2000.7.6の若狭ネットの「『BNFL製MOX燃料問題に関する調査について
(最終報告)』に関する公開質問状」に対する
 
関西電力の文書回答
 
(2000.8.31夜に関西電力本社から若狭ネットへFAX送信:ゴシックが回答、括弧内は引用者の補足)
 
 
1.関西電力の責任について
 
(1)最終報告書に書かれている通り、1995年2月〜1998年10月の資格審査において、BNFLのMOX燃料加工実証施設MDFでは「外径のばらつきが小さいペレットを製造する工程性能が十分でなかったこと」(p.31)および「ペレット抜き取り外径検査の自動化が遅れていること」(p.30)など設備に不備がありました。しかも、これらの改善を三菱重工業がBNFLに要求して拒否され、妥協したことを貴社は報告を受けて知っていました。ところが、「妥協した点があった」(p.33)という責任は三菱重工業にあり、貴社にはないかのように書いています。
 貴社は「MDFにおける作業実態の把握・確認、および製造中監査を実施していなかった」し、「三菱重工業の品質保証体制が不十分であるとの認識にも欠けていた」(p.34)としています。これはこれ自身で問題だとしても、MDFのMOX燃料ペレット製造能力に問題があったことは三菱重工業だけでなく貴社も十分認識していたはずです。貴社は三菱重工業から報告を受け、1998年以降3回の立会検査を行っており、「知らなかった」はずはありません。BNFLのMDFではMOX燃料ペレット製造能力や抜き取り検査設備に欠陥があり、その改善を三菱重工業を介して求めながら拒否されて妥協した責任は貴社にもあると私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:BNFLのMDF工場MOXペレット製造に関しては、研削機の管理方法を改善させることにより当社の要求仕様を満足できるMOX燃料が製造できると判断していました。
 データ採取、記録の自動化等については、三菱重工業から資格審査時の改善要請等について報告を受けていませんでした。
 今後は当社が海外MOX燃料メーカーに対し監査を実施し、品質保証・品質管理の状況を確認、評価することとします。
 
批判:「外径のばらつきが小さいペレットを製造する工程性能が十分でなかった」としながら、「研削機の管理方法を改善させることにより当社の要求仕様を満足できるMOX燃料が製造できると判断していました」という弁明は、ポンコツ自動車でも運転に気をつければ安全にドライブできるというのと同じ理屈である。ポンコツ自動車を直すのが先決であり、性能の悪い研削機を改善せずに工程管理の仕方を工夫することで無理矢理使うことを了承した点が最大の問題点である。品質を作り込む工程になっていないことを知りつつ、反対を押し切って自己責任で加工発注したのは関電であり、三菱重工業ではなく関電に最大の責任がある。
 
(2)BNFLからスイスのベズナウ原発に納入されたMOX燃料で過剰な放射線が漏れ1997年に回収されていたことが昨年末に明らかにされました。貴社はこれを知っていたはずです。にもかかわらず、1998年4月に武生市で開かれた若狭ネットとの公開討論会では、MOX燃料のトラブルや不良は「BNFLのMDFという工場ではない」と断言し、「自分でペレットの品質管理をやっている。具体的には彼らのデータをチェックすること、あるいは直接乗り込んでいって現地で検査すること、その併用をしている」と主張していました。貴社は私たちや福井県民に嘘をついていたのですか。最終報告書でも、スイス向けMOX燃料の欠陥問題に関する記述はなく、MOX燃料発注前の資格審査で製造欠陥の履歴に関する調査を行っているはずですが、何も記載していません。三菱重工業と貴社の資格審査能力にも根本的な欠陥があるように思われますが、いかがですか。
 
回答:公開説明会では当時の公開情報を基に説明させて頂かざるを得ず、ベズナウ発電所でのMOX燃料のリークについては、当社から説明しておりません。当社はベズナウ発電所のリークについて、リーク発生当時、BNFLより内々に聞いていました。
 その後、リーク原因の情報を入手し、当社向け燃料については対策がなされ、同様なリークが発生しないことを確認しました。
 
批判:「当社から説明しておりません」というのではなく、「ベズナウ発電所でのMOX燃料のリークについては」リークそのものがないという説明であった。明らかに嘘をついたのであり、それを福井県民と国民に謝罪し、自己責任をとるべきである。その上で、入手したリーク原因の情報、再発防止のためにとられた対策、同様なリークが発生しないことを関電がいつどのように確認したのかについて、公の場で具体的に説明すべきである。
 
