2000年10月26日
関西電力株式会社社長
石川博志 様                         
 
10.26反原子力デーに当たっての
関西電力への申し入れ
 
若狭連帯行動ネットワーク
 
 10.26反原子力デーに際し以下の申し入れを行います。
 この1年は貴社にとって、原子力推進の基本的なつまずきを経験した年でした。1998年にデータ改ざんが発覚した使用済燃料等の輸送容器を使って運んだ、BNFL製のMOX燃料の外径データにもデータ改ざんが見つかりました。その後関西の市民団体などが貴社を追及した結果、BNFL製MOX燃料がスイスのベズナウ原発で過剰放射線漏れ事故を引き起こしていたにもかかわらず、貴社がこれを隠していたことが明らかになりました。これを契機に、貴社のプルサーマル計画は根本的に見直すべきです。
 しかも、8月11日に国が発表した次期の長計(案)ではプルサーマル計画の位置付けがスッポリ抜け落ちています。高速増殖炉の開発が実証炉も断念して、初歩段階に戻らざるを得なくなったことも、そこに明らかにせざるを得なくなっており、高速増殖炉完成までのつなぎとされてきた、プルサーマル計画は宙に浮いてしまっているのです。
 そのようないい加減な位置付けのもとに、貴社が進めるプルサーマルは次世代や福井県民に負の遺産を押しつけるだけです。
 結局、原発敷地内にたまり続ける使用済燃料を再利用すると位置づけて、六ヶ所村に押しつけるために運び出す口実作りのために過ぎないプルサーマルなどやめるべきです。イカサマはすでに広く国民の知るところとなっています。これ以上貴社は「資源小国日本のエネルギー問題の解決のためプルサーマルを推進する」などと、見え透いたウソをつくべきではありません。
 また、電力自由化の進展を控え、他電力とのコスト競争のために、貴社をはじめ電力各社は稼働中の原発の連続運転の期間を長くしようと国とともに画策しています。そのうえ、原発の定検についてはなるたけ手を抜いて簡略化して済ませようともたくらんでいます。既に美浜3号のSGでの金属破片事故に現れているように、貴社の手抜き定検や手抜き工事は随所で原発の危険性を一層高めているのです。貴社はこのような稼働中原発の危険な強硬運転を決して行うべきではありません。
 欧州各国で原発、プルトニウム政策が後退する中で、日本だけが再処理・プルサーマルを進める様は、実に醜悪です。コジェマへの使用済燃料再処理契約の追加委託、およびBNFLへのMOX燃料加工新契約などもってのほかです。
 以下の点を申し入れます。即刻実施されますよう、切に願います。
@仏コジェマへの使用済燃料の再処理委託計画を撤回すること。
A英BNFLのSMPとMOX燃料加工の新契約を結ばないこと。
Bプルサーマル計画を白紙撤回すること。
C六ヶ所への使用済燃料搬入を実施しないこと。
 六ヶ所再処理工場の建設中止を政府に提言すること。
D稼働中原発について、経済効率優先の長期連続運転、定検短縮・手抜きを行わないこと。
E美浜1号を即刻廃炉にすること。
F敦賀原発3・4号増設への加担をやめ、敦賀3・4号からの買電計画を撤回すること。珠洲・久美浜・
 日置川への原発立地計画を白紙撤回すること。中間貯蔵施設を立地しないこと。
G重大事故の危険をともない、使用済燃料をうみ出す全ての原発を停止すること。
H9月4日付の若狭ネットからの公開質問書に文書回答し、8月3日の公開討論会での確認にもとづき、
 コジェマのMOX燃料データを公表し、継続的にプルサーマル公開討論会を開くこと。