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福島原発事故関連費および原発廃炉時の未償却資産の託送料金による回収に関する質問主意書と答弁書が出ました

福島原発事故関連費および原発廃炉時の未償却資産の託送料金による回収に関する質問主意書と答弁書が出ました

福島みずほ参議院議員(社民党)が2017年12月8日、託送料金について下記の質問主意書を提出し、安倍首相から12月19日に下記答弁書が出されました。
予想通りの木で鼻をくくったような答弁ですが、下記の事実が明確になりました。
(1)東電パワーグリッドが「託送料金」(電気料金に含まれる送配電網利用料金のことで、この部分だけ2020年の発送電分離後も規制料金に留まり、一定の事業報酬が保証される)で得た「超過利潤」の大半を「廃炉等負担金」という名目の「費用」とみなし、それを差し引いて残る分だけを超過利潤額とみなすため、「事実上の超過利潤隠し」が行われること。
(2)託送料金の想定単価には含まれない「廃炉等負担金」が実績単価には費用として含まれるため、想定単価からの大幅なコストダウンが行われても、コストダウン分が「廃炉等負担金」に化けて費用として実績単価に加算されること。
(3)超過利潤累積額が一定水準を超えるか、託送料金の実績単価と想定単価の乖離率が-5%を超えて下がれば、託送料金を引き下げる決まりになっているが、(1)と(2)により、巨額の超過利潤が「廃炉等負担金」という費用名目で隠されるため、東電管内ではいつまで経っても託送料金が下がらないこと。
(4)福島第一原発の廃炉対策について「国は、必要な制度整備等を行うとともに、技術的難易度が高く、国が前面に立つ必要がある研究開発については、引き続き必要な支援を行う」としており、東電救済策と批判されない技術的難易度の高い研究開発しか国は支援しないこと。たとえば、汚染水対策の「凍土遮水壁」はこの理由で採択され、通常の土木工事による対策は不採択にされたように、東電を破産処理しなかったために廃炉汚染水対策が制限され続けること。
(5)福島事故による損害賠償費7.9兆円は交付国債で一旦賄われていますが、東電から特別負担金(毎年500億円程度、利益が多く出た2016年度は1,100億円)、東電を含む九電力会社から一般負担金(毎年1,630億円程度)として回収されているところ、後者の一般負担金は、規制料金契約者から電気料金の原価として回収されていますが、2020年度からは託送料金以外の規制料金が撤廃されます。他方、一般負担金「過去分」2.4兆円は2020年度から託送料金の原価に加算されて回収されますが、この託送料金への転嫁は一般負担金「過去分」に限られ、一般負担金そのものは将来にわたって託送料金に転嫁しないと内閣として確約したこと。
(6)廃炉会計制度が再稼働のための巨額の投資が未償却試算になった場合には廃炉後に回収できることを経産省が「理論的にはその通り」と認めた事実を否定しなかったことで事実上、内閣としても認めたこと。
以上の内容は、今後につながる大きな成果であり、福島事故関連費や原発コストの託送料金への転嫁を阻止するために今後も大いに活用していきたいと思います。

なお、福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでくださいの全国署名は11月10日提出分から818筆増えましたので、経産省に追加提出しました。
2016年11月から1年間の累計で 3万9,707筆になりました。
ご協力を頂き、有り難うございました。この署名の力をバックに2020年度からの託送料金への転嫁を阻止するため運動を継続していきたいと思います。

質問主意書

答弁書

両者をまとめたもの

質問第42号
福島原発事故関連費および原発廃炉時の未償却資産の託送料金による回収に関する質問主意書
 右の質問主意書を国会法第74条によって提出する。
   平成29年12月8日
                            福島みずほ
  参議院議長 伊達 忠一 殿

福島原発事故関連費および原発廃炉時の未償却資産の託送料金による回収に関する質問主意書

 「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律」(以下「機構法改正法」という。)が平成29年5月17日に公布され、9月28日には「原子力損害賠償・廃炉等支援機構の廃炉等積立金管理等業務に係る業務運営並びに財務及び会計に関する省令」(以下「改正機構法省令」という。)および「電気事業法施行規則等の一部を改正する省令」(以下「電事法施行規則改正省令」という。)が公布されたが、その内容が民法および商法などの法律に違反する等の疑いがあるので、以下質問をする。