(3)再発防止策として貴社が挙げているように、「品質を作り込む工程となっていること」(p.50)、「品質の安定した製造工程であること」(p.51)が品質保証の基本です。ところが、MDFではバラツキが大きく不安定な工程でした。それを三菱重工業も貴社も知りながら、MOX燃料の製造を発注したのです。しかも、福井県から設置変更許可申請を行うための事前了解も得ないまま、1998年1月にMOX燃料加工を強行しました。それは「関西電力としての自己責任において」ではなかったでしょうか。製造能力が不十分であることを知りながらBNFLに発注した最終責任は貴社にあります。貴社には発注者としての第一義的責任があり、その責任は極めて重大であると私たちは考えますが、いかがですか。また、貴社はその責任をどのようにとるつもりですか。
 通産省の電気事業審議会は、貴社報告書のすぐ後の6月22日に報告書を出し、「MOX燃料については設置許可取得前に電気事業者の自己責任で製造が行われていた」(p.12)が、「MOX燃料の製造は、MOX燃料の使用に係る原子炉設置(変更)許可がなされた後に開始されることが必要である」(p.23)と指摘しています。これは、通産省が貴社の自己責任に任せていたのは失敗だったと評価しているからです。通産省は「法制度の原則に従い」製造中および製造されたMOX燃料については適用しないとしていますが、貴社は、貴社の自己責任において、製造中および製造したMOX燃料をすべて破棄すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:外径のバラツキの問題については、三菱重工業はBNFLに対し、研削機の管理方法を指導、改善させ、その効果を確認した結果、工程管理を適切に行えば、当社の要求仕様を満足するペレットは十分加工可能と判断しておりました。
 
回答:(関西電力は自己責任で製造中および製造されたMOX燃料を廃棄すべきではないかについて)通産省の検討委員会報告書で新しい輸入燃料体検査制度は、輸入燃料体検査申請前であるが製造が開始されたMOX燃料には、法制度の原則から遡って適用しないことが適当と記載されております。
 当社としては、MELOXで製造中のMOX燃料については、十分実績のある商業規模の工場で適切な品質保証・品質管理体制のもと製造されていると考えており、当社向けMOX燃料の品質について第三者機関による確認も受けています。
 
批判:関電は、MELOXだけでなくMDFについても、MOX燃料製造の実績があり「適切な品質保証・品質管理体制のもと製造されていると考えており、当社向けMOX燃料の品質について第三者機関による確認も受けています」と言っていた。それが嘘であった以上、MELOXについても、MOX燃料製造に係る全情報を公開し、公開の場で説明し、製造中のMOX燃料をそのまま使って良いかどうか福井県民と国民の信を問い、皆が安心できるようにすべきである。
 
(4)BNFLでMOX燃料の品質管理データねつ造が行われた時期に、日本ではMOX燃料等輸送容器の中性子遮蔽材レジンのホウ素・水素含有量に関するデータ改ざん・ねつ造事件が発覚し、大問題になっていました。1998年10月の同事件発覚後、貴社は設計に適合しない欠陥輸送容器を破棄するのではなく、設計基準の方を製造欠陥に合わせて修正し、同年末に欠陥輸送容器のまま設計承認の再申請を行い、今回のMOX燃料輸送に用いました。結局、運ばれたMOX燃料も欠陥品でした。MOX燃料の審査、発注、製造、輸送のすべてがいい加減で、品質保証の原則を崩すものだったのです。このままプルサーマルをあくまで強行するようなことは断じて許されません。貴社の自己責任においてプルサーマルを中止すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:エネルギー資源の乏しい我が国にとって、原子力発電や使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウムをリサイクルすることは、エネルギーセキュリティーの確保の観点から重要であると考えております。
 今回のデータ問題により、社会的信頼を損ねたため、地元の理解、信頼の回復を得た上で進めていきたいと考えています。
 
批判:今回のプルサーマル問題を、プルサーマルが一般的に必要かどうかの議論にすり替えることは許されない。今回のようにMOX燃料や輸送容器の製造時のデータねつ造が発覚し、その安全性が問われ、安心もできないプルサーマルについてはいったん白紙に戻すべきである。その上で、プルサーマルを行うべきかどうか、実用化見通しの立たないFBR開発に関する原子力研究開発利用長期計画策定に係る議論も踏まえて、国民的討論を行うべきである。
 
(5)今回のMOX燃料海上輸送においては、輸送ルート沿岸諸国の輸送反対・憂慮の声を無視し、核拡散の危険を冒してまで輸送し、JCO臨界事故発生直後の昨年10月1日、MOX燃料輸送船の高浜原発への着岸を強行しました。貴社は、運んだMOX燃料のデータ不正が明らかになるや、今度は欠陥MOX燃料を逆ルートで持ち帰れとBNFLに求めています。BNFLに直接的な不正の責任があるとはいえ、すべては貴社の自己責任で行ったことであり、貴社が第一義的責任をとるべきです。それは、海難事故と核ジャックの危険があるMOX燃料輸送を強行して、輸送ルート沿岸諸国住民の命と健康、平穏な生活をもてあそぶことではなく、プルサーマルを中止し、MOX燃料輸送を今後一切行わないことだと私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:MOX燃料の返送については、当社としてBNFLに責任を持って不正のあったMOX燃料の処理を行わせる必要があること及び地元の皆様のご意見も踏まえ、BNFLに対し要求し、返送することを合意したものです。
 MOX燃料輸送に関しては、安全を第一に考え、また沿岸国をはじめ関係の方々からのご理解を頂きながら具体的な返送方法の検討を行い、進めてまいりたいと考えております。
 
