若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

大阪連絡先 dpnmz005@ kawachi.zaq.ne.jp
若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
e-mail: ngsw@ oboe.ocn.ne.jp
TEL/FAX 072-269-4561
〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
ニュース
このエントリーをはてなブックマークに追加

ニュース

福井県議会・2月定例会に向けて、陳情書を提出:関西電力に対し、「使用済燃料対策ロードマップ」の現実性のなさと高浜4号プルサーマル運転での「異常燃焼」について問い質して下さい

福井県議会・2月定例会に向けて、陳情書を提出しました。
pdfはこちら

陳情書 関西電力に対し、「使用済燃料対策ロードマップ」の現実性のなさと
高浜4号プルサーマル運転での「異常燃焼」について問い質して下さい

2026年2月16日

福井県議会議長   宮本 俊 様

私たちは、県議会において次の2点を真摯に議論して頂きますようお願い申し上げます。

1.石田嵩人新知事に対し、関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」が行き詰まっていることについて、どのように認識しているのか、特に以下の3点について、問い質して下さい。
① 六ヶ所再処理工場の機器・配管類、とりわけ高レベル廃液濃縮缶の耐震性評価で、不合格になる可能性が高く、審査遅延どころか28回目の竣工延期の可能性があること
六ヶ所再処理工場の新規制基準適合性審査が予定より延びているのは、基準地震動が450ガルから1.56倍の700ガルへ引上げられ、地盤モデルも区域別に3種類から10種類へ細別されたことに伴い、機器・配管類の詳細な耐震性評価結果が出されていないためです。とりわけ、高レベル廃液濃縮缶※は450ガルの旧・基準地震動ではギリギリ「合格」でしたが、700ガルの新・基準地震動には合格しない可能性が高く、仮に、不合格であれば、耐震工事が必要になります。しかし、再処理主工程は2006~13年のアクティブ試験で極度に放射能汚染されていて、立ち入ることができません。つまり、耐震強化された別施設を作ってバイパスさせるなどの難工事が避けられず、28回目の竣工時期延期も免れません。折しも、中部電力の浜岡原発では基準地震動捏造事件が発覚していますが、この捏造を担った委託先コンサルタント会社は他の複数の原発や核施設でも基準地震動策定や耐震性評価に従事しており、日本原燃の委託先にも関係している可能性を否定できません。日本原燃を中心で支えている関西電力は、この耐震性評価作業にも深く関わっているはずです。機器・配管系の耐震性評価、とりわけ、高レベル廃液濃縮缶の耐震性評価がどうなっているのか、耐震工事を回避するための不正行為を防ぐための対策をとっているのか、について関西電力に確認すべきです。
※ 「高レベル廃液濃縮缶」は、使用済燃料を剪断・溶解してウランとプルトニウムを分離・精製した後の高レベル放射性溶液を蒸発処理して濃縮する工程です。生成される濃縮廃液は使用済燃料1トン当たり約500リットル、放射能量は約1.9京ベクレル(福島事故で放出された放射能量は、セシウム137で約1.5京ベクレル:2011年6月政府報告)と高く、高レベル放射性ガラス固化体約1本に加工される。
② 六ヶ所再処理工場はプルサーマルによるプルトニウム消費量相当しか操業できず、高浜3・4号だけの現状では4.8%操業、玄海3号と伊方3号が加わる2029年度以降で10.3%操業、島根3号が加わっても、11.6%操業に留まり、2030年度50%、2031年度以降フル操業など実現不可能であること
六ヶ所再処理工場が竣工しても、フル操業では約6.6トンのプルトニウムが回収されるため、これだけのプルトニウムを消費するためのプルサーマルが実施されていなければ、六ヶ所再処理工場をフル操業できません。ところが、現在実施中のプルサーマルは高浜3・4号の2基だけであり、しかも、MOX燃料16体を3サイクル装荷して運転しているにすぎず、2基・3サイクルでプルトニウム1.26トン、サイクル当り0.42トン/サイクル(13ヶ月本格運転+3ヶ月定検で16ヶ月)、年当りでは0.32トン/年に留まります。六ヶ所再処理工場の操業はプルトニウム消費量に見合う程度にしか認められませんので、フル操業で回収されるプルトニウム約6.6トン/年と比べると、0.32トン/年では4.8%操業しかできません。
プルサーマル中断中の玄海3号と伊方3号はMOX燃料が仏加工工場から予定通り到着すれば、2029年度以降に再開できますが、消費できるプルトニウムは玄海3号1.6トン(40体)、伊方3号で0.95トン(24体)であり、これまでと同様の装荷(玄海3号:16体-16体-8体で計5サイクル、伊方16体-8体で計6サイクル)とすれば、年当りプルトニウム消費量は玄海3号0.24トン/年、伊方3号0.12トン/年にすぎず、高浜3・4号計0.32トン/年と合わせても、最大0.68トン/年、六ヶ所再処理工場の操業で言えば、10.3%にすぎません。この状態が2030年代後半まで続くのです。
ロードマップでは、六ヶ所再処理工場は2027年度以降、70トン、170トン、90トン(2028~29年度のガラス溶融炉リプレースによる操業度低下)、400トン(2030年度:2026.1.28暫定操業計画)とされていますが、高浜3・4号、玄海3号、伊方3号の4基によるプルサーマル実績・計画に基づけば、2028年度まで40トン/年程度、2029年度以降80トン/年程度の操業しかできません。ロードマップは、プルサーマルの実績と計画から見て、非現実的な操業度を想定しているのではないか、と関西電力に確認すべきです。
仮に、島根2号の60体、約0.45トンによるプルサーマル運転が2029年度頃から4サイクル(沸騰水型原発ではMOX燃料の設計が加圧水型原発とは異なり、4サイクル運転となる)で実施されたとしても、サイクル当り0.11トン/サイクル、年当り0.084トン/年が追加されるにすぎず、操業度を1.3%(処理量で10トン)引上げる程度に留まります。これでは、ロードマップで計画されている六ヶ所再処理工場の操業計画は達成不可能です。六ヶ所再処理工場がフル操業できる程度に大量のプルトニウム消費量(6.6トン/年)に相当するプルサーマルが、どの原発でどのように確保できるのか、それを示せなければロードマップは絵に描いた餅ではないのか、と関西電力に確認すべきです。
③ 2,000トン規模の中間貯蔵施設については、「2030年頃操業開始」も「2035年度末までの中間貯蔵施設への搬出開始」も不可能であること
関電ロードマップでは、2,000トン規模の中間貯蔵施設を2030年頃に操業開始、中間貯蔵施設への搬出開始時期は、最も遅いケースとして2035年と想定しています。2025年8月29日の「乾式貯蔵施設設置計画に関する福井県へのご報告」では、乾式貯蔵の運用開始時期を高浜原発で2028年度、美浜・高浜原発で2030年度とし、中間貯蔵施設への搬出期限を2035年末と定め、「2035年末までに搬出できなければ、乾式貯蔵された使用済燃料をプールへ戻す」と説明して、県・町議会で猛反発されました。
高浜1~4号ではあと1~2回の燃料交換でプールが満杯になり、大飯3・4号では2~3回、美浜3号では3回でプール満杯になります。サイト外へ使用済燃料を搬出できなければ、すべて運転できなくなります。乾式貯蔵で空いたプールの空きスペースを使わずには運転継続は不可能です。空きスペースを使って再稼働するようなことがあれば、2035年末までに中間貯蔵施設へ搬出できなくなった場合に、使用済燃料をプールへ戻すことなどできません。
しかも、現状では、「中間貯蔵施設の2030年頃操業開始」は到底不可能であり、そもそも「2035年末までに中間貯蔵施設への搬出などできない」可能性のほうが高くなっています。
上関町の周辺自治体では中間貯蔵施設計画に反対が強く、田布施町議会で建設反対が決議され(2025.3.21)、柳井市議会選挙では反対派議員が9人と過半数(定数16人)を占めています(2025.12.4)。このように、上関中間貯蔵施設立地計画への反対の声が強まる一方、仮に、計画を強引に進めたとしても、「先行のむつの施設が約20年かかっているので、十数年はたぶんかかるのではないか」(長谷川千晃島根原子力本部長,2023年9月島根県議会防災地域建設委員会)とされているように、操業開始は2030年どころか、2035年度末にも間に合いません。
むつ市中間貯蔵施設における東京電力と日本原電の使用済燃料貯蔵計画では貯蔵量が計画の5,000トンに届かず、500~1,000トンの不足分について、他の電力会社との共同利用を模索しているとも伝えられていますが、青森県やむつ市では「施設の共用化・共同利用」には反発が強く、規模的にも2,000トンには及びません。
中間貯蔵施設の2030年頃操業開始のメドがないのにできるかのように装っていることについて、関西電力にその根拠を厳しく確認すべきです。
2.毎日新聞で大きく報道されたように※※、高浜4号の2025年10月からの3サイクル目のプルサーマル運転では、「MOX燃料16体中8体について、燃焼度が制限値に近かったため、当該8体の継続装荷を中止し、他の8体だけ継続装荷」しています。これは、明らかに想定を超える「異常燃焼」により燃焼度が上昇したものであり、その原因を究明し、対策をとらない限り、現在継続装荷されている8体についても安全は保証されません。にもかかわらず、関西電力は安全上重要な「燃焼度のデータは企業機密だ」として公開せず、四国・九州電力も公開しているMOX燃料の装荷パターンすら公開していません。この点について、知事がどのように受け止めているのか、問い質して下さい。また、関西電力に対して、安全確保のため、高浜3・4号のプルサーマル運転を停止し、「異常燃焼」の原因調査を徹底するよう求めて下さい。
※※ 2025年12月18日の毎日新聞「MOX燃料燃焼度過剰恐れで使わず 高浜原発 専門家「品質調査を」には次のように記されています:
ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を原発で燃やすプルサーマル発電を行っている関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)で、継続して使用する予定だったMOX燃料の集合体16体のうち8体を、今年10月の運転再開時に一転して使用しなかったことが分かった。関電は、燃焼度(燃え具合)が制限を上回る恐れがあったとしている。原発問題に詳しい長沢啓行・大阪府立大名誉教授(生産システム工学)は「異常な燃焼が生じていたのではないか。燃料を製造したフランスでの品質管理についても調査すべきだ」と指摘している。
MOX燃料の燃焼度は、原子力安全委員会(現・原子力規制委員会)が了承した安全性の指標を基に、電力会社が最高燃焼度を原子炉の設置変更許可申請書に記載している。通常は原発の運転期間(13カ月以内)3回(3サイクル)の燃焼度を合計し、制限を超えないようにしている。
高浜4号機の16体はフランスのメロックス工場で製造され、2021年11月に高浜原発に到着。翌22年には原子炉に装着され、今年6月に始まった定期検査までに2サイクル使用されていた。関電はその際、3サイクル目となる次の運転期間でも16体全てを継続使用すると発表していたが、実際に装着したのは8体のみだった。関電は、残りの8体を3サイクル目で使用しなかった理由を、燃焼度の制限を超える可能性があったためとしているが「運用の範囲内で安全に問題はなかった」と説明。2サイクル終了時の燃焼度について「商業機密に相当する非公開情報となるため示せない」としている。メロックス工場では、高浜4号機のMOX燃料を製造していた時期に、プルトニウムの密度が高い塊「プルトニウムスポット」ができる不良品が続出。高浜3号機のMOX燃料の製造も、この影響で1年近く遅れた。関電は「必要な検査を実施し、問題ないことを確認している」としている。【大島秀利】
以上
<陳情書に関連する資料>
石田嵩人・新福井県知事宛、2026年2月16日付けの 関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」に関する公開質問状(pdfの最後に添付しています

