若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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ニュース

若狭ネット第198号を発行:「原子力避難計画」も「平均像としての地震動策定」も破綻!2024年能登半島地震から学び、原発再稼働をやめよ!「原発再稼働と石炭火力延命」のための長期脱炭素電源オークション反対!

若狭ネット第198号を発行しました。

下記からご覧ください。

第198号(2024/5/29)(一括ダウンロード5.5Mb
巻頭言–「原子力避難計画」も「平均像としての地震動策定」も破綻!2024年能登半島地震から学び、原発再稼働をやめよ!
「原発再稼働と石炭火力延命」のための長期脱炭素電源オークション反対!再エネと系統用蓄電池の拡充を急げ!
1.「原子力避難計画」も「平均像としての地震動策定」も破綻! 政府・原子力規制委・電力会社は2024年能登半島地震から学べ!
2.原発と石炭火力が再エネの出力制御を急増させている! 「原発再稼働と石炭火力延命」の長期脱炭素電源オークション反対!

チェルノブイリ事故38年を迎えて関西電力本社へ申し入れ

チェルノブイリ事故38年を迎えて、2024年4月26日、関西電力本社へ申し入れを行いました。チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西が呼びかけたもので、5団体が申し入れを行いました。関西電力はいつも通り、原子力広報が出てこず、総務課の職員が対応し、「5分間5名」の制約を一方的に強いるものでした。
最初に、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西が、4月21日の「チェルノブイリ原発事故38年の集い~地震列島に原発はいらない!参加者一同」による決議を読み上げて提出し、続いて、若狭連帯行動ネットワーク、ヒバク反対キャンペーン、地球救出アクション、原発の危険性を考える宝塚の会が申し入れました。わずか5分程度の申し入れの最中に何度も職員の携帯が鳴り、携帯に出て何事かを話しては切る動作を繰り返し、申し入れを真剣に聞き取ろうとする素振りすら見せず、形式的に聞きおくだけでした。申し入れが終わると、いそいそと職場へ戻ろうとする職員に「必ず社長へ届けてください」と念を押しておきました。とても「公益事業者」と言える対応ではありません。