批判:安全管理のずさんなBNFLにMOX燃料の処理を行わせるのは危険である。BNFLの責任を問うのであれば、「今後のMOX燃料の加工については、不正のあった工場(MDF工場)では実施しない」(関電リーフレット)というだけでなく、SMPでも加工しないことにすれば、返送する必要はない。「地元の皆様のご意見を踏まえ」るだけでなく、MOX燃料返送ルート諸国住民のご意見も踏まえるべきである。
 
(6)貴社はこれまで、BNFLの品質管理・保証システムはISO9002の認証や4回のサーベイランス更新を受けているから大丈夫だと主張してきましたが、それは誤りでした。たとえ経営方針に反することがあっても、システムを厳格に実施できるような企業文化がなければ無意味であることが明らかになったのです。貴社についても、「監査を実施していなかった」ことが問題だったとされていますが、「監査を厳格に行える状況になかった」ことが最大の問題だと私たちは考えますが、いかがですか。
 貴社は、MOX燃料加工費を抑え、プルサーマルを1999年度中に実施するという経営方針を最優先し、スケジュール通りに、福井県の事前了解もないままMOX燃料加工を発注し、三菱重工業とともに、MDFの欠陥設備でのMOX燃料加工を妥協的に認め、品質管理・保証レベルの緩和を妥協的に認め、結果としてデータの不正を招いたのです。もし、品質管理・保証・監査を厳格に行ったとすれば、このような「妥協」を行わず、あくまで工程のバラツキを少なくし工程を安定化させるための技術改良を求め、抜き取り検査データ計測・記録の自動化を求めたはずです。しかし、それはプルサーマルの実施スケジュールを遅らせるだけでなく、MOX燃料加工費を引き上げることにもなります。このような結果を避けたいからこそ、一連の「妥協」を行ったのではありませんか。
 また、BNFLは民営化のためにコストダウンと利益率向上を英国政府等から具体的に求められ、徹底した人員削減と経営効率化を図っていました。貴社も、電力部分自由化を目前にして人員削減をはじめ原発発電原価のコストダウンに奔走していました。MOX燃料加工費のコストダウンとスケジュールを優先させるという両者の一致した経営方針の下で、品質管理や品質保証の手を抜く企業風土が醸成され、品質管理検査員やオペレーターのモチベーションも低下し、品質管理データの不正を招いたと私たちは考えますが、いかがですか。
 品質管理のシフトチームリーダーが品質管理要領書を見たことも読んだこともないという状況では、一般のオペレーターにはデータねつ造がどのような意味を持つのかを理解できなくて当然ではないでしょうか。その構図はJCO事故を招いた構図と非常によく似ています。解雇された4人の作業員に直接的な不正の責任があるとはいえ、最も強く責められるべきは、プルサーマル実施スケジュールとMOX燃料加工費削減を最優先させ、ずさんな品質管理・保証・監査状態を招いたBNFL−三菱重工業−貴社の経営責任だと私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:MOX燃料の品質は、高い品質意識の下に、当社、元請け会社、海外MOX燃料メーカーが一体となって保証するものであり、品質保証・品質管理の仕組みを確立し、適切に機能させる必要があると考えます。
 今回の問題については、不正があることを前提とした詳細な確認を行っていなかったことから不正を未然に防止できなかったものと考え(て)おり、今後のMOX燃料の加工においては、品質保証・品質管理の仕組みが適切に機能していることを十分確認し、問題がある場合は指導を行う必要があると考えます。
 
回答:(関西電力がBNFLの品質管理・保証レベルを妥協したのは、MOX燃料加工費を引き上げることを避けたのではないかについて)当社は、品質、安全を第一に考えて進めております。
 
回答:(BNFL、関西電力共にコストダウン・スケジュール優先の利害のため、品質管理に手を抜く企業風土が生まれたのでないかについて)当社は、品質、安全を第一に考えて進めております。
 BNFLの意見を踏まえ、製造期間に十分余裕を持たせ加工を行っており、コストを下げるために品質管理に手を抜くようなことを行っておりません。
 
批判:関電は1981年から全社的品質管理TQCに取り組んでおり、約20年の実績を有する。「品質、安全を第一に考えて進めております」というのが単なるお題目になっていたことが今回判明した。その点の真摯な自己批判がない。関電が、品質を作り込む工程になっていないことを知りつつ発注したこと、監査を実施していなかったこと、関電の立ち会い検査も貧弱であったこと、不正が発覚して市民側からも助言されながらそれを無視したこと、これらは品質管理の手抜き以外の何者でもない。なぜこうなったのかという反省がなければ同じことが繰り返される。「不正があることを前提とした詳細な確認を行っていなかった」というのは詭弁である。不正の有無に関わらず品質管理を厳格に行い、また、行われていることを確認しておれば、今回のような事態は防げたはずである。ところが、それには、不安定な工程の改善やペレットの再三の作り直しが必要になり、コストと時間がかかる。予定されたプルサーマル計画に間に合わないし、MOX燃料加工費も高くなる。だから、上記のような品質管理の手抜きを行ったとしか考えられない。それとも、関電には品質管理を手抜きしているという自覚がなかったのか。とすれば、電力事業として初めて1984年11月にデミング賞実施賞を受賞した20年にわたる関電のTQCは一体何だったのか。
 
