「福島第一原発トリチウム汚染水の海洋放出」について10月末にも廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議で方針決定すると報道されています。脱原発福島県民会議からの10月19日の呼びかけに応じ、若狭ネットも下記の通り、総理大臣・関係省庁大臣等へ緊急要請を出しました。皆さんも緊急要請にご協力下さい。(要請書のpdfはこちら)
<抗議先>FAX/email/facebook
○内閣総理大臣 菅 義偉
suga.yoshihide@gmail.com
議員会館 03-3597-2707
本部事務所(横浜)045-743-5296
○経済産業大臣 梶山 弘志
info@kajiyama-office.com
議員会館 03-3508-7714
本部事務所(茨城)0294-72-3383
○復興大臣・福島原発事故再生総括担当 平沢 勝栄
http://hirasawa.net/contact/
議員会館 03-3508-3527
○外務大臣 茂木 敏充
toshimitsu@motegi.gr.jp
議員会館 03-3508-3269
○農林水産大臣 野上浩太郎
office@kotaro.net
議員会館 03-6551-1010
○環境大臣・内閣府特命担当大臣(原子力防災)小泉進次郎
FAX記載なし
Facebook:https://www.facebook.com/shinjiro.koizumi/
MOEメール:moe@env.go.jp
○内閣官房長官 加藤 勝信
03-3508-3289
Facebook:https://www.facebook.com/katsunobu.kato.7
○経済産業省資源エネルギー庁 原子力発電所事故収束対応室
03-3580-0879
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2020年10月20日
内閣総理大臣 菅 義偉 様
「トリチウム汚染水120万m3、860兆ベクレルの前代未聞の海洋放出」を方針決定しないでください! 長期貯蔵で減衰を待つ方針へ転換を!
福島第一原発に貯蔵された多核種除去設備ALPS処理後の汚染水(以下、「トリチウム汚染水」)120万m3(トリチウム860兆ベクレルの他にストロンチウム等を多量に含む)について、今月末にも、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議で「海洋放出」を方針決定する予定だと報道されています。福島県内の圧倒的多数が海洋放出反対でまとまっており、全国漁業協同組合連合会も「漁業者の総意として絶対反対」との要請書を菅首相はじめ梶山経産大臣、加藤官房長官へ提出しているところです。圧倒的多数の反対の声を「重く受け止めている」としながら、意に介さず、「政府として責任を持って判断しなければならない」と結論ありきの姿勢をとるのは断じて許せません。
「トリチウム汚染水の海洋放出」の方針決定を絶対に強行しないで下さい。
このような方針決定には、「関係者の理解」など得られません。政府と東京電力が作成した「サブドレン・地下水ドレンの運用方針」(2015年9月)では、「トリチウムが1,500Bq/Lを超える場合は、希釈せずタンク等に貯蔵する」と明記されており、「ALPS処理水は関係者の理解なしには排水しない」と福島県民とりわけ県漁連と約束しています。現に、地下水ドレン約6.5万m3が、1,500Bq/Lを超えてタービン建屋等へ移送され、ALPS処理水としてタンクに貯蔵されています。トリチウム汚染水120万m3のうちの5%強が「希釈せず、排水せず、貯蔵する」と約束した汚染水です。これを希釈・放出することは、自ら作成し厳守すると約束した運用方針に明確に違反します。
このような方針決定には、「国際的な理解」も得られません。日本も締約国であるロンドン条約/議定書では「廃棄物その他の物を船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物から海洋へ故意に処分すること」を禁じています。「放射性廃棄物その他の放射性物質」は禁止リスト(ブラックリスト)に入れられ、「その形態及び状態のいかんを問わない」とされ、海水で希釈してもその投棄は禁止されています。ロンドン条約事務局である国際海事機構IMOの解釈では、締約国の裁量で「その他の人工海洋構築物」にパイプラインや放流口を含めることができるとされています。また、ロンドン議定書では「締約国は、内水である海域における廃棄物その他の物の故意の処分であって、仮に当該廃棄物その他の物を海洋において処分したとするならば投棄となり得るものを管理するため、自国の裁量により、この議定書の規定を適用するか、又はその他の効果的な許可及び規制のための措置をとる。」と明記されています。ここに、「内水」とは、福島第一原発の場合、港湾内と海岸の低潮線より陸側であり、そこに設置される放流口(パイプラインも含まれる)からの放出がこの「内水での処分」に当たります。「投棄による海洋汚染を防止するために実行可能なあらゆる措置をとることを誓約」した締約国として、率先して、このような「故意の海洋処分」を禁止する措置をとるべきです。仮に、オリンピックが開催されるとしても、海外からの参加者には「アンダーコントロール」とされた汚染水が海洋放出されることを知って、菅政権への不信感を高めることは必至でしょう。
それでも方針決定を強行するとすれば、「安倍-菅政権による廃炉・汚染水対策の破綻を象徴する1,000基もの汚染水タンク群を解体し、政策破綻を隠蔽してしまいたいからだ」ということを内外に示すことになるでしょう。それは日本学術会議から推薦された6人の任命を拒否し、辺野古新基地の泥沼工事を強行し、核のゴミ最終処分場調査を札束攻勢でゴリ押しする菅政権の姿勢を改めて示すものであり、これらは「安倍前政権の前例」をしのぐ暴挙として国内外からの批判を受けることは避けられないでしょう。
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