若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

大阪連絡先 dpnmz005@ kawachi.zaq.ne.jp
若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
e-mail: ngsw@ oboe.ocn.ne.jp
TEL/FAX 072-269-4561
〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
ブログ
サイト管理人のブログです。
このエントリーをはてなブックマークに追加

ブログ一覧

原子力規制委員会のパブリックコメントへ意見を3つ提出しました

原子力規制委員会のパブリックコメントへ意見を3つ提出しました

原子力規制委員会による「原子力発電所敷地内での使用済燃料の貯蔵に用いられる兼用キャスクに係る関係規則等の整備及びこれらに対する意見募集」(2018.12.6~2019.1.4)へ提出した意見は以下の通りです。

<意見その1>
原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド(案)p.20の「4.7 設計貯蔵期間」には「【審査における確認事項】設計貯蔵期間は、設置(変更)許可申請書で明確にされていること。【確認内容】設計貯蔵期間は、当該設計貯蔵期間中の兼用キャスクの安全機能を評価するに当たり、材料及び構造の経年変化の考慮を行うための前提条件となるため、設置(変更)許可申請書で明確にされていること。」とあるが、「中間貯蔵」とは名ばかりで、電力会社の「想定」している50年を超える貯蔵が避けられない可能性もある。ところが、設計貯蔵期間を超える貯蔵が必要になった場合の措置が明記されていない。設計貯蔵期間を超える可能性がある以上、設計貯蔵期間に至る何年前に再申請するとかの措置を明記すべきではないか。
また、乾式キャスクやそこに収納された使用済燃料の健全性はシミュレーション計算や加速実験によるものにとどまり、様々な照射・運転履歴をもつ、個々の使用済燃料についての50年以上の長期間に及ぶ実験データは存在しない。したがって、乾式キャスクの取替が必要になった時点で、収納された使用済燃料の実状がキャスク取替に耐えうる状態にあるという具体的な保証や実物検証をどのように行うのかについても明記すべきである。
さらに、設計貯蔵期間が50年以上の超長期に及ぶ場合、それを維持管理すべき電力会社等が経営体として存続しない場合も考えられる。超長期に及び乾式貯蔵能力をどのように評価するのか、明記すべきであろう。
原子力発電所敷地外での貯蔵については、審査ガイド案が提示されていないが、敷地内外で、どのような点が異なるのか。

<意見その2>
原子力発電所敷地内での輸送・貯蔵兼用乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵に関する審査ガイド(案)p.12の「4.2.4 その他の外部事象」の「火山立地評価」において、「新規制基準(平成25年7月及び同年12月の改正原子炉等規制法の施行に伴い改正された規則等をいう。以下同じ。)への適合性審査を経ていない発電用原子炉施設において、新規制基準の施行時に既に存在していた使用済燃料を使用済燃料貯蔵槽から兼用キャスクに移し替えることは、施設の維持・管理上の安全性を高めるものであり、当該移替えのための兼用キャスク設置に係る設置変更許可に当たっては、火山の立地評価は不要とする。」とあるが、乾式キャスクの自然冷却が火山灰で長時間阻害された場合には、プール貯蔵の場合とは異なり、キャスク内外の温度が制限値を超える場合もあるから、その対策を審査すべきではないか。

