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「原子力発電所の廃炉問題に関する提言」が出されました

「原子力発電所の廃炉問題に関する提言」が出されました

原子力発電に反対する福井県民会議が今年4月に「原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会」を立ち上げ、12月14日の第5回会合で下記の提言が出されました。

原子力発電所の廃炉問題に関する提言(pdfはこちら
2019年12月14日
原子力発電に反対する福井県民会議
原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会

—-<提言p.1より>—————————-
2019年12月14日

原子力発電所の廃炉問題に関する提言

原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会

「原発15基体制」にあった福井県では7基で廃炉が決められ、「数十年で解体・撤去」の廃止措置が進められつつあります。全国でも福島事故以降、21基の軽水炉が廃炉になり、廃炉問題が全国課題になっています。そのような中、「原子力発電に反対する福井県民会議」の委嘱を受け、「原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会」が2019年4月に発足し、廃炉問題を①原子炉建屋の解体撤去問題、②使用済燃料の取扱問題、③廃炉段階の地域経済問題の3つに分けて議論してきました。4月末から8月末までの4回の会合をすべて公開し、福井県民会議や一般の参加者からも広く意見を求め、それを積極的に取り入れ、参加者と認識を共有し、一致させながら、本提言を取りまとめてきました。
廃炉は原発再稼働と密接に絡んでおり、切り離せません。使用済燃料の乾式貯蔵への移行は再稼働のためプールを空けることにつながり、原発重大事故やプールでの溶融事故の危険を高め、使用済燃料を生み出し続けることになります。廃炉後の地域経済を所内他号機再稼働やリプレースなどに頼るのは、すでに破綻した「原発依存による地域振興」の失敗を繰り返すだけです。巨額の対策費回収のための利益優先の強硬運転を招き、機器にひび割れなどの異常が見つかってもそのまま最大24ヶ月までの運転継続を可能にする新検査制度の来年4月施行とも相まって、重大事故の危険を高めることにつながります。
ドイツでは、福島事故を機に倫理委員会が設けられ、「将来の世代に未解決の問題を残す原発は倫理に反する」、「再エネへの投資は子どもの教育への投資のようなもの」、「リスクのより小さい代替手段がある以上、脱原発は可能だ」と結論づけています。「原発がなければ暗闇の世界」、「原発は安価、安定で安全」というかつての主張は真っ赤な大ウソでした。原発ゼロでも電力は余り、再エネだけで電力を賄える時代に入っています。今や原発は再エネ普及を妨害し、倫理に反する存在にほかなりません。
このような認識のもと、検討委員会として、次のように提言します。

提言1:「廃炉」にされた原子力発電所の廃止措置においては、放射能で汚染された原子炉建屋等施設・構造物、機器・配管等の早期の解体撤去は行わず、そのまま密閉管理し、少なくとも100年程度の安全貯蔵期間をとるべきです。

提言2:福島事故を繰り返さないため、また、放射能汚染の危険が何万年も続く使用済燃料をこれ以上生み出さないため、原発の運転を止めるべきです。廃炉原発の使用済燃料乾式貯蔵は、運転中の原発のプールを空けるために利用されようとしており、福井県内・県外のどこにも立地を許すべきではありません。すでに生み出された使用済燃料は、再処理も、深地層処分も行うべきではなく、見える形で超長期に密閉管理すべきです。しかし、その具体的な方法については脱原発の下でしか国民的合意が得られないことを認識しなければなりません。

提言3:廃炉ビジネスは幻想です。廃炉後の地域経済を展望するためには、所内他号機の再稼働や増設などをあてにした原発依存体制と発想を転換し、住民自らが「廃炉を求め、原発依存の現状を打破する」姿勢に転じることが不可欠です。廃炉をチャンスと見なし、地域に根ざした地消地産の地域分散型エネルギー社会に基礎を置く地方分権型社会をめざすべきです。農林水産業の持続可能な「第六次産業化」で地域の雇用と収益を確保し、観光需要や農漁山村体験需要を地域へ呼び込むなど、力を合わせて、ハコモノ行政と原発依存社会からの抜本的脱却を図っていきましょう。

各提言には、なぜ、このような提言をするのか、その根拠は何かという素直な疑問に答えるため、それぞれに詳細な理由を付けています。そちらも合わせてご覧頂き、御意見をお寄せ頂ければ幸いです。

最後のページに下記の「声明」もついております:
2019年12月14日
関西電力による金品授受問題に関する声明
原子力発電所の廃炉問題に関する検討委員会

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