サヨナラ原発福井ネットワーク/若狭ネット福井連絡先
越前市入谷町13-20 山崎隆敏方 電話 090-6271-8771

石田嵩人・福井県新知事へ 関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」に関する公開質問状を提出

石田嵩人・福井県新知事へ公開質問状を提出しました。
pdfはこちら

関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」に関する公開質問状

2026年2月16日

福井県知事 石田嵩人 様

新知事へのご就任、おめでとうございます。
私たちは、脱原発をめざすボランティア市民ネットワークです。今年は福島事故15年の節目に当たりますが、福井県下においても原発7基が今なお稼働しており、「フクシマを繰り返さない」ために尽力することは、貴職を含めて共通の願いだと推察します。そこで、県内で当面する重要課題の一つである、関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」に関して、ここに公開質問状を提出させて頂きますので、真摯にご検討の上、文書回答とそれに関する質疑の場を設けて頂くようお願い申し上げます。県民との質疑の場については、これまで慣行となっていた大切な機会ですから、知事が変わられても堅持していただけるよう、あらためて強く申し入れたいとと思います。
福井県では、1996年に栗田知事(当時)が、原発内使用済燃料貯蔵プール拡張工事への事前了解の条件として、関西電力に「使用済燃料の県外搬出」と「中間貯蔵施設の県外立地」を求めましたが、30年もの長きにわたり実現できていません。関西電力の歴代社長が、「期限を切った中間貯蔵施設立地」を歴代県知事に5回も約束しながら、一方的に約束を破るという状況が繰り返されてきました。4回目の約束は「2023年末を最終期限として、中間貯蔵施設の計画地点を確定させ、確定できない場合は、確定できるまでの間、美浜3号、高浜1・2号の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨みたい」というものでした。関西電力は、この「不退転の覚悟で臨んだ」約束も破り、原発の運転停止には何も触れないまま、2023年10月に新たな約束として「使用済燃料対策ロードマップ」を出してきたのです。ところが、この5回目の約束も、六ヶ所再処理工場竣工時期の27回目の延期で脆くも破綻したため、6回目の現在の約束として出してきたのが、2025年2月の「使用済燃料対策ロードマップ」見直しです。この見直されたロードマップもすでに破綻していることが明らかであるにもかかわらず、福井県は関西電力の主張を鵜呑みにし続けています。
貴職には、新知事として、歴代知事のたどってきた経緯を反省し、約束破りの関西電力に対して、より厳しい姿勢で臨まれるよう期待すると共に、以下の質問項目に真摯にご回答下さるようお願い申し上げます。

