若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
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〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
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経産省に「託送料金への原発コスト転嫁反対」の公開質問状を提出

本日(2017年10月5日)、「託送料金への原発コスト転嫁反対」署名提出に際しての公開質問状を経産省へ提出しました。
衆議院選挙(10月10日公示、22日投票)が急に入ったため、署名の提出・交渉は11月初旬になりますが、パブリックコメントへの回答を踏まえて下記の公開質問状を提出し、11月10日までの経産省の都合良い日を選ぶように求めています。
署名は6月28日の提出以降も増え続けており、10月5日現在累計3万6千筆強に達しています。
10月31日が第4次締切ですので、今回の署名提出・交渉に間に合うよう、早めに久保(連絡先は署名用紙に記載)までお送り下さい。

呼びかけ団体:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワーク オルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室
(事務局連絡先:〒591-8005 堺市北区新堀町2丁126-6-105 若狭ネット資料室 長沢啓行)

2017年10月5日
経済産業大臣 世耕 弘成 様

「託送料金への原発コスト転嫁反対」署名提出に際しての公開質問状

(公開質問状のpdfはこちら)

私たちは、「福島事故関連費と原発コストを『電気の託送料金』に転嫁しないでください」の署名3万3,328筆(累計)を6月28日に第3次提出し、担当職員と意見交換しました。その後、電気事業法施行規則改定案と廃炉等積立金管理業務省令案が提示され、1ヶ月間のパブリックコメントを経て、9月15日に回答が出されました。しかし、回答の内容は新味に乏しく、説得力に欠け、到底納得できません。また、廃炉費6兆円を捻出するための「託送料金高止まりの基準」は未だに示されていません。「福島事故関連費と原発コストの託送料金による回収」に反対する声は着実に広がっており、署名はその後も続々と集まってきています。つきましては、署名を第4次提出し改めて意見交換したく、ここに今回のパブコメ回答を踏まえた公開質問状を提出致します。署名提出・意見交換の日時については、衆議院議員選挙も考慮して10月30日~11月10日の間で、担当者出席のうえ十分質疑可能な午後1時半~3時とし、経済産業省の方でご指定ください。

<質問事項>

1.損害賠償費一般負担金「過去分」について
(1)商法違反・民法違反ではないか?
商法第502条三項には「電気又はガスの供給に関する行為」を「営業としてするときは、商行為とする。」と記され、民法第173条には「次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。」と記され、その第一項に「生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権」とあります。1966~2010年の電気料金に計上すべきだったとする一般負担金「過去分」の請求は、当時の代金に基づきすでに完了した商取引に関するものであり、「当時の代金の未収分に関する債権」はそもそも存在しませんが、仮に未収分に係る債権が存在していたとしても消滅しています。そこで質問します。

(1a)一般負担金「過去分」を当時の電気料金の未収分=債権として回収するのは明らかに商法違反および民法違反だと私たちは考えますが、いかがですか。

(1b)過去の電気料金の過小算定が後日判明し、その分をそれ以降の電気料金に算入すること自体は許容されると言えます。ただし、一般負担金「過去分」の場合には、電気料金原価の中の原発コストの増分として回収すべきであり、託送料金の中に「ユニバーサル料金」と見なして算入するのは、原発の電力を受電しない消費者(商取引のない消費者)に原発のコストを強制的に負担させるものであり、商法違反だと私たちは考えますが、いかがですか。

(1c)施行規則パブコメ回答No.79では、「規制料金の下では、一般的な商取引のように将来に追加的な費用が発生するリスクを勘案し、あらかじめその費用を回収することは認められておらず、料金の算定時点で現に発生している費用等、合理的に見積もられたもののみを原価に算入することを認めるという運用を行ってきました。このため、元来、合理的に算定できない時点では回収していなかったものも、費用の発生が明らかになった時点で、その時点の料金原価として算入するという考え方を採っており、今回の措置に御指摘の問題があるとは考えておりません。」としています。この回答でも「その時点の料金原価として算入する」としており、「債権の回収」という考え方を取っていません。これは上記質問(1a)には「イエス」と回答し、質問(1b)の「電気料金原価の中の原発コストの増分として回収すべき」という点については「イエス」と回答するものだと私たちは考えますが、いかがですか。

(1d)結局、原発コストを「料金原価」として回収すべきところ、今回の「電気事業法施行規則」改定案では、託送料金の「ユニバーサル料金」として「商取引のない消費者にも負担させる」ことになっており、明らかに商法違反だと私たちは考えますが、いかがですか。もし、商法違反ではないと主張するのであれば、原発コストの一部である一般負担金「過去分」を「ユニバーサル料金」として託送料金へ転嫁できるという法的根拠を示して下さい。
私たちの資料請求への経産省回答(2017.4.6)では、「託送料金については、電気事業法上、送配電網の維持・管理にかかる費用などに加え、離島の発電費用を含むユニバーサルサービス料金など、『全ての消費者が広く公平に負担すべき費用』を含めることができる制度となっております。」「今回の議論は、あくまで今後の託送料金の原価にどのような費用の算入を認めるかというものであり、何らか商法上の問題が生じるとは考えておりません。」とされていますが、電気事業法には「離島ユニバーサルサービス調整制度」の規定はあるものの、公租公課とは異なる原発コストのような個別の料金原価をユニバーサル料金として託送料金に原価として計上できるという規定は存在せず、法的根拠のない無理な拡大解釈だと私たちは考えますが、いかがですか。

(1e)「過去分」以外の一般負担金(5.4兆円の損害賠償金のうち東電の負担する特別負担金以外のもの)はこれまで通り、原子力事業者の原発コストの中に計上され、「託送料金以外の電気料金」として回収され、新電力契約者からは今後も回収されません。他方、一般負担金「過去分」2.4兆円については託送料金に計上され、2020年度以降、40年にわたって、新電力契約者からも回収されます。つまり、新電力契約者は、原子力事業者に現在課されている一般負担金については支払う必要がなく、一般負担金「過去分」については支払う義務を課せられることになります。ところが、一般負担金も一般負担金「過去分」も「その時点での料金原価」であり、両者に料金原価としての差異はありません。両者を回収法において区別できるという法的根拠を説明して下さい。

(2)一般負担金「過去分」2.4兆円は、東電と大手電力の負担軽減に使われるのでは?
第6回東京電力改革・1F問題委員会(2016.12.9)参考資料では、損害賠償費が5.4兆円から7.9兆円へ2.5兆円増えています。そのため、新たな負担分として、東京電力に1.2兆円(特別負担金0.67兆円と一般負担金0.53兆円)、大手電力に一般負担金1.0兆円、新電力に一般負担金0.24兆円が課されています。ところが、特別負担金の増分0.67兆円を除く一般負担金の増分は約1.8兆円弱であり、一般負担金「過去分」2.4兆円はこれより0.6兆円強も多いのです。この分が当初の損害賠償費5.4兆円のうち一般負担金約4.1兆円(東電1.4兆円と大手電力2.7兆円)の減額=負担軽減に使われるのではないかと私たちは疑っています。そこで質問します。

(2a)私たちの資料請求への経産省回答(2017.4.6)では、一般負担金「過去分」2.4兆円の割当は、東電約0.8兆円、大手電力約1.4兆円、新電力0.24兆円となっており、これらは2020年度以降、託送料金として新電力契約者を含む全消費者(沖縄電力管内を除く)から回収され、この割合で東電と大手電力に譲渡されます。新電力のシェアが想定の10%から増えて、新電力分の0.24兆円を超えても、その超過分は東電と大手電力にそれぞれの管内での託送料金に含まれますので、事実上、東電と大手電力への譲渡金額はほとんど変わらないと考えられます。すると、東電は1.4兆円から0.53兆円増額のところ、0.3兆円弱の減額(=0.53兆円-0.8兆円)、大手電力は2.7兆円から1.0兆円増額のところ、約0.4兆円の減額(=1.0兆円-1.4兆円)になります。これに相違ありませんか。

