福井県敦賀市に集まろう 5月26・27日
「原発新・増設を考える」つどいに参加を
全国各地で原発反対運動を闘っておられる皆さん! 5月26〜27日に福井県敦賀市で開かれる「原発新・増設を考える」つどいへの参加を呼びかけます(案内は最終ページ)。
福井県では、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転再開、高浜原発でのプルサーマル計画、そして、敦賀3・4号増設問題と矢継ぎ早に推進攻勢が続いています。私たちは微力ですが、これらをなんとしても阻止しなければと、奮闘しております。
福井県の栗田知事は、来年1月にも敦賀原発増設について結論を出したいと、4月26日に表明しました。原発15基体制について、地域振興の効果はなかったと総括していながら、「もんじゅ」再開と敦賀増設を「取引材料」として、国や電力会社から一時しのぎの金を引き出そうと躍起となっています。県民や国民の意に反して、「毒をくらわば、皿まで」という政治が押し進められようとしています。本当に情けない限りです。
6年前には「これ以上の原発はいらない」県民署名が21万人以上に達し、これを受けて「福井の風を全国へ」を合言葉に1995年1月21日、敦賀市で「原発新増設を止めよう全国集会」を持ちました。皆さんのあついハートとパワーでこれを成功させることができました。全国各地の闘いから学び、各地の闘いをさらに活性化させるための一翼を担いました。この風は、芦浜へ、串間へ、巻へと拡がっていきました。
あれから6年が経ちますが、日本各地の原発新増設をめぐる情勢は大きく変わってきました。
原発の立地によって原発城下町ははたしてバラ色の夢を実現できたのでしょうか。実際には、地域振興の夢が夢に終わり、チェルノブイリのような原発重大事故がいつ起こるかとビクビクしながら、憂鬱な毎日を強いられ続けてきたのではないでしょうか。今回のつどいでは、原発を誘致したことによって現実はどうだったのか、はっきり見据えたいと思います。
また、西日本では地震が多発し、活動期に入ったと言われています。敦賀市周辺には活断層が縦横無尽に走っており、地震の空白域でもあり、地震学者によって大地震の起こる危険が警告されてもいます。西日本では、地表に活断層が出ていない場所で大地震が起きたり、地下深くのプレート内で地震が起きたりしています。
原発と地域振興、原発と地震の関係を講演や討論で整理し、運動の経験を交流しあい、各地での運動の前進に寄与できたらいいなあと考えています。
私たち大人が原発重大事故の危険性が高まりつつあるという鋭いイマジネーションを持っていなければ、現在だけでなく将来に対しても大いなる禍根を残すことになるでしょう。
原発の実験場と化した福井では、またぞろ敦賀3・4号の増設計画が浮上してきています。
5月26日と27日の2日間、大いに話し合いましょう。今度は、全国各地で奮闘する「反原発の風」を敦賀に持ち込んでください。お願いします。
また、この「つどい」を成功させるために、ぜひカンパをお寄せ下さい。新聞折込代や旅費を少しでも賄うため、ご協力をお願いします。
チェルノブイリ15年を深刻に受けとめて
チェルノブイリ原発事故から15年、今なおこの事故の放射能汚染のため、住民は健康被害を受け、苦しめられています。国土の3分の1以上が放射能で汚染されたベラルーシ共和国では13万人もの人々が移住させられました。4月下旬に来日されたジャンナさんとターニャさんは、「健康だと言えるこどもは3%しかいない」という深刻な原発事故の実態を明らかにされました。彼女たちが言ったことで印象的だったのは、「『大人たちが地球をオモチャにしないでください』とお父さんやお母さんに訴えてください」と、子どもたちに送ったメッセージでした。地球をめちゃくちゃにした責任は、原発を推進をしてきた者にこそあれ、知らずに被害にあった子どもたちにはないはずです。その意味でも、今なお原発を推進するということは、「社会に対する犯罪になる」と、言ったら言い過ぎになるのでしょうか。
チェルノブイリ事故を教訓とするなら、日本でも原発を止めていくべきですし、原発先進地である福井でも原発を止める闘いが、全国からも要請されているのです。
日本でも原発事故が多発し、品質管理の手抜きやデータねつ造など電力・原子力産業の腐敗が暴かれ、JCO臨界事故が引き起こされるに至りました。核施設立地点住民や国民の怒り、原子力重大事故への不安は、かつてなく高まっています。原発新増設なんて地球を滅亡に導く何ものでもないはずですが、残念ながら、いまだに日本では原発推進を高らかに謳っています。「地球温暖化防止に寄与するのは原発である」などとまことしやかにいっているのです。
原発新増設をめぐる情勢の変化