(7)貴社は、三菱重工業が立会検査を頻繁に行い、データの統計処理を継続的に行っていたら、不正の「抑止力となった可能性がある」(p.32)と指摘していますが、昨年9月に高浜3号機用ロットの不正が発覚して以降、三菱重工業と貴社が、海上輸送中の高浜4号機用MOX燃料に関する「データの統計処理を系統的に行っ」たにもかかわらず、その不正を発見できませんでした。装荷直前のMOX燃料が使用中止になってから、ようやく「発見」できたのです。このことは、たとえプルサーマルが中止になろうとも、貴社の経営方針に反しても、品質保証を厳格にやろうという技術者の意識性がなければ、不正を見抜けないということを示唆しています。
 昨年9月の貴社の中間報告には、全数自動計測データと抜取検査データの平均値の差の分布図3­4と標準偏差の差の分布図3­5が示されています。私たちはこれらの図から両母集団が別のものであることを一見して見抜きました。つまり、抜取検査データの大半が異常だと判断し、抜取検査時にランダムサンプリングを行わなかったか、データをねつ造したかのいずれか、または、両者が同時に起きている可能性があることを9月29日付け公開質問状で具体的に警告しました。貴社はこれを無視して11月最終報告を出し、プルサーマルを強行しようとしたのです。今回の6月最終報告で、貴社は私たちの警告が正しかったことを追認しています。私たちに判断できたことが、貴社にはなぜできなかったのでしょうか。
 通産省の電気事業審議会報告では、「関西電力の調査体制や能力に問題があったと考えられる」(p.13)と無責任に結論付けています。私たちは、通産省と貴社の「まずプルサーマルありき」の政策と経営方針、それに反する異論を許さない貴社の企業文化に根本的な問題があると考えています。貴社の有能な技術者も品質管理や品質保証の基本技術を修得しているはずです。ところが、彼らは「経営方針を阻害するかも知れない技術的判断は下せない」という状況に置かれていたのです。そのため、本来なら簡単に見抜けるものまで見えなくなったのです。最近の経営効率優先の経営方針が技術者をどのような状態に追い込むかはこの例でも容易に想像できます。その意味では、「無能」呼ばわりされた貴社の技術者も哀れな犠牲者だと言えます。JCO事故はこの顕在化にほかなりません。貴社経営陣にはこの点での深刻な反省が不可欠だと私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:検査員の証言に重きを置き判断を誤ったと考えており、反省しております。
 
回答:(プルサーマルありきの政策・経営方針に異論を許さない企業文化について経営陣は反省が必要ではないかについて)エネルギー資源の乏しい我が国にとって、原子力発電や使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウムをリサイクルすることは、エネルギーセキュリティーの確保の観点から重要であると考えております。
 今回の問題はMDFという特殊な状況で発生したものであり、適切な品質管理を行うことにより、プルサーマルは安全に実施できると考えます。
 
批判:MDFが実験施設で特殊な状況であるということは十分承知の上で発注したのではなかったのか。そのような特殊な状況であればなおさら、品質管理が厳格に実施されるように要求し、それができなければ発注すべきでなかった。MDFに発注したのは関電であり、国内の反対を押し切ってMDFへ発注したのは関電である。
 不正発覚後の調査で「検査員の証言に重きを置き判断を誤った」というが、検査員の証言だけでは不十分だという批判は福井県議会でも行われ、また、市民側は具体的に品質管理の欠陥とデータねつ造の可能性を警告していた。それを無視し続けたのは「判断の誤り」ではなく、プルサーマルを計画通り強引に実施しようとする関電の経営方針があったからである。関電は「反省」するだけでなく、その自己責任をとるべきである。
 
(8)BNFLのMOX燃料加工では「核物質防護」のため抜き打ち検査が行えず、監査の事前通告が必要であり、しかも、一部の場所しか監査できません。このような態勢で、どうして抜取検査の実態に関する監査ができるというのでしょうか。「核物質防護」の壁の前では、BNFLを頭から信じるか信じないかというレベルでしか品質保証がなされえません。それは最初から明らかだと私たちは考えますが、いかがですか。品質管理・保証・監査に重大な制約が課せられるような工場へは安全を最優先すべき原子力関連製品を発注すべきでないと、私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:Puを大量に扱う設備であることから、核物質防護上必要な手続きを行う必要がありますが、全ての作業場所、状態を監査することは可能です。
 現場の確認頻度や実態の把握等の方法が十分ではなかったと反省しています。
 BNFLが意識改革を行い、適切な品質保証体制を確立すれば、核物質防護上の制限が問題となることはないと考えます。
 