(2b)施行規則パブコメ回答No.25では、「2011年の機構法制定当時、同法に基づく一般負担金について、規制料金が続くことを前提に電気料金に転嫁し、消費者から広く薄く公平に回収するということを決定しました。しかし、自由化の進展に伴って新電力への切り替えが進んでいることを受けて、『福島を支える』という観点や、新電力へ切り替えた方々を含め原子力の電気を広く消費者が利用していた実態があること等も勘案し、消費者間の公平性の観点から、託送制度を利用した、公平な回収措置を講じることといたしました。」としています。しかし、質問(2a)で指摘したように、一般負担金「過去分」の託送料金としての回収によって、東電と大手電力の一般負担金はそれぞれ0.3兆円弱と約0.4兆円が減額され、新電力だけが新たに0.24兆円を負担させられます。「公平な回収措置」の結果、東電や大手電力を優遇し、新電力に新たな負担を強いる結果になっていますが、それに相違ありませんか。

(2c)東北電力の東通1号と女川3号、東京電力の柏崎刈羽1号と福島第二原発3・4号、北陸電力の志賀2号、日本原電の敦賀・東海については複数の電力会社で「共同開発」(各電力会社の供給力に算入して受電・購入契約を締結)しており、複数の一般送配電事業者を通って送電されるため、託送料金が複数課され、一般負担金「過去分」も複数課されることになります。このようなケースについて、施行規則パブコメ回答No.28では「当該原子力発電事業者から受電していた旧一般電気事業者の供給区域に応じて、各一般送配電事業者に按分されることになります。」としていますが、これは100万kWを1/2ずつ受電する場合、一般負担金「過去分」の100万kW相当分を1/2ずつ一般送配電事業者に按分するという意味だと私たちは考えますが、いかがですか。
これらの複数の一般送配電事業者を経由して送電される場合、それぞれに対して託送料金が発生し、その都度、一般負担金「過去分」が回収されるため、一般負担金「過去分」の過剰な回収になるのではありませんか。このような矛盾は一般負担金「過去分」を託送料金で回収するところから来るものであり、一般負担金「過去分」を託送料金で回収するのではなく、これまで通り、新電力には課さず、小売事業者の電気料金として回収すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。

(3)そもそも、東電を破産処理すべきでは?
今回のパブコメ意見でも、その多くが、東電の責任で損害賠償すべきであり、それが不可能なら東電を破産処理し、東電役員、株主、金融機関にも私財提供や債権放棄などで責任をとらせ、国会で十分議論すべきだと指摘しています。そこで質問します。

(3a)施行規則パブコメ回答No.8では「仮に東電を破綻させ、法的整理を行った場合、破綻処理により資産を売却しても多額の売却益を見込めない」としていますが、東電役員による私財提供や株主・金融機関の債権放棄を行わせれば、現状でも9兆円相当の資金を捻出できると私たちは考えますが、いかがですか。

(3b)施行規則パブコメ回答No.8では続けて「東電が将来の収益をもって責任を果たすべき廃炉・汚染水対策や賠償の費用相当が国民負担となります。また、国が出資した東電株も無価値化するため、結果的に国民負担が増加することとなります。」としていますが、今回の電気事業法施行規則改定案と廃炉等積立金管理業務等省令案などは、以下の通り、東電救済のために8.6兆円を託送料金へ転嫁する「国民負担」の仕組みそのものだと私たちは考えますが、いかがですか。
一般負担金「過去分」2.4兆円は、納付義務のある原子力事業者が自らの経営努力で賄うべきであり、託送料金を介して、納付義務のない電力消費者から強制的に回収し、また、原発とは無縁な新電力契約者からも回収するのは新たな「国民負担」そのものだと私たちは考えますが、いかがですか。
これらを立替えるための13.5兆円の交付国債(損害賠償7.9兆円、除染4兆円、汚染土等中間貯蔵施設1.6兆円)は銀行からの借金で運用されており、その利子は一般会計から賄われています。2016年度の利払いは132億円に上り、これまでに325億円、今年度予算で400億円が利払勘定(原子力損害賠償支援資金)に追加され、累計725億円に上ります。本来、東電破産処理で債権放棄させるべき金融機関であるにもかかわらず、損害賠償資金等貸付で儲けさせるのは新たな「国民負担」の仕組みの結果だと私たちは考えますが、いかがですか。しかも、政府は帰還困難区域の除染費等(今年度事前調査費で309億円、累計数兆円に上る)を東電に求償せず、税金で賄う方針ですが、これも新たな「国民負担」だと私たちは考えますが、いかがですか。
廃炉費不足分6兆円は、東電が自らの責任で賄うべきであり、それが不可能なら東電を破産処理し金融機関等の債権放棄で9兆円程度を回収し、不足分は原発で潤った原子力メーカーや電力多消費企業等への課税や富裕層中心の累進課税で賄うべきです。にもかかわらず、東電管内での託送料金高止まりの特別措置や柏崎刈羽原発再稼働などによって捻出しようとするのは新たな「国民負担」そのものだと私たちは考えますが、いかがですか。
廃炉会計制度に関する原発コスト0.2兆円は、関西・中国・四国・九州の各電力と日本原電がこれまで通り電気料金から賄うべきであり、託送料金を介して強制的に回収し、また、原発とは無縁な新電力との契約者からも回収するのは新たな「国民負担」そのものだと私たちは考えますが、いかがですか。

2.福島原発廃炉費について
(1)託送料金高止まりによる利潤確保ではないか?
廃炉等積立金パブコメ回答No.7では「託送料金の値下げ命令の対象としない東京電力パワーグリッドについては、本基準とは別途、託送料金を高止まりさせないための措置を講じる予定です」とし、廃炉等積立金パブコメ回答No.16では「託送料金が高止まりすることがないよう、東電に対しては、福島事故関連の資金を捻出するのみにとどまらず、消費者還元も生み出すような最大限の合理化を求めることとし、また実際に託送料金が高止まりしないための措置を講じる予定です」としています。しかし、東電管内の託送料金を高止まりにしないと、廃炉費6兆円に相当する2千億円程度の超過利潤を毎年捻出することは不可能です。そこで質問します。

(1a)廃炉等積立金管理業務等省令案では、託送料金の営業費用に「廃炉等負担金」、営業利益に「廃炉等負担金収益」を項目として挙げることにしていますが、これらは託送料金の原価ではなく、廃炉等積立金パブコメ回答No.7でも認めているように、この省令案だけでは託送料金から廃炉費6兆円を回収することはできません。託送料金を高止まりにさせるためには、「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等」(20170605資第46号)の「第2 処分の基準」「(14)第19条第1項の規定による託送供給等約款等の変更の認可の申請命令」を出す基準を変更する必要があります。現在は、「(1)託送供給等約款が、物価の大幅な変動や需要構成の著しい変化があるなど社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり、公共の利益の増進に支障があると認められる場合、(2)当期超過利潤累積額が一定水準額を超過している場合、(3)補正後乖離率が一定の比率(マイナス5パーセント)を超過している場合」が列挙されていますが、この基準をどのように変えるつもりですか。具体的に説明して下さい。その際、他の送配電事業とは別に、東京電力パワーグリッドだけに特別な巨額の超過利潤取得を認めること(事実上の東電による独占価格の設定)が許されるという法的根拠を示して下さい。
廃炉等積立金パブコメ回答No.16にある「実際に託送料金が高止まりしないための措置」とは上記基準の変更を指しているのですか。それとも、他の「措置」があるのなら、それを具体的に説明して下さい。

(1b)これほど重大な基準の改定が国民の目の届かないところで秘密裏に行われるのは許せません。基準変更の議論はいつ、どこで行われ、変更案の国民への提示はいつ、どのように行われる予定ですか。電力・ガス取引監視等委員会などで検討される予定はあるのですか。それとも、経産省内だけで一方的に決められるのですか。パブコメ意見の多くで指摘されているように、原発コスト8.6兆円の託送料金による回収については、国会の場で慎重に議論すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。

(2)今の5倍が必要な送電網更新を妨げないか?
託送料金の原価の大半は減価償却費であり、鉄塔・架線など耐用年数が50~30年の送配電網の更新が待ったなしです。鉄塔は1960年代後半から大増設され、2015年末で24.8万基になりますが、今の年1千基の更新ペースでは全更新に200年以上もかかってしまいます。50年サイクルで更新するには毎年5千基、今の5倍増にしなければ追いつきません。この減価償却費急増を考慮すれば託送料金は2倍にも跳ね上がる可能性があり、廃炉費を毎年2000億円レベルで捻出するのは不可能に近いといえます。無理をすれば送配電網の更新が繰り延べされ、送配電トラブルが頻発し、大停電が起きる可能性もあります。このような現状で、廃炉費6兆円を託送料金で賄うのは無謀です。そこで質問します。