1 機構法改正法では、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。) の管理する「廃炉等積立金」に「廃炉等実施認定事業者」たる東京電力が毎年必要な資金を積立てることとされ、改正機構法省令では、託送料金の営業費用に「廃炉等負担金」、営業利益に「廃炉等負担金収益」を計上することになっている。他方、託送料金が規制料金であることから、電気事業法第19条第1項の規定に基づき経済産業大臣が託送供給等約款等の変更の認可の申請命令を出せる場合として、「電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等」(平成12.05.29資第16号) の「第二 処分の基準」では、「託送供給等約款が、(中略)物価の大幅な変動や需要構成の著しい変化があるなど社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり、公共の利益の増進に支障があると認められる場合」、「当期超過利潤累積額が一定水準額を超過している場合」、「補正後希離率が一定の比率(マイナス5パーセント)を超過している場合」が掲げられている。
 ところが、超過利潤のほとんどを営業費用の「廃炉等負担金」に計上させると、超過利潤累積額が一定水準額を超過することはなくなる。また、この「廃炉等負担金」は営業費用に計上されながら、託送料金を設定する際の原価、すなわち、「託送原価」には計上されないが、補正後乖離率の元になる補正後実績費用にこれを計上させると、補正後乖離率が一定の比率を超過することもなくなる。そうなれば、託送原価が大きく引き下げられても、託送料金が高止まりになり、東京電力管内の電力消費者には託送料金値下げで還元されない事態が永続することになるが、これに相違ないか。これは、託送供給で捻出した超過利潤を営業費用の「廃炉等負担金」として隠すことを可能にする、東京電力に対する行き過ぎた過剰な優遇策だと考えるが、このような事実上の「超過利潤隠し」につながる改正機構法省令を導入したことの是非について、政府の見解を明らかにされたい。

2 託送料金については、原価の3分の1強は減価償却費と修繕費であり、設備更新・改修費を過大に見積もって託送料金を高めに設定し、更新・改修工事を先送りにすれば、その分が超過利潤となる仕組みになっている。このことは、東京電力に関する経営・財務調査委員会報告(2011年10月3日) でも、現行の料金制度の下では、「料金原価のうち、固定費及び燃料費以外の可変費が、結果的に「適正な原価」より過大となっており、その分の利益を留保できる構造となっている」と指摘されているところである。ところが、発送電が分離される2020年度以降はこのような仕組みを利用することはできなくなり、高度成長期に巨額の投資を行った鉄塔・架線など送配電網の耐用年数が30年から50年で切れるため、送配電網の更新が待ったなしになる。たとえば、1960年代後半から大増設された鉄塔は、2015年末で24.8万基になるが、今の年1千基の更新ペースでは全更新に200年以上が必要となり、耐用年数の50年のサイクルで更新するには毎年5千基となり、現在の5倍以上の投資が不可欠である。
 こんな状況下で、福島第一原子力発電所の廃炉費の不足分6兆円を30年で積立てるための年2千億円の大半を託送料金で賄うのは無謀だと言える。東京電力が毎年度巨額の廃炉費を積立でなければならないことが同社の送配電網の更新を妨げる可能性について、政府の見解を明らかにされたい。

3 廃炉費の不足分6兆円の見積もりも、米国スリーマイル島原発炉心溶融事故の燃料デブリ取出・輸送費約10億ドルに基づき、燃料デブリ量が6倍、高線量環境による遠隔操作の必要性から5倍、30年聞から40年間の物価上昇で2倍、計60倍で約600億ドルと見なした結果にすぎない。機構による「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃炉のための技術戦略プラン2017」(2017年8月31日)によれば、気中・横アクセス方式による格納容器下部のデブリ取出も困難を極め、圧力容器内部のデブリは気中・上アクセスで行うしかないものの難度が高く、格納容器下部ペデスタル外のデブリ取出はさらに難度が高いとされている。燃料デブリ取出・輸送費に限っても6兆円をはるかに超える可能性が高く、全デブリ取出の可能性も不確かである。放射性廃棄物の最終処分費も確保しなければならず、これらの費用は、到底、東京電力だけで賄えるものとは言えない。辻棲合わせの弥縫策を撤回し、東京電力と国の福島第一原子力発電所事故に対する責任を明確にし、東京電力を破産処理し、株主や金融機関に債権放棄させた上で、国が前面に立って本格的な事故収束作業に取り組む以外にないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

