関西電力との交渉の概要議事録
 
日時:2000年12月8日(金)午後4時半〜6時
場所:関西電力本社応接室
参加:若狭ネット9名、関電広報部2名(大森課長、小松課長)
 
<電話回答について再確認>
 
 9月4日付「プルサーマル問題に関する」再質問状」に対し、関電本社から11月16日に電話回答があった内容を以下のように再確認した。
 
1.関西電力の責任について
電話回答:当社にも責任がある。第一義的には、BNFL、三菱重工にもある。
 
2.スイスの「ベズナウ発電所でのMOX燃料のリークについて」
電話回答:武生市での説明会では、MOX固有の問題について回答している。ベズナウの説明はしていない。
 
3.仏MOX燃料加工工場メロックスについて
電話回答:基本的品質管理はおこなっている。
 
4.プルサーマルをおこなうのか
電話回答:長計の通り進める。
 
5.MOX燃料の返送について
電話回答:輸送ルート沿岸諸国にことわり返送する。(イギリスのどこへ返すのか?返した燃料はどうするのか?については)BNFLにすべてまかせている。
 
6.経営責任について
電話回答:責任者に対する人事措置はした。(個人名は差し控えさせてほしい)
 
7.自己責任について
電話回答:責任者に対する人事措置はした。(個人名は差し控えさせてほしい)
 
8.品質管理について
電話回答:社内体制の強化、品質安全委員会他 強化体制を組んだ。
 
<口頭での追求>
 
質問:高浜4号炉のMOX燃料集合体はBNFLへ返還した後どうするのか。
 
関電:BNFLの持ち物だからBNFLがすべて判断してやることになっている。MOX燃料はもらっていない形になっている。受け取りましたよという前にこういうことが起こっている。高浜発電所の方に受け入れて、輸入燃料体検査の途中でああいう状態になっているので、受け取っていないことになっている。MOX燃料の返還については、BNFLの責任でやるが、当然、BNFLと関電の共同のプロジェクトとして協議しながらやっている。まだ、両者の代表の間で協議しており、詳細は決まっていない。
 
質問:返還されるMOX燃料に含まれるプルトニウムは関電のものではないのか。なのに、なぜ、BNFLがすべて勝手にできるのか。
 
関電:勝手にするというか、BNFLがBNFLの工場内でやることになっている。そもそも、再処理工場でできるプルトニウムは再処理に応じて電力への割り当てとして出てくるものだから・・・。
 
質問:今の契約ではMDFで加工するということであり、今の契約のままでSMPで加工できるのか。また、BNFLには今、商業用に使えるMOX燃料加工工場がなくなった。このような状況で今のMOX燃料加工契約は成り立っているのか。
 
関電:当時の契約時にはSMPはなかった。MDFでは今後MOX燃料加工しない。まず、お金で補償してもらうことにしている。SMPで加工するかどうかについては、イギリス政府が認可するかどうかが先であり、認可された後、当社の判断で再発防止体制など品質管理体制を確認した上で、補償金の一部をMOX燃料加工にまわすオプションも認めましょうというのが補償契約だ。現契約のままでSMPでMOX燃料加工できるかどうかは存じ上げない。
 
質問:BNFLで作られた高浜3号用MOX燃料ペレットは今後使うのか。
 
関電:MDFですでに作られた高浜3号用MOX燃料ペレットは今後使わないということになる。
 
質問:10月にBNFL社長が関電本社へ来訪して以降、MOX燃料新契約交渉などについてBNFLとコンタクトはあるのか。BNFLとの間で、返還したMOX燃料をどこで加工するとかの話は出ていないのか。
 
関電:BNFLと返還の協議を続けているし、その過程でBNFLの再発防止対策の進捗状況についてある程度は確認することもあると想像する。返還協議の中ではSMPで加工するとかの協議はない。返還したMOX燃料をどこで加工するとかの話は返還協議には入らない。
 
質問:MOX燃料返還前に、来年1、2月に、新たなMOX燃料加工契約をすることはないのか。
 
関電:白紙だ。わからない。英政府からの認可があるまで、普通は、契約はありえないと思う。返還とMOX燃料加工契約のどっちが先になるかどうかという話は、今できる段階ではない。
 
質問:武生市での公開討論会では、「MOX燃料に関する事故やトラブルはMDFではない」と言ったが、これはMOX燃料に起因する事故を議論している時に出た回答ではなく、MOX燃料集合体の品質管理は十分かという会場からの質問に答える形で出てきた回答だ。8月の公開討論会でも、MOX燃料集合体の事故について武生で説明しなかったことを認め、それは商業上の秘密で説明できなかったと答えている。それは、武生ではMOXに起因する、しないにかかわらず、事故やトラブルがないかどうかが議論になっていたことを本人自身が認めたものだ。ごまかすな。
 
関電:8月の公開討論会でもMOX特有の問題ではないと説明申し上げた。武生でのやりとりでは、「MOXに起因した事故・トラブルはないと説明した」と聞いている。本人は「武生ではベズナウについては話していない」と言っている。当時、説明者がどういう過程の中で話していたかは存じ上げませんが、ウラン燃料で経験しているトラブルではなくMOX燃料固有だからという事故を前提として話していたというふうに存じ上げている。武生での説明がまずかったのではないかという点を含めて本人に確認して後日返答する
 
質問:ベズナウでの事故については社内で検討しているはずだから、その内容と改善措置、関電がそれを確認してBNFLに発注して良いと判断した根拠を公開してほしい。
 
関電:社内では検討しているはずだ。当社の起こした事故ではないので報告書はない。8月の公開討論会で、BNFLもスイスの当該電力会社も公開しないので当社も公開できないと説明した。(内容等については)説明していない。BNFLで加工できるかどうかという評価については当然そのように認識していたと私は承知している。
 