<意見その3>
実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈(原規技発第1306193号(平成25年6月19日原子力規制委員会決定)の第16条第5項に「また、上記第1項から第4項までの基準を満足するため、兼用キャスクは、当該兼用キャスクを構成する部材及び使用済燃料の経年変化を考慮した上で、使用済燃料の健全性を確保する設計とすること。ここで、「兼用キャスクを構成する部材及び使用済燃料の経年変化を考慮した上で、使用済燃料の健全性を確保する設計」とは、以下を満たす設計をいう。
・設計貯蔵期間を明確にしていること。
・設計貯蔵期間中の温度、放射線等の環境条件下での経年変化を考慮した材料及び構造であること。」
とあるが、設計貯蔵期間を超えた場合には、乾式貯蔵の操業停止命令を出すことになるが、監視作業が主体の乾式貯蔵では、安全対策上、監視をやめるわけにはいかないから、具体的には乾式貯蔵からプール貯蔵へ戻す命令、もしくは、変更申請による設計貯蔵期間の延長または再申請による新たな乾式キャスクへの収納物入替えが必要になるが、いずれも規定されていない。
 プール貯蔵へ戻す場合には、設計貯蔵期間にわたってプール貯蔵へ戻せる状態を保持することが必要であり、その性能要求の規定が不可欠である。
 設計貯蔵期間を延長する場合には、当初の設計貯蔵期間終了時点での現物のキャスクの健全性を確認できることが前提だが、上蓋やシールは交換できても、キャスク本体の補修は不可能であり、非破壊検査だけでは、その健全性を確認できないのではないか。
 また、新たな乾式キャスクへの収納物入替えに際しては、プール貯蔵へ戻す場合と同様に、当初の設計貯蔵期間にわたって新たな乾式キャスクへの入れ替えが可能な状態を保持することが必要であり、その性能要求の規定が不可欠である。

第5次エネルギー基本計画策定に向けた意見募集に意見を出しました

第5次エネルギー基本計画策定に向けた意見募集に本日、下記の意見を出しました。

経済産業省の第5次エネルギー基本計画(案)は、現在のエネルギー基本計画をほぼそのまま踏襲するという間違った前提から出発しており、欧米で現に着実にダイナミックに進んでいる脱原発・再生可能エネルギー普及という現実から目を閉ざし、国民の原発再稼働反対の過半数の声を踏みにじり、日本の再エネ普及を妨害し続けるものであり、結果として、日本を世界から孤立化させ、技術的な退廃と産業の深刻な立ち遅れを招く危険性が高い。
閣内においても、環境省や外務省は、国際的な動きを直視して、経済産業省とは異なる方針を掲げ、それぞれの政策を独自に展開しようとしており、経産省はこれらを見習って大胆に方針転換すべきである。
たとえば、環境省は6月15日、業務消費電力の100%を再生可能エネルギーで賄う「国際的企業連合RE100」に公的機関として世界で初参加することを認められ、今後は自ら自然エネ100%をめざし、「RE100大使」として日本企業の参加を現7社から2020年度までに50社へ増やす計画を打ち出した(2018年6月16日付け朝日新聞)。
また、外務省は2月19日、「気候変動対策で世界を先導する新しいエネルギー外交の推進を」と題する「外務省気候変動に関する有識者会合エネルギーに関する提言」を公表し、「もっぱら化石燃料資源の確保を目指してきた従来のエネルギー外交は、これからは、諸外国とともに、持続可能な未来の実現を希求する再生可能エネルギー外交を柱とするべきである。」と呼びかけている。
にもかかわらず、経済産業省は、相変わらず、原発と石炭火力を重要なベースロード電源として推進し、再生可能エネルギーについては「2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率の確実な実現を目指し、主力電源化への布石を打つ」というに留まり、(1)電力需給面からの接続可能量の制約(これを超える接続には無制限・無補償の出力制限をかける)、(2)送電容量面からの接続拒否、(3)接続可能な変電所までの配線工事・管理費負担など、再エネ普及を現に妨げている「原発と石炭火力優先による再エネ推進妨害策」を是正しようとしていない。
(1)の再エネ接続可能量は、運転停止中の原発が福島事故以前の平均設備利用率で稼働することを前提として算出されるなど原発優遇策そのものであり、(2)は長期運転停止・建設中の原発等が送電容量の多くを占有する方針がとられていて、「日本版コネクト&マネージ」で数十万kWの空容量確保策も焼け石に水であり、欧米における再エネの優先接続・優先給電の原則とはかなり異なる。(3)の接続工事・管理費は送電網管理者が全体として最適な接続管理を行うことで解決できるはずである。(2)と(3)を欧米並みに行うには、電力会社の支配を形式的に法的分離しただけの送電事業子会社に送電網管理を行わせるのではなく、公平で中立的な公的管理者に送電網管理権を譲渡させるべきである。現在の「電力広域的運営推進機関」の議決権は事実上、9電力会社が握っていて、送配電網の所有権はもとよりその管理権も手放そうとはしていない。このような状況では、欧米のような送配電網の公平な運用はありえない。
さらに、経済産業省は「再生可能エネルギーは火力に依存しており、脱炭素化電源ではない。蓄電・水素と組み合わせれば脱炭素化電源となりうるが、高コストで開発途上である。」としているが、このような偏った評価は欧米では通じない。欧米では「蓄電池・水素と組み合わせて再エネを普及させている」わけではない。再エネによる電力を送電網に優先接続・優先給電させ、送電網全体で変動を吸収しており、「火力に依存している」というのは著しい事実誤認であり、そこには意図的な悪意すら感じられる。再エネが50~100%になれば蓄電池も必要になるかも知れないが、それは、欧米でもまだ先の話であり、ましてや日本では論外である。太陽光発電は昼間のピーク電力を吸収することに役立ち、太陽光・風力の変動は日本全国の統一した送電網管理を行えば十分吸収できる。
経済産業省は、現在の原発・石炭火力優遇のエネルギー基本計画に捕らわれる余り、国際的なエネルギー状況を真っ直ぐに見つめられず、歪んで誤った理解を正当化しようとしている。国民がそれに気付かないとでも思っているのであろうか。余りにも国民を馬鹿にした第5次エネルギー基本計画(案)は即刻撤回し、国際情勢を素直に反映させた外務省や環境省の考えに沿って、全面的に書き直すべきである。