1.関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」には、実現可能性がないことについて
① 六ヶ所再処理工場の機器・配管類、とりわけ高レベル廃液濃縮缶の耐震性評価で、不合格になる可能性が高く、審査遅延どころか28回目の竣工延期の可能性があること
六ヶ所再処理工場の新規制基準適合性審査が予定より延びているのは、基準地震動が450ガルから1.56倍の700ガルへ引上げられ、地盤モデルも区域別に3種類から10種類へ細別されたことに伴い、機器・配管類の詳細な耐震性評価結果が出されていないためです。とりわけ、高レベル廃液濃縮缶※は450ガルの旧・基準地震動ではギリギリ「合格」でしたが、700ガルの新・基準地震動には合格しない可能性が高く、仮に、不合格であれば、耐震工事が必要になります。しかし、再処理工場は2006~13年のアクティブ試験で極度に放射能汚染されていて、立ち入ることができません。つまり、耐震強化された別施設を作ってバイパスさせるなどの難工事が避けられず、28回目の竣工時期延期も免れません。折しも、中部電力の浜岡原発では基準地震動捏造事件が発覚していますが、この捏造を担った委託先コンサルタント会社は他の複数の原発や核施設でも基準地震動策定や耐震性評価に従事しており、日本原燃の委託先にも関係している可能性を否定できません。日本原燃による審査会合を中心で支えている関西電力は、この耐震性評価作業にも深く関わっているはずです。機器・配管系の耐震性評価、とりわけ、高レベル廃液濃縮缶の耐震性評価がどうなっているのか、中部電力で最近明らかにされた「耐震工事を回避するための不正行為」を防ぐための対策をどのようにとっているのか、について、福井県として、関西電力に確認し、県民に説明すべきだと、私たちは考えますが、いかがですか。
※ 「高レベル廃液濃縮缶」は、使用済燃料を剪断・溶解してウランとプルトニウムを分離・精製した後の高レベル放射性溶液を蒸発処理して濃縮する工程です。生成される濃縮廃液は使用済燃料1トン当たり約500リットル、放射能量は約1.9京ベクレル(福島事故で放出された放射能量は、セシウム137で約1.5京ベクレル:2011年6月政府報告)と高く、高レベル放射性ガラス固化体約1本に加工される。
② 六ヶ所再処理工場はプルサーマルによるプルトニウム消費量相当しか操業できず、高浜3・4号だけの現状では4.8%操業、玄海3号と伊方3号が加わる2029年度以降で10.3%操業、島根3号が加わっても、11.6%操業に留まり、2030年度50%、2031年度以降100%のフル操業など実現不可能であること
六ヶ所再処理工場が竣工しても、フル操業では約6.6トンのプルトニウムが回収されるため、これだけのプルトニウムを消費するためのプルサーマルが実施されていなければ、六ヶ所再処理工場をフル操業できません。ところが、現在実施中のプルサーマルは高浜3・4号の2基だけであり、しかも、MOX燃料16体を3サイクル装荷して運転しているにすぎず、2基・3サイクルでプルトニウム1.26トン、サイクル当り0.42トン/サイクル(13ヶ月本格運転+3ヶ月定検で16ヶ月)、年当りでは0.32トン/年に留まります。六ヶ所再処理工場の操業はプルトニウム消費量に見合う程度にしか認められませんので、フル操業で回収されるプルトニウム約6.6トン/年と比べると、0.32トン/年では4.8%操業しかできません。
プルサーマル中断中の玄海3号と伊方3号はMOX燃料が仏加工工場から予定通り到着すれば、2029年度以降に再開できますが、消費できるプルトニウムは玄海3号1.6トン(40体)、伊方3号0.95トン(24体)であり、これまでと同様の装荷(玄海3号:16体-16体-8体で計5サイクル、伊方16体-8体で計6サイクル)とすれば、年当りプルトニウム消費量は玄海3号0.24トン/年、伊方3号0.12トン/年にすぎず、高浜3・4号計0.32トン/年と合わせても、最大0.68トン/年、六ヶ所再処理工場の操業で言えば、10.3%にすぎません。この状態が2030年代後半まで続くのです。
ロードマップでは、六ヶ所再処理工場は2027年度以降、70トン、170トン、90トン(2028~29年度のガラス溶融炉リプレースによる操業度低下)、400トン(2030年度:2026.1.28暫定操業計画)とされていますが、高浜3・4号、玄海3号、伊方3号の4基によるプルサーマル実績・計画に基づけば、仮に、竣工できたとしても、2028年度まで40トン/年、2029年度以降80トン/年の操業しかできません。ロードマップは、プルサーマルの実績と計画から見て、非現実的な操業度を想定している、と私たちは考えますが、いかがですか。
また、島根2号の60体、約0.45トンによるプルサーマル運転が2029年度頃から4サイクル(沸騰水型原発ではMOX燃料の設計が加圧水型原発とは異なり、4サイクル運転となる)で実施されたとしても、サイクル当り0.11トン/サイクル、年当り0.084トン/年が追加されるにすぎず、操業度を1.3%(処理量で10トン)引上げる程度に留まります。これでは、ロードマップで計画されている六ヶ所再処理工場の操業計画は達成不可能です。
六ヶ所再処理工場がフル操業できる程度に大量のプルトニウム消費量(6.6トン/年)に相当するプルサーマルが、どの原発でどのように確保できるのか、それを具体的に示していないロードマップは絵に描いた餅だ、と私たちは考えますが、いかがですか。
③ 2,000トン規模の中間貯蔵施設については、「2030年頃操業開始」も「2035年度末までの中間貯蔵施設への搬出開始」も不可能であり、「乾式貯蔵で空いたプールの空きスペースを使われない」との約束が破られる可能性が高まっており、乾式貯蔵施設設置を事前了解すべきでないこと
関電ロードマップでは、2,000トン規模の中間貯蔵施設を2030年頃に操業開始、中間貯蔵施設への搬出開始時期は、最も遅いケースとして2035年と想定しています。2025年8月29日の「乾式貯蔵施設設置計画に関する福井県へのご報告」では、乾式貯蔵の運用開始時期を高浜原発で2028年度、美浜・高浜原発で2030年度とし、中間貯蔵施設への搬出期限を2035年末と定め、「2035年末までに搬出できなければ、乾式貯蔵された使用済燃料をプールへ戻す」と説明して、県・町議会で猛反発されました。
高浜1~4号ではあと1~2回の燃料交換でプールが満杯になり、大飯3・4号では2~3回、美浜3号では3回でプール満杯になります。サイト外へ使用済燃料を搬出できなければ、すべて運転できなくなります。乾式貯蔵で空いたプールの空きスペースを使わずには運転継続は不可能です。乾式貯蔵の運用開始時期が高浜原発で2028年度、美浜・高浜原発で2030年度となっているのは、まさに乾式貯蔵で空いたプールの空きスペースを使わなければ再稼働できなくなる時期に符合しています。空きスペースを使って再稼働するようなことがあれば、そもそも、2035年末までに中間貯蔵施設へ搬出できなくなった場合に、使用済燃料をプールへ戻すことなどできません。関西電力は「乾式貯蔵を設置しても貯蔵容量を増やさない」、「乾式貯蔵へ使用済燃料を移して空いたスペースは使わない」と「約束」していますが、これが破られる可能性がかつてなく高まっているのです。これを防ぐには、高浜発電所原子炉施設保安規定(2025年6月関西電力)を改定させ、「原子炉に全ての燃料が装荷されている状態で、使用済燃料ピットに1炉心以上の使用済燃料ラックの空き容量を確保することを(1ヶ月に1回以上の)巡視点検時に確認すること」(第98条1項(9)号)における「1炉心以上」を「1炉心および構内乾式貯蔵分を合算した体数以上」に書き替えさせるべきだ(原子力規制庁による検査でその遵守が確認される)、と私たちは考えますが、いかがですか。この保安規定改定で「約束遵守」が担保され、ロードマップの実現可能性が具体的に示されない限り、乾式貯蔵施設設置を事前了解すべきではない、と私たちは考えますが、いかがですか。