批判:「全ての作業場所、状態を監査することは可能」だとしても、事前に「核物質防護上必要な手続きを行う必要があり」、あらかじめ準備されたものだけを見ていては監査になりえない。結局は、BNFLが厳格な品質管理・保証体制をとっていなければ無意味な監査にすぎなくなる。その認識もないのは問題である。
 
2.全数自動検査と抜取検査の関係について
 
(1)通産省の電気事業審議会報告では次のように書かれています:「通商産業省が原子力発電技術顧問の意見を聴取したところ、ロットP824の品質管理データについては統計的に不正を疑うべきであること、また、全数測定データを検査の判断に用いるのであれば不良ペレット選別機能の信頼性等について確認が必要であること等の指摘がなされた。通商産業省は、この指摘内容について関西電力に伝え検討を求めたところ、関西電力としてはロットP824のデータに不正はないと判断するとしつつ、このロットの全数測定データ及び選別機能の信頼性に関するデータを最終報告書に添付することになった。」「その後通商産業省は····ロットP824の品質管理データは合否判断に使用せず、当該ロットの全数測定データ及び選別機能の信頼性を確認することにより判断することを検討していた。しかしながら、····検査申請が取り下げられ法的判断を行うには至らなかった。」(p.14)
 要するに、通産省も貴社も、品質管理データは信用できないが、全数自動検査データが仕様を満足していたらそれで品質を保証できるという見解だったようです。同様に、BNFLも抜取検査を「過剰(2次)検査 an over (secondary) inspection」と呼び、NIIも「外径の2次サンプルチェック(外径の『過剰検査』として知られる)」としています。これは貴社が昨年主張した内容でもあったわけですが、MOX燃料の英国返送を求めた際にNIIが全数検査をやっているから安全上問題ないと主張したことに貴社は納得しませんでした。貴社は上記の見解を撤回したのですか。それとも、今でも同じ見解なのですか。
 
回答:全数測定によって、ペレット外径仕様が満たされていたとしても、検査データに不正がなされているMOX燃料は、契約上当社が求めている品質保証のための検査が正しく行われていないこと、および、不正のあるデータでは、使用に際して必要な輸入燃料体検査申請を行えないことから、使用できないと考えています。
 また、物理的な安全と社会的に安心してもらって使用できることは別問題であり、社会的にも受け入れられないと考え、使用を中止しましたが、輸送に当たって燃料そのものに要求される安全性に問題はないと考えます。
 
批判:後の質問への回答にあるように、全数測定は製造工程の一部であり、全数自動測定では温度が高いなど抜取検査とは測定系も異なる。したがって、全数検査によっては外径仕様が満たされていることは保証できない。抜取検査では、ある工程不良率の下に良いロットと悪いロットが判別され、判断の誤り確率も管理される。それにはランダムサンプリングがきちんと行われ、測定やデータ処理に不正がないことなど品質管理の基本が厳守されていることが大前提である。それが守られていなかった以上、「ペレットの品質は保証されず、外径仕様が満たされている保証はない」と判断すべきである。にもかかわらず、「全数自動データによってもペレット外径が仕様を満足していることが確認できる」とする関電やNIIの判断は基本的に間違っている。もし、そのように判断するのであれば、全数測定で品質保証を行うべきである。なぜ、それができなかったのか?それは、工程内全数自動測定の条件では温度が高いなど測定系が安定していないからであり、全数測定はあくまで抜取検査でロット全体が不合格となる確率を下げることを目的としているからである。抜取検査はコストのかかる全数検査を実施できない場合に、それに代わるものとして考案され、設計されている。全数検査であればランダムサンプリングを行う必要もない。関電はなぜ全数自動測定が行われた後に、測定系の異なる条件下でわざわざ抜取検査が行われているのか、頭を冷やして考えてみるべきである。それが単に契約だからという理解に留まるのであれば、関電の再発防止策は全く役に立たないであろう。
 
(2)他方では、貴社は昨年11月の最終報告で、全数自動測定は外径仕様外のペレットを除外して歩留まりを向上させるためのものであり「全数自動測定と抜取検査の目的は異なる」(p.3)と明記しています。また、全数自動測定後の抜き取り検査で不合格ロットが出ている事実から判断しても、目的の異なる全数自動測定データで品質保証を行うことはできないと言えます。
 にもかかわらず、法的判断を行っていないはずの通産省も、貴社も、全数自動検査をしているから安全だと主張してはばかりませんでした。昨年11月の最終報告に記載した内容と貴社が福井県等で昨年説明してきた内容とは明らかに食い違っています。文書では、後で追及されないよう慎重に記し、口頭ではウソを含めて無茶苦茶なことを主張するという貴社の二枚舌の体質はBNFLの体質と同様に極めて重大です。これは、国内外の原子力産業が全く同じ腐敗した体質に染まっていることを示すものでもあります。この責任を貴社はどのようにとるつもりですか。
 
