若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

大阪連絡先 dpnmz005@ kawachi.zaq.ne.jp
若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
e-mail: ngsw@ oboe.ocn.ne.jp
TEL/FAX 072-269-4561
〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
美浜原発の使用済燃料問題について関西電力へ公開質問状を提出し、マスコミへも経緯を説明しました。

美浜原発の使用済燃料問題について関西電力へ公開質問状を提出し、マスコミへも経緯を説明しました。

関西電力森本孝社長様
2021年12月23日
【公開質問状】
美浜原発3号機の使用済燃料貯蔵に関する疑問点に対して説明する
福井県民・住民・有識者が参加できる説明会を開催してください
サヨナラ原発福井ネットワーク/若狭連帯行ネットワーク
(pdfはこちら)

貴社ホームページに掲載されているIR情報の中の経営方針には、「事業等のリスク」が列挙されています。「b.財務目標達成の観点(a)エネルギー事業」の「③原子力発電」には、以下の文言が掲載されています。

使用済燃料は、発電所内の使用済燃料プールで一定期間貯蔵したあと、再処理工場へ搬出します。万が一、プールが満杯になれば発電所を運転できなくなるため、計画的に搬出する必要があり、使用済燃料を一時的に貯蔵できる中間貯蔵施設を設置することで、将来にわたって発電所を安定的に運転できます。当社では、「使用済燃料対策推進計画」を策定し、福井県外の中間貯蔵施設について、2023年末までに計画地点を確定、2030年頃の操業開始に向けて取り組んでいます。

これまで福井県と交わしてきた中間貯蔵施設建設候補地の確定するという約束を、貴社は3度にわたり果たせずに来ました。しかし、さかのぼること24年前の1997年に、使用済燃料プールの容量拡大の了解願を提出するため、日本原電と福井県を訪れた際、2010年までに中間貯蔵施設建設を約束していました。IR情報には、1997年から中間貯蔵施設建設は福井県と約束が履行できていないということ(使用済燃料管理という困難な課題を抱えているということ)を、リスクとして株主に公正に伝えなければならないのではないでしょうか。
電力供給という社会的にも重要な役割を担う企業が、福井県と3度にわたり約束を守らなったことは一般常識では理解できません。約束を守らなかった時点で、原発の運転を停止するのが厳しい競争を生きる民間の一般常識です。原発の運転停止をしない上、私たちの疑問にも答えないのであれば、社会的な信頼はますます落ちていくことでしょう。
貴社がリスクとして認識している使用済燃料の容量について、公表されている資料をもとに調べたところ、貴社が福井県に説明している「美浜3号機は9年は燃料交換可能」という計算を裏付けるデータが見当たりません。つきましては、以下、貴社及び電気事業連合会の資料をもとに質問します。2週間以内に文書回答の上、公開の場で説明されるよう強く求めます。

*******

1.福井県に対し説明している「美浜3号機は9年は燃料交換可能」の根拠となるデータおよび計算方法を示してください。

2.美浜3号機の使用済燃料を「廃止措置計画中であり、かつ、新規制基準で引き上げられた新基準地震動などへの適合性審査を受けていない1・2号機の使用済燃料ピット」に貯蔵することは認められていないはずですが、それに相違ありませんか。もし、美浜3号機の使用済燃料を1・2号機ピットで保管することを想定されているのであれば、そのように想定できる根拠を教えてください。

3.美浜3号機の使用済燃料ピットの管理容量について、電気事業連合会は「管理容量は、原則として『貯蔵容量から1炉心+1取替分を差し引いた容量』。なお、運転を終了したプラントについては、貯蔵容量と同じとしている。」(電気事業連合会「使用済燃料貯蔵対策の取組強化について(「使使用済燃料は、発電所内の使用済燃料プールで一定期間貯蔵したあと、再処理工場へ搬出します。万が一、プールが満杯になれば発電所を運転できなくなるため、計画的に搬出する必要があり、使用済燃料を一時的に貯蔵できる中間貯蔵施設を設置することで、将来にわたって発電所を安定的に
運転できます。当社では、「使用済燃料対策推進計画」を策定し、福井県外の中間貯蔵施設について、2023年末までに計画地点を確定、2030年頃の操業開始に向けて取り組んでいます。用済燃料対策推進計画」)」,2021年5月25日)としていますが、貴社は「貯蔵容量から1炉心を差し引いた容量」と変更したと伺っています。これは事実ですか、事実であるとすれば、なぜ、そのような変更を行ったのですか。電気事業連合会の定義の場合には、使用済燃料貯蔵量が管理容量を超えた時点で満杯の判断になりますが、貴社の場合に同様の運用をすると、1炉心分の空き容量がピット内に存在しない状態となり、「実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則」第26条に違反することになります。貴社は、独自に定義した「管理容量」をどのように運用しているのですか。