4 電事法施行規則改正省令により、一般負担金「過去分」約2.4兆円の託送料金による回収の手続きが定められた。
 一般負担金「過去分」約2.4兆円は、1966年度から2010年度に規制料金として回収し損なった一般負担金の総額約31.8兆円から、2011年度から2019年度の一般負担金小売回収分約1.3兆円を控除した額である。その内訳は、経済産業省が私に提出した資料(2017年4月6日)によれば、東京電力0.8兆円、大手電力1.4兆円、新電力0.24兆円であり、建前上は、5.4兆円から7.9兆円へと2.5兆円増えた損害賠償費の追加分(以下「損害賠償費追加分」という。) である東京電力1.1兆円、大手電力1.0兆円、新電力0.24兆円とは別のものである。しかし、新電力が負担する損害賠償費0.24兆円は、新電力の一般負担金「過去分」0.24兆円と符合しており、実際には、一般負担金「過去分」約2.4兆円が損害賠償費追加分2.5兆円の補填に使われることは明らかである。東京電力が負担する損賠償費追加分1.2兆円は、特別負担金0.67兆円と一般負担金0.53兆円で構成されることから、東京電力の一般負担金「過去分」0.8兆円を補填すると、東京電力の一般負担金はマイナス0.27兆円になり、「追加」どころか「0.27兆円の減額」になる。大手電力でも同様に、損害賠償費追加分1.0兆円を一般負担金「過去分」1.4兆円で補填すると、「0.4兆円の減額」になる。このように、一般負担金「過去分」は、新電力に新たな負担を課し、東京電力と大手電力の負担を軽減するものといえるが、これに相違ないか。それとも、一般負担金「過去分」は一般負担金「追加分」を補填するものではなく、一般負担金「追加分」とは別に徴収される一般負担金であって今後の原発事故に対応する目的に使われるものという位置づけなのか。政府の見解を明らかにされたい。仮に後者であれば、なぜ、新電力の損害賠償費追加分と一般負担金「過去分」が0.24兆円で符合しているのか、説明されたい。

5 一般負担金は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(以下「機構法」という。)により、原子力事業者が機構へ納付する義務を負っており、電力消費者に負担義務はないが、原子力事業者と契約した電力消費者が支払う電気料金には原発の発電原価の1つとして盛り込まれている。経産省は、公益的課題に対応するものと経産大臣が判断すれば、2020年度以降も規制料金であり続ける託送原価に本来なら発電原価に入れるべき原価の1部を入れることができると電気事業法を拡大解釈し、原発由来の電気を受電しない新電力契約者からも一般負担金「過去分」を託送原価として回収しようとしている。電事法施行規則改正省令により、従来の一般負担金は「みなし小売電気事業者特定小売供給約款料金算定規則」の営業費「原賠・廃炉等支援機構一般負担金」とされ、一般負担金「過去分」は「一般送配電事業託送供給等約款料金算定規則」の営業費「賠償負担金相当金」とされているが、前者は発電原価であり、原子力事業者と契約した電力消費者からのみ回収されるが、後者は託送原価であり、原発の電気を受電しない新電力契約者からも回収される。発電原価と託送原価を合わせると電気料金の原価になるが、前者の発電原価は2020年4月から完全自由料金になって原価の安定回収が保証されなくなる一方、後者の託送原価は規制料金として安定した回収が保証される。一般負担金「過去分」は、本来、従来の一般負担金と同様に原子力事業者が発電原価として回収すべきものであるにもかかわらず、原発由来の電気を受電しない新電力契約者からも回収し、結果として、東京電力と大手電力の負担軽減を確実にするためのものになっていると言えるが、それに相違ないか。政府の見解を明らかにされたい。

