新潟、東京方面、福井、関西方面から二十数名の方が参加し、政府側は、文部科学省、厚生労働省、内閣府から6名が出席し、交渉がなされました。
・行政調査のやり直しについて
・公衆の線量限度1mSv(ミリシーベルト)/年を超える放射線被ばくを被ったことに関して
・集団線量について
・線量評価のやり直しについて
・事故後起きたさまざまな「健康被害」について
以上をメインテーマに政府側からの回答に基づいて、やりとりしました。
 住民側からの政府に対する不満や要求は、事故に対する評価と責任、また今も続いている健康被害についてであり、文部科学省や厚生労働省に厳しく訴えました。文部科学省は公衆の線量限度1mSv/年については「平常時の線量限度を定めるものであり、事故時のものではない」、「集団線量については事後評価に適さない」を繰り返しました。原子力安全委員会は、健康管理検討委員会の報告をうのみにし、厚生労働省にいたっては「原子力施設に関する法律を持っていないので回答を控える」と言うだけで、後はダンマリを決め込むひどさでした。国民の生命と健康を守るべき厚生労働省のあきれた対応に参加者から怒り、非難の声が続出しました。あまりのひどさに、紹介議員の北川さんからは「原子力行政やる資格なし」というような発言が出る始末でした。
 原発という巨大な原子力施設を抱える、私の住む福井県にとって、国のいい加減さを改めて認識させられた一日でした。JCO事故で被害にあわれた方は、「事故が起きて被ばくさせられても、過小評価して『大丈夫』と切り捨てられ、国の窓口で健康相談に行けば『それぐらいの被ばくであれば障害が出るはずがない、気のせいだ』と言われ、『それでも不安なら、かかりつけの医者に行け』と言われ、かかりつけの医者に行くと『精神科に行け』と言われる。」と切々と訴えられました。その無念さは、私たちの心の中にずっしりと重く残りました。
 事故が起きて被ばくさせられても、何もしない、何もしようとしない国の現実を県や市町村に、また、原発を推進している人たちに訴え、県民に問いかけ、「それでも『もんじゅ』を再開し、敦賀3・4号機増設を進めるのか」と、問題提起したいと思います。そして、そのことがJCO事故の被害者の支援につながればと思います。
石地 優

 昨年11月の福井県知事宛「敦賀3・4号増設計画および『福井県内の原子力発電所における安全対策・地域振興等の状況と課題の評価』に関する公開質問状」に対し、2月16日付文書回答が県から届きました。福島県知事は最近「地域として原子力政策のあり方や電源地域の振興策などエネルギー政策全般をじっくり検討したい」とし、福島原発でのプルサーマル計画を中止させました。これとは対照的な回答内容ですが、今回の国のひどい対応を暴露し、県の無責任さを追及していきたいと思います。