(2a)耐用年数ベースで送配電網を更新する場合、託送料金に占める減価償却費がどの程度増えると経産省は試算しているのですか。

(2b)送配電網の5倍以上のペースでの更新を考慮した場合、託送料金は実際に値上がりし、さらに毎年2千億円相当の超過利潤を捻出するには託送料金の高止まりが避けられないのではありませんか。そうならないという保証は一体どこにあるのですか。

(3)廃炉費は6兆円をはるかに超えるのでは?
廃炉費不足金6兆円は、米国スリーマイル島原発炉心溶融事故の燃料デブリ取出・輸送費約10億ドルに基づき、燃料デブリ量が6倍、高線量環境による遠隔操作の必要性から5倍、30~40年間の物価上昇で2倍、計60倍で約600億ドルと見なした結果です。原子力損害賠償・廃炉等支援機構による「東京電力HD福島第一原発の廃炉のための技術戦略プラン2017」(8.31)によれば、気中・横アクセス方式による格納容器下部のデブリ取出も困難を極め、圧力容器内部のデブリは気中・上アクセスで行うしかないものの難度が高く、格納容器下部ペデスタル外のデブリ取出はさらに難度が高いとされています。廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議で9月26日に了承された「東京電力HD福島第一原発の廃止措置に向けた中長期ロードマップ」(第4回改訂版)では、1~3号燃料プールからの使用済核燃料取出が3年繰り延べられ、第3期(燃料デブリ取出開始~廃止措置完了)も開始時期がずれ込み、期間が長引くのは避けられません。燃料デブリ取出・輸送費に限っても6兆円をはるかに超える可能性が高く、全デブリ取出の可能性も不確かです。そこで質問します。

(3a)6月28日の私たちとの意見交換では、福島第一原発の放射性廃棄物処分費を含めた廃炉費について「現時点で総額いくらかかるのか見積もりを示すことは困難です」と回答されましたが、政府は燃料デブリ取出・輸送費だけで廃炉費不足分を6兆円と見積り、毎年2千億円を30年間かけて積立てることを想定しています。つまり、廃炉費不足分が6兆円を超えることは当然のこととして、廃炉に伴う放射性廃棄物処分費は第3期に移ってから東電が計画を策定し見積もるものと理解してよろしいでしょうか。

(3b)廃炉費不足分が6兆円を超えた場合、その分も託送料金高止まりによる超過利潤(事実上の独占利潤)で賄う予定だと理解してよろしいでしょうか。

3.廃炉に関する会計制度について
(1)原発コストはユニバーサルサービス料金か?
廃炉会計制度による廃炉費積立不足金と廃炉時未償却資産は、現在、原子力事業者の原発コストに計上され、規制料金契約者には「託送料金以外の電気料金」として回収され(自由料金契約者の電気料金から回収できる保証はない)、新電力契約者からは回収されていませんが、2020年度以降、新電力契約者からも回収されます。この原発コストは、託送料金におけるユニバーサルサービス料金とは無関係であるにもかかわらず、託送料金の原価として計上されようとしています。そこで質問します。

(1a)廃炉会計制度による原発コストは、「廃炉円滑化負担金」として託送料金の原価に算入されようとしていますが、施行規則パブコメ回答No.85では「電気事業法上、送配電網の維持・管理にかかる費用等に加え、ユニバーサル料金等『全ての消費者が広く公平に負担すべき費用』を含めることができる制度」の「趣旨に照らし」という以上の説明がありません。原発コストをなぜ「ユニバーサル料金」として「託送料金の原価」に計上できるのか、その法的根拠を電気事業法に沿って具体的に説明して下さい。

(1b)施行規則パブコメ回答No.82では、「ユニバーサル料金等」とは無関係に、「原発依存度の低減、廃炉の円滑な実施といったエネルギー政策の目的を達成するために必要な例外的な措置」だとしていますが、このような例外的な措置を導入できるという電気事業法上の法的根拠を説明して下さい。
すでに「使用済燃料再処理等既発電費」等が託送料金の原価に計上されていますが、2019年度で終わります。これも「例外的な措置」だったはずであり、今回も「例外的な措置」だというのなら、例外が通例になってしまうと私たちは考えますが、いかがですか。そうならない法的制限措置があるというのであれば、その法的規定を具体的に説明してください。

(2)廃炉になっても未償却資産を回収できる?
施行規則パブコメ回答No.82では「廃炉会計制度は、自由化により競争が進展した環境下においては、廃炉に伴って一括して巨額な費用が生じることにより、事業者の合理的な廃炉判断が歪んだり、円滑な廃炉の実施に支障を来し、原発依存度の低減が進まないといった懸念に対応するため、規制料金による費用の着実な回収を前提として措置したもの」だとしていますが、事実は違います。廃炉会計制度が導入されてから廃炉になった6基はいずれも小型で最も古い設計であり、巨額の対策工事を行っても投資効果に乏しいと判断された結果にすぎません。現に、高浜1・2号と美浜3号ではそれぞれ2千~3千億円もの工事費を注ぎ込んで40年超運転を行おうとしています。そこで質問します。

(2a)廃炉会計制度は、高浜1・2号や美浜3号のように巨額の対策工事費を投じて再稼働できなかった場合や再稼働後早期に廃炉になった場合に、未回収資産を回収できる制度と化しており、事実上、40年超運転を促し、「合理的な廃炉判断を歪め、円滑な廃炉の実施に支障を来している」と私たちは考えますが、いかがですか。

(2b)廃炉費は運転開始40年で回収する方針に変更されたため、廃炉費積立不足金は今後ほぼ発生せず、廃炉時未償却資産だけが対象になります。これは電力会社の原発に限ってその資産回収を支援する制度にほかなりません。このような制度を導入できるという電気事業法上の法的根拠はないと私たちは考えますが、いかがですか。もし、法的根拠があるというのなら、それを具体的に説明して下さい。
以上

「福島事故関連費等8.6兆円の託送料金への転嫁」に関するパブリックコメントに意見を出そう!

福島事故関連費等8.6兆円の託送料金への転嫁に関する経産省令の改定案が2種類出され、パブリックコメントにかけられています。
いずれも8月26日が締切りです。

しかし、ここには廃炉費6兆円を託送料金から捻出するために不可欠な「託送料金高止まりのルール」が入っておらず、一部にすぎません。経産省はこれを出せない状態に陥っているのです。パブコメに意見を集中して、省令改正案を撤回させましょう。

反対署名は10月末締切りです。署名の一層の拡大ご協力下さい。
今なら撤回させられます!反対署名を拡大して撤回させましょう!

2017年10月末締切の新しい署名用紙はこちらWord版はこちら

署名拡大用リーフレットはこちら

(1)「電気事業法施行規則」等の一部改正に対する意見の募集について(リンクはこちら)
意見・情報受付開始日 2017年07月28日 
意見・情報受付締切日 2017年08月26日

(2)「原子力損害賠償・廃炉等支援機構の廃炉等積立金管理等業務に係る業務運営並びに財務及び会計に関する省令案等」に対する意見の募集について(リンクはこちら)
意見・情報受付開始日 2017年07月28日 
意見・情報受付締切日 2017年08月26日 

長沢啓行若狭ネット資料室長の提出した意見は下記の通りです。(意見4を追加提出しました)

「電気事業法施行規則」等の一部改正に対する意見の募集について

<意見1>
電気事業施行規則第45条の21の3の「原子力発電事業を営む発電事業者は、その運用する原子力発電工作物及び廃止した原子力発電工作物に係る原子力損害の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力発電事業者が平成二十三年三月三十一日以前に原価として算定することができなかったものを、一般送配電事業者が行う接続供給によって回収しようとするときは、回収しようとする資金の額について、五年ごとに、経済産業大臣の承認を受けなければならない。」とあるが、このような過去に商取引が完了したものについて、過去に遡って、しかも、その商取引に関与していなかった現在の消費者から回収することが商法違反ではないとする根拠法を引用して明示すべきである。そうでなければ、商法違反の資金回収を経産大臣が承認することになってしまうのではないか。
電気事業施行規則第45条の21の3の第3項の「適正かつ明確に定められていること」とあるが、具体的な記載がなく、「適正かつ明確に定められている」かどうかを判断する根拠(算定式など)を明記すべきである。
電気事業施行規則第45条の21の3の第3項第3号の「各一般送配電事業者ごとの回収すべき賠償負担金の額が、旧原子力発電事業者が平成二十三年三月三十一日以前に発電した原子力電気の供給に係る契約の内容に照らし、適正かつ明確に定められていること。」とあるが、現在の電力消費者の大半はほとんどの期間、旧原子力発電事業者との「契約」関係にはなかったのであり、「契約の内容に照らし」て適正とは確認できないはずである。