「原発推進は国策である」と言い、「電力消費は年々どんどんと右肩上がりになる」と予想したにもかかわらず、電力会社が目論むようには伸びていません。安上がりの自家発電や、電力自由化による電力小売りへの参入なども増えつつあります。電力各社は、各エリアで電力市場を独占してきましたが、2001年度供給計画では16年ぶりに電力設備投資を3兆円以下へ削らざるを得なくされています。
電力10社でみると、次のように14発電所24基の計画が繰り延べられています。
東京電力:広野火力、福島第一7・8号計画の見直し
電源開発:大間原発の準備工事中止と計画延期、高倉揚水発電所建設計画の中止
関西電力:発電所建設計画の繰り延べる一方、日本原電の敦賀3・4号については2009年度から各
76.9万kwの受電を計画
日本原電:敦賀3・4号の建設費低減を可能な限り追求し、設計合理化、建設工期の短縮、機器仕様
の標準化、あらゆる面からコスト削減方策を検討
中国電力:上関原発計画で原子炉近くの神社所有地を買収できずに膠着状態。山口県知事が政府
への「口頭での建設同意」に文書で留保条件を付与。
九州電力:川内原発の環境影響評価実施の事前了解に鹿児島県知事が留保し、事実上中止
巨額の投資を必要とする原発は30年以上運転してやっとLNG火力の発電コストに追いつく程度にまで経済性を失っています。自己資本比率が低く(東電は約10%)、借金生活を余儀なくされている(東電は約10兆円の有利子負債)電力会社にとって巨額の建設費に対する利子負担が重くのしかかっているのです。原発では短期的に採算が合わない事態に陥っているのです。電力会社は電力自由化の下で、原発新増設に対しこれまでのような積極姿勢を維持できなくなっています。東京電力は「原発を含めて電源開発計画の凍結を検討する」と表明し、関西電力も「電源開発計画の見直しは必要」とコメントしました。東電は「圧力」に負けてその翌日「原発を凍結対象からはずす」と発表しましたが、客観的には凍結せざるをえない状況なのです。原発立地難を反映して、珠洲など立地予定点での土地買収をめぐる「転売」工作や脱税行為などの腐敗も後を絶ちません。
電力自由化と分散型電源の普及
電力自由化の動きのなかで、電力会社も生き残りをかけ、いろいろなエネルギー開発に乗り出しています。ガスタービンなどでは、共同出資をし、子会社まで設立する有様です。
東北電力:サッポロ仙台工場へ天然ガス供給
東京電力:東京ガスと共同で静岡ガスへ出資、東北地域スーパーマーケットチェーンに自家発電
の一括サービスへ。省エネルギーサービス事業を開始
中部電力:北陸電力と共同でLNG販売会社を設立予定
関西電力:鳥取ガスにLNGを卸供給するなど、ガス事業に参入
分散型電源:スーパー向けにディーゼルエンジンが躍進。マイクロガスタービンを日本マクドナル
ドやコンビニが導入開始。自家発電は現在1712施設、170万kW
電力自由化と分散型電源の普及により原発推進がますます困難になる中、電力各社が原発の危険性を高める方向に進んでいることに注視しておかねばなりません。
先頃、経済産業省は、電力会社からの強い要請を受け、電気出力上限規制を撤廃し、原子炉熱出力上限規制へ緩和する方針に切り替えました。これは、電気出力を高めるために原子炉出力を今以上に増やしても良いということです。米国では原発の新規建設が凍結状態にありますが、電気出力規制を緩めるなど既存の原発の安全規制を抜本的に緩める方針がとられています。それを日本でも全面的に導入しようとしているのです。原発の定期点検も昼夜の突貫点検・工事や内容の削減により、定検期間の40日ないし1ヶ月への短縮競争が行われています。
これらを容認してきた原子力安全委員会も、「電力自由化によるコスト削減や合理化が原発の安全性にどのような影響を与えているか」を検討せざるを得なくなっています。
原発を支える研究・技術者が減っている
もう一つ危険だなあということが起きてきています。それは、原発をコントロールする専門の人たちが減っているということです。原子力産業における研究開発投資と研究者数が10年間でほぼ半減しています。JCO事故では、専門知識なしで、全くの素人がウランを扱い臨界事故を引き起こし、亡くなったのです。よく似たことが、ひたひたと原発でも忍び寄っているのではないでしょうか。原発に携わる人たちに「社会参加していないお荷物の原発を運転している」となると、意欲も低下していくのは本当に怖いことです。
立地自治体のプルサーマル拒否と原子力政策への反乱
福井県は「原発15基体制」の原発誘致は地域振興につながらなかったと総括しています。原発は豊かな自然をベースにした観光・地場産業の育成を妨げてきたという事実がますます明らかになっています。事故続発も重なり、これまで通りには原子力推進に従えないとの立地点自治体の「反乱」も相次いでいます。
福島県でも、知事が、プルサーマル計画や福島原発増設に難色を示し、政府の核燃料サイクルに否定的な見解を出してきています。