2024年4月26日
関西電力株式会社取締役 代表執行役社長 森 望 様
チェルノブイリ事故38年を迎えて、関西電力への申し入れ
若狭連帯行動ネットワーク

本日4月26日は、旧ソ連のチェルノブイリ原発重大事故から38年に当たり、福島第一原発炉心溶融事故発生から13年になります。私たちは貴社に対して、一貫して「原発依存経営をやめよ!老朽原発延命路線を見直せ!」と強く申し入れてきました。フクシマや2024年能登半島地震を踏まえれば、原発重大事故は避けられません。ひとたび重大事故が起これば、事故収束は困難で、放射能を閉じ込めることなどできません。帰還困難区域など放射能で汚染された地域は、未だに高汚染で、立ち寄るのも困難です。
にもかかわらず、貴社は、老朽原発の存続で経済性を最優先し、高浜4基、大飯2基、美浜1基を動かし続けています。原発の「夜間の不要」電力を消費者に使わせようと「原発の電気をもっと使え!」と大宣伝を繰り返しています。原発重大事故を起こすまで、こんなことを繰り返すつもりでしょうか。
老朽原発を動かし続けると、膨大な量の使用済燃料=負の遺産が生み出されます。使用済燃料プールが満杯になると再稼働もできなくなります。「2023年末に使用済燃料中間貯蔵施設の立地点を県外に確定できなければ、美浜3号、高浜1・2号の運転を止める」との4度目の約束を破り、昨年10月10日には「使用済燃料対策ロードマップ」を福井県に示し、「2030年中間貯蔵施設操業開始、六ヶ所再処理工場のフル操業、仏への搬出量積増し」など実現できそうもない計画をさも代替案であるかのように示し、あろうことか、原発サイトでの乾式貯蔵の事前了解願いを提出し、福井県政の一大転換=県内での使用済燃料の積増し貯蔵を迫りました。
使用済燃料プールが満杯になると、「原発を止める」か、「乾式貯蔵を増やす」か、の2択しかないため、唯一具体化可能な乾式貯蔵で原発の延命を図ったのです。それは、老朽原発再稼働による重大事故のリスクを高め、福井県を「核の墓場」へ導くでしょう。もう、この悪循環を断ち切るべきです。
乾式キャスクからは強い放射線が出ます。伊方原発では遮蔽用建屋がなければ85m圏内が管理区域になるほどでした。高浜の場合も「事故対応時のアクセスルートに影響しないよう放射線管理区域を設定するため」、キャスク収納燃料の冷却期間を15年以上から25年以上へ引上げて、放射線量を下げざるを得ないほどです。キャスクの寿命は60年とされていますが、強い放射線と経年劣化に耐える保証はありません。
私たちは原発の再稼働そのものに反対です。フクシマを繰り返さないため、子孫に負の遺産=使用済燃料をこれ以上増やさないため、乾式貯蔵の導入をやめ、原発の再稼働を中止するよう求めます。
以上を踏まえ、次のことを強く申し入れます。
1.「使用済燃料対策ロードマップ」を撤回し、美浜・大飯・高浜原発サイト内への乾式貯蔵施設設置計画を撤回してください。
2.4度目の約束違反を真摯に反省し、約束通り、運転開始40年を超えた老朽3原発を廃炉にしてください。
3.制御棒落下、配管のひび割れ放置や蒸気発生器細管の減肉など老劣化の進む高浜3・4号と大飯3・4号を廃炉にしてください。高浜3・4号の40年超運転認可申請を取り下げてください。
4.むつ市や上関町への使用済燃料中間貯蔵押しつけを断念し、使用済燃料をこれ以上生み出さないでください。
5.プルサーマルを即刻中止してください。プルトニウム利用を断念し、これ以上、MOX燃料の発注・輸送・輸入をしないでください。
6.取替や廃炉による美浜・大飯・高浜原発の蒸気発生器33基をはじめ給水加熱器や核燃料輸送・貯蔵用キャスクなど大型放射性廃棄物の輸出、海外での溶解・再利用の計画を断念し、密閉管理し続けてください。
7.公正取引委員会の「電力分野における実態調査報告」(2024.1.17)を真摯に受け止め、「送配電会社の所有権分離」と「発電会社の所有権分離」を断行し、新電力との公平な競争環境を保障してください。
8.老朽原発の延命を断念し、原発依存の経営方針を「脱原発・脱石炭」、「再エネ拡大・優先接続・優先給電」へ大転換してください。
9.原子力発電所の廃止措置においては、放射能で汚染された原子炉建屋等施設・構造物、機器・配管等の早期の解体撤去は行わず、そのまま密閉管理し、100年程度の安全貯蔵期間をとってください。
以上
pdfはこちら

若狭ネット第197号を発行:関西電力は、福島事故と2024年能登半島地震を教訓として乾式貯蔵による老朽原発の延命策を撤回せよ!

若狭ネット第197号を発行しました。

第197号(2024/4/1)(一括ダウンロード5.5Mb
巻頭言–関西電力は、福島事故と2024年能登半島地震を教訓として乾式貯蔵による老朽原発の延命策を撤回せよ!
1.乾式貯蔵施設を福井県内外のどこにも設置させるな!関電は原発サイト内設置計画を撤回せよ!
2.関電の乾式貯蔵施設計画真の狙いは?! 美浜町松下照幸
3.福井県下の8万世帯(全世帯の1/3強)に新聞折り込みを入れました越前市山崎たかとし
4.2024年能登半島地震に被災した志賀町と志賀原発を視察して長沢啓行(若狭ネット資料室長、大阪府立大学名誉教授)

関西電力による乾式貯蔵導入反対!リーフレット(2024.3.10)
【2024年3月10日配布チラシの誤記に関するお知らせ:「仏再処理実証研究へ搬出」の時期が正しくは「2027~29年」のところ、「2026~28年」になっていました。お詫びし、訂正いたします。(上記リーフレットは訂正後のものです。)】

福井県内8万世帯への新聞折込み(2024年4月初め)サヨナラ原発福井ネットワーク

(表)―10万年先までの安全をだれも保証できぬ放射能ゴミ(使用済み核燃料)を増やさせないことが、私たち世代の子孫への責務です―
「敷地内貯蔵 」を認めれば、使用済み核燃料(現在4,312㌧!) がさらに増え続けます!!