回答:全数自動測定は、仕様外のペレットを除外し、この工程での歩留まりを向上させるために行っています。抜き取り検査は検査データを採取し、製品の合否を判定するために行っています。全数自動データによってもペレット外径が仕様を満足していることが確認できることから、NIIの報告にもあるよう(に)安全性の確認は可能と考えます。
 しかし、全数測定によって、ペレット外径仕様が満たされていたとしても、検査データに不正がなされているMOX燃料は、契約上当社が求めている品質保証のための検査が正しく行われていないこと、および、不正のあるデータでは、使用に際して必要な輸入燃料体検査申請を行えないことから、使用できないと考えます。
 また、物理的な安全と社会的に安心してもらって使用できることは別問題であり、社会的にも受け入れられないと考えます。
 
批判:抜取検査に不正があっても工程内全数測定・選別だけで外径仕様が満たされているという理解は、品質管理や品質保証に関する科学的常識を関電が持っていないことを示すに十分である。関電は、抜取検査は品質保証とは無関係であり、単なる書類作成上必要とされる手続きにすぎず、余計な手続きだと理解している。これは抜取検査で不正を働いた作業員と全く同じ理解である。これでは、関電に再発防止を期待することはできない。
 
3.外径測定位置と端部の欠けについて
 
(1) 貴社は6月最終報告の参考資料Vで、ペレット外径の中央と両端の3点の測定位置について、全数自動選別では中央付近±2mm(両端から3.7〜4.3mm)、抜き取り検査では中央付近±3.5mm(両端から2.2mm〜2.8mm)としている理由として「研削後のペレットには微小な欠け等の発生が考えられ」るため「ペレットかけが発生しやすいペレット端部からできるだけ離した位置にセットしている」と説明しています。これでは両端部の欠けたペレットを検査もせずに合格させているということになります。しかも、両端を測定しない以上、どの程度欠けが発生しているかも計測されていないことになります。また、このような欠けを検出するためにはペレット外周部全体を検査する以外にありませんが、外径の一断面しか測定しない外径計測では一部しか検出できず、目視による外観検査では小さな欠けは検出できません。このような検査法ではペレットの品質を保証できないと私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:ペレット外径検査はペレット外径が仕様値に収まっていることの確認を行うための検査であり、ペレットの欠けが仕様内に収まっていることを確認するための検査ではありません。
 欠けが仕様内に収まっていることの確認は別途外観検査により行っています。
 
批判:外径測定ではレーザー光による側面の陰を測定しているのだから、欠けが外径に影響するぐらいであれば、かなり大きな欠けである。外径が仕様外になるほど大きな欠けを検出しないように測定位置を内側へずらす必要がなぜあったのか?それは、そのような欠けの発生が予想以上に多かったからであり、選別除去されるペレットを作り直すのに時間とコストがかかるからである。関電は、外径測定の目的は欠けを検出することではないと屁理屈をこねて、測定位置を内側へずらしたことを正当化しているが、欠けを含めてレーザー計測による外径が仕様外であれば「仕様外」と判定すべきである。外径が仕様外になる原因が何であれ、それが仕様外である以上不合格にするという厳格さを持つべきである。にもかかわらず、欠けを検出しないように内側へ測定位置をずらすなどという操作で品質をわざわざ落とす必要がなぜあったのか。
 欠けは外観検査で検出されるというのは本末転倒である。外観検査では欠けが外径に与える影響は検出できない。欠けが外径に与える影響を検出できるのはあくまで外径測定だけである。
 欠けが無視できないほど多発するのであれば、測定位置をずらすのではなく、むしろ、欠けが生じないように「研削技術として確立したセンタレスグラインダ」を改善すべきである。
 関電は、BNFLや三菱重工業と一緒になって、外径測定位置を内側へずらすことで欠けを予防するための設備改善費用や欠けの生じた不良ペレットの作り直し費用を削減したのである。これを品質管理の手抜きと言わずして何と言えばよいのか。
 
(2)また、貴社は事前に測定位置を中央に寄せることをBNFLから知らされて同意し、9月の現地調査でもその説明を受けています。これでは組織的に一体となって両端の欠けたペレットを合格させていたことになります。このような端部の欠けを検出しない外径測定法をなぜ認めたのですか。ペレットの作り直しを避けてコストダウンを図るためには、多少欠けがあっても合格させる以外にないと判断したためではないのですか。
 それとも、貴社の設計仕様では、MOX燃料ペレットは外周部が多少欠けていても良いとしているのでしょうか。もし、万一そうであるとすれば、どの程度まで欠けていても良いとしているのか、欠けの許容範囲を示す設計仕様を示し、それを満たしているかどうかの検査をどのように行っているのか、また、その結果はどうだったのかを示して下さい。
 
回答:測定位置を変更したことは、加工当時には聞いていませんでした。
 ペレットの欠け(に)ついては設計で想定している範囲を超える有害な欠けがないこ(と)を目視による外観検査で確認しています。
 