4.電気事業連合会の「使用済燃料貯蔵対策の取組強化について(「使用済燃料対策推進計画」)」(2021年5月25日)の添付資料2の表では、美浜発電所の使用済燃料について、2021年3月末時点で、1炉心70tU、1取替分20tU、管理容量620tU、使用済燃料貯蔵量470tUと記載されています。
この場合の管理容量は質問3に引用した電気事業連合会の定義によるものであり、管理容量=貯蔵容量―1炉心であり、管理容量の余裕は、管理容量-貯蔵量=150tUとなります。これより燃料交換可能回数=管理容量の余裕÷1取替分=150tU÷20tU=7.5回となり、「運転期間13ヶ月、定期検査期間3ヶ月と仮定」すると10年に相当します。貴社の主張される9年間燃料交換可能との主張はこのような計算に基づくと思われますが、いかがですか。ただし、電気事業連合会の管理容量には、美浜3号機の管理容量だけでなく、美浜1・2号機の管理容量(廃止措置中なので貯蔵容量そのもの)が含まれており、美浜1・2号機ピットの余裕が含まれていますので、このような計算を行うことは、質問2の違反行為が前提になります。

5.高浜3・4号機にはすでに使用済MOX燃料がそれぞれ8体と4体、計12体が発生して貯蔵中であり、また、それぞれ20体と16体、計36体が装荷中です。さらに、高浜4号用の新MOX燃料16体が2021年11月17日に仏から輸送・搬入されましたが、今後も、2017年発注済の高浜3号機用16体の輸送が続き、2020年1月31日に発注した32体など、MOX燃料が仏から輸送され続け、結果として使用済MOX燃料が高浜原発ピットの中に増え続けます。使用済MOX燃料の場合には、使用済ウラン燃料とは異なり、崩壊熱が下がりにくく、乾式貯蔵が可能な2kW/tU程度まで下がるのに、使用済ウラン燃料で10年のところ、使用済MOX燃料では90年かかります。1kW/tU程度まで下げるには、使用済ウラン燃料で50年のところ、使用済MOX燃料では300年もかかるのです。これでは、高浜3・4号が廃炉になった後も、使用済MOX燃料を搬出できず、事実上「永久貯蔵」に等しい状態になるのではありませんか。貴社は、この問題をどのように解決しようとしているのですか。

6.福井県原子力安全対策課を介して貴社に対話の機会をもつように依頼したところ、貴社の原子力事業本部広報グループから対応する旨の連絡が11月末に入りました。ところが、「人数は3名に制限、写真、録音、動画撮影はダメ」とのことでした。これでは、関西電力の説明を直接聞きたい市民が参加できないばかりか、録音なしでは発言内容の証拠が残らないため、責任を持って市民へ正確に知らせることもできません。本来であれば、このような重要な問題について、貴社が率先して、県民への公開説明会を開くべきであり、人数制限の緩和と録音が許されない現状では、私たちが貴社との対話に応じることはできません。この上は、福井県主催の公開説明会開催を求めた
いと考えていますが、その場合、貴社はその場に出て、キチンと県民に説明する意思はあるのでしょうか。
以上

美浜原発の使用済燃料貯蔵の問題を追及してください
報道各位
2021年12月23日
サヨナラ原発福井ネットワーク/若狭連帯行動ネットワーク
(pdfはこちら)