(裏)中間貯蔵・乾式容器の寿命は たかだか50年の消耗品!!「中間」貯蔵が「永久」貯蔵となるのは自明!!
杉本知事 様! 歴代知事が認めなかった「敷地内貯蔵」を了解しないで下さい!!

2023年12月19日の10団体呼びかけによる「『医療・介護保険の保険料と窓口負担減免措置』見直しに関する厚生労働省・復興庁・環境省との交渉」および「ALPS被ばく事故と放射能汚染水海洋放出に関する厚生労働省・原子力規制庁との交渉」の報告等が出されました

呼びかけ10団体:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、福島原発事故被害から健康と暮しを守る会、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

「医療・介護保険の保険料と窓口負担減免措置」見直しに関する交渉
交渉報告> <交渉議事録> <交渉資料> <公開質問状

➢「医療費等の減免措置」見直し政府方針撤回と措置継続、国の責任で全ての福島原発事故被害者に「健康手帳」(医療費無料化等)交付を求める全国署名を初めて提出(1万2,808筆)
➢国際核施設労働者調査(INWORKS)等の結果を基に、低線量・低線量率被ばくの健康リスクを政府に認めさせ、
環境省「基礎資料」を訂正させ、福島原発事故被害者の健康保障の施策につないで行きましょう

ALPS被ばく事故と放射能汚染水海洋放出に関する交渉
交渉報告> <交渉議事録> <交渉資料> <公開質問状

➢厚生労働省は、「個別・具体的なことは回答できない」、「法令違反の疑いが認められた場合に労働基準監督署で調査や指導を行う」と一般的回答に終始!
➢原子力規制委員会・規制庁は、「東京電力に保安の措置不履行という実施計画違反があった」とするだけで、「定常的なメンテナンス作業に必要な設備の実施計画記載とメンテナンスを考慮した設計」を指導しなかった責任を回避!

若狭ネット第196号を発行:2024年能登半島地震M7.6を教訓に、原発再稼働をやめ、断層連動など、原発耐震設計審査指針を根本から見直せ!東電救済の交付国債発行上限額1.9兆円引上げ反対!東電の巨額赤字を国民に転嫁するな!東電を破産処理せよ

若狭ネット第196号を発行しました。

第196号(2024/1/22)一括ダウンロード5.5Mb
巻頭言–2024年能登半島地震M7.6を教訓に、原発再稼働をやめ、断層連動など、原発耐震設計審査指針を根本から見直せ!
東電救済の交付国債発行上限額1.9兆円引上げ反対!東電の巨額赤字を国民に転嫁するな!東電を破産処理せよ
1.「2050年までに2020年比原発容量3倍化」は、フクシマを顧みず、60年超運転と設備利用率90%の強硬運転へ導く危険な宣言
2.福島損害賠償等の交付国債発行限度額1.9兆円引上げ反対!柏崎刈羽原発6・7号再稼働による「福島復興」などあり得ない!
3.上関町の財政から見えてきたこと 越前市 山崎隆敏