<意見2>
2016年12月9日の第6回東京電力改革・1F問題委員会参考資料では、損害賠償費が5.4兆円から7.9兆円に増えたが、計2.5兆円の内訳は東京電力が1.2兆円(特別負担金0.67兆円と一般負担金0.53兆円)、大手電力が一般負担金1.0兆円、新電力が一般負担金0.24兆円で、一般負担金は合計約1.8兆円弱だが、電気事業施行規則第45条の21の3の「賠償負担金」は一般負担金「過去分」2.4兆円に相当する。つまり、過去分で回収される一般負担金は追加された1.8兆円弱よりも0.6兆円強も多い。この分が当初の損害賠償費5.4兆円のうち、一般負担金約4.1兆円(東電1.4兆円と大手電力2.7兆円)の減額に使われる結果となっている。
資料請求への経産省による2017年4月6日回答では、過去分2.4兆円の割当は東電約0.8兆円、大手電力約1.4兆円、新電力0.24兆円であった。つまり、東電は1.4兆円から0.53兆円増額のところ、0.3兆円弱の減額(=0.53兆円-0.8兆円)、大手電力は2.7兆円から1.0兆円増額のところ、約0.4兆円の減額(=1.0兆円-1.4兆円)になる。新電力だけが0.24兆円の増加になる。これでは新電力に対して余りにも東電や大手電力を優遇しすぎではないか。
電気事業施行規則改定案には、これらの不公平な数値は一切出てこない。これは欺瞞であり、このような省令改定は撤回すべきである。

経産省から資料請求への回答(2017年4月6日)

<意見3>
電気事業施行規則第45条の21の5には「一般送配電事業者は、当該通知に従い、廃炉円滑化負担金をその接続供給の相手方から回収しなければならない。」とあるが、「廃炉円滑化負担金」は本来、原子力事業者との契約者から原子力事業者に代って回収すべきものであり、原子力を持たない新電力の「接続供給の相手先から回収しなければならない」とするのであれば、それを正当化できる上位の根拠法を引用して明示すべきである。
電気事業施行規則第45条の21の5の第3項第2号には、「各一般送配電事業者ごとの回収すべき廃炉円滑化負担金の額が、特定原子力発電事業者が発電した原子力電気の供給に係る契約の内容に照らし、適正かつ明確に定められていること。」とあるが、新電力に契約変更した消費者との間には「原子力電気の供給に係る契約」が存在しないため、「適正かつ明確に定められている」かは確認できないはずである。
このような「廃炉円滑化負担金」には今後廃炉にされるすべての原発に適用されることになるが、原子力規制委員会の適合性審査に対応するため、原発1基当り1000億円程度の対策工事を行っているが、仮に審査に通らず廃炉になっても、投じた対策工事費の大半が託送料金で廃炉後に回収されるというのは商法違反ではないか。しかも、新電力との契約者からも回収するのは二重に商法違反ではないか。

<意見4>(追加提出しました)
電気事業施行規則改正案第45条の21の3の第3項第3号の「各一般送配電事業者ごとの回収すべき賠償負担金の額が、旧原子力発電事業者が平成二十三年三月三十一日以前に発電した原子力電気の供給に係る契約の内容に照らし、適正かつ明確に定められていること。」とされ、同第45条の21の4の第3号には「賠償負担金相当金(一般送配電事業者がこの項の通知に従い回収した金銭をいう。次項において同じ。)を払い渡すべき各原子力発電事業者」を通知するとあるが、下記の2点が不明である。
(1)東北電力の東通1号と女川3号、東京電力の柏崎刈羽1号と福島第二原発3・4号、北陸電力の志賀2号、日本原電の敦賀・東海については複数の電力会社で「共同開発」(各電力会社の供給力に算入し、受電・購入契約を締結)しており、これらの原発に関する「各一般送配電事業者ごとの回収すべき賠償負担金の額」は受電契約分に即して各電力会社の子会社たる各一般送配電事業者に案分されると理解されるが、それを「払い渡すべき各原子力発電事業者」とは各原発を所有し運転している原子力事業者だと理解してよいか。
(2)「回収すべき賠償負担金の額」は一般送配電事業者ごとに異なるが、複数の一般送配電事業者を通って送電されるとき、この「回収すべき賠償負担金の額」はその都度、多重に課金されるのか。たとえば、(1)の場合には複数の一般送配電事業者を通って送電されるため、多重課金が避けられず、「回収すべき賠償負担金の額」の過剰回収になるのではないか。
電気事業施行規則改正案第45条の21の5には「一般送配電事業者は、当該通知に従い、廃炉円滑化負担金をその接続供給の相手方から回収しなければならない。」とされ、同第45条の21の5の第3項第2号には「各一般送配電事業者ごとの回収すべき廃炉円滑化負担金の額が、特定原子力発電事業者が発電した原子力電気の供給に係る契約の内容に照らし、適正かつ明確に定められていること。」とあるが、この「廃炉円滑化負担金」についても、上記の(1)と(2)の2点(「賠償負担金」を「廃炉円滑化負担金」に置換えたもの)が不明である。
これは、原発コストを「託送料金」で無理矢理回収しようとするから生じる矛盾点であり、「原子力を持たない新電力から原発のコストを回収する」という重大な問題点と同根である。このような無理な回収策は撤回すべきである。

「原子力損害賠償・廃炉等支援機構の廃炉等積立金管理等業務に係る業務運営並びに財務及び会計に関する省令案等」に対する意見の募集について

<意見1>
省令(案)第4条第1項の「廃炉等積立金の額を定める時点において予見することができる将来にわたって廃炉等の実施に要する費用に充てる資金の金額」が「廃炉等を適正かつ着実に実施するために十分な額であること」を経産大臣がどのような基準で判断するのかが不明であり、具体的な省令としては判断基準が欠落している。
また、電気事業会計規則改正案では、営業費用の項目に「廃炉等負担金」を挙げて「廃炉等実施認定事業者の子会社等若しくは親会社が負担すべき金銭として廃炉等積立金に充てるために支払う金額を整理する。」とあり、営業利益の項目には「廃炉等負担金収益」を挙げて「廃炉等実施認定事業者の子会社等若しくは親会社から、廃炉等積立金に充てるために支払われる金額を整理する。」とあるが、これらは託送料金の原価ではなく、報酬もしくは超過利潤から東京電力の経営努力によって捻出される費用項目であり、利益項目である。ところが、これらの「廃炉等負担金」もしくは「廃炉等負担金収益」を捻出するためには、託送料金を高止まりにさせる基準もしくはルールがどこにも提案されていない。これでは託送料金の原価として「廃炉等負担金」が計上されるかの誤解を招きかねないので、改正案についての説明が必要ではないか。
現在は、「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等」(20170605資第46号)の「第2 処分の基準」「(14) 第19条第1項の規定による託送供給等約款等の変更の認可の申請命令」において、「(1)託送供給等約款が、物価の大幅な変動や需要構成の著しい変化があるなど社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり、公共の利益の増進に支障があると認められる場合、(2)当期超過利潤累積額が一定水準額を超過している場合、(3)補正後乖離率が一定の比率(マイナス5パーセント)を超過している場合」が「託送供給等約款等の変更の認可の申請命令」を出す場合として列挙されており、これが東京電力関係について見直されない限り、毎年2000億円程度の「廃炉等負担金収益」を捻出することは不可能である。最も肝心なルールである「託送料金高止まりのルール」(案)を国民に提示せず、陰でこそこそと改定するのはやめるべきである。

電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等(20170605 資第46号)