12月23日、別紙の質問状を関西電力に送付しました。今年は、運転開始から40年を超える美浜3号機が再稼働されました。美浜3号機には、使用済燃料プールの容量に関する疑問があり、福井県原子力安全対策課と交渉を過去3回(4月13日、7月2日、10月27日)行ってきました。その交渉において、県からも「関西電力に直接尋ねてほしい」と回答を受け関西電力に尋ねましたが、密室での記録をとることを認めず、人数も3人までで、「(事前に渡した)質問に対する説明」しか行わないというものです。県との交渉で、杉本知事も「(県民の疑念に対して)関西電力には説明する責任がある」と
考えているいうことです。美浜3号機の使用済燃料貯蔵に関する疑問と、このような関西電力の姿勢を質すため、12月23日に関西電力に送付した次第です。県にも関西電力に対し、疑念払しょくのための説明会実施を強く要請するよう申し入れを行います。
以下、これまでの経緯を簡単にまとめます。

行き場のない使用済み燃料問題は、脱原発後も将来にわたり禍根が長く残る問題であり、私たちの眼前に突き付けられている誰も否定することのできない重い命題です。周知のように、使用済み燃料の県外搬出先が決まらないなら再稼働は認められないというのが歴代知事の主張です。県外へ押し付ける姿勢が決して正しいとは思えませんが、そのことも含め使用済み燃料についての県民的議論が、原発の安全性の議論の前に必要だろうと私たちは考えています。

4月以降、県との質疑や福島みずほ国会議員事務所を介しての規制庁への質問を重ねる中で、関電が、美浜3号のプール(ピット)の余裕容量を水増し算定している事実が見えてきました。関西電力は、美浜3号機の稼働が9年であると福井県に説明していますが、その根拠が不明なため関西電力や電気事業連合会の資料をもとに調べたところ、関電は美浜と大飯で廃止措置中の原発のプール余裕を稼働原発の管理容量として算定し、燃料交換可能回数を大幅に水増ししていることが見えてきました。それがもっとも顕著なのが美浜3号です。
美浜3号は、平成26年(2014)の時点では、再稼働してもプールの余裕容量があと1,6回の交換しかできない状態になっていました。そこで関電は平成27~28年にかけ、3号プールに保管してあった1・2号機の使用済み燃料を1・2号プールに戻し、余裕容量を広げたのです。この事実は、公開されている文書「美浜1・2号機の廃止措置計画認可申請書」にも書かれておらず、私たちが質疑を重ねる中ではじめて明らかになりました。
そもそも廃止措置中の原子炉プール(美浜1・2号プール)へ使用済み燃料を戻すようなことをしたのは美浜3号だけです。伊方原発でもそのようなことはしていません。本来、美浜3号プールで保管していた1・2号の使用済燃料は、再処理施設、中間貯蔵施設へ輸送するまでは3号プールで管理するものとされていました。さらに、1・2号プールは引き挙げられた基準地震動の適合性審査も受けていません。耐震性の脆弱な1・2号プールにわざわざ戻すなど非常識なことを関電はしてきたのです。この状態で美浜3号の60年運転期限近くまで長期保管し続けることになります。
開催電力のホームページにあるIR情報には以下の文言が掲載されています。

使用済燃料は、発電所内の使用済燃料プールで一定期間貯蔵したあと、再処理工場へ
搬出(…)万が一、プールが満杯になれば発電所を運転できなくなるため、計画的に
搬出する必要があり、使用済燃料を一時的に貯蔵できる中間貯蔵施設を設置すること
で、将来にわたって発電所を安定的に運転できます
IR情報>経営方針>事業等のリスク>2.当社グループのリスク管理状況
https://www.kepco.co.jp/ir/policy/risk/index.html

上記の認識の上で、どのような管理を行うつもりなのかはリスク管理としても重要な問題であり、IR情報にあるように、株主の利益とも関連づくものです。
私たちは、この美浜3号のプールの余裕容量の水増し算定と、基準地震動の適合性審査も受けていない1・2号プールに使用済み燃料を保管し続ける危険、この二つの問題を今後も追及し続けるつもりです。報道の皆さんも、ぜひともこの問題を追及してください。
以上

このエントリーをはてなブックマークに追加

« »