しかも、現状では、「中間貯蔵施設の2030年頃操業開始」は到底不可能であり、そもそも「2035年末までに中間貯蔵施設への搬出などできない」可能性のほうが高くなっています。
上関町の周辺自治体では中間貯蔵施設計画に反対が強く、田布施町議会で建設反対が決議され(2025.3.21)、柳井市議会選挙では反対派議員が9人と過半数(定数16人)を占めています(2025.12.4)。このように、上関中間貯蔵施設立地計画への反対の声が強まる一方、仮に、計画を強引に進めたとしても、「先行のむつの施設が約20年かかっているので、十数年はたぶんかかるのではないか」(長谷川千晃島根原子力本部長,2023年9月島根県議会防災地域建設委員会)とされているように、操業開始は2030年どころか、2035年度末にも間に合いません。
むつ市中間貯蔵施設における東京電力と日本原電の使用済燃料貯蔵計画では貯蔵量が計画の5,000トンに届かず、500~1,000トンの不足分について、他の電力会社との共同利用を模索しているとも伝えられていますが、青森県やむつ市では「施設の共用化・共同利用」には反発が強く、規模的にも2,000トンには及びません。
中間貯蔵施設の2030年頃操業開始のメドがないのにできるかのように装っていることについて、関西電力にその根拠を厳しく確認すべきだ、と私たちは考えますが、いかがですか。
2.毎日新聞で大きく報道されたように※※、高浜4号の2025年10月からの3サイクル目のプルサーマル運転では、「MOX燃料16体中8体について、燃焼度が制限値に近かったため、当該8体の継続装荷を中止し、他の8体だけ継続装荷」していますが、これは明らかに想定を超える「異常燃焼」により燃焼度が上昇したものであり、その原因を究明し、対策をとらない限り、現在継続装荷されている8体についても安全が保証されていないこと
今回の「異常燃焼(MOX燃料燃焼度の想定を超える急増)」について、関西電力は、「企業機密」を理由に安全上重要な燃焼度のデータを公開せず、四国・九州電力は公開しているMOX燃料の装荷パターンすら公開していません。これまでのプルサーマル実績から、私たちは、高浜4号でのMOX燃料装荷2サイクル終了後の燃焼度は、4.5万MWd/tの制限値の71~73%(燃焼度3.2~3.3MWd/t)と想定されたところ、実績は80%(同3.6万MWd/t)を超えていたと推定しています。これは1・2サイクルでの想定の1割超であり、1サイクル目に異常燃焼がなければ、2サイクル目の想定を2~3割超えていたと言え、決してバラツキの範囲内では済まされない「異常燃焼」だと言えます。関西電力に対して、安全上重要な当該MOX燃料の燃焼度およびMOX燃料集合体の原子炉内装荷パターンを公開させ、「異常燃焼」の事実関係を確認すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
私たちは、2025年12月25日に福井県知事(職務代理者 中村保博福井県副知事)宛の申し入れを行いましたが、原子力安全対策課は質疑応答に応じず、原安課室の前で申し入れ文を受け取っただけで、「関西電力は『異常燃焼はなかった。関西電力へ来てもらえれば説明する。』と言っている。」の一点張りで、「原安課としての見解が聞きたい」と詰め寄っても「関西電力に聞いて下さい」としか答えず、「原安課の見解を関電に聞けというのか」と迫っても、「関西電力に聞いて下さい」とオウム返しで、話になりませんでした。そこで、私たちは、関西電力宛の公開質問状を準備し、年明けに関西電力原子力事業本部と交渉しましたが、「交渉時間は30分、参加者は4名まで、マスコミの参加は認めない、録音・撮影も認めない」と言い張り、私たちの受入れられない条件に固執したため、交渉を断念せざるを得ませんでした。県は、私たちに、このような「録音さえ許されず(関電回答の証拠が残らない)、質疑も十分できないような、少人数での、一方的な説明で打ち切られる密室会合」に応じるべきだ、とお考えなのでしょうか。もし、そうであれば、県民の安心・安全より、関西電力の便宜を優先させる、県民無視の姿勢だ、と私たちは考えますが,いかがですか。
知事宛申し入れ(2025.12.25)にも記載した通り、当該MOX燃料は、仏メロックスMOX燃料加工工場が品質不良で1/3操業に陥った2021年頃に製造されたものであり、プルトニウムスポットが形成されていた可能性があります。これを含めて、「異常燃焼」の原因を徹底究明すべきです。仮に、これが原因で「異常燃焼」が起きていたとすれば、現在運転中の8体についても、同様のプルトニウムスポットが形成されていないか、至急確認する必要があり、そのためにもプルサーマル運転を中止すべきです。高浜3号で現在装荷プルサーマル運転中の16体についても、高浜4号用の16体に続いて同じ仏メロックス工場で製造されており、同様の措置を取るべきです。関西電力に対して、安全確保のため、高浜3・4号のプルサーマル運転を停止し、「異常燃焼」の原因調査を徹底するよう求めるべきだ、と私たちは考えますが、いかがですか。
※※ 2025年12月18日の毎日新聞「MOX燃料燃焼度過剰恐れで使わず 高浜原発 専門家「品質調査を」には次のように記されています:
ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を原発で燃やすプルサーマル発電を行っている関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)で、継続して使用する予定だったMOX燃料の集合体16体のうち8体を、今年10月の運転再開時に一転して使用しなかったことが分かった。関電は、燃焼度(燃え具合)が制限を上回る恐れがあったとしている。原発問題に詳しい長沢啓行・大阪府立大名誉教授(生産システム工学)は「異常な燃焼が生じていたのではないか。燃料を製造したフランスでの品質管理についても調査すべきだ」と指摘している。
MOX燃料の燃焼度は、原子力安全委員会(現・原子力規制委員会)が了承した安全性の指標を基に、電力会社が最高燃焼度を原子炉の設置変更許可申請書に記載している。通常は原発の運転期間(13カ月以内)3回(3サイクル)の燃焼度を合計し、制限を超えないようにしている。
高浜4号機の16体はフランスのメロックス工場で製造され、2021年11月に高浜原発に到着。翌22年には原子炉に装着され、今年6月に始まった定期検査までに2サイクル使用されていた。関電はその際、3サイクル目となる次の運転期間でも16体全てを継続使用すると発表していたが、実際に装着したのは8体のみだった。関電は、残りの8体を3サイクル目で使用しなかった理由を、燃焼度の制限を超える可能性があったためとしているが「運用の範囲内で安全に問題はなかった」と説明。2サイクル終了時の燃焼度について「商業機密に相当する非公開情報となるため示せない」としている。メロックス工場では、高浜4号機のMOX燃料を製造していた時期に、プルトニウムの密度が高い塊「プルトニウムスポット」ができる不良品が続出。高浜3号機のMOX燃料の製造も、この影響で1年近く遅れた。関電は「必要な検査を実施し、問題ないことを確認している」としている。【大島秀利】
以上

