若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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若狭ネットニュース第167号を発行しました

若狭ネットニュース第167号を発行しました

第166号(2017/7/31)(一括ダウンロード5.0Mb
巻頭言-福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないで!
 今なら撤回させられる 反対署名を拡大し撤回させよう
原発優先の「エネルギー基本計画」を脱原発・再エネ優先へ!
「科学的特性マップ」による核のゴミ処分地の立地推進反対!
 原発再稼働を中止し、使用済核燃料を生み出すな!
 原発再稼働と一体の使用済核燃料の乾式貯蔵反対!
(1)2017年7月8日地元の藤井寺市で「日本と再生」上映会を行う
 子どもたちの未来を考える会久保きよ子
2017年7月8日「日本と再生」上映会アンケート
 子どもたちの未来を考える会編集
映画会をやり終えて、今、改めて思う 久保きよ子
(2)高レベル放射性廃棄物の地層処分反対!「総量管理」を! 原発再稼働をやめ、これ以上使用済核燃料を生み出すな!
(3)伊方3号運転差止仮処分申立を却下した松山地裁決定は「規制の虜」を追認する「司法の虜」か
大阪府立大学名誉教授 長沢啓行

2017年10月末締切の新しい署名用紙はこちらWord版はこちら

署名拡大用リーフレットはこちら

<巻頭言>
福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないで!
今なら撤回させられる 反対署名を拡大し撤回させよう
原発優先の「エネルギー基本計画」を脱原発・再エネ優先へ!
「科学的特性マップ」による核のゴミ処分地の立地推進反対!
原発再稼働を中止し、使用済核燃料を生み出すな!
原発再稼働と一体の使用済核燃料の乾式貯蔵反対!

8.6兆円の託送料金転嫁による東電救済を許すな

今年5月に策定された東京電力再建計画=「新々・総合特別事業計画」は21.5兆円にも上る損害賠償・廃炉費の大半を電気料金や税金で賄い、東電役員・株主・金融機関を免責し、東電の救済を図るものです。その重要な柱が「8.6兆円の託送料金への転嫁」です。新電力へ契約変更した電力消費者からも損害賠償・廃炉費を回収することで、東電や電力大手は競争力を維持しようとしています。これができなければ、原発はコスト高で維持できません。
関西電力は、新電力契約者にも原発コストを負担させる一方で、自社契約者には電気料金を値下げしようとしています。こんな理不尽なことは許せません。
ところが、ここに来て、5倍以上に増える送配電網更新費を賄えなくなる恐れが判明するなど、「8.6兆円の託送料金への転嫁」の矛盾が顕在化し、経産省は省令改訂を具体化できない状態に陥っています。今、反対署名を拡大して、さらに追い込めば撤回させられる! — その展望が開けてきました。福島原発廃炉費は8兆円では済みません。膨れ上がった増分が託送料金へどんどん転嫁されていきます。
それを阻止できるのは今です。反対署名の拡大にご協力下さい。10月末が第4次集約です。11月に反対署名を積み上げて提出・追及し、撤回させましょう。

東電の責任は原発を再稼働させること・・・??

「東電は福島への責任を一体どう理解しているのか?」田中原子力規制委員長から詰問された川村隆東電会長は7月10日、次のように答えています。
「直接的には・・・賠償、除染、廃炉作業が責任の直接的な部分として残っている。・・・もう少し根源的な責任として・・・今後の原子力の活用に関して大変な不安を国民及び世界に与えたという大きな責任も残っている。したがって・・・原子力が日本のエネルギーにとって非常に大事なものなのだ、原子力なしではこの後やっていけないというところをいろいろな形で東京電力が示していくというところが非常に大事だろうと思っております。・・・事故を起こした当事者が過酷事故に関して、これだけの準備がその後できて、発電所がきちっと動かせたということがもし国民の方にわかれば、それは非常に大きな原子力に対するものになると思います。・・・ここで新しいタイプの原子力がきちっと動かせることを見せるという責任は東京電力に大変にあると思っていまして、それが、非常に時間がかかることではありますけれども、我々が達成したいことです。」川村会長は原子力メーカー日立の出身であり、柏崎刈羽6・7号は新型沸騰水型炉ABWRで日立・東芝・GE社製です。これを再稼働させることが東電の根源的な責任だというのです。このような東電を免責し救済するために、私たちが電気料金や税金で東電を支えるよう強いられ、さらに託送料金で強要させられようとしているのです。絶対に許せません。

トリチウム汚染水海洋放出の「判断はもうしている」

川村会長は、福島第一原発の汚染水対策で溜まり続けるトリチウム汚染水について、「(薄めて海洋放出する)判断はもうしている。規制委委員長と同じ意見だ」と発言し(共同通信7月14日)、福島県漁連や県水産市場連合会が即刻抗議文を出し、全国漁業協同組合連合会も19日に川村氏を呼びつけて厳重抗議しました。発言の撤回を求められた川村氏は、「会社としても個人としても判断した事実はない」「(東電が判断したという趣旨で)発言した事実はない」と弁明し、発言を撤回していません。海洋放出が基本方針なので撤回できないのです。他方、「同じ意見だ」と名指しされた田中委員長は「私の名前を使ってああいうことを言ったのは、はらわたが煮えくりかえりますよ」と憤慨していますが、トリチウム汚染水の海洋放出を東電が主体的に進めるよう迫っているのです。
福島の汚染水タンクには約100万m3の汚染水が溜まっており、多核種除去設備ALPSでトリチウム以外の放射能の大半が除去されたALPS処理水は約78万m3、ここに約700兆Bqのトリチウムが含まれています。平均濃度は約90万Bq/Lですが、事故直後の汚染水では200万Bq/Lにもなります。排出可能な告示濃度限度は6万Bq/L、東電の運用目標は1,500Bq/Lですので、告示濃度限度の15~33倍、運用目標の600~1300倍にもなります。これを薄めて海洋放出するというのですからとんでもありません。

