4/26チェルノブイリ原発重大事故から35年、フクシマ原発重大事故から10年に際して、関西電力本社へ下記の共同申し入れを行いました。
(新型コロナ感染症の「緊急事態宣言」下でもあり、今回は共同提出かつFAX送信としました。)
(申し入れpdfはこちら)
2021年4月26日
関西電力株式会社取締役・代表執行役社長
森本 孝 様
4/26 チェルノブイリ原発重大事故から35年、フクシマ原発重大事故から10年
関西電力への申し入れ
<共同提出団体>
原発の危険性を考える宝塚の会
さよならウラン連絡会
地球救出アクション97
ヒバク反対キャンペーン
若狭連帯行動ネットワーク
チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西
今日、4月26日でチェルノブイリ原発重大事故から35年が経ちます。3月11日には東京電力福島第一原発重大事故から10年が経ちました。
チェルノブイリ事故による放射能汚染と被ばくのために、多くの人々が、それまでの「普通の生活」、心身の健康と命を奪われました。また、移住を強いられた事故被害者は、事故後35年経ってもなお、「心の痛み」や「故郷への断ち難い思い」を抱いています。そして、核の「平和利用」の原発と軍事利用の核兵器のいずれについても、核被害をこれ以上繰り返さないため、「たとえどんなに辛くとも、自分や家族の長年にわたる被害の体験を世界中の人々に語り続けます。」と決意を述べています。事故から何年経とうとも「チェルノブイリの「黒い傷跡」は消えることはありません。被災地では今も放射能汚染が続き、人々は放射能と隣り合わせの生活を強いられています。その中で、食品の放射能モニタリングや健診、子どもたちへの放射線被ばく防護教育や非汚染地への保養など、被ばくを少しでも低減し、健康を守るための努力が続けられています。子どもたちへ、さらにその次の世代へと事故被害の記憶を受け継いでいく教育も取り組まれています。
東京電力福島第一原発重大事故から10年が経ち、政府は「復興・創生期間」後の「原子力災害からの復興・再生」を掲げ、事故による放射能汚染と被害が「終わった」かのように、「年20mSv基準」での避難解除、帰還・移住政策を進め、被害者支援のさらなる切り捨てを進めようとしています。避難指示を解除し帰還を促しても、放射能汚染が残り、生業(なりわい)の諸条件とともに住民のコミュニティが破壊され、インフラも十分に整備されていない場所には、故郷であってもなかなか戻ることはできません。人格権などの基本的人権が著しく侵害されたままです。
国と東電は、重大事故を起こし、大量の汚染水を発生させた責任を取らないばかりか、福島第一原発の敷地内のタンクに溜まった大量の多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出の方針を、漁業者をはじめ国内外の多くの人々の反対を踏みにじり、4月13日の「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議」で強引に決定しました。このように、さらなる放射能汚染と被ばくを事故被害者に押し付ける「故意の加害行為」は言語道断です。しかし、政府と東電は、被害を「風評被害」だけに矮小化し、「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」に則って放射線の危険性を過小宣伝し、被ばくのリスク受忍を福島県民や国民に強要しようとしています。大量の被ばく労働の犠牲の上に進められている事故の収束・廃炉作業も、高線量に阻まれデブリの取り出しなど困難を極め、見通しさえ立っていません。
チェルノブイリとフクシマの二つの原発重大事故は、原発がひとたび重大事故を起こせば、放射能汚染は広範囲・長期にわたり取り返しのつかないこと、そして事故の収束・廃炉作業は困難を極めることを示しています。「事故さえなければ…」という、チェルノブイリとフクシマの事故被害者の共通の想いを真摯に受け止め重大事故を繰り返さないためには脱原発に向かうしかないのです。
貴社は重大事故のリスクを抱え、経済的にも成り立たない原発になぜ固執するのですか。また、使用済燃料中間貯蔵施設の福井県外立地公約を破り、その先送りを繰り返しています。「県外の中間貯蔵施設の実現に全力を尽くす」のではなく、まずは全ての原発の運転を停止し、処理処分のできない使用済み核燃料を今以上に増やさないことが先決です。これ以上、子々孫々に重大な負の遺産を押し付けないでください。
今、貴社の為すべきことは、老朽原発の再稼働に血道を上げることではなく、「利益優先」「安全軽視」の体質から脱却し、「脱原発」「脱石炭」へ大転換し、再生可能エネルギーを推進することです。そのことが失った信頼を回復し、貴社の生き残る唯一の道です。
チェルノブイリ事故35年・フクシマ事故10年を機に、原発依存経営を抜本的に見直すよう、以下の通り、強く申し入れます。公益事業者として責任ある態度で、真摯に検討し対応されるよう求めます。