<意見2>
託送料金の原価の大半は減価償却費だが、鉄塔・架線など耐用年数が50~30年の送配電網の更新が待ったなしである。鉄塔は1960年代後半から急増して1970~2000年に大増設され、2015年末で24.8万基あるが、今は1千基を毎年更新している。このペースでは全部を更新するのに248年かかり、50年サイクルで更新するには毎年5千基、5倍増にしなければ追いつかない。この減価償却費を考慮すれば託送料金は2倍にも跳ね上がる可能性があり、廃炉費を毎年2000億円レベルで捻出するのは不可能に近い。無理をすれば送配電網の更新が繰り延べされ、送電トラブルが頻発し、大停電が起きる可能性もある。このような現状で、廃炉費6兆円を託送料金で賄うのは無謀ではないか。
そもそも、東電を破産処理しないからこのような事態に陥るのであり、東京電力を破産処理して福島事故の責任をとらせ、株主や金融機関に債権放棄をさせて、9兆円程度を捻出し、不足分を累進課税で賄うのが筋である。そうでなければ国の責任を果たすこともできない。
廃炉費不足金6兆円も、米スリーマイル島原発事故の経験に基づくが、福島第一原発とは全く条件が異なるため、デブリ取出工程次第で今後跳ね上がることは避けられない。そうであれば、託送料金による無理な資金調達法をやめて、東電を破産処理し、国の責任に基づく本格的な廃炉体制を構築すべきではないか。

若狭ネットニュース第167号を発行しました

第166号(2017/7/31)(一括ダウンロード5.0Mb
巻頭言-福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないで!
 今なら撤回させられる 反対署名を拡大し撤回させよう
原発優先の「エネルギー基本計画」を脱原発・再エネ優先へ!
「科学的特性マップ」による核のゴミ処分地の立地推進反対!
 原発再稼働を中止し、使用済核燃料を生み出すな!
 原発再稼働と一体の使用済核燃料の乾式貯蔵反対!
(1)2017年7月8日地元の藤井寺市で「日本と再生」上映会を行う
 子どもたちの未来を考える会久保きよ子
2017年7月8日「日本と再生」上映会アンケート
 子どもたちの未来を考える会編集
映画会をやり終えて、今、改めて思う 久保きよ子
(2)高レベル放射性廃棄物の地層処分反対!「総量管理」を! 原発再稼働をやめ、これ以上使用済核燃料を生み出すな!
(3)伊方3号運転差止仮処分申立を却下した松山地裁決定は「規制の虜」を追認する「司法の虜」か
大阪府立大学名誉教授 長沢啓行

2017年10月末締切の新しい署名用紙はこちらWord版はこちら

署名拡大用リーフレットはこちら

<巻頭言>
福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないで!
今なら撤回させられる 反対署名を拡大し撤回させよう
原発優先の「エネルギー基本計画」を脱原発・再エネ優先へ!
「科学的特性マップ」による核のゴミ処分地の立地推進反対!
原発再稼働を中止し、使用済核燃料を生み出すな!
原発再稼働と一体の使用済核燃料の乾式貯蔵反対!

8.6兆円の託送料金転嫁による東電救済を許すな

今年5月に策定された東京電力再建計画=「新々・総合特別事業計画」は21.5兆円にも上る損害賠償・廃炉費の大半を電気料金や税金で賄い、東電役員・株主・金融機関を免責し、東電の救済を図るものです。その重要な柱が「8.6兆円の託送料金への転嫁」です。新電力へ契約変更した電力消費者からも損害賠償・廃炉費を回収することで、東電や電力大手は競争力を維持しようとしています。これができなければ、原発はコスト高で維持できません。
関西電力は、新電力契約者にも原発コストを負担させる一方で、自社契約者には電気料金を値下げしようとしています。こんな理不尽なことは許せません。
ところが、ここに来て、5倍以上に増える送配電網更新費を賄えなくなる恐れが判明するなど、「8.6兆円の託送料金への転嫁」の矛盾が顕在化し、経産省は省令改訂を具体化できない状態に陥っています。今、反対署名を拡大して、さらに追い込めば撤回させられる! — その展望が開けてきました。福島原発廃炉費は8兆円では済みません。膨れ上がった増分が託送料金へどんどん転嫁されていきます。
それを阻止できるのは今です。反対署名の拡大にご協力下さい。10月末が第4次集約です。11月に反対署名を積み上げて提出・追及し、撤回させましょう。

東電の責任は原発を再稼働させること・・・??

「東電は福島への責任を一体どう理解しているのか?」田中原子力規制委員長から詰問された川村隆東電会長は7月10日、次のように答えています。
「直接的には・・・賠償、除染、廃炉作業が責任の直接的な部分として残っている。・・・もう少し根源的な責任として・・・今後の原子力の活用に関して大変な不安を国民及び世界に与えたという大きな責任も残っている。したがって・・・原子力が日本のエネルギーにとって非常に大事なものなのだ、原子力なしではこの後やっていけないというところをいろいろな形で東京電力が示していくというところが非常に大事だろうと思っております。・・・事故を起こした当事者が過酷事故に関して、これだけの準備がその後できて、発電所がきちっと動かせたということがもし国民の方にわかれば、それは非常に大きな原子力に対するものになると思います。・・・ここで新しいタイプの原子力がきちっと動かせることを見せるという責任は東京電力に大変にあると思っていまして、それが、非常に時間がかかることではありますけれども、我々が達成したいことです。」川村会長は原子力メーカー日立の出身であり、柏崎刈羽6・7号は新型沸騰水型炉ABWRで日立・東芝・GE社製です。これを再稼働させることが東電の根源的な責任だというのです。このような東電を免責し救済するために、私たちが電気料金や税金で東電を支えるよう強いられ、さらに託送料金で強要させられようとしているのです。絶対に許せません。

トリチウム汚染水海洋放出の「判断はもうしている」

川村会長は、福島第一原発の汚染水対策で溜まり続けるトリチウム汚染水について、「(薄めて海洋放出する)判断はもうしている。規制委委員長と同じ意見だ」と発言し(共同通信7月14日)、福島県漁連や県水産市場連合会が即刻抗議文を出し、全国漁業協同組合連合会も19日に川村氏を呼びつけて厳重抗議しました。発言の撤回を求められた川村氏は、「会社としても個人としても判断した事実はない」「(東電が判断したという趣旨で)発言した事実はない」と弁明し、発言を撤回していません。海洋放出が基本方針なので撤回できないのです。他方、「同じ意見だ」と名指しされた田中委員長は「私の名前を使ってああいうことを言ったのは、はらわたが煮えくりかえりますよ」と憤慨していますが、トリチウム汚染水の海洋放出を東電が主体的に進めるよう迫っているのです。
福島の汚染水タンクには約100万m3の汚染水が溜まっており、多核種除去設備ALPSでトリチウム以外の放射能の大半が除去されたALPS処理水は約78万m3、ここに約700兆Bqのトリチウムが含まれています。平均濃度は約90万Bq/Lですが、事故直後の汚染水では200万Bq/Lにもなります。排出可能な告示濃度限度は6万Bq/L、東電の運用目標は1,500Bq/Lですので、告示濃度限度の15~33倍、運用目標の600~1300倍にもなります。これを薄めて海洋放出するというのですからとんでもありません。

東電を破産処理し、再稼働を阻止し、脱原発へ

東電はフクシマ事故の責任をとっていません。政府も東電に責任をとらせず、国の責任もとらずにすませ、原子力被災者と国民にすべての負担を押しつけ、柏崎刈羽原発を再稼働させることでフクシマをなかったことにしようとしているのです。そのために送り込まれたのが川村会長なのです。こんな東電救済策は断じて許せません。今こそ、東電を破産処理し、株主・金融機関に債権放棄させ、福島第二原発4基を廃炉にすべきです。事故を起こした東電が柏崎原発7基を再稼働させるなどもってのほかです。
原発はなくても電力は余っています。フクシマを繰り返す危険を冒してまで原発を再稼働させることは正当化できません。経済活動の自由は人格権より劣位にあります。原発再稼働は憲法違反です。

原発優先のエネルギー基本計画を見直せ

欧米では、フクシマ原発事故を深刻に受け止め、脱原発と再生可能エネルギーの普及に努め、今や太陽光・風力の発電単価は火力や原子力をしのいでいます。その結果、フランスでも原子力メーカーや電力会社が経営危機に陥り、再生可能エネルギーへ軸足を移し、原発比率を75%から50%へ減らす政策がとられています。米ではシェールガスの拡張や原発建設費高騰が重なってはいますが、原子力メーカー最大手のウェスチングハウスの経営破綻と東芝の債務超過はその裏返しです。安倍政権の原発輸出戦略は幻想に終わろうとしています。
今年は「エネルギー基本計画」を改定する年に当たります。「2030年に原子力22~20%」という目標を破棄し、脱原発・脱石炭火力の方向を明確にし、再生可能エネルギーの抜本的普及を図るべきです。
再生可能エネルギーを少なくとも「2030年に40%程度」、将来的には100%を目指すべきです。そのためには、原発全基を再稼働させることを想定して太陽光・風力に制限を加える「接続可能量」制度を撤廃し、欧米のような「再生可能エネルギーの優先接続、優先給電」を実現すべきです。

発送電分離を早め、送電網を公的管理に移せ!