東電を破産処理し、再稼働を阻止し、脱原発へ

東電はフクシマ事故の責任をとっていません。政府も東電に責任をとらせず、国の責任もとらずにすませ、原子力被災者と国民にすべての負担を押しつけ、柏崎刈羽原発を再稼働させることでフクシマをなかったことにしようとしているのです。そのために送り込まれたのが川村会長なのです。こんな東電救済策は断じて許せません。今こそ、東電を破産処理し、株主・金融機関に債権放棄させ、福島第二原発4基を廃炉にすべきです。事故を起こした東電が柏崎原発7基を再稼働させるなどもってのほかです。
原発はなくても電力は余っています。フクシマを繰り返す危険を冒してまで原発を再稼働させることは正当化できません。経済活動の自由は人格権より劣位にあります。原発再稼働は憲法違反です。

原発優先のエネルギー基本計画を見直せ

欧米では、フクシマ原発事故を深刻に受け止め、脱原発と再生可能エネルギーの普及に努め、今や太陽光・風力の発電単価は火力や原子力をしのいでいます。その結果、フランスでも原子力メーカーや電力会社が経営危機に陥り、再生可能エネルギーへ軸足を移し、原発比率を75%から50%へ減らす政策がとられています。米ではシェールガスの拡張や原発建設費高騰が重なってはいますが、原子力メーカー最大手のウェスチングハウスの経営破綻と東芝の債務超過はその裏返しです。安倍政権の原発輸出戦略は幻想に終わろうとしています。
今年は「エネルギー基本計画」を改定する年に当たります。「2030年に原子力22~20%」という目標を破棄し、脱原発・脱石炭火力の方向を明確にし、再生可能エネルギーの抜本的普及を図るべきです。
再生可能エネルギーを少なくとも「2030年に40%程度」、将来的には100%を目指すべきです。そのためには、原発全基を再稼働させることを想定して太陽光・風力に制限を加える「接続可能量」制度を撤廃し、欧米のような「再生可能エネルギーの優先接続、優先給電」を実現すべきです。

発送電分離を早め、送電網を公的管理に移せ!

電力自由化を進めるため、2020年には発・送電が分離されますが、送電網は法的分離に留まり、電力会社の影響力が残ります。再生可能エネルギーを最大限に普及させるためには所有分離を断行し、送電網の所有権を中立機関へ移すべきです。欧州の例のように全国統一の送電網として公的管理すれば、太陽光や風力の地域的・時間的な変動を送電網を介して平準化させられます。動かない原発のために送電線を空けておく勝手な運用や「接続可能量」で自社都合を優先させる送電網管理をやらせないことが重要です。

3.8兆円の安全対策費は廃炉後に回収できる

電力会社にとって送配電事業は利益の出る「打出の小槌」です。これを手放せば原発を維持できないと公言してはばからなかったほどです。福島事故の損害賠償・廃炉費等8.6兆円を送配電網利用料金=「託送料金」へ転嫁しようとする今回の動きもその一環です。原発コストの「託送料金」への転嫁を許さず、送電網の所有分離へ進むことが重要です。
とくに、原発再稼働のための安全対策費は9電力で3.8兆円に上りますが、たとえ再稼働できず廃炉になっても、後から託送料金で回収できる仕組みが今回の「8.6兆円の託送料金への転嫁」に組み込まれています。金額としては廃炉6基分に限られますので0.2兆円と少ないのですが、42基分となると安全対策費を含めて6兆円規模へ膨れあがるのです。こんな理不尽な仕組みの導入を許してはなりません。

原発経営をやめれば電気料金は下がる!

東電を破産処理して債権放棄させれば8.6兆円が浮きます。原発を廃炉にすれば1兆円強の原発維持費が浮いて電気料金を下げられます。
現に、関西電力は2015年6月の前回値上げ時に美浜1・2号と敦賀1号の廃炉で「費用減少額は96億円程度(現在精査中)」になることを認め、この分を値上げ抑制に使いました。しかし、これは「精査中」の金額にすぎず、実際には年500億円以上浮くはずです。関電は、「精査した結果」を未だに公表せず電力消費者へ還元しないまま、高浜3号の営業運転入りを機に8月1日から電気料金を値下げしようとしています。他方では、美浜1・2号の廃炉時に損失計上すべきコスト603億円(廃炉費積立不足金112億円と未償却資産491億円)を託送料金へ転嫁し、新電力の消費者からも回収しようとしているのです。こんな理不尽なことは許せません。

使用済核燃料を生み出すな!乾式貯蔵反対!

「科学的特性マップ」が公開されましたが、地震・火山国の日本に深地層処分の適地などありません。
高レベル放射性廃棄物を生み出さないことが現世代の責任です。それには原発の再稼働を阻止し、使用済核燃料をこれ以上増やさないことが肝心です。原発立地点では、原発再稼働と一体のものとして、使用済核燃料の乾式貯蔵計画が進められようとしています。これは、立地場所によらず、5年以上冷却した使用済核燃料をプールから搬出し、空き容量を作るためのものです。原発が動けば毎年新たな使用済核燃料がプールへ排出され、ここで5年以上冷却しなければ乾式貯蔵へは移れません。高熱を発する5年間こそがプール事故の危険が高い時であり、「乾式貯蔵への移行」ではこの危険をなくすことはできません。むしろ、その危険が一層高まるのです。
安倍政権は追い込まれています。損害賠償費・廃炉費の託送料金への転嫁も、経産省の思いとおりには行っていません。粘り強く闘えば勝てる条件が拡大しています。ここが正念場、ともに闘いましょう。

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