福井県の関西電力「使用済燃料対策ロードマップ」受入れに抗議・提出していた公開質問状への回答・説明を11月20日に受け、県原子力安全対策課を追及しました

2023年11月20日午後1時半~3時40分頃、福井県庁1階会議室で、福井県原子力安全対策課と交渉し、10月16日に提出していた公開質問状に基づき、関西電力が「2023年末までに中間貯蔵施設立地点を公表できない場合には美浜3号と高浜1・2号の運転を停止する」という約束を破ったにもかかわらず、それが4度目の約束違反であるにもかかわらず、それを容認し、3基の原発の運転停止を求めなかった福井県知事の責任を追及しました。
同交渉は、サヨナラ原発福井ネットと若狭ネットの呼びかけで、福井と関西から8名が参加し、新聞記者も数名が取材しました。
原子力安全対策課からは、吉田参事と内園主任の二人が対応し、公開質問状への回答は主に吉田参事が行い、質問項目6の関西電力による使用済燃料ピット満杯年の法令違反を前提とした過大算定については内園主任が回答しました。

「関電の『使用済燃料対策ロードマップ』受入れに関する公開質問状」に関する福井県交渉の映像(2023.11.20 福井県庁)

関電の「使用済燃料対策ロードマップ」受入れに関する公開質問状(2023年10月16日)

20231120福井県交渉資料

県原子力安全対策課の回答は、質問項目1には「国において確実に実施してもらう、国の責任で対応していくものと考える」、項目2には「仏での再処理実証計画に応じて必要があれば、積増しが検討される」、項目3には「国が前面に立って進め、関電が実行するよう指導する」、項目4には「現在も県外搬出を求めている、サイト内乾式貯蔵については事前了解願いが出れば総合的に考えていく」、項目5には「搬出量が決まっていない点は不十分だが、社長自ら先頭に立って進める、西村大臣は前面に立って進めると明言したので、全体として理解し、3基の運転継続を了解した」と、マスコミで報道された内容から一歩も出ませんでした。
項目6では、関西電力の主張をそのまま繰り返す説明に留まり、「使用済燃料プールに1炉心分の空きのない違法運転」や「廃炉になった美浜1・2号のプールの空きを美浜3号用に使う違法利用」に基づく過大算定である証拠を目の前に突きつけられ、うろたえながらも、「ご指摘の点は持ち帰って共有する」と言い逃れようとするなど、違法運転を前提とした過大算定を見抜けず、関電の説明に「納得」し「追認」してきた原子力安全対策課の責任を認めようとはしませんでした。このような姿勢で本当に職責を果たせるのでしょうか。
私たちは「2023年末までに中間貯蔵施設立地点を公表する」との関電の約束を守れない以上、3基の運転を停止すべきだと迫りましたが、聞く耳もたずでした。
質問項目1~5の内容はロードマップの実現可能性に関するものなので、その破綻は、すでにほぼ明らかではあるものの、実施できるかどうかはロードマップに記されたそれぞれの項目の期限が近づけば、一層明らかになるでしょう。私たちはこれからも追及の手を緩めず、継続して福井県の責任を追及し続けます。あわせて、質問項目6の違法運転を前提にした満杯年の過大算定についても、関西電力は元より原子力安全対策課の責任を含めて、今後も追及していきたいと思います。
交渉の最後の場面では、老人ホームからタクシーで駆けつけた参加者の一人が、「元福井県職員だから、参事や主任の立場はわかる、この場で指摘されたことを知事などに進言できるかどうかが問われている」と、自らの体験から切々と語られ、大きな拍手が起きました。
くわしくは、上の映像をご覧ください。

ALPS処理水海洋放出に関する「2023.8.7追加質問への原子力規制委員会(2023.10.17)と東京電力(2023.10.18)の回答について」の批判文書を掲載しました

2023.8.7追加質問への原子力規制委員会(2023.10.17)と東京電力(2023.10.18)の回答について

長沢啓行(若狭ネット資料室長、大阪府立大学名誉教授)