電力自由化を進めるため、2020年には発・送電が分離されますが、送電網は法的分離に留まり、電力会社の影響力が残ります。再生可能エネルギーを最大限に普及させるためには所有分離を断行し、送電網の所有権を中立機関へ移すべきです。欧州の例のように全国統一の送電網として公的管理すれば、太陽光や風力の地域的・時間的な変動を送電網を介して平準化させられます。動かない原発のために送電線を空けておく勝手な運用や「接続可能量」で自社都合を優先させる送電網管理をやらせないことが重要です。

3.8兆円の安全対策費は廃炉後に回収できる

電力会社にとって送配電事業は利益の出る「打出の小槌」です。これを手放せば原発を維持できないと公言してはばからなかったほどです。福島事故の損害賠償・廃炉費等8.6兆円を送配電網利用料金=「託送料金」へ転嫁しようとする今回の動きもその一環です。原発コストの「託送料金」への転嫁を許さず、送電網の所有分離へ進むことが重要です。
とくに、原発再稼働のための安全対策費は9電力で3.8兆円に上りますが、たとえ再稼働できず廃炉になっても、後から託送料金で回収できる仕組みが今回の「8.6兆円の託送料金への転嫁」に組み込まれています。金額としては廃炉6基分に限られますので0.2兆円と少ないのですが、42基分となると安全対策費を含めて6兆円規模へ膨れあがるのです。こんな理不尽な仕組みの導入を許してはなりません。

原発経営をやめれば電気料金は下がる!

東電を破産処理して債権放棄させれば8.6兆円が浮きます。原発を廃炉にすれば1兆円強の原発維持費が浮いて電気料金を下げられます。
現に、関西電力は2015年6月の前回値上げ時に美浜1・2号と敦賀1号の廃炉で「費用減少額は96億円程度(現在精査中)」になることを認め、この分を値上げ抑制に使いました。しかし、これは「精査中」の金額にすぎず、実際には年500億円以上浮くはずです。関電は、「精査した結果」を未だに公表せず電力消費者へ還元しないまま、高浜3号の営業運転入りを機に8月1日から電気料金を値下げしようとしています。他方では、美浜1・2号の廃炉時に損失計上すべきコスト603億円(廃炉費積立不足金112億円と未償却資産491億円)を託送料金へ転嫁し、新電力の消費者からも回収しようとしているのです。こんな理不尽なことは許せません。

使用済核燃料を生み出すな!乾式貯蔵反対!

「科学的特性マップ」が公開されましたが、地震・火山国の日本に深地層処分の適地などありません。
高レベル放射性廃棄物を生み出さないことが現世代の責任です。それには原発の再稼働を阻止し、使用済核燃料をこれ以上増やさないことが肝心です。原発立地点では、原発再稼働と一体のものとして、使用済核燃料の乾式貯蔵計画が進められようとしています。これは、立地場所によらず、5年以上冷却した使用済核燃料をプールから搬出し、空き容量を作るためのものです。原発が動けば毎年新たな使用済核燃料がプールへ排出され、ここで5年以上冷却しなければ乾式貯蔵へは移れません。高熱を発する5年間こそがプール事故の危険が高い時であり、「乾式貯蔵への移行」ではこの危険をなくすことはできません。むしろ、その危険が一層高まるのです。
安倍政権は追い込まれています。損害賠償費・廃炉費の託送料金への転嫁も、経産省の思いとおりには行っていません。粘り強く闘えば勝てる条件が拡大しています。ここが正念場、ともに闘いましょう。

関西電力へ「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」に関する緊急申し入れを提出

関西電力は、私たちが6月22日付けで提出した公開質問状に全く応えるそぶりすら見せません。2週間以内の文書回答を求めていましたが、なしのつぶてです。
そこで、「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」に関する緊急申し入れを提出しました。新電力へ切り替えた方を含めて関電管内のすべての電力消費者へ、「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」(2年間で1,000億円相当)を還元することなく、新電力に対抗して電気料金を値下げするのは手前勝手すぎます。

2017年7月12日

関西電力株式会社 取締役社長 岩根 茂樹 様

電気料金値下げ申請時の「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」に関する緊急申し入れ

若狭連帯行動ネットワーク

(緊急申し入れのpdfはこちら)

貴社は7月6日、経済産業省へ「家庭向け3.15%、企業向け4.9%の電気料金値下げ」申請(変更届出)を行い、7月11日には経済産業大臣直属の電力・ガス取引監視等委員会料金審査専門会合で1回目の審査が行われました。しかし、その会合で示された貴社説明資料には、「(敦賀1号と美浜1・2号の)廃炉に伴う費用の減少分」に関する説明が一切ありません。
この「廃炉に伴う費用の減少分」は、前回原価2兆8,967億円(2015年6月値上げ時)と今回原価1兆9,538億円の差額9,429億円の内数に含まれているものと考えられますが、明示すべきです。前回値上げ時の「関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案の概要」(電気料金審査専門小委員会2015.4.21)には「関西電力からはこれらの費用の減少分を電気料金負担の軽減に活用するとの説明がなされましたが、関西電力においてはその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に活用することを求める。また、次回の料金改定に際しては、廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである。」と明記されています。貴社はこのとき「廃炉に伴う費用の減少分」を96億円と試算していますが、「敦賀1号の廃炉に伴う購入電力料の減少分」が84億円であり、美浜1・2号分は34億円(ここから廃炉費積立金22億円が減額される)しか含まれておらず、「※金額については、現在精査中」としていました。美浜1・2号の合計出力が敦賀1号の約2.6倍であることや美浜1・2号の年間維持管理費から見積もっても、「美浜1・2号の廃炉に伴う費用の減少分」は年間約500億円程度にはなると推測されます。敦賀1号分と合わせて600億円弱が毎年浮いてくるはずですが、2015年6月1日の値上げ以降、「廃炉に伴う費用の減少分」の精査結果は公表されず、電力消費者への還元もなされていません。
今回の値下げ申請に関する審査では、前回値上げ時の査定方針に従い、この「廃炉に伴う費用の減少分」について精査した結果を、貴職が自ら委員会へ提示し、今回の原価には織り込まれていないことを明示すべきです。新電力へ契約変更した電力消費者はその還元を受けていないのですから、その分を還元すべきです。
私たちは、この件について、6月22日付けで貴職宛に公開質問状を提出し、2週間以内の文書回答を求めましたが、なしのつぶてです。来週には2回目の審査会合が開かれますので、その会合に説明資料を提出し、「廃炉に伴う費用の減少分」の精査結果を公表するとともに、新電力へ契約変更した消費者への還元方策を説明すべきです。また、この件について、消費者に広く説明するため、公開の説明会を開くべきです。
そこで、以下の緊急申し入れを行います。

1.貴社電気料金値下げ申請に係る次の料金審査専門会合で、「敦賀1号と美浜1・2号の廃炉に伴う費用の減少分」の精査結果を明示し、新電力へ契約変更した消費者を含めて、その分の電力消費者への還元方策を示して下さい。

2.6月22日付で貴職へ提出した公開質問状に文書回答し、公開の場で説明会を開いてください。

以上

 

今ならつぶせる!「8.6兆円の託送料金への転嫁」反対署名を拡大し、経産省令案を葬り去ろう!

福島事故関連費など8.6兆円の託送料金への転嫁反対署名にかかる6.28第2回経産省交渉の報告

機構法改定は「切迫する破産」からの東電救済策だった!
8.6兆円を託送料金で回収する仕組みの作成が難航!
3.3万の反対署名を拡大し、経産省令案を葬り去ろう!