サヨナラ原発福井ネットワーク/若狭ネット福井連絡先
越前市入谷町13-20 山崎隆敏方 電話 090-6271-8771

福島事故15年アピール:福島原発事故15年を迎え、国・電力の責任を問い糾し、原発回帰に反撃を!

福島事故15年を迎え、若狭連帯行動ネットワークとしてアピールを出しました。
pdfはこちら

福島原発事故15年を迎え、国・電力の責任を問い糾し、原発回帰に反撃を!

若狭連帯行動ネットワーク(2026.2.12)

今年(2026年)は、福島第一原発炉心溶融事故発生から15年になります。
2011年3月11日14時46分、日本の観測史上最大規模の東北地方太平洋沖地震(M9.0)が発生し、激烈な地震動と巨大津波が沿岸部を襲いました。
福島第一原発は、基準地震動を超える地震動と15.5mの津波に襲われ、外部電源と非常用電源を失って全交流電源喪失に至り、1~3号の原子炉内炉心燃料が次々と溶融・落下し、1・3・4号で水素爆発を起こし、大量の放射能が放出されました。
事故前の2008.3.18には委託先の東電設計から「長期評価に基づき、明治三陸沖地震を福島沖に設定すると、津波高さがO.P.15.7mになる」との報告書が出されていました。ところが、2007年新潟県中越沖地震に被災した柏崎刈羽原発の対策工事で2007年度連結決算△1,501億円の大赤字を出したため、福島第一原発での津波対策は先送りにされたのです。「安全性より経済性優先」の典型例です。

福島事故の教訓を忘れるな!事故を繰り返すな!

原子力ムラが吹聴してきた「日本では原発重大事故は起こらない」という「原子力安全神話」は福島事故で吹き飛び、「国による原子力推進政策と電力会社による独占的利潤追求の下では、重大事故は避けられない」ことが厳然たる事実で示されました。
ところが、2026.1.5に公表された中部電力による基準地震動捏造事件では、福島事故を経験しながら、それでもなお、安全性よりも利潤追求を優先させる「原子力ムラのどうしようもない体質」が改めて露呈したのです。第四次安倍政権が第5次エネルギー基本計画(2018年7月)で「2030年原子力22~20%」を目標に掲げましたが、浜岡原発で最も悪質なデータ捏造が行われたのは、正にこの時期です。2022年8月頃には、自民党が「審査の遅延」を声高に叫び、岸田政権が「審査合理化」を訴えるようになったことも、「基準地震動捏造による審査終結と再稼働促進」を正当化するテコになったと思われます。

「原子力規制委の認可」を新た安全神話にするな

今回の捏造事件は、原子力規制庁への公益通報制度に基づく外部からの情報提供で発覚しました。これがなければ、基準地震動の過小設定で追加の耐震工事も不要となり、浜岡原発の再稼働が早まっていたでしょう。この事実は、「原子力規制委員会による審査合格」を錦の御旗とする新たな「原子力安全神話」を崩壊の危機に陥らせています。なぜなら、原子力規制委員会による審査の中では、基準地震動の捏造を発見できなかったのですから。
原子力規制委員会が不正の検出能力を抜本的に高めるためには、浜岡原発の審査を白紙・凍結するだけでなく、断固たる決意で「審査不合格」にし、かつ、他の原発に対しても運転停止を命じ、基準地震動策定過程の徹底検証を求め、不正がないことを実証できるまで運転を許可しない措置を取ることです。ここまでの本気度を示さない限り、電力会社も、政府も、何ら反省することはないでしょう。この機を逃せば、原子力規制委員会は「この程度のことしかできない」となめられ、「規制の虜」状態が急速に深刻化し、タガの外れた電力会社による「老朽炉の90%への稼働率アップ」という強硬運転を招き、「フクシマを繰り返す」危険性が一層高まるでしょう。

国家賠償責任を否定した司法の責任も重大

当初は運転差止め仮処分決定で原発事故のない社会の構築に貢献した司法においても、東電刑事裁判で国の損害賠償責任を否定した最高裁判決(2022.6.17、三浦守裁判官ひとりが極めて正当な反対意見を述べている)以降、地裁・高裁では、最高裁に忖度する反動化の傾向が強まっています。
福島原発訴訟かながわ原告団団長の村田弘氏によれば(2024.6.30 佐藤嘉幸氏が聞く脱原発シリーズ#10)、原発損害賠償請求の集団訴訟判決は2017年頃から出始め、5年間に出された19の地裁判決のうちほぼ半分の9つで東電と共に国の責任が認められ、最高裁判決(2022.6.17)で上告審の対象となった4つの高裁判決のうち3つで国の責任が認められています。このように国家賠償責任を認める判決が圧倒的であったにもかかわらず、最高裁判決(2022.6.17)は、①万が一にも事故を起こさないために、経産大臣がとるべき対策(防潮堤や扉の水密化など)や対策の有効性について全く判断せず、②上告審では高裁判決の事実認定を前提とすべきところ、「事故を防ぐには防潮堤を作るしかなかった」と勝手に決めつけ、③「事故が万が一にも起こらないように、最新の知見をもとに規制されなければならない」という伊方最高裁判決(1992.10.29)にも反し、国家賠償責任を根拠なく否定したのです。これ以降、4地裁と8高裁の計12判決でこれをコピーする形の判決が出されています。
このような司法の反動化に対抗するには、不当判決を徹底的に批判し、裁判を通じた闘いを粘り強く闘い続けると同時に、より広い大衆的な運動を構築し、両者を結びつけ、政府と電力会社の不正・不当な政策・方針を暴き出し、その根底からの変更を迫る政治的な闘いを作りあげるしかありません。その意味では、今回の浜岡原発での基準地震動捏造問題を徹底して暴露・批判し、電力会社、政府、原子力規制委員会が「いい加減な対応で収束」させないよう、徹底的に責任追及する必要があります。

公衆の被曝限度1mSv/年を超える追加被曝に対し、国の責任で健康と医療を生涯にわたり保障すべき

原子力緊急事態宣言は解除されていません。他方で、「放射性物質による被ばくが年間20mSv以下となることが確実であることが確認された地域については、緊急時被ばく状況から現存被ばく状況に移行したものと判断し、『避難指示解除準備区域』に設定することとした」(原子力災害対策本部「避難指示区域の見直しにおける基準(年間20mSv基準)について」,2012.7)としていますが、政府の依拠するICRPのPub.111では「1~20mSv/年の範囲の下方部分から選定すべき」と勧告しています。国内法令では、「公衆の被曝線量限度1mSv/年」を担保するための線量告示が定められている一方、「現存被ばく状況では1mSv/年を超えてもよい」とは定められていません。「20mSv/年以下で避難指示解除」というのは現行法令違反であり、不当かつ不法な被曝強要にほかなりません。国は事故直後の被曝を含めて、これまでと今後の1mSv/年を超える追加被曝に対し、放射線被曝に起因する健康被害を補償する義務があります。現に、表1によれば、避難指示解除地域でも、主要道路上の空間線量は追加被曝線量で1mSv/年を超えており、さらに、風雨で流されにくく、蓄積されやすい道路脇、側溝、雨溜まりなどではより高くなります。