3月30日にようやく意見募集の結果が公表されました

3月3日のパブコメ締切から4週間後の3月30日にようやく意見募集の結果が公表されました。「『電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案』に対する御意見の概要と考え方」がそれですが、これまで通りの説明に留まっています。他方では、廃炉等積立金制度が2017年度から始まり、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が3月30日付けで、2017年度の廃炉等積立金の額を3,913億1,588万円と決めました。東京電力パワーグリッドは、2018年度から託送料金で1,200~2,000億円の「廃炉等負担金」を捻出し、東電全体で毎年2,000億円を積立てねばならないことになります。東電管内での託送料金高止まりと送配電網更新・修繕の先送りによる事故・停電が危惧されます。

これまでと変わらない内容ですが、経産省による意見概要とそれへの回答をご覧下さい。あきれてものが言えません。

<御意見の概要>———————-
今回の訓令改定案は、「東電管内での託送料金高止まり」の可能性を是正するものだとされるが、そもそも託送料金が高止まりにならなければ巨額の超過利潤は捻出できないのであり、問題点を解消するどころか、実質的な「託送料金高止まり状態」を生み出す一方、送配電網の更新・修繕の阻害という新たな問題点を生み出すことになる。
 仮に、訓令改定案が施行されて託送料金が値下げされれば、その原価には「廃炉等負担金」が含まれないため、何らかの形で超過利潤が生まれる仕組みを他に求めることになる。たとえば、老朽化した送配電網の更新はすでに法定耐用年数を大幅に超えており、今の更新水準の5倍にも引上げる必要があるが、この設備更新費や修繕費などを託送料金変更時の原価に算入して託送料金の値下げ幅を抑制したり、実質的に値上げしたりする一方、実際には設備更新や修繕を先送りして超過利潤を捻出するなどの「対策」がとられる恐れがある。
 このような事態は、これまで実際に行われてきた経緯があり、「東京電力に関する経営・財務調査委員会報告」(2011.10.3)でもその問題点が指摘されてきたところである。
 今回の訓令改定案は、この電気事業会計規則改定のかかえる根本的な問題点を解決するどころか、実質的に託送料金高止まりを助長する一方、送配電網の更新や修繕を遅らせて大停電の危険をたぐり寄せるものであり、撤回すべきである。
 そもそも、福島原発廃炉費は、事故を起こした東電の責任を明確にして東電の破産処理を行い、東電を支えてきた株主や金融機関に債権放棄させて賄うべきであり、その不足分は、原発を推進してきた国の責任を明確にした上で、脱原発へ転換し、電気料金ではなく累進課税で賄うべきである。電力消費者に福島原発事故の責任はない。にもかかわらず、東電を救済し、東電GPにだけ超過利潤隠しを公然と認めて、優遇するのは本末転倒である。