批判:ペレットの欠けの「設計で想定している範囲」は定量的なものとしては存在しないと思われる。目視による外観検査では欠けの大きさを測定することなどできないからである。
 目視による外観検査で欠けを理由としてはねられたものがどれだけあるのかが問題である。よほど大きな欠けでなければ、外観検査ではねられることはないと思われる。
 欠けを検出しないように測定位置をずらすことを関電が正当化している以上、加工当時にそれを知っていたかどうかは重要ではない。加工当時知っていたかどうかは、測定位置をずらすことが悪かったと関電が認めて初めて意味があるからである。
 
4.抜取検査の方法について
 
(1)最終報告では、「検査員は、測定値が規格値をわずかに超えた場合には、ペレットを90度回転させて再度測定していたことがあった。この方法は要領書に記載されていなかった。品質管理マネージャーは、このことに気づきながら要領書遵守の指導をせず、また、要領書の必要な改訂を行っていなかった」(pp.23­24)と記載しています。90度回転させて再度測定することは重大な手順違反ですが、それ以上に、ペレットの円筒度(テーパがかからず真の円筒形状にどの程度近いかを示す度合)または真円度(断面が真の円にどの程度近いかを示す度合)が悪かったことが推測されます。外径のレーザー計測は影の長さを測定するわけですから、真円度が高くなければ、このような測定方法そのものが間違っています。品質管理の計測システムそのものが製造欠陥を検出できないシステムになっていたのではないかと私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:ペレットは研削技術として確立したセンタレスグラインダで研削され、6月14日付け当社最終報告書に示したよう(に)ほぼ一定の円柱になります。
 ペレットを90度回転させ測定したのは、研削粉の付着やペレットの微少な欠けが原因となり、外径が正確に測定されない可能性があるためです。このような手順が要領書に記載されずに実施されていたことを品質管理上の問題として報告書に指摘したものです。
 
批判:センタレスグラインダでは、円筒度が狂う原因として、@研削砥石を回転させる2軸の軸受けの摩耗等により軸の平行関係がずれる、A砥石の摩耗や研削粉などにより砥石面の平行関係がずれる、などが考えられる。「ほぼ一定の円柱になる」のは確かだが、工学的には公差の範囲内のテーパに留まっているかどうかが問題である。抜取検査の3点測定で最小値と最大値の誤差が外径仕様の範囲でもある25μもあるというのは問題である。もし、ペレットがテーパになっており、中央から±3.5mmの間でこの差があるとすれば、両端では外径が仕様外になっている可能性が高い。測定位置を内側へずらしたために円筒度のチェックができず、結果として両端の外径の仕様を保証できなっている。関電はそれでも良いと判断しているのであろうか。
 
(2)貴社は、私たちの9月29日付質問状への昨年11月5日付文書回答で「全数測定と品質管理用測定では測定系が異なるため、平均値や標準偏差がわずかにずれうる」としています。この「測定系が異なる」というのは、全数自動検査と抜き取り検査とで「中央」や「両端」の測定位置が異なるということ、およびVブロック上に置いたペレットの回転角度が異なるということを意味していたのですか。そうでないとすれば、「測定系が異なる」という意味を具体的に説明して下さい。
 
回答:測定系が異なるとは、測定条件(温度等)の違いを意味してます。
 
批判:公開討論会でも、関電は全数測定の場合は温度が高いと言っていた。それなら、ペレットが膨張しており、外径測定値は抜取検査時より平均も標準偏差も大きくなるはずである。ところが、逆に、抜取検査データの方が平均値が全体として大きい方へずれており、標準偏差も大きくなる場合が多い。これは矛盾している。測定系の違いでは全数自動検査と抜取検査の分布の違いを全く説明できない。
 しかも、測定系が違うことがわかっているのであれば、全数自動データをそのまま品質保証のために使うことはできず、温度効果など測定系の違いを考慮したデータ処理を行う必要があるが、関電はこれまでそれを一切行っていない。全数自動データをそのまま用いて品質保証ができると言い張っている。これは、大問題である。通産省や原子力安全委員会に、全数自動データと抜取検査データには測定系の違いがあることを報告していないのではないか。
 