6 商法第502条は「次に掲げる行為は、営業としてするときは、商行為とする。」とし、同条第3号で「電気又はガスの供給に関する行為」を掲げているが、経産省は「規制料金制度の下にある電気事業は普通の一般的な事業とは異なる」旨主張している。電気事業法による規制を受ける電気事業といえども、それが営業としてなされるときには商法によって規制されることは法的に明白であり、原発由来の電気を受電しない新電力契約者に原発のコストを電気料金として請求することは、商法第一条第2項に定められた商慣習に反しており、商法違反だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 経産省は、一般負担金「過去分」については「公益的課題に対応するため、全ての消費者が広く公平に負担すべき費用」である旨主張する一方、従来の一般負担金についてはこのような主張をしていない。この主張の差について、経産省は、一般負担金「過去分」は、1966年度から2010年度当時の規制料金制度の下では合理的に見積もられた費用以外を原価に算入することは認められていなかったが、合理的に見積もることができるようになった時点で過去にさかのぼって算出した額を原価に算入することは元来問題ない旨主張しているが、これは、以下のように民法違反および商法違反の疑いがある。
 民法第173条は「次に掲げる債権は、2年間行使しないときは、消滅する。」とし、同条第一号で「生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権」を掲げていることから、一般負担金「過去分」に関する債権はすでに消滅しており、過去に原子力発電の電力で受益をしていた電力消費者から一般負担金「過去分」を回収することには法的根拠がない。また、合理的に見積もることができるようになった時点で原価に算入するとしても、過去の電力消費者に対してではなく、これから原子力事業者と契約する電力消費者に対してのみ、その料金の原価に算入することができるものである。一般負担金「過去分」は「原発のコスト(発電原価)」であり、原発の電気とは無関係な新電力契約者に対して「託送原価」として課すのは、商慣習に従うべきと定めた商法第1条違反である。過去に原子力事業者から受電せず今後も受電しない電力消費者に対しても、一般負担金「過去分」が託送料金として2020年度から40年間にわたって徴収され、その割合が今後ますます増えていくことが理不尽であることは明白である。このように、一般負担金「過去分」の託送料金による回収には民法違反、商法違反の疑いがあるという点について、政府の見解を明らかにされたい。
 また、損害賠償費については、「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」(2013年12月20日閣議決定) で5.4兆円とされ、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(2016年12月20日閣議決定) では7.9兆円程度へ増額修正されている。2016年4月に電力の小売が全面自由化されたが、損害賠償費の増額修正後も、従来の一般負担金は規制料金の発電原価に計上されたままであり、自由料金の託送原価には計上されておらず、今後もこのままの予定である。ところが、一般負担金「過去分」は、合理的に見積もることができるようになった時点で直ちに規制料金の発電原価に計上されるべきところ、そうはされず、2020年度以降、託送原価に計上される。合理的に見積もることができるようになった時点で原価に算入するのであれば、2016年度から規制料金の発電原価として計上するのが筋だが、なぜ、そうしないのか、具体的な説明がない。確実に回収するためというのであれば、従来の一般負担金も同様のはずであり、一般負担金「過去分」だけが、なぜ、例外扱いされるのか、説明がつかない。これに関する政府の見解を明らかにされたい。

7 電事法施行規則改正省令により、廃炉会計制度に基づく廃炉原発6基(美浜1・2号、敦賀1号、島根1号、伊方1号、玄海1号)の廃炉費積立不足金・未償却資産0.18兆円(2015年度末)についても、託送料金による回収の手続きが定められた。この廃炉会計制度は、原発が廃炉になった時点で特別損失として計上すべき「廃炉費積立不足金」と「未償却資産」を廃炉後十年間で定額回収できるようにする制度である。2015年以降廃炉になった6基の原発にこれが適用され、廃炉費積立不足金252億円と未償却資産1540億円の合計1792億円(2015年度末)が、原子力事業者の原発コスト(発電原価)に計上され、規制料金契約者から回収されている。ただし、自由料金契約者から回収できる保証はない。2020年度以降は、「廃炉円滑化負担金」として託送原価に算入され、原子力事業者とは無縁の新電力契約者からも回収されようとしている。廃炉会計制度は、2013年の導入当初は廃炉費積立不足金を回収することが主目的であるかのように見えたが、2015年改正後は未償却資産の回収に重点が移された。このことは廃炉となった6基の例からも明白であり、今回の電事法施行規則改正省令で廃炉費積立期間が50年から40年に短縮されたため、40年運転終了時点またはそれ以降に廃炉にする原発では未償却資産の回収が唯一の目的になったのであり、廃炉会計制度は「原子力事業者の未償却資産を廃炉後に回収する制度」だと言っても過言ではない。
 経産省は「(廃炉時の特別損失計上で)事業者の合理的な廃炉判断が歪んだり、円滑な廃炉の実施に支障を来し、原発依存度の低減が進まないといった懸念に対応するため」に廃炉会計制度を設けたと主張しているが、電力会社にとっては、適合性審査に合格するため対策工事費に投じた巨額の投資を40年または60年の運転期間内に回収し利益を出せるかどうかが事業経営における第一の判断基準であり、廃炉会計制度は再稼働後の電力需要減や事故等で廃炉を余儀なくされた場合でも巨額の投資を回収できるようにするための保険となっている。廃炉になった6基の原発はいずれも小型で古いため、第一の判断基準に基づき投資効果がないと判断されて廃炉にされたのであり、廃炉会計制度が廃炉を促したとは言えない。逆に、投資効果があると判断されれば、廃炉会計制度が保険となって、再稼働や40年超運転のための巨額の投資が安心して行われることになる。その結果、経産省の主張とは逆に、原発への依存度を維持し、または高める方向に働いている。巨額の投資後に早期に廃炉にしても投資のほとんどを廃炉後に回収できるという点について、経産省は11月10日の託送料金に関する私たちとの意見交換会で「理論的にはその通りだ」と認めたが、政府の見解を明らかにされたい。
 実際のところ、42基の原発の未償却資産は2015年度末で約2.5兆円、再稼働に向けた工事費は9電力・日本原電・Jパワーで計3兆8280億円に膨らみ(朝日新聞2017年7月8日)、40年超運転をめざして美浜3号(1650億円、同朝日新聞) と高浜1・2号(2160億円、福井新聞2016年9月9日) の対策工事も2019~20年度竣工予定で進められている。その結果、未償却資産は約6兆円に膨らむが、これらの原発が今後早期に廃炉になっても、廃炉会計制度で確実に回収できるようになる。これでは、原発依存度低減のための廃炉会計制度とはもはや言えないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