表1.主要道路上最大空間線量μSv/h(mSv/年)
市町村         1巡(2011.8.2    42巡(2024.11.19
.              -2011.8.30)        -2025.3.12)
大熊町 夫沢東台      144 (758)        6.6 (35)
浪江町 井手山田前     98.1 (516)       2.6 (14)
双葉町 山田出名子     92.5 (487)       2.9 (15)
葛尾村 葛尾小出谷     32.5 (171)       1.6 ( 8.4)
富岡町 小良ケ浜松ノ前   23.1 (122)       1.5 ( 7.9)
飯舘村 長泥曲田      18.7 (98.4)       1.6 ( 8.4)
南相馬市 小高区金谷    17.2 (90.5)       0.9 ( 4.7)
=======================================
川俣町 山木屋広久保山    7.8 (41.0)       0.3 ( 1.6)
川内村 下川内五枚沢     5.9 (31.0)       0.3 ( 1.6)
楢葉町 上繁岡下奥海     4.2 (22.1)       0.2 ( 1.0)
田村市 都路町古道場々    1.1 ( 5.8)        0.2 ( 1.0)
注:二重線より下は避難指示解除区域、二重線より上は帰還困難区域。ただし、飯舘村長泥曲目は、2025.3.31に「肥製造施設用地と燃料ペレット用資源作物を栽培する周辺農地、計約6.2ha」を「特定復興再生拠点区域」として避難指示解除。

表1は、内閣府原子力被災者生活支援チームの走行サーベイ結果(主要道路上を走行しながら測定した車内の空間線量率から、道路上1mの空間線量率に換算)ですが、1巡目に最も高かった地点での42巡目の空間線量率は、避難指示解除区域(楢葉町・田村市・川俣町・川内村)で0.2~0.3μSv/h(追加被曝1.0~1.6mSv/年)、帰還困難区域で0.9~6.6μSv/h(同4.7~35mSv/年)ですが、事故前はいずれも0.04μSv/h前後でした。これを超える線量が事故前と比べた追加被曝線量となり、0.19μSv/hで「公衆の被曝線量限度1mSv/年」に達します〔屋外8h、屋内16h・遮蔽率0.4〕。表1の括弧内の数値がそれで、大熊町では35mSv/年と極めて高い状態が続いているのです。

避難指示解除後の帰還者は17%止まり

福島事故による福島県民の避難者数は、避難指示区域からの約83,940人を含めて2012年5月時点で16万4,865人(県外6万2,038人,県内10万2,827人)でしたが、2025年11月には2万3,701人(県外19,176人,県内4,520人,不明5人)へ減っています(福島県ふくしま復興情報「避難者数の推移」)。しかし、毎日新聞による自治体取材集計(毎日新聞2025.3.10)によれば、避難指示が出た福島県内7町村の直近の居住者数は、楢葉町4,477人(震災当時の56%)、葛尾村461人(30%)、飯舘村1,511人(23%)、富岡町2,590人(16%)、浪江町2,256人(11%)、大熊町878人(8%)、双葉町181人(3%)の計約1万2,300人(17%)に留まり、住民登録者の約8割は避難先での暮らしを余儀なくされています。しかも、富岡、大熊、双葉の3町では、居住者数の約6割を移住者が占め、帰還者は約4割に留まっています。
帰還困難区域の一部を優先的に除染する復興拠点(特定復興再生拠点区域)は6町村で計27.5km2、2022~23年に避難指示が解除されたものの、居住者数は833人(5%)にすぎません。「復興拠点などから外れた帰還困難区域」内でも、国は帰還希望者の宅地周辺に限った「特定帰還居住区域」を新たに設定し、2029年末までの避難指示解除を目指して除染を進めようとしています。しかし、この程度の除染では帰還者の被曝を1mSv/年以下に抑えるのは到底不可能で、これを超える被曝を累積して行かざるを得ないのです。事故直後の被曝線量と合わせた被曝による健康被害は無視できないレベルに達するでしょう。そのとき、誰が責任をとれるのでしょうか。国は、「福島原発事故被害から健康と暮らしを守る会」が求めている原爆被爆者援護法に準じた救済措置を講じ、原発事故被害者に健康手帳を交付し、被曝の事実と被曝線量を記録に残し、健康管理と医療を生涯にわたって保障すべきです。

医療費減免措置廃止による被害者切り捨て

にもかかわらず、厚生労働省は、福島事故発生時点で避難指示区域等に居住していた者のうち、帰還困難区域以外の、避難指示解除区域等の住民(2014.10以降、年収840万円以上相当の所得層を除く)に対して行ってきた医療費等減免措置(①国民健康保険の保険料と窓口負担の免除、②被用者保険の窓口負担免除、③後期高齢者医療の保険料と窓口負担の免除、④介護保険の保険料と利用者負担の免除、⑤障害福祉サービスの利用者負担免除)を段階的に撤廃する方針を打ち出し、「2014年までの避難指示解除地域」については2023年度から実施しています。初年度に保険料半額負担化、次年度から保険料全額負担化、次々年度には窓口負担や利用者負担も全額負担化=減免措置撤廃という段階的措置ですが、帰還者も避難者も徐々に首を絞めつけられる思いでしょう。2015年、16年、17年の各避難指示解除地域はそれぞれ2024年度、25年度、26年度から段階的に縮小され、2028年度には避難指示解除地域のすべてで全廃されてしまいます。
ところが、この政策変更は法令違反であることを厚労省自身が認めざるを得なくなっています。厚生労働省保険局国民健康保険課の2011.3.11付け発出文書(平成32年東北地方太平洋沖地震により被災した国民健康保険被保険者に係る国民健康保険料及び一部負担金の取扱いについて)には、国民健康保険法第44条等の規定に基づき、「特別な理由がある被保険者に対し、減免を行うことができる」と明記されており、これに基づいて減免措置を予算化してきたことを厚労省は遂に認めました。したがって、これを廃止する場合には、「避難指示解除区域に居住していた住民」について、①特別な理由が解消したことの確認と②保険者による①に基づく判断の確認が不可欠ですが、厚生労働省はこれらを確認していないのです。それどころか、関係自治体の意見を聴くと称して、「復興」補助金をちらつかせ、「すでに決定された政府方針」であるかのように町長と保健課長など担当役人幹部に「政府の切り捨て策」の受け入れを迫ったのです。
医療費等減免措置は、地域生活に根付いていた古里と生業を根底的に破壊された原発事故被害者にとって、命を繋いでいくために必要不可欠です。法令違反の医療費等減免措置撤廃を何としても阻止し、減免措置を再開・継続させましょう。

自主避難者への避難住居立退命令は許せない

「20mSv/年以上の避難指示区域」以外の地域からの自主避難者には、東京電力からの損害賠償は未だ出ていません。「みなし仮設住宅」の無償供与だけが権利として与えられていましたが、福島県は2017年3月末でこれを打ち切り、2年限定のセーフティネット契約に切り替えさせました。2年後以降は、退去を迫り、応じない者には2倍の家賃を損害請求し、それでも退去しない33件について住宅明け渡しと2017年3月末以降の家賃支払いを求め提訴したのです。その上告審で、最高裁は2026年1月9日、多数意見で上告棄却決定する一方、三浦守裁判長は「放射能汚染が続く状況にあって避難の継続には合理的な根拠があり、自主避難者だけ一律に(みなし仮設住宅の)供与延長を否定する理由はない」と、自身による反対意見を述べ、国と福島県の対応を厳しく指弾しています(東洋経済オンライン2026.1.20)。