批判全文はこちら

(まえがき)トリチウム汚染水(ALPS処理水)の海洋放出が2023年8月24日から始まりました。それは政府と東京電力の強さと正しさを表わすものでは断じてなく、漁民、労働者、市民の反対運動の敗北でもありません。「関係者の理解なしに海洋放出が一方的に強行された」のであり、「廃炉作業を進めるためには避けて通れない」という政府の主張が根本的に誤っていることは、早晩、名実ともに明らかにされ、「何のための放出だったのか」が改めて問われ、「放出中止に追い込まれる」ことは必至です。数年にわたる10団体※による政府・東京電力の追及の結果がそれを示しています。10月17、18日に得た原子力規制庁と東京電力からの「8.7追加質問への回答」(7~10ページ参照)は、私たちの主張が正しかったことを極めて鮮明に裏付けてくれました。一連の交渉の司会進行役の一角を務め、追及の矢面に立ち、全力で交渉を成功に導こうと尽力してきた者の一人として、その責任を果たすため、以下にそれを整理しておきます。それは、私たちの主張に断固たる確信を与え、1日も早く海洋放出中止を勝ち取るための一助になると確信します。(2023年10月28日記)

※交渉呼びかけ10団体:脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、福島原発事故被害から健康と暮しを守る会、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン

項目1.実施計画違反の地下水ドレン中継タンクからウェルタンクを介した2号機タービン建屋への移送について

項目2.実施計画にない「集水タンク満水時に1,500Bq/Lを超えた場合の移送先および移送ライン」について

項目3.集水タンク満水時に1,500Bq/Lを超えた場合の移送先タンク等と移送ラインの仕様不記載について

項目4.IAEAの国際安全基準、正当化、最適化、線量限度について

(参考資料)政府交渉呼びかけ10団体の追加質問への回答
2023年10月17日原子力規制庁
2023年10月18日東京電力

10.26反原子力デーに際して、関電本社へ申し入れを行いました

10月26日は全国一斉に反原発行動を行う「反原子力デー」です。
そもそもの始まりは、60年前の1963年10月26日、日本原子力研究所(現「日本原子力研究開発機構」)の動力試験炉JPDRで日本初の原子力発電に成功したこと。原子力ムラは、この日を「原子力の日」として、全国各地で原子力推進のイベントを繰り広げていました。これに対抗するため、原水禁運動と全国各地の反原発市民運動が連携して1977年10月26日、第1回「反原子力の日」の全国一斉行動に取り組んだのです(原子力資料情報室編「原子力市民年鑑」巻末年表)。今年は47回目になりますが、私たちも毎年かかさず、関西電力本社への一斉申し入れ行動に取り組んできました。

関西電力は、八木誠社長時代に、2015年2月公開質問状への回答を拒否し、面談も拒否して以降、8年以上、私たち市民グループとの面談を拒否し続けています。
今回も、2週間前に関西電力本社広報へ電話で「10月26日午後1時に申し入れるので受け取るように」と依頼しましたが、面会を拒否されたため、予告通りに関西電力本社へ押しかけました。しかし、広報は出てこず、総務が代わりに申し入れや抗議文を受け取りました。

今回の申し入れ行動では、若狭連帯行動ネットワーク、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン、地球救出アクション97、原発の危険性を考える会の5団体が申し入れ文を提出し、さらに、姫路から駆けつけて来られた「上関に原子力施設はいらない兵庫の会」が抗議文を手渡しました。

この「異常」状態は、8年以上続いていますが、私たちは決してくじけません。関西電力が公益事業者としての責任を果たし、市民との対話路線へ復帰するまで、とことん、粘り強く、押しかけ続けます。