鹿児島県川内の原発増設問題でも、地域の活性化につながらない原発に対して、県知事が留保しました。
欧州では、原発には安全性も経済性も確保できないとの理由から脱原発の流れが生まれています。日本でも東海1号を手始めに、敦賀1号や美浜1号など原発の廃炉が課題になっています。原発新増設が進まなければ、「原発からの脱却」は不可避です。国民の多数は原発新増設の中止を望んでいます。取り返しのつかない原子力重大事故が起こる前に、国際的な脱原発の流れを教訓とし、日本でも政府が率先して、エネルギー消費の大幅削減、原発の新増設中止・即時閉鎖、再処理・プルトニウム利用政策の中止を打ち出すべきです。
ところが、政府・与党は、JCO事故を契機に、「重大事故は絶対に起こらない」とのこれまでの主張を無責任にかなぐり捨て「重大事故は起こりうる」と開き直っています。
JCO事故の直後、重大事故への不安が高まる中、政府は「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」を形だけの審議で強硬採択し、金で頬をたたく旧来のやり方で乗り切ろうとしました。「それでも足りない」と判断した政府・与党は、「エネルギー基本法」案を国会に上程しようとしています。
5月26日と27日、敦賀に集まろう
6年前に引き続き、福井県敦賀市で、5月26〜27日の土日、「原発新・増設を考える」つどいをひらきます。今回の「つどい」が各地での運動の強化拡大の一助になることを願うとともに、敦賀での原発増設阻止の運動の新たな一歩になればと考えています。ぜひとも全国から集まって下さい。ともに、原発新増設反対運動を交流し、議論しましょう。
「原発新・増設を考える」つどいの第1部では、「げんぱつの夢と現実」をテーマに原発誘致が地域振興につながらず、逆に地場産業の育成を阻害している現実を具体的な各地の実状を通して暴き出します。
第2部では「揺らぐげんぱつ」をテーマに、阪神・淡路大震災以降も各地で多発する地震、立地点付近での活断層の発見、原発の耐震設計の問題点を暴き出します。
第3部では「止めようげんぱつ」をテーマに、各地の運動を交流し、アピールを採択し、政府や福井県知事への申し入れなどを採択する予定です。この5月27日には柏崎刈羽村でプルサーマルの是非に関する住民投票が行われます。これにも連帯したく思います。
翌日の5月28日には福井県へ申し入れを行う計画です。
このつどいを成功させるため、カンパをぜひお願いします。「つどい」の案内を敦賀市内に新聞折り込みし、各地からの参加者に旅費を少しでもまかないたいと思います。
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郵便振込 |
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口座番号: 00940−2−100687
加入者名: 若狭ネット
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「つどい」の問い合わせ: 久保(TEL/FAX 0729-39-5660)
原発新・増設を考える
共 催:原発に反対する福井県民会議、つるが草の根の会、若狭連帯行動ネットワーク
参加費:無料(会場で別途カンパを取らせて頂きます)
第1部:「げんぱつの夢と現実」
日時:5月26日(土)午後2時〜5時
場所:敦賀市福祉総合センター「あいあいプラザ」
2階 ふれあいホール (敦賀市東洋町4−1 電話0770-22-1700)
講演:「げんぱつの夢と現実」
長沢啓行(大阪府立大学)
立地点から:全国の状況、
福島第一7・8号、
敦賀3・4号、川内3号など
第2部:「揺らぐげんぱつ」
日時:5月26日(土)午後7時〜9時
場所:敦賀市福祉総合センター(第1部と同じ会場)
講演:「揺らぐげんぱつ --- 多発する地震」
橋本真佐雄(神戸大学)
立地点から:上関1・2号、島根3号、浜岡5号、志賀2号など
第3部:「止めようげんぱつ」
日時:5月27日(日)午前9時〜12時
場所:敦賀市勤労福祉センター会議室
(敦賀市三島町2−1−6 電話0770-23-5411)
運動の交流と討論、アピール採択(全国アピール、政府と福井県への申し入れ)
<編集後記>
ニュース発行準備中に訃報が届きました。日高原発反対でともに闘った和歌山の泉谷富子さんが亡くなったとの知らせ。 美浜原発事故を起こした年に神戸大学の中川保雄さんが亡くなりちょうど今年で10年。原発をめぐって、友との出会いと別れ。1日も早く「げんぱつはなくなったよ。」と、天国の友に告げたいと切に思う。ご冥福をお祈りします。 「きよ子」
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