質問:朝日新聞の1面トップで報道されている珠洲での買収問題はどうなっているんだ。原発は危険だから秘密裏にやらざるを得ないんだ。平和のために秘密裏にやるのが必要だとか言っているが、平和を乱しているのは関電だ。土地買収に第3者は介在しないとか嘘をついてきた。その上、関電は土地買収に関わる脱税まで指導しているのか。
 
関電:裁判の話ですから・・・。新聞に載っている地域広報室の話という以上はコメントできない。新聞報道が正しいかどうかも、私は知りません。本当に知りません。
 
質問:使用済核燃料輸送容器が自主検査の遅れで廃止された件だが、きちんと自主検査していた輸送容器もなぜ廃止されたのか。MOX燃料輸送容器や国内用の輸送容器はなぜ廃止されなかったのか。
 
関電:関電関係ではPNTL所有の使用済核燃料輸送容器33基を廃止した。うち20基が検査遅れの輸送容器だ。運輸省分と科技庁分の全電力合計で重複を除いて63基だ。69基とあるが、キャスクによって数に重複がある。廃止の理由は、運輸省さんの指導、厳しい措置で廃止することになったと聞いている。電力会社の勝手な理由になるが、海外再処理用の使用済核燃料の輸送が終わっているから、当面、まずは使うことがないから廃止した。国内用は別途40、50基ぐらいあり、これらは廃止していない。海外用のMOX燃料輸送容器は検査しているので廃止していない。年1回の自主検査をきちんとやっていた海外にある使用済核燃料輸送容器も廃止になった理由は、「運輸省さんの厳しい指導以上」のことはわからない。海外と国内で輸送容器の管理する形態が異なるので、海外の分について、管理能力に問題があるという理由で厳しい指導があった。海外分は関西電力が申請代理人として定期自主検査をやったかどうかの報告義務を持っている。国内法規則の中で自主検査を義務付けられているので、基本的には海外メーカーが英仏で検査して、関電が運輸省に申請代理して、報告している。関電も申請代理人として責任を持つが、基本的には海外メーカーの責任でやるものだ。海外メーカーも年1回の自主検査義務を認識しているので、関電が検査を督促することはない。それに関する監査についてはやっていたんだろうとは思うが、監査の頻度とか監査の内容とかによるので・・・。BNFLからORCへ報告があったのが最初だ。当社がこれを認識したのは昨年12月であり、認識した段階から電力各社と協議して監督官庁のご指導を受けた。PNTLの管理状況に問題があり、関電にも問題はあったが、監督官庁によるご判断は結果として、PNTL所有の使用済核燃料輸送容器33基の廃止ということになった。(廃止した使用済核燃料輸送容器からMOX燃料輸送容器へ改造再申請ができるかどうかについて議論したかどうかについては)私は知らないが、法的にはできると思う。
 
質問:美浜町長は12月26日、もんじゅを訪れた大島科技庁長官に、「30年を超えて運転するのは約束違反だ」と言っているがどうか。珠洲があんな状況で原発の新規立地ができない中で、美浜1・2号を4号炉増設で更新するということはないのか。
 
関電:私の推測だが、当時の説明の中で出た数字と違うということかもしれないが、約束違反というのはその認識がちょっとわからない。町長の思いの言葉とその後ろに交付金の話があったりするのであれば語調とか・・・。昨年、高年化対策のご説明をさせていただいて、ご理解を受けて、美浜1号の30年の定検を終えて運転させてもらえると思う。(原発更新の話は)存じ上げない。建設の話は先の話ですので、わかりません。当社は和歌山であれ、舞鶴であれ、第二御坊であれ、今後も(火力発電所建設の)計画がある。電力需要の伸びも考えながらやっていく。
 

 
12月8日の交渉で事後回答を求めている質問事項
 
質問1:BNFLには現在、商業用に利用できる工場は存在しません。BNFLとのMOX燃料加工契約はこの状況を踏まえても、今でも成り立っているのですか。成立しているとすれば、新工場SMPが英政府により認可されれば、現契約のまま、先に加工契約したMOX燃料集合体16体をSMPで加工できるのですか。
 
質問2:ベスナウでのMOX燃料集合体事故の件について「武生での説明がまずかったのではないかという点を含めて本人に確認して後日返答します」(大森課長)と約束した件について回答して下さい。
 武生で、燃料棒を含めてMOX燃料の品質管理に関する会場からの質問に答えて「関電も自ら検査しており、MDFではトラブルや事故はない」と関電代表が回答した事実については録音テープで確認済みです。にもかかわらず、今頃になって「ベズナウの事故はMOX燃料に起因する事故ではなかったから武生では説明しなかった」というのは詭弁であり、ウソの上塗りではありませんか。この論理に従えば、今回のBNFLでのデータねつ造事件はMOX燃料に起因する事故には当たらないため、ベズナウの件も含めて、「MOX燃料に関する事故トラブルがないか」と聞かれた場合、今後も説明しないことになりますが、それに相違ありませんか。
 また、他の原発用MOX燃料集合体では存在すると回答したトラブルや事故のすべてがMOX燃料に起因するものであったということを示すデータを示して下さい。
 さらに、商業上の秘密で内容を公開できないものも含めて、MOX燃料に起因しないトラブルや事故は他にないのですか。
 
質問3:今回高浜4号へMOX燃料を運ぶのに使われたMOX燃料輸送容器は輸送前のいつ、自主検査を行ったのですか。
 国内の輸送容器は何基あるのですか、それらの過去2回の自主検査期日についてデータを公開するという約束(大森課長)を果たされるよう求めます。
−以上−