申し入れpdfはこちら

2023年10月26日

関西電力株式会社 取締役代表執行役社長 森 望 様

10・26反原子力デーに際して、関西電力への申し入れ

若狭連帯行動ネットワーク

貴社は、10月10日、福井県に「使用済燃料対策ロードマップ」を提示し、「2023年末に使用済燃料中間貯蔵施設の立地点を県外に確定できなければ、美浜3号、高浜1・2号の運転を止める」との約束を守れなかったことには一切触れず、六ヶ所再処理工場のフル操業や仏への搬出量積増しなど実現不可能な搬出計画をさも代替案であるかのように示し、あろうことか福井県内原発サイトでの乾式貯蔵も検討するとしています。これは明らかに貴社の約束違反です。カルテル問題で問われた貴社の公益事業者としての適格性が改めて問われています。福井県との4度目の約束違反を目前にして、立ち止まり、約束違反を率直に認め、直ちに美浜3号と高浜1・2号の運転を停止すべきです。
再稼働を進める中、使った燃料を冷やす使用済燃料ピットが満杯に近づいており、高浜原発は3回、大飯原発は4回、美浜原発は5回の燃料交換で満杯になるため、これらを超えての燃料交換はできず、運転停止を余儀なくされます。貴社は6月12日の記者会見で、高浜・大飯原発の満杯年をそれぞれ4.6年と5.8年と発表していますが、これは使用済燃料ピット内に1炉心分の空きのない違法運転を前提としたものであり、実際には3.8年と5.1年にすぎません。このような違法運転を前提とした試算は国民を欺くものであり、即刻撤回・修正すべきです。
貴社は、8月2日、中国電力と共同で、山口県上関町での中間貯蔵施設建設に向けた調査を実施すると発表しましたが、調査は来春までかかり、建設計画が上関町民や周辺自治体・山口県に受け入れられるとは限りません。地域の住民を分断し、地域生活を破壊するのはもうやめるべきです。「2030年に中間貯蔵施設を操業させる」というロードマップは、残り7年では実現不可能であり、断念し、ロードマップ自体を撤回すべきです。
高浜原発では、トラブルが相次いでいます。高浜4号では原子炉内で核分裂反応を抑える制御棒が落下、電気ケーブルの接続不良で原子炉が自動停止。3号でも昨年7月以降、テロ対策施設の部品不備など、運転上の制限からの逸脱が4件も相次ぎました。原子力規制委員会は今年8月23日、3号の追加検査を決め、高浜原発全体の根本原因の特定など再発防止に向けた改善計画を11月末までに報告するよう指示しています。まさに、貴社の原発は危険な状態にあると認識すべきであり、高浜3・4号40年超運転申請(4月25日)を撤回すべきです。
原発再稼働・40年超運転による利潤追求を続けていては、老劣化によるトラブル・故障・事故を頻発させ、次の定検までのひび割れ放置の強硬運転、異常発見時の無理な運転継続や異常対策等が不完全なままでの運転再開前倒しなどで、予想外の危険な事態を招き、福島事故を繰り返すことになりかねません。一層大量の使用済核燃料を生み出し、次世代に重い「負の遺産」を残します。
原子力は夢のある産業ではなく、若者が将来を夢見ることのできない産業へと転落しています。脱炭素・脱原発の社会に寄与する産業こそ若者に夢を与える産業です。にもかかわらず、貴社は、原発再稼働を最優先させ、目指すべき社会の実現を遠ざけているのです。
以上を踏まえ、次のことを強く申し入れます。公益事業者として自覚した上で、真摯に対応してください。

1.「使用済燃料対策ロードマップ」を撤回し、「2023年末に使用済燃料中間貯蔵施設の立地点を県外に確定できなければ、美浜3号、高浜1・2号の運転を止める」との約束を遵守してください。運転開始40年を超えたこれらの原発を3基とも廃炉にしてください。

2.制御棒落下、配管のひび割れ放置や蒸気発生器細管の減肉など老劣化の進む高浜3・4号と大飯3・4号を廃炉にしてください。

3.むつ市や上関町への使用済燃料中間貯蔵押しつけを断念し、使用済燃料をこれ以上生み出さないでください。

4.プルサーマルを即刻中止してください。プルトニウム利用を断念し、これ以上、MOX燃料の発注・輸送・輸入をしないでください。

5.取替や廃炉による美浜・大飯・高浜原発の蒸気発生器33基をはじめ給水加熱器や核燃料輸送・貯蔵用キャスクなど大型放射性廃棄物の輸出、海外での溶解・再利用の計画を断念し、密閉管理し続けてください。