遅々として進まない福島第一原発の廃炉作業

福島第一原発の廃炉作業は困難を極めています。これまでに採取した燃料デブリは1g足らずで、デブリ取出し方針も、二転三転した挙げ句、横アクセス気中工法でデブリ取出しを始め、損傷したシールドプラグと格納容器蓋の間を充填剤で固化して崩落を防ぎ、シールドプラグごと圧力容器底まで貫通させた小開口から格納容器底部に至る上アクセス気中工法との連携を図る方式に落ち着いています。
しかし、「小型の東西架台」または「3号機廃棄物処理建屋解体を伴う大型の南北構台」の設置などの準備に、横アクセスで12年、上アクセスで15年かかるため、デブリ取出し開始は2037~40年になるようです。東京電力も政府も沈黙していますが、「2051年廃炉完了」目標は、すでに破綻しているのです。
格納容器内や圧力容器内は数~数百Sv/h と高線量で耐放射線機器しか使えず、原子炉建屋内も数~数十mSv/hで、滞在時間は限られます。労働者に高線量被曝を強要してまで、デブリを取出す意味はあるのでしょうか。幻想をふりまき続けるのではなく、廃炉作業の在り方を根本から見直すべきです。

トリチウム汚染水の海洋放出は即刻中止すべき

トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出は、「燃料デブリ保管施設等建設用地確保のために敷地を空ける」のが名目でした。しかし、燃料デブリ取出しは2037~40年着手となり、敷地だけ空けて「ほとんど取出せなかった」という結論が見え始めています。他方、汚染水発生量は着実に減っており、「汚染水発生ゼロ・長期貯蔵」へ転換すべきです。
建屋への地下水・雨水等流入量と地下水ドレン・ウェルからの建屋移送量の合計は、2019年(1-12月)に126m3/日でしたが、海洋放出を始めた23年には63m3/日と半減し、25年には57m3/日まで減少しています。1・4号では地下水流入はほとんどなく、雨水浸入が課題でしたが、1号屋根(大型カバー)完成(20
26.1.19)で、汚染水発生量は一層減少するでしょう。2028年度の想定は30~50m3/日ですが、フェーシング拡充に加え、建屋周辺地下水を汲上げるサブドレンの設定水位を数十cm下げて、建屋貫通口以下にすれば、建屋滞留水の外部流出を防ぎながら、劇的に減らせます。これ以外にALPS処理のための薬液注入10~20m3/日が汚染水に加わりますが、雨水と地下水の流入がなくなれば、これもゼロにできます。
他方、1・2・3号原子炉建屋滞留水のトリチウム濃度がそれぞれ227万・55万・65万Bq/Lへ上昇し、雨水・地下水流入で希釈されていた汚染水のトリチウム濃度は70~80万Bq/Lへ上昇しています。これは海洋放出の運用上限の50万Bq/Lを超えていて、貯蔵による減衰を待たなければ放出できなくなっているのです。デブリ取出しの是非や汚染水発生量減少とトリチウム濃度上昇を受けて、トリチウム汚染水海洋放出を根本的に見直し、即刻中止すべきです。

国と東電の責任を問い糾し、原発回帰阻止を

東電は柏崎刈羽6・7号再稼働で賠償・廃炉費約5千億円を確保し、長期的には4,500億円規模の利益創出で株価を2,000円台に引上げ、国有株(33.3億株1兆円)売却による自立を目論んでいます。しかし、福島第一原発の津波対策は柏崎刈羽原発被災による赤字解消のため先送りされたのです。その反省もなく、柏崎刈羽原発で再生を図るなどもってのほかです。中部電力の基準地震動捏造事件は政府の原発回帰への転換にも責任があります。福島事故を繰り返さないため、原発回帰を断固阻止しましょう。

若狭ネット第207号を発行:福島事故15年を機に、原発事故被害者の権利を回復させ、フクシマを繰り返さないため、政府・電力の責任を徹底追及し、「原発回帰」を阻止しよう!

若狭ネット第207号を発行しました。下記からご覧ください。

第207号(2026/2/12)(一括ダウンロード5.7Mb
巻頭言–福島事故15年を機に、原発事故被害者の権利を回復させ、フクシマを繰り
返さないため、政府・電力の責任を徹底追及し、「原発回帰」を阻止しよう!
1. 中部電力による基準地震動捏造糾弾!浜岡3・4号を審査不合格に!
「平均による基準地震動」をやめ、偶然的不確実さの「1標準偏差」分を考慮せよ
2. 高浜4号プルサーマル=MOX燃料8体が「異常燃焼」で継続装荷できず!
関西電力は、高浜3・4号のプルサーマル運転を中止し、原因究明せよ!

福井県に申し入れをしました—高浜4号でのMOX燃料「異常燃焼」を受け、プルサーマル運転を即刻中止させ、原因究明して下さい プルサーマル依存の関電ロードマップの脆弱性と危険性を再認識し、これ以上使用済燃料を生み出さない方針へ転換して下さい。

若狭ネットと福井ネットの10名で2025年12月25日、福井県知事への下記申し入れ文(pdfはこちら)を原子力安全対策課へ提出しました。原安課の入口前の廊下で、立ったままで、対応した課長補佐は、「関西電力は『異常燃焼はなかった。関西電力へ来てもらえれば説明する。』と言っている。」の一点張りでした。私たちは「原安課としての見解が聞きたい。そして、その根拠も示してほしい。」と詰め寄ると、「関西電力に聞いて下さい。」としか答えず、「原安課の見解を関電に聞け」というのか、と迫っても、「関西電力に聞いて下さい。」とオウム返し。話になりませんでした。

福井県原安課提出資料に伊方3号・玄海3号のMOX燃料装荷パターン等を追加:2026/1/3アップ

2025年12月25日

高浜4号でのMOX燃料「異常燃焼」を受け、
プルサーマル運転を即刻中止させ、原因究明して下さい

プルサーマル依存の関電ロードマップの脆弱性と危険性を再認識し、
これ以上使用済燃料を生み出さない方針へ転換して下さい。

福井県知事職務代理者 福井県副知事 中村 保博 様

2025年12月18日の毎日新聞「MOX燃料燃焼度過剰恐れで使わず 高浜原発 専門家「品質調査を」には次のように記されています:

ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を原発で燃やすプルサーマル発電を行っている関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)で、継続して使用する予定だったMOX燃料の集合体16体のうち8体を、今年10月の運転再開時に一転して使用しなかったことが分かった。関電は、燃焼度(燃え具合)が制限を上回る恐れがあったとしている。原発問題に詳しい長沢啓行・大阪府立大名誉教授(生産システム工学)は「異常な燃焼が生じていたのではないか。燃料を製造したフランスでの品質管理についても調査すべきだ」と指摘している。
MOX燃料の燃焼度は、原子力安全委員会(現・原子力規制委員会)が了承した安全性の指標を基に、電力会社が最高燃焼度を原子炉の設置変更許可申請書に記載している。通常は原発の運転期間(13カ月以内)3回(3サイクル)の燃焼度を合計し、制限を超えないようにしている。
高浜4号機の16体はフランスのメロックス工場で製造され、2021年11月に高浜原発に到着。翌22年には原子炉に装着され、今年6月に始まった定期検査までに2サイクル使用されていた。関電はその際、3サイクル目となる次の運転期間でも16体全てを継続使用すると発表していたが、実際に装着したのは8体のみだった。関電は、残りの8体を3サイクル目で使用しなかった理由を、燃焼度の制限を超える可能性があったためとしているが「運用の範囲内で安全に問題はなかった」と説明。2サイクル終了時の燃焼度について「商業機密に相当する非公開情報となるため示せない」としている。メロックス工場では、高浜4号機のMOX燃料を製造していた時期に、プルトニウムの密度が高い塊「プルトニウムスポット」ができる不良品が続出。高浜3号機のMOX燃料の製造も、この影響で1年近く遅れた。関電は「必要な検査を実施し、問題ないことを確認している」としている。【大島秀利】