8 廃炉会計制度による原発の未償却資産は、明らかに原子力事業者のコストであり、託送料金で認められている「離島のユニバーサルサービス」のような公益的なものではない。また、廃炉会計制度は原発依存度を低減させるどころか、原発依存度を維持、または高める方向に作用しており、公益的課題に対応するとは言いがたい。しかし、経産省は、電気事業は普通の一般的な事業とは異なり、「公益的課題に対応すると最終的に判断すれば経産省令で託送料金に入れられると電気事業法に規定されている」、「閣議決定されたエネルギー基本計画に原子力依存度を低減していく方針が書かれており、廃炉会計制度はこれに沿った公益的課題であり、託送料金に転嫁できる」、「これに尽きるので、これ以上の回答は難しい」と開き直った主張をしている。たとえ、公益的課題に対応すると判断したとしても、原発の電気を受電しない電力消費者から原発の未償却資産を託送料金の原価に算入して回収するのは明らかに商慣習に従うべきと定めた商法第一条に違反しており、経産大臣には商法違反の料金請求を認める権限はないはずであるが、政府の見解を明らかにされたい。
 さらに、経産省の主張に基づけば、「原発推進」や「原発新増設」を閣議決定すれば、公益的課題に対応するためと称して、原発建設費・改修費等の減価償却費など原発コストを際限なく託送料金の原価に算入することも可能になるが、政府の見解を明らかにされたい。
 右質問する。

答弁書第42号
 内閣参質195第42号
  平成29年12月19日
                     内閣総理大臣 安倍晋三
   参議院議長 伊達忠1殿
 参議院議員福島みずほ君提出福島原発事故関連費および原発廃炉時の未償却資産の託送料金による回収に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

参議院議員福島みずほ君提出福島原発事故関連費および原発廃炉時の未償却資産の託送料金による回収に関する質問に対する答弁書

1及び2について
 今般の事故炉廃炉の確実な実施に関する措置により、東京電力ホールディングス株式会社の福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)の廃炉に要する資金を確実に確保するため、東京電力パワーグリッド株式会社は、電力の安定供給の確保のために必要な設備投資等を行った上で、廃炉に充てるための資金の確実な支出を確保するため収支計算において廃炉等負担金を費用として計上することとしていると承知している。また、東京電力パワーグリッド株式会社が、合理化により捻出した廃炉等負担金の額を上回る合理化を行った場合には、当該合理化により生じた額は、電気事業法(昭和39年法律第170号)に基づく託送供給等に係る料金(以下「託送料金」という。)を含む託送供給等約款の変更に関する経済産業大臣の命令に当たっての判断のための算定基礎となることに変わりはない。

3について
 福島第一原発事故に係る対応については、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成28年12月20日閣議決定。以下「基本指針」という。)において、「国民負担を最大限抑制しつつ、福島の再生と電力の安定供給を両立させる」、「原則として、東京電力グループ全体で総力を挙げて責任を果たしていくことが必要である」及び「国は、必要な制度整備等を行うとともに、技術的難易度が高く、国が前面に立つ必要がある研究開発については、引き続き必要な支援を行う」としているとおりである。

4から6までについて
 基本指針に記載されているとおり、「福島第一原発の事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについてのみ、広く需要家全体の負担」として、電気事業法に基づき、合理的に算定される額を、託送料金の原価に含むことができることとしたものである。

7及び8について
 廃炉会計制度は、原発依存度の低減というエネルギー政策の基本方針を実現するため、財務的な理由により、事業者の合理的な廃炉判断をゆがめたり、円滑な廃炉の実施に支障を来すことのないよう、措置している制度である。
 また、お尋ねのような仮定の御質問にお答えすることは差し控えたい。

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