5.再処理・MOX燃料加工契約について
 
(1)今回のMOX燃料品質欠陥問題を受けて、スウェーデン政府は2月29日、昨年夏に決めていた使用済核燃料4.8tのBNFLへの再処理委託計画を中止しました。ドイツ環境省は3月8日、「安全性に懸念がなくなるまで」MOX燃料の輸入を停止すると発表しました。スイスの北東スイス電力は3月初めにBNFLへ調査チームを派遣しています。これらに続き、最近も欧州では再処理を巡る情勢が大きく動いています。
 ドイツでは6月14日、政府と電力会社が平均寿命32〜34年の脱原発と2005年7月の再処理目的の輸送禁止で合意しました。
 OSPAR会議は6月29日、各国主務官庁が再処理を見直して乾式貯蔵等の非再処理選択肢へ転換することを求める決定が加盟国の3/4の多数で可決されました。ドイツ、ベルギー、スイス、スウェーデンも賛成しました。
 イギリス国内では、ブリティッシュ・エナジー社が再処理契約を使用済核燃料貯蔵契約へ変更するための正式交渉をこの5月からBNFLと開始しています。
 日本はますます孤立を深めています。この際、日本もBNFLとの再処理契約を見直すべきです。日本の電力会社はBNFLとはガス炉・軽水炉計約4千tの使用済核燃料の再処理を契約しています。1300tのガス炉分についてはほとんど再処理が終わっていますが、2700tの軽水炉分はまだ20%弱しか再処理されていません。この際、安全確保のずさんなBNFLとの再処理契約を破棄し、再処理中止を申し入れるべきだと、私たちは考えますが、いかがですか。
 フランスCOGEMAとの再処理契約についても現状で再処理を凍結し、残りの契約を破棄すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:エネルギー資源の乏しい我が国にとって、原子力発電や使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウムをリサイクルすることは、エネルギーセキュリティーの確保の観点から重要であると考えております。
 
批判:エネルギーセキュリティの確保の観点からみても、FBRから切り離されたプルサーマルには意義はない。それでも意義があるというのであれば、プルサーマルがエネルギーセキュリティの確保にどのように貢献するのかを具体的に示すべきである。関電はMOX燃料費がウラン燃料費と比べて高くつく話をする際には燃料全体に占めるMOX燃料の割合が少ないことをあげて正当化し、プルサーマルの必要性を語る際には、逆に、燃料全体に占める割合が大きいかのような説明をしている。
 
(2)英仏ですでに回収されたプルトニウムについては、核不拡散性の高いガラス固化管理方式をとり、英仏とのMOX燃料加工契約を破棄し、SMPとも新契約を一切締結すべきでないと私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:エネルギー資源の乏しい我が国にとって、原子力発電や使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウムをリサイクルすることは、エネルギーセキュリティーの確保の観点から重要であると考えております。
 SMPでのMOX燃料加工契約については、BNFLの再発防止対策の実施状況等を踏まえて判断したいと考えており、現時点では白紙の状態です。
 
批判:返送予定のMOX燃料はBNFLでどのように取り扱われるのか。関電リーフレットに書いているように「今後MOX燃料の加工については、不正のあった工場(MDF工場)では実施しない」とすれば、SMPで再加工するか、フランスで加工するか、MOX燃料加工そのものを断念する以外にない。しかし、「白紙」には、MOX燃料加工の断念の選択肢は入っていない。不正のあったMDF工場だけが問題であり、それを管理運営しているBNFLそのものは問題にならないという根拠が不明である。
 
(3)貴社は、BNFLとの契約が中断状態になったため、フランスCOGEMA社と加工契約しているMOX燃料を先に使おうと計画しています。貴社のフランスでのMOX燃料加工状態についてはまだ何も明らかにされていません。BNFLだけでなくフランスでのMOX燃料加工状況についても全情報を明らかにして下さい。
 
回答:加工状況については、一部公表しているが、実績については加工完了時期を考慮し、公表についてCOGEMAと調整していきたいと考えます。
 仏でのMOX燃料は現在、集合体組み立て中ですが、不具合が発生したため、その再発防止対策を検討中であり、組み立ては中断しています。
 
批判:フランスでのMOX燃料加工に関する情報を公開し、即刻公開討論会を継続的に開くべきである。
 
(4)貴社は、使用済燃料を原発サイトから搬出するための苦肉の策として、経済性がなくウラン節約効果にも乏しいプルサーマルを強行しようとしてきましたが、プルサーマル後の使用済MOX燃料は再処理できないため搬出できる見通しが全くありません。これも、データねつ造を隠してきたのと同様に、福井県民をだますものです。人々を欺き、再処理による放射能汚染と原発重大事故の危険を高めるプルサーマル計画を白紙撤回すべきだと、私たちは考えますが、いかがですか。その上で、関連データを全面公開し、再処理・プルサーマルの是非について国民的討論を各地で開くよう確約すべきだと、私たちは考えますが、いかがですか。
 
回答:エネルギー資源の乏しい我が国にとって、原子力発電や使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウムをリサイクルすることは、エネルギーセキュリティーの確保の観点から重要であると考えております。
 MOX燃料の再処理については、仏でも再処理が行われた実績があり、第二再処理工場で行うこととしていることから、発電所から搬出できないことはないと考えます。
 また、プルサーマルの重要性については現在改訂中の原子力長計でも、様々な議論がなされていると聞いております。
 
批判:仏で再処理された使用済MOX燃料は燃焼度が低い。関電がやろうとしているプルサーマルの使用済MOX燃料は燃焼度が高く、その再処理技術はこれから開発される。しかも、建設中の六ヶ所再処理工場ですら見通しが立たないのに、それに続くとされる第2再処理工場ができる保証もない。関電は「発電所から搬出できないことはない」と他人事のように言っているが、「絶対搬出する」とは言っていない。
 また、福井県高浜町でもプルサーマル公開討論会を開くと約束したのであるから、即刻開催すべきである。