新しいリーフレットができましたこちらからダウンロードして下さい

「経産省交渉報告のまとめと交渉記録」のpdfはこちら
「経産省への緊急申し入れ」のpdfはこちら
2017年10月末締切の新しい署名用紙はこちらWord版はこちら

呼びかけ:若狭連帯行動ネットワーク(事務局)、双葉地方原発反対同盟、原発の危険性を考える宝塚の会、日本消費  者連盟関西グループ、関西よつ葉連絡会、安全な食べものネットワーク オルター、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井  から原発を止める裁判の会、吹夢キャンプ実行委員会、福島の子供たちを守ろう関西、さよなら原発神戸アクション、 さよならウラン連絡会、おかとん原発いらん宣言2011、原発ゼロ上牧行動、STOP原子力★関電包囲行動、とめよう原発!!関西ネットワーク、さよなら原発なら県ネット、地球救出アクション97、ヒバク反対キャンペーン、さよなら原発箕面市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、環境フォーラム市民の会(豊中)、科学技術問題研究会、さかいユニオン、大阪自主労働組合、社民党福島県連合、フクシマ原発労働者相談センター、日本消費者連盟、原子力資料情報室

    今なら、経産省令改定を阻止できる!

 フクシマ事故損害賠償費の一般負担金「過去分」2.4兆円、福島原発廃炉費追加分6兆円、廃炉会計に関するコスト0.2兆円、合計8.6兆円を電気の「託送料金」に転嫁しようとする経産省に対し、私たちは6月28日、反対署名1万426筆を第三次提出しました。累計3万3,328筆に達した反対署名を背に経産省を徹底追及しました。今回は、3月の第1回交渉と資料請求の結果を踏まえ、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(以下「機構法」)改定案の5月10日国会可決を受け、焦点を絞って追及しました。(映像はこちら  https://www.youtube.com/watch?v=8yw_chGH5wA
経産省資源エネルギー庁電力・ガス事業部からは、政策課電力産業・市場室の室長補佐、電力市場整備室の室長補佐と原子力政策課の法令制度一係長の3名が出席し、市民側は19名で臨みました。

  託送料金で回収する仕組みを検討中・・・?

 今回の交渉では驚くべき事実が判明しました。
 8.6兆円を託送料金で回収することは決めたものの、それをどのように託送料金にのせて回収するのか、その仕組みがまだ決まっておらず、現在、経産省内で検討中であり、今後、具体的な制度について電力・ガス取引監視等委員会などの委員会で検討するかも知れず、検討結果をいつ出せるのか、そのメドも立たず、経産省令(案)をパブコメにかける時期も未定だというのです。つまり、経産省は、簡単に結論を出せない、何らかの矛盾に満ちた重大な課題を抱え込んでいて、廃炉会計制度を導入したときのように「スイスイと経産省令改定案を作ってパブコメにかけて終わり」というわけには行かない、極めて困難な事態に直面しているのです。
 今、徹底して闘えば、8.6兆円の託送料金への転嫁を阻止できる!その兆しが、今回の経産省回答のほころびから、垣間見えてきたと言えます。3.3万筆に達した反対署名をさらに広げ、託送料金による8.6兆円の回収の仕組みの矛盾を徹底的に追及し、経産省をさらに追い込めば、阻止できる展望が開けてきたと言えるのです。
 では、経産省はどのような矛盾を抱えているのでしょうか。交渉を通して垣間見えたのは次の点です。

一般負担金「過去分」の「回収」と「納付」の矛盾

  第1に、損害賠償費一般負担金「過去分」2.4兆円は、電力会社の送配電事業者が各電力管内の販売電力量に比例して託送料金で回収するのですが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が各原子力事業者(電力会社等)へ割り当てる一般負担金「過去分」の納付金額は電力会社の原発容量などに基づいて決められます。託送料金単価を一律に設定すると、両者に食い違いが生じます。そのため、エリア毎に「過去分」相当の託送料金単価を変える必要が出てきます。また、「電気の託送」が複数のエリアをまたぐ場合には、食い違う「過去分」相当の託送料金単価を調整しなければなりません。通常の託送料金コス
トでは生じない問題点です。

廃炉費6兆円を回収する託送料金ルールの矛盾

第2に、福島廃炉費6兆円を東電管内の託送料金を高止まりにして回収するとして、どのレベルに高止まりにするのかが難しく、そのルール作りを間違うと、6兆円を回収できなくなります。今は超過利潤が一定の金額に達した場合や託送料金コストが5%以上削減できた場合には託送料金を下げるというルールになっていますが、単に金額や%の値を変えるだけでは対応できず、託送料金が高くなりすぎると、電力消費者へコスト削減分を還元する方針にも反することになります。おまけに、私たちが今回強調した2020年以降の送配電網更新問題(更新投資を今の5倍以上に増やさねばならない)を考慮すると、託送料金の上昇が避けられず、託送料金を低く抑えたままで廃炉費6兆円を回収するのは極めて困難だと言えます。この6兆円という金額も今夏のデブリ取り出し方針によって変わる可能性もあり、放射性廃棄物処分費を入れると何倍にも膨れあがるのは目に見えており、託送料金で回収する仕組みだけでは、早晩破綻するのは明らかです。

    電力・ガス取引監視等委員会で要検討?

 経産省は、省内だけの議論では済まず、今回の交渉では、「電力・ガス取引監視等委員会」が「8.6兆円の託送料金による回収状況の妥当性」をチェックする方針であることを認め、この電力・ガス取引監視等委員会で今後「適切な託送料金設定」の仕組みについて議論する必要性があることにも言及しました。実は、この電力・ガス取引監視等委員会ではこれまで、送配電網の新設・拡充・更新等に関するコストについては検討してきたものの、原発関連コスト8.6兆円が託送料金で回収されることについては一切検討できませんでした。原発関連コストの託送料金による回収はもっぱら、「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」や「東京電力改革・1F問題委員会」で議論され、「電力・ガス取引監視等委員会」はこの問題の検討から外されていたのです。にもかかわらず、ここに来ていきなり、「8.6兆円の託送料金による回収」を前提にして、その「仕組み」だけを議論しろというのです。普通なら、「バカにするな!自分たちで最後まで責任を持て!」と言いたいところです。経産省お抱えの委員たちはすんなり応じるのでしょうか。だとしても、今の5倍以上の増額を余儀なくされる送配電網更新費を賄いながら、6兆円からさらに膨れあがろうとする福島原発廃炉費を捻出できる「適切な託送料金設定」法などあり得ず、議論が紛糾するのは必至です。形だけの料金設定では早晩、矛盾が顕在化せざるを得ないでしょう。
 こんな姑息なやり方をやめ、「東電を破産処理せず、国民負担で東電を救済するために、託送料金で福島原発廃炉費等8.6兆円を回収する」という基本方針の妥当性をこそ議論すべきです。

    機構法改定は東電救済のためだった!

  ここまで来ると、あんなに急いだ「機構法」改定は一体何だったんだということになります。
 「8.6兆円の託送料金への転嫁」を検討していた「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」が昨年12月16日に「中間とりまとめ」の案を出し、12月19日から1か月間のパブリックコメントを開始しましたが、その結果を待つことなく、「東電救済策」を検討していた「東京電力改革・1F問題委員会」が12月20日に「東電改革提言」を出し、安倍政権が同日、それを踏まえた「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針について」を閣議決定し、2日後の12月22日には、これを踏まえた「2017年度予算案」を閣議決定して国会へ提出、今年(2017年)2月7日には機構法(原子力損害賠償・廃炉等支援機構法)の一部改定案を衆議院へ提出したのです。これらがすべて済んだ後で、今年(2017年)2月9日に「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」がパブコメ結果を踏まえて「中間とりまとめ」を確定させたのです。「国民負担を強いる東電救済策」の案に対するパブコメを行いながら、それが全く形だけだったことはこれらの経緯が如実に示しています。
 機構法改定案は与党・民進党・日本維新の会の賛成で参議院でも5月10日に可決・成立しましたが、その翌日に東京電力の「新々・総合特別事業計画(第三次計画)」が政府へ申請され、1週間後の5月18日に認可されています。フタを開けてみれば、すべてが出来レースだったのです。機構法は、東京電力が機構(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)の中に福島原発の「廃炉等積立金」を積立てることを義務づけたものですが、その原資は「託送料金による回収の仕組み」によって担保されることになっています。この仕組みを前提にして東電救済策=第三次総合特別事業計画が成り立つのであり、機構法が国会で可決されない限り、東電はそれを申請できず、政府もこれを受理し認可することもできなかったのです。つまり、東電は「巨額の損害・賠償費を認識した途端に債務超過に陥って破産する」危機にあったのです。東電を破産させず、国民に新たな負担を強いて東電を救済するため、昨年12月から極めて強引に「8.6兆円の託送料金への転嫁」政策が推し進められてきたのです。
 それが、ここに来て、その具体化の段階で本質的な矛盾を抱え、止まっています。今なら、阻止できます。機構法は「東電に廃炉費6兆円の積立を義務づけた」だけであり、「8.6兆円を託送料金で回収する仕組み」が具体化されなければ、東電は破産を余儀なくされます。しかも、この「仕組み」には重大な矛盾があり、それを突いていけば、この東電救済策を破綻に追い込むことができます。3.3万筆に達した反対署名をさらに拡大し、経産省を追い詰め、「託送料金による東電救済策」を撤回させましょう。

