10月27日(日)に下記の討論集会を開きます。ぜひ、ご参加下さい!
原子力優先・再エネ妨害の電力システム改革に反対しよう!討論集会
報告1.容量市場・ベースロード市場・非化石価値取引市場を斬る
報告2.関西電力の発注工事キックバックと腐敗した企業体質
日時:2019年10月27日(日) 午後1時半~
場所:中央区民センター(地下鉄「堺筋本町」駅下車3番出口東へすぐ)
主催:若狭ネット072-939-5660(くぼ)
10月25日(金)午後4時に関西電力本社へ10.26反原発デーの申し入れをします!
対話拒否の関電を賄賂問題で、一緒に追い詰めましょう!
容量市場・ベースロード市場・非化石価値取引市場を中心とした電力システム改革は、原発を維持し、再稼働を押し進め、再エネ拡大を阻害する——送配電網の全国統一公的管理で脱原発と再エネ優先接続・優先給電を!
新電力の電力市場シェアは2019年6月現在、図1のように14.8%に達し、低圧分野では直線的に伸び続けています。特別高圧・高圧分野でも、原発を再稼働した関西・九州・四国では旧一般電気事業者による巻き返しにあっていますが、他エリアでは伸び続けています。
図1.新電力シェアの推移(2012.4~2019.6) (新電力シェアは着実に上昇し、2019年6月現在、総需要の約14.8%(特高・高圧需要の約14.9%、低圧需要の約14.8%)を占める。関西電力と九州電力での原発再稼働による巻き返しは、特高・高圧分野で限定的であり、低圧分野では、全エリアで新電力のシェアが増え続けている) (出典:事務局提出資料,自主的取組・競争状態のモニタリング報告(平成31年4月~令和元年6月期),電力・ガス取引監視等委員会 第41回制度設計専門会合, 資料8(2019.9.13))
新電力への切替えと旧一般電気事業者内での規制料金から自由料金へ切り替えを含めた低圧分野でのスイッチングは31.5%に達し、毎年約6%の割合で切替えが進んでいて、旧一般電気事業者の最大の利益源だった低圧分野の規制料金契約はあと3年程度で50%を割り込む勢いです。
しかし、旧一般電気事業者の市場支配力は衰えてはいません。余裕がなくなった分だけ、なりふり構わぬ「凶暴」さを示すようにもなっています。原発再稼働による特別高圧・高圧分野での顧客取り戻しや関西電力による市民団体との対話拒否がその例ですが、低圧分野では原発再稼働に反対する過半数の国民の声を反映しして新電力への切替えが止まりません。また、関西電力による高浜原発の地元業者や地元有力者からの賄賂=発注工事費のキックバックが暴露されるなど旧一般電気事業者は苦境にあえいでいます。「意図通り」には進まないのです。
しかし、現在進められている電力システム改革の行方によっては事態が大きく変化する恐れもあります。脱原発・再エネ拡大へ政策転換するのか、原発再稼働・再エネ抑制へ後退するのか、大きな分岐点にさしかかっているとも言えます。
経産省が進めようとしている電力システム改革は、容量市場、ベースロード市場、非化石価値取引市場などが中心ですが、これらは旧一般電気事業者の市場支配力を維持し、強めることにもつながり、電力自由化(=電力地域独占体制の解体)に逆行します。
容量市場は、電気料金を高止まりにさせる可能性が高いだけでなく、83%の電源を保有する旧一般電気事業者が、米PJMでの図2の例のように、容量市場の約定価格を上下に攪乱させ、相対契約を介して新電力の市場競争力をそぎ落とす力を得ることになりかねません。
図2.北米最大の地域送電機関(RTO)であるPJMにおける容量市場で激しく乱高下するメインオークション約定価格(出典:Analysis of the 2021/2022 RPM Base Residual Auction: Revised, The Independent Market Monitor for PJM, August 24, 2018)
調整力確保の目的であれば、容量市場ではなく、「戦略的予備力」で十分であり、旧一般電気事業者を卸電力市場へ強制的に参加させ、公平な電力取引を監視するのが先決です。
ベースロード市場は、旧一般電気事業者が新電力に奪われた市場を高値供出価格で取り戻すためのものと化しており、即刻閉鎖すべきです。ベースロード市場は、福島事故賠償費一般負担金「過去分」の託送料金への転嫁を新電力に飲ませるために導入したものですが、新電力の買い控えという逆襲にあっています。原点に立ち返って、2020年4月からの一般負担金「過去分」の託送料金への転嫁を撤回すべきです。旧一般電気事業者の相対取引を卸電力市場で行うグロスビディングを10~20%(ミドル電源の一部に限られる)に留めるのではなく、ベースロード電源を含めたすべての相対取引を卸電力市場で行わせ、価格決定プロセスを透明化させ、すべての小売事業者が公平に取引できるようにすべきです。
FIT非化石価値取引市場は、FIT賦課金の国民負担軽減にはつながっておらず、閉鎖すべきです。
2020年開設予定の非FIT非化石価値取引市場は、事業者間の非化石電源比率のデコボコをならす役割しか果たせず、大型水力や原子力を持たない新電力を非FIT非化石証書(原子力)の押し売りでいじめ、原発補助金を獲得させるものでしかありません。
新電力も、自分の首を絞めることになる非化石価値取引市場での証書購入、とりわけ非化石証書(原子力)の購入は控えざるを得ないでしょう。世界に例のない恥さらしの「非化石価値取引市場」なるものは開設すべきではありません。
他方、新電力シェアが伸びているとはいえ、東京電力と関西電力以外のエリアではまだ不十分なため、2020年に廃止される予定だった総括原価方式が、来年度は低圧分野の規制料金として残されようとしています。これは「旧一般電気事業者が電気料金を独占的に一時引き下げて新電力を駆逐した上で大幅値上げをする恐れがある」というのがその理由です。しかし、それは旧一般電気事業者の低圧分野での電気料金値下げの原資を担保することになり、市場支配力の温存につながります。とはいえ、規制料金から自由料金への切替えは年6%の割合で今後も続くでしょうから、一方的に有利な状況が続くわけではありません。
政府が行うべきは、旧一般電気事業者による電力地域独占状態の速やかな解体であり、再生可能エネルギーを抜本的に普及・拡大させるための一連の施策を実施することです。すなわち、電力需給面から再エネ開発を制限する「接続可能量」の撤廃、送電容量面から再エネ接続を制限する「送電線への接続拒否」の禁止と接続工事費の撤廃、これらを通した再エネの優先接続・優先給電、それを保証するための送配電網の全国統一の公的管理の実現です。そのためには、原発ゼロ法案などによる脱原発政策への転換と石炭火力の新増設中止・早期廃止が不可欠です。
以下では、具体的に検討します。
(続きは、若狭ネットニュース第177号をご覧下さい)