<御意見に対する考え方>————————
東京電力グループは、福島第一原発の廃炉・汚染水対策のほか、賠償や除染に必要な資金を捻出するため、非連続な経営改革に取り組むこととしております。こうした中で、廃炉を確実に実施するため、必要な資金の捻出に支障を来すことのないよう、東電PGの送配電事業の合理化分を廃炉資金へ充当することが認められています。
今回の改正案は、これにより託送料金の値下げ機会が不当に損なわれ、東電PGの託送料金が高止まりすることのないよう、その託送収支の事後評価に当たって、現行の料金値下げ命令の判断基準を踏まえ、新たな評価基準を策定したものです。
なお、事故炉の廃炉については、今後、東京電力グループ全体での総力を挙げた合理化等により必要な資金を確保することとするとしており、当該資金の全てを送配電部門の合理化によって賄うものではございません。
また、仮に東電を破綻させ、法的整理を行った場合、破綻処理により資産を売却しても多額の売却益を見込めない上、東電が将来の収益をもって責任を果たすべき廃炉・汚染水対策や賠償の費用相当が国民負担となります。また、国が出資した東電株も無価値化するため、結果的に国民負担が増加することとなります。したがって、国民負担の最小化のためにも、東電を破綻させるのではなく、東電が経営改革により収益と企業価値を上げながら、福島に対する責任をしっかり果たしていくことが適切であると考えています。

<御意見の概要>————————
 「2016年度託送供給等収支」報告書によれば、当期超過利潤額561億円、当期超過利潤累積額は301億円になる。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、当期超過利潤額はゼロになり、当期超過利潤累積額はマイナスのまま推移し、一定水準額が3/5に下げられても、これを超えることはなくなる。
 他方、託送単価の想定単価との乖離率は2.5%増となっている。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、費用減少幅は2.5%に下がり、託送単価の乖離率は3.9%増となり、乖離率はプラスのまま推移し、「乖離率マイナス3%」へ引き下げられても、この基準より下がることはなくなる。
 電力他社の1/3以上が託送料金値下げを実施し、または5社以上で乖離率がマイナス5%を超過し、それが構造的要因だと判断されれば、東電PGも託送料金値下げを命令されることになる。ところが、この際には、「廃炉等負担金」は「託送原価」には入らないため、「廃炉等負担金」が値下げされた託送料金から回収できる保証がないだけでなく、それまで確保されていた超過利潤の源泉がなくなってしまう。この悪循環が断たれるためには、託送電力量が増加へ転じる以外にないが、省エネ、自家発電住宅、人口減の下では、それもありえない。つまり、託送料金から超過利潤を捻出して「廃炉等負担金」に振り替えるという仕組みが成り立たないのである。
 にもかかわらず、無理に「廃炉等負担金」を託送料金で賄おうとすれば、送電費用の3~4割を占める設備更新費・修繕費にしわ寄せが行くのは明らかである。託送料金による1,200~2,000億円もの「廃炉当負担金」の捻出は撤回すべきである。

<御意見に対する考え方>————————
福島第一原発の廃炉については、その所要資金が増大する中、円滑な廃炉の実施を担保するためには、中長期にわたり、着実に資金を確保できる仕組みを構築することが必要となっています。これを踏まえ、消費者への負担をできる限り抑制する観点から、消費者に直接負担を求める料金の値上げで対応するのではなく、発電事業、小売事業のみならず、送配電事業も含めた東電グループ全体の総力を挙げた経営の合理化を求め、その合理化分について、福島第一原発の廃炉のための資金確保に活用できることとしております。このため、すべての資金を送配電部門の合理化によって賄うものではございません。

「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案」 への2つ目の意見提出

「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案」に2つ目の意見を提出しました。

<2つ目の意見(2018年2月21日提出)>

東京電力パワーグリッド(東電PG)の「2016年度託送供給等収支」報告書によれば、当期超過利潤累積額は301億円に留まり、託送料金引き下げ基準の「一定水準額1,278億円」を超えず、託送原価乖離率も2.5%増となり、託送料金引き下げ基準の「乖離率マイナス5%」(5%減)にはほど遠い。