  一般負担金「過去分」2.4兆円で東電等を優遇

  今回の交渉では、8.6兆円を託送料金で回収する仕組みによって、東京電力と大手電力(東電以外の電力会社)の損害賠償費の負担が大きく減少し、電力消費者の負担が大きく増えることが判明しました。左図のように、東京電力は損害賠償費の負担金が2.7兆円から3.9兆円へ1.4倍強になるべきところ、1.1倍強の3.1兆円に留まったのです。大手電力では、2.7兆円から3.7兆円へ37%増のところ、15%減の2.3兆円に減額されたのです。増額すると見せかけて、実は微増ないし減額にする — こんな理不尽なことは許せません。

廃炉費6兆円は東電管内消費者に

 福島原発廃炉費6兆円も左下図のように東電が全額負担すると見せかけて、実は、託送料金高止まりで全額を東電管内の電力消費者へ転嫁しようというのです。廃炉費が6兆円からさらに増えれば、東電管内から他電力管内へも広げられるのは必至です。何しろ、東電と他電力との送配電網の共同事業体の結成が目論まれているのですから — こんな理不尽なことは許せません。

  廃炉会計0.2兆円も新電力へ

 8.6兆円を託送料金で回収する仕組みの中には廃炉原発6基分の廃炉費積立不足金等0.2兆円を新電力からも回収する仕組みが組み込まれています。金額は小さく目立ちませんが、それは廃炉になった原発が6基に限られているからです。後ろには建設中の3基を除く42基が控えています。もし、この42基が今廃炉になると、廃炉費積立不足金1.2兆円と未償却資産2.5兆円の計3.7兆円(2015年度末)が追加されます。昨年6月に見積もられた再稼働のための対策工事費3.3兆円がこれに加わり、総計7兆円が新電力を含めて託送料金から回収されることになります。もちろん、この金額は42基がいつ廃炉になるのかによりますが、いつ廃炉になっても、電力会社は電力自由化の下で競争上不利にならず、託送料金で確実に回収できるため、電力会社は原発再稼働を目指し、「安心」して1基約1,000億円もの巨額の工事費を投じられるのです — こんな理不尽なことは許せません。

  原発廃炉に伴うコスト減少分を還元しない電力

 今回の経産省交渉では、署名提出時に「関西電力による電気料金値下げ申請(7月見込)に係る緊急申し入れ」を若狭ネットで行いました。というのも、美浜1・2号の廃炉会計に関するコスト603億円を新電力を含めた電力消費者から託送料金で回収する一方、美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分約500億円/年を精査して電力消費者に還元すべきところ、未だに実施せず、2015年度から2年分で1,000億円を猫ばばしたまま、新電力と対抗するため、7月にも関西電力の規制料金契約者の電気料金を値下げしようとしているからです。その原資には美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分も含まれているはずです。 — こんな理不尽なことは許せません。
  敦賀1号の廃炉に伴うコスト減少分は購入電力料の減少分から少なくとも約200億円と公表されていますが、美浜1・2号の精査結果は公表されていません。同様のことは、廃炉になった島根1号、伊方1号、玄海1号でも起きているはずです。廃炉に伴うコスト減少分を電力消費者に還元せず、廃炉会計に係るコストについては新電力からも託送料金で回収する — こんな理不尽なことは許せません。

  原点に立ち返って、フクシマ事故対策を見直せ

 福島事故関連費等8.6兆円を託送料金で回収する政策は、具体化の段階でさまざまな矛盾に直面し、理不尽極まりない姿が露わになっています。これは見過ごせません。7月2日の東京都議選でも、安倍政権の開き直った横暴に国民の批判が噴出しました。これ以上の理不尽を許してはなりません。
 原点に立ち返って、東京電力と国にフクシマ事故の責任をとらせ、東電を破産処理し、株主や金融機関に債権放棄させて9兆円程度を捻出し、不足分は累進課税で対応すべきです。原発推進策を抜本的に転換し、エネルギー基本計画を根本から見直し、再生可能エネルギーの全面推進へ舵を切り替えるべきです。原発再稼働阻止、再生可能エネルギー推進の運動と連携し、8.6兆円の託送料金への転嫁反対運動を拡大しましょう。3.3万筆に達した反対署名の一層の拡大にご協力下さい。今なら経産省令改定を阻止できます。矛盾が顕在化した今だからこそ、反対署名を拡大しましょう!何としても、理不尽極まりない、この政策を皆の力で阻止しましょう!

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2017年6月28日
経済産業大臣世耕弘成様

関西電力による電気料金値下げ申請(7月見込)に係る緊急申し入れ

若狭連帯行動ネットワーク

6月20日の報道によれば、関西電力は、高浜3号が7月4日に営業運転入りした後、規制料金契約者の電気料金値下げを届け出て、8月1日から値下げしようとしています。ところが、関西電力は、2015年6月1日の電気料金値上げ実施条件の一つであった「敦賀1号、美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分の精査と消費者への還元」を未だに行っていません。
貴省は2015年5月15日付査定方針の中で、「廃炉に伴う費用の減少額(96億円程度)について、新たな料金に反映する。」と指示していますが、「96億円」は2015年4月21日段階の試算値にすぎません。そこでは、「敦賀1号の廃炉に伴うコスト減少分」が84億円と試算されているのに対し、「美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分」についてはわずか34億円としか試算されておらず、「※金額については、現在精査中」とされていました。関西電力は、今後「精査」の上、「お客さまの電気料金のご負担の軽減を図るべく、活用してまいりたい」と約束しましたが、未だに精査結果が公表されず、消費者への還元も行われていません。
また、貴省は、同査定方針の中で、「認可が行われた場合には、消費者をはじめとする関係する方々全てに対し、丁寧な周知・説明を求める。」と指示していますが、私たちの提出した公開質問状(別紙参照)には全く回答しようとしていません。
美浜1・2号の合計出力が敦賀1号の約2.6倍であることや美浜1・2号の年間維持管理費から見積もっても、「美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分」は約500億円程度にはなると推測されます。敦賀1号分と合わせて600億円弱が毎年浮いてくるはずですが、2015年6月1日の値上げ以降、「廃炉に伴うコスト減少分」の精査結果は未だに公表されず、精査結果の電力消費者への還元も一切なされていません。
電気料金審査専門小委員会による「関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案の概要」(2015.4.21)には「関西電力からはこれらの費用の減少分を電気料金負担の軽減に活用するとの説明がなされましたが、関西電力においてはその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に活用することを求める。また、次回の料金改定に際しては、廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである。」と明記されています。
関西電力は、「美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分」の精査・還元を行わず、規制料金契約者の電気料金を値下げして新電力に対抗する一方で、「美浜1・2号の廃炉時に損失計上すべきコスト603億円(廃炉費積立不足金112億円と未償却資産491億円)」を託送料金へ転嫁し、新電力へ契約変更した電力消費者からも回収しようとしています。これは理不尽極まりない行為です。
そこで、貴職に以下のことを申し入れます。真摯にご対応下さるよう、お願い申し上げます。
1.関西電力による7月電気料金値下げ申請に際しては、2015年6月1日値上げ条件の一つであった「敦賀1号および美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分の精査と消費者への還元」の実施状況について、また、これに関連して「消費者をはじめとする関係する方々全てに対し、丁寧な周知・説明」をどのように行ったのかについて、関西電力から詳細に聴取し、すべてを公開して下さい。
2.関西電力による7月電気料金値下げ申請のコストには「廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認」して下さい。
以上

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