1999年11月8日
福井県知事 栗田 幸雄 様
BNFLのMOX燃料品質管理データおよび
高浜4号プルサーマルに関する緊急申し入れ
 
若狭連帯行動ネットワーク
 
 MOX燃料ペレットの品質管理体制の欠陥とデータねつ造の疑いに関して、私たちは9月29日付けで関西電力へ公開質問状を出していましたが、11月5日に文書回答が届きました。その中で、関西電力は「全数検査のみで問題なしとは考えていない」として抜取検査の重要性を認め、全数測定と品質管理用測定とでは外径データの「平均値や標準偏差が異なる可能性はある」ことを認めました。
 問題のロットP824に関して、全数測定データと品質管理用測定データの平均値、標準偏差、分布形状が統計的にはあり得ないほど大きくずれており、関西電力も事実上これを認めています。
 問題はその原因ですが、品質管理用ペレットのランダムサンプリングが恣意的なサンプリングになっている可能性と、データそのものがねつ造されている可能性があります。品質管理用ペレットのサンプリングが恣意的であれば、データねつ造の有無に係わらず、BNFLの品質管理そのものが信頼できなくなり、品質管理の方法を変えて、最初からやり直す必要があります。実は、P824の他に平均値や標準偏差がもっと大きくずれているロットが多くあり、高浜4号炉用MOX燃料ペレットの大半が問題になるのです。
 関西電力はデータ流用の可能性だけを問題にし、BNFLの品質管理のデタラメさそのものには、明らかにそうと気付きながら、黙過しようとしています。通産省や原子力安全委員会もこの事実を知っているはずです。にもかかわらず、BNFLの品質管理の根本欠陥を見逃すのであれば、東海臨界事故で問われたのと同様にチェック機構が働かないという事態が高浜で繰り返されることになります。
 関西電力は品質管理のサンプリングのデタラメさやデータねつ造を否定するため、全数測定と品質管理用測定とで「測定系が異なること」や「外観検査によりはねられるものがあること」にそのずれの原因を求めていますが、これらでは説明できません。
 なぜなら、「測定系のずれ」は本来あってはならず、測定系の較正をしっかりやってこのような「ずれた測定系」を使ってはならないのです。また、仮に測定系のずれがあっても、それはサンプルデータの「平均値の分布」が平行移動するだけであり、「平均値の分布のばらつき」が広がることはありえません。
 また、外観検査と外径データは互いに独立な検査項目であり、互いの分布に大きな影響を与えることはありえませんし、仮にあったとしても、その量的割合は無視できるほど少ないはずです。
 関西電力はいずれの理由についても定量的な説明をせず「可能性」だけを述べていますが、それは、これらでは定量的に説明しえないことの裏返しです。
 私たちは関西電力による11月5日付け文書回答への再質問状を11月6日付けで出しました。これへの回答を公開討論会で行うよう求めています。先の世論調査では県民の50.0%以上がプルサーマルに反対しています。MOX燃料ペレットの製造・品質管理に根本的な欠陥があり、データねつ造の可能性に留まらず、ペレットのサンプリングそのものが恣意的であり抜取検査そのものが信頼できない以上、高浜4号用MOX燃料の使用を認めないよう強く求めます。
 
(添付資料)
1.関西電力:「9月29日付公開質問状に対する回答について」(1999年11月5日)
2.若狭連帯行動ネットワーク:「BNFLによるMOX燃料品質管理データねつ造に関する「公開
質問状への回答」への再質問状」(1999年11月6日)