超過利潤額の全額または大半を「廃炉等負担金」に振り替えれば、たとえ、託送料金引き下げ基準の超過利潤累積額を3/5へ下げ、同乖離率をマイナス3%へ下げても、これらの基準を満たすことはなくなる。託送電力量が減少し続けている現状で、1,200~2,000億円もの超過利潤を捻出し、「廃炉当負担金」へ振り替えようとすれば、設備更新費・修繕費の無理なコスト削減=更新・修繕の先送りによる送配電網の劣化・停電事故の発生につながる。無理に託送料金を引き下げれば、それに拍車が掛かる。託送料金による廃炉費6兆円の捻出は撤回すべきである。

具体的には次の通りである。

(1)「2016年度託送供給等収支」報告書によれば、営業収益1兆6,359億円から営業費用1兆4,851億円を差し引いた当期純利益は748億円、ここから事業報酬額958億円を差し引き、財務費用520億円を加算して調整した残りが当期超過利潤額561億円となっている。前期超過利潤累積額がマイナス261億円なので、当期超過利潤累積額は301億円になる。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、当期超過利潤額はゼロになり、当期超過利潤累積額はマイナスのまま推移し、一定水準額が3/5に下げられても、これを超えることはなくなる。

(2)他方、託送電力量は2016年度までの3年累計で8,153億kWhに留まり、2012~14年の想定量8,698億kWhより6.3%減少しており、同3年累計での費用減少幅3.8%を超えている。その結果、託送単価の想定単価との乖離率は2.5%増となっている。仮に、当期超過利潤額を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、費用減少幅は2.5%に下がり、託送単価の乖離率は3.9%増となり、乖離率はプラスのまま推移し、「乖離率マイナス3%」へ引き下げられても、この基準より下がることはなくなる。

(3)東電PGの「廃炉等負担金」額とグループ他社の経常利益との関係が定められてはいるが、東電PGが1,200億円を超過利潤から捻出することが想定されており、グループ他社の経常利益が2,000億円を下回れば、東電GPが最大2,000億円まで負担することが期待されている。つまり、東電PGが廃炉費6兆円を30年かけて毎年2,000億円を積立てる中心的役割を果たすことが前提とされており、東電PGは毎年1,200~2,000億円の超過利潤を生み出し、それを「廃炉等負担金」として東電ホールディングスへ供出することが期待されていると言える。

(4)ところが、1,200~2,000億円の超過利潤を生み出すためには、想定レベルから託送電力需要量が8~14%増えるか、託送原価を8~14%削減する以外にない。ところが、託送電力量は過去3年間で6.3%も減少しており、託送原価をより大幅に削減する以外にない。

本来であれば、託送原価の乖離率が5%減(改定後は3%減)となった時点で託送料金を引き下げるべきところ、コストダウンで得た超過利潤を全額「廃炉等負担金」に振り替えれば、いつまで経っても乖離率がこの基準を下回ることはなく、託送料金の現状での高止まりが続くことになる。

(5)しかし、電力他社の1/3以上が託送料金値下げを実施し、または5社以上で乖離率がマイナス5%を超過し、それが構造的要因だと判断されれば、東電PGも託送料金値下げを命令されることになる。ところが、この際には、「廃炉等負担金」は「託送原価」には入らないため、「廃炉等負担金」が値下げされた託送料金から回収できる保証がないだけでなく、それまで確保されていた超過利潤の源泉がなくなってしまう。この悪循環が断たれるためには、託送電力量が増加へ転じる以外にないが、省エネ、自家発電住宅、人口減の下では、それもありえない。つまり、託送料金から超過利潤を捻出して「廃炉等負担金」に振り替えるという仕組みが成り立たないのである。

にもかかわらず、無理に「廃炉等負担金」を託送料金で賄おうとすれば、送電費用の3~4割を占める設備更新費・修繕費にしわ寄せが行くのは明らかである。

これらのことは、「2016年度託送供給等収支」報告書をみれば、明らかである。託送料金による1,200~2,000億円もの「廃炉当負担金」の捻出は撤回すべきである。