6.「送配電会社の所有権分離」と「発電会社の所有権分離」を断行し、新電力との公平な競争環境を保障してください。

7.老朽原発の延命や革新軽水炉SRZ-1200の共同開発を断念し、原発依存の経営方針を「脱原発・脱石炭」、「再エネ拡大・優先接続・優先給電」へ大転換してください。

8.原子力発電所の廃止措置においては、放射能で汚染された原子炉建屋等施設・構造物、機器・配管等の早期の解体撤去は行わず、そのまま密閉管理し、100年程度の安全貯蔵期間をとってください。

以上

 

福井県知事に「若狭を核のゴミの墓場にしないでください!! 2023年末までに中間貯蔵施設立地点を確定できないことは明白。関電に、約束通り美浜3号と高浜1・2号の運転を停止するよう求めてください!」の申入れと関電の「使用済燃料対策ロードマップ」受入れに関する公開質問状を提出しました。

関西電力は、「2023年末までに使用済燃料中間貯蔵施設立地点を確定できなかった場合は美浜3号と高浜1・2号の運転を止める」との約束を守れなくなったため、6月12日、高浜原発の使用済MOX燃料10tと使用済ウラン燃料190tの計200tを仏へ搬出する計画を示して、「約束と同等の意義があり約束は守った」と言い逃れようとしました。しかし、福井県議会をはじめ立地町議会などから異議が噴出したため、杉本福井県知事は4項目の質問を政府に投げかけ、回答を待っていました。ところが、関西電力は10月10日、新たに「使用済燃料対策ロードマップ」を福井県に提示し、関西電力をバックアップする政府とともに受入れを迫ったのです。そのわずか3日後の10月13日、杉本知事は「使用済燃料対策ロードマップ」を受入れ、美浜3号と高浜1・2号の運転継続に同意してしまいました。この暴挙に対し、サヨナラ原発福井ネットと若狭連帯行動ネットワークは、共同で、杉本知事への申し入れ(6月15日)と質問書の提出(7月28日)に続き、10月16日、杉本福井県知事へ下記の申し入れと公開質問状を提出しました。
私たちは、この申入れと公開質問状に沿って、杉本福井県知事には、「ロードマップ受入れ」と「老朽炉3基の運転継続同意」の撤回を求め、関西電力には、あくまで、「2023年末に中間貯蔵施設の立地点を確定できない以上、約束通り、美浜3号と高浜1・2 号の運転を止める」こと、「実現可能性のないロードマップを撤回する」ことを求めていきます。

福井県知事宛申入れ(2023年10月16日:pdfのダウンロード)
若狭を核のゴミの墓場にしないでください!!
2023年末までに中間貯蔵施設立地点を確定できないことは明白。
関電に、約束通り美浜3号と高浜1・2号の運転を停止するよう求めてください!

関電の「使用済燃料対策ロードマップ」受入れに関する公開質問状(2023年10月16日:pdfのダウンロード)

サヨナラ原発福井ネットワーク 若泉政人
若狭連帯行動ネットワーク 山崎隆敏

若狭ネット第195号を発行:関西電力は使用済燃料対策ロードマップを撤回せよ! 「約束違反」を認め、美浜3号と高浜1・2号の運転を停止せよ! 正当な理由なきトリチウム汚染水の海洋放出を即刻中止せよ!

若狭ネット第195号を発行しました。

第195号(2023/10/15)(一括ダウンロード5.2Mb
巻頭言–関西電力は使用済燃料対策ロードマップを撤回せよ!
「約束違反」を認め、美浜3号と高浜1・2号の運転を停止せよ!
正当な理由なきトリチウム汚染水の海洋放出を即刻中止せよ!
1. 2023年末までに中間貯蔵施設立地点を確定できない以上、美浜3号と高浜1・2号の運転を停止せよ! まやかしのロードマップを撤回せよ!
2. 混迷する福島第一原発の燃料デブリ取出し工法—廃炉作業を妨げているのは、タンク水ではなくデブリそのもの
3. 東京電力への資金援助額=交付国債13.5兆円の増額を許すな!損害賠償・除染・中間貯蔵・廃炉費は、東電・電力会社負担に!