1999年9月11日
関西電力株式会社社長
石川 博志 様
 
高浜4号炉の即時運転停止、プルサーマル中止、
   公開討論会の開催を求める緊急申し入れ
 
若狭連帯行動ネットワーク
 
 高浜4号炉でのプルサーマル実施に向けたMOX燃料輸送船は現在、オーストラリア東海域を航行中であり、9月22日に福島、9月27日に高浜原発専用港へ入港予定と伝えられます。この輸送には、日本国内だけでなく輸送ルート沿線諸国でも強い反対の声が挙がっています。韓国プサン市議会をはじめ、東カリブ海諸国機構外務課長、カリブ共同体諸国連合、ガイアナ協同共和国外務省、南アフリカ共和国環境観光大臣、ニュージーランド政府、モーリシャス政府、南太平洋フォーラム書記官、オーストラリア上院、バヌアツ政府、フィジー通産外務省などが強い懸念、抗議、反対を表明しています。私たちは、これらの国内外の批判を無視した輸送強行に強く抗議し、輸送の即時中止を求めます。
 私たちは1997年初めの「プルサーマル推進」閣議決定以降、一貫してプルサーマル計画に反対し、2年半にわたり貴社に計画中止を求めてきました。9月8日にも、韓国環境運動連合代表および関西市民グループ5団体の共同でプルサーマル計画中止の申し入れを改めて行ったところです。ところが、貴社は「すでに計画ありき」の姿勢を崩さず、資源節約にならず経済性もないプルサーマルを強硬実施する理由を何ら示せないまま、欠陥輸送容器をそのまま使ってMOX燃料を輸送するという暴挙を重ねてきました。
 そして、この7月、敦賀2号炉で再生熱交換器配管が割れ、一次冷却水が大量に漏れ出す大事故が起きました。高浜4号炉には、これと同型の再生熱交換器が用いられており、同様の事故が危惧されます。ところが、貴社は、@超音波探傷検査で亀裂が発見されなかった、A再生熱交換器の設計条件が少し異なるため、配管部で温度が周期的に変わる現象等は発生しにくい、B監視カメラ等で万一の場合にも早期に確認可能との理由で、そのまま使用し続け、当初の計画通り、プルサーマルを強行しようとしています。また、MOX燃料装荷のための運転停止時に再生熱交換器胴体部の超音波探傷検査を実施すると伝えられます。プルサーマルは原発の通常のウラン燃料と比べて安全余裕が減るため、事故の可能性のある再生熱交換器をそのまま使うのは一層危険です。
 私たちは9月10日に、日本原子力発電敦賀事務所と公開交渉をもち、熱疲労による亀裂発生メカニズムは核心部分がまだ未解明であり、どのような温度差までなら熱疲労が生じないかという定量的な解析結果も出ておらず、熱疲労説を裏付ける再現実験も行われていないことが明らかになりました。つまり、現時点では、高浜4号炉の再生熱交換器で同様の事故が起きないという保証がないのです。
 そこで、以下のことを緊急に要求します。真摯に回答されるよう求めます。
 
1.高浜4号炉の運転を直ちに停止すること。高浜4号炉の再生熱交換器で敦賀2号炉と同様の事故が起こらないという納得できる根拠を、公開討論会を開いて説明すること。根拠が明確でない限り、今の再生熱交換器を使わないこと。
 
2.プルサーマル先進国のドイツ、ベルギー、スイスが相次いでプルサーマル撤退の方針を打ち出し、フランスも現状凍結、日本だけがプルサーマルを拡大する方針になっているが、なぜ、貴社がそのようなプルサーマル計画を強引に推進する必要があるのか、公開討論会を開いて十分説明すること。
 
3.今後10年間に英仏から数十回のMOX燃料輸送が強行されると伝えられ、そのたびに国際的な批判を受けることになるが、それでも強行する理由と輸送事故が起きないとする根拠を、公開討論会を開いて十分説明すること。                      
−以上−