「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案」への意見募集に意見を提出しました

「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等の一部を改正する訓令案」への意見募集に意見を提出しました

今回意見募集の対象となった訓令案は、「廃炉費6兆円を託送料金等から毎年2,000億円を30年間で原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積立てる」ためのものです。
東電管内の託送料金から毎年1,200億円ないし2,000億円を超過利潤から捻出するものであり、超過利潤として捻出されたものを「廃炉等負担金」という費用に計上して超過利潤でないかのように隠すものです。その結果、東電管内では託送料金が高止まりになるのが避けられないため、東電パワーグリッドにだけ特別な託送料金値下げ基準を作ろうとするものです。しかし、その本質は「実質的な託送料金高止まり」であり、送配電網の更新や修繕を妨げるものです。
詳しくはこちらをご覧下さい。 関連する質問主意書もこちらにあります。
皆さんも、ぜひ、ご意見を提出して下さい。。(意見募集のHPはこちら:2018年3月3日まで)

<訓令改定案への意見(2018.2.13)>

今回の訓令改定案は、廃炉費6兆円を30年間で積立てるための電気事業会計規則改定の問題点を解消するためのものである。先の電気事業会計規則改定では、東電パワーグリッド(東電PG)の超過利潤から毎年約1,200億円ないし約2,000億円程度を「廃炉等負担金」として営業費用に振り替えることが可能になったが、これは東電GPだけに特権的に許された「合法的な超過利潤隠し」である。
この巨額の超過利潤は、東電管内の電力消費者から徴収した託送料金から捻出されたものであり、他の一般送電事業者の場合と同様に、(1)超過利潤が一定水準額(固定資産の平均帳簿価額×事業報酬率)を超えたり、(2)実績原価が想定原価より-5%を超えて乖離したりすれば、託送料金を値下げし、電力消費者へ超過利潤を還元すべきである。そうしなければ、東電管内で、託送料金の高止まりが避けられず、電力消費者に不当な負担を強いることになる。
今回の訓令改定案は、「東電管内での託送料金高止まり」の可能性を是正するものだとされるが、そもそも託送料金が高止まりにならなければ巨額の超過利潤は捻出できないのであり、問題点を解消するどころか、実質的な「託送料金高止まり状態」を生み出す一方、送配電網の更新・修繕の阻害という新たな問題点を生み出すことになる。仮に、訓令改定案が施行されて託送料金が値下げされれば、その原価には「廃炉等負担金」が含まれないため、何らかの形で超過利潤が生まれる仕組みを他に求めることになる。たとえば、老朽化した送配電網の更新はすでに法定耐用年数を大幅に超えており、今の更新水準の5倍にも引上げる必要があるが、この設備更新費や修繕費などを託送料金変更時の原価に算入して託送料金の値下げ幅を抑制したり、実質的に値上げしたりする一方、実際には設備更新や修繕を先送りして超過利潤を捻出するなどの「対策」がとられる恐れがある。このような事態は、これまで実際に行われてきた経緯があり、「東京電力に関する経営・財務調査委員会報告」(2011.10.3)でもその問題点が指摘されてきたところである。先の電気事業会計規則改定(2020年度施行予定)はそれを助長するものであり、撤回すべきである。今回の訓令改定案は、この電気事業会計規則改定のかかえる根本的な問題点を解決するどころか、実質的に託送料金高止まりを助長する一方、送配電網の更新や修繕を遅らせて大停電の危険をたぐり寄せるものであり、撤回すべきである。
そもそも、福島原発廃炉費は、事故を起こした東電の責任を明確にして東電の破産処理を行い、東電を支えてきた株主や金融機関に債権放棄させて賄うべきであり、その不足分は、原発を推進してきた国の責任を明確にした上で、脱原発へ転換し、電気料金ではなく累進課税で賄うべきである。電力消費者に福島原発事故の責任はない。にもかかわらず、東電を救済し、東電GPにだけ超過利潤隠しを公然と認めて、優遇するのは本末転倒である。