この記事に記載されているとおり、高浜3・4号では最近、16体ずつのプルサーマル運転をしていましたが、高浜4号については、11月3日本格運転開始以降、16体継続装荷ではなく、8体装荷で3サイクル目の運転をしています。
関西電力広報室によれば、3サイクル目に装荷されなかった8体については、2サイクル運転後の「取り出し時点で最高燃焼度制限に近い燃焼度に達していた」ため、3サイクル目を装荷すれば「集合体最高燃焼度4.5万MWd/t」の制限を超えるため装荷せず「使用済み」にしたとのことでした。しかし、「2サイクル後の燃焼度がどの程度高かったのか(制限値の70~80%程度またはそれ以上と推定される)」については、「商業機密」だとして公開せず、「なぜ、これほど高くなったのか」については、「制限を超えていない」という理由で不問に付そうとしています。ちなみに、「集合体最高燃焼度4.5万MWd/t」の意味ですが、1MW=1,000kWと1d=24hを掛け合わせると1MWd=24,000kWhになりますので、燃焼度4.5万MWd/t(=10.8億kWh/t)という制限は、MOX燃料1t当り10.8億kWhの熱量を生み出すプルトニウム等の核分裂反応数が上限として設定されていることを意味します。これを超えると燃料棒が破損し、放射能漏洩につながる危険が高まるのです。
実際に、仏メロックス工場で製造されたMOX燃料にプルトニウムスポットが見つかっており、プルサーマル原発を運転する仏電力EDFも燃料棒の上・下端部で「核反応が想定以上に増加する異常事象」が起きていたことを認めていて、仏原子力安全規制当局ASNは、この「異常事象」がプルトニウムスポットと重なれば燃料破損事故につながりうると警告しています(毎日新聞2022/9/3)。高浜4号機で「異常燃焼」が起きたMOX燃料は、まさに、この時期に製造されたものです。
そこで、以下のことを緊急に要請しますので、真摯にご対応下さい。

1.現在行われている高浜4号プルサーマル運転におけるMOX燃料16体、とりわけ継続装荷が中止された8体について、2サイクル後の燃焼度を確認し、関西電力による2サイクル後の燃焼度予想を超える燃焼度急上昇(異常燃焼)がどの程度であったか、確認し、公表して下さい。

2.プルトニウムスポットの有無など、「異常燃焼」の原因を徹底究明し、再発防止策を講じて下さい。それが終わるまで、高浜4号のプルサーマル運転を中止して下さい。高浜3号についても「異常燃焼」の懸念があることから、同様の措置を取って下さい。

3.「異常燃焼」そのものを認めず、「想定内」だから関係規制当局へ報告もしないと言い張る関西電力に対し、「原子力安全文化」の醸成と安全最優先の厳格な運転・管理を厳しく求めて下さい。

4.関西電力の仏メロックス工場でのMOX製造に係る品質マネジメントシステムが機能していない可能性がありますので、原子力規制委委員会と協力して実態を精査し、抜本的な改善を求めて下さい。

5.関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」は、高浜3・4号のプルサーマルを前提としていますが、現状でもプルトニウム消費は低迷し、六ヶ所再処理工場の操業率にして10%程度にすぎません。今回のMOX燃料「異常燃焼」を機に、ロードマップの脆弱性と危険性を再認識し、これ以上使用済燃料を生み出さない方針へ転換して下さい。

以下では、今回の「8体の継続装荷中止」に即して、各項目の要請理由を述べます。

第1に、16体装荷による2サイクル目のプルサーマル運転では、16体のうち8体で「1サイクル運転直後の燃焼度実績に基づく2サイクル運転後の燃焼度想定」を超える「異常燃焼(燃焼度の想定を超える急上昇)」が起きていました。その結果、関西電力は16体継続装荷による3サイクル運転を断念して8体のみの運転に切り替えざるを得なかったのであり、前例のない重大な事態が起きていたと言えます。「異常燃焼」の原因次第では、8体のみのプルサーマル運転の安全性は保証されず、即刻の原因究明および原因が判明するまでのプルサーマル運転中止で、県民の安全を確保すべきです。

第2に、当該MOX燃料は、仏メロックスMOX燃料加工工場が品質不良で1/3操業に陥った2021年頃に製造されたものであり、プルトニウムスポットが形成されていた可能性があります。これを含めて、「異常燃焼」の原因を徹底究明すべきです。仮に、これが原因で「異常燃焼」が起きていたとすれば、現在運転中の8体についても、同様のプルトニウムスポットが形成されていないか、至急確認する必要があり、そのためにもプルサーマル運転を中止すべきです。高浜3号で現在装荷プルサーマル運転中の16体についても、高浜4号用の16体に続いて同じ仏メロックス工場で製造されており、同様の措置を取るべきです。

第3に、関西電力は、今回の事象について「2サイクル目の運転終了段階では集合体最高燃焼度を超えていない」、「3サイクル目の運転後に燃焼度制限を超える可能性があったから当該8体の継続装荷を中止した」と主張し、燃焼度等のデータを公開しないばかりか、原子力規制庁の現地駐在検査官や原子力規制委員会に報告していません。私たちが、「16体継続装荷の8体装荷への変更」の事実とその理由を追及していなければ、この事実そのものが公表されないままになっていたのです。今回明らかにされた事実関係は、関西電力には、絶えず自主的に原発の安全確保に取り組むという姿勢に欠け、「原子力安全文化」が全く根付いていないことの明白な証拠だと言えます。

第4に、関西電力は「高浜発電所第3,4号機燃料体に係る設計及び工事計画認可申請(17行17列B型燃料集合体(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料))補足説明資料」(2020.11.4)の「補足説明資料4:設計及び工事に係る品質マネジメントシステムに関する補足説明資料」で、仏メロックス工場へ社員を派遣して、「製造工程ごとに立会検査(抜取検査及び記録確認)を実施し、品質が適正に確保されていることを確認する」、「不適合が発生した場合には三菱原子燃料、関電本社、規制当局へ連絡する」と明記していますが、これらが十分に機能していなかった可能性があります。「異常燃焼」の原因次第では、現行の品質マネジメントシステムを根本的に見直す必要があると言えます。

第5に、関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」は六ヶ所再処理工場の「フル操業」とそれに伴う使用済燃料の六ヶ所への搬出を条件としていますが、現状でもプルサーマルによるプルトニウム消費は六ヶ所再処理工場の「10%操業」程度にすぎず、今回のMOX燃料異常燃焼に見られるとおり、プルサーマルは事故の危険が高く、脆弱であり、六ヶ所再処理工場のフル操業などあり得ません。2,000t規模中間貯蔵施設の2030年頃操業開始も、中国電力と「共同立地計画」中の上関では柳井市で反対議員が過半数を占めるなど隣接市町で反対の声が高まっており、あり得ません。むつ市中間貯蔵施設の「搬入不足分500~1,000tの共同利用」も規模半減になるだけでなく「当初の計画とは異なる共同利用構想の延長」として反発されており、あり得ません。これらに早く気づき、現実を受入れて、ロードマップに期待するのではなく、使用済燃料そのものをこれ以上生み出さない方針へと転換すべきです。

以上。

サヨナラ原発福井ネットワーク/若狭ネット
福井連絡先 越前市入谷町13-20 山崎隆敏方 電話090-6271-8771

› more