若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

大阪連絡先 dpnmz005@ kawachi.zaq.ne.jp
若狭ネット資料室(室長 長沢啓行)
e-mail: ngsw@ oboe.ocn.ne.jp
TEL/FAX 072-269-4561
〒591-8005 大阪府堺市北区新堀町2丁126-6-105
若狭ネットニュース第151号を発行しました

若狭ネットニュース第151号を発行しました

若狭ネットニュース第151号(2014/10/13)を発行しました一括ダウンロード2.89Mb

10月24日(金)に予定していた「反原子力デー 関西電力へ申し入れ行動」は、関西電力との折衝の結果、「10月28日(火)午後4時30分から」へ変更になりました。

巻頭言-九電の川内原発再稼働反対!地震と火山の審査をやり直せ!関電の高浜・大飯原発再稼働反対!現地の闘いと連帯して、1基たりとも再稼働を許すな!

(1)川内原発の地震と火山の審査をやり直せ!

<巻頭言>
川内原発の審査は終わっていない

川内原発の審査はまだ終わっていません。原子力規制委員会は9月10日に川内原発の審査書を確定させましたが、地震と火山の未解決問題が急浮上しています。

M6.5の直下地震で1340ガルの地震動が

地震問題では、この3月に原子力規制庁へ統合された原子力安全基盤機構が「M6.5の直下地震で1340ガルの地震動が原発を襲う」ことを2004年に報告しており、これを基準地震動に取り入れるかどうかが問われています。「1340ガルの地震動」は、川内原発で炉心溶融事故に至るギリギリの地震動=クリフエッジ(川内1号で1004ガル、2号で1020ガル)を超えます。従って、これを基準地震動に取り入れれば、川内原発は再稼働どころか廃炉を余儀なくされるでしょう。川内原発だけでなく全国のほとんどの原発がそうなるでしょう。ことの重大さに気付いた原子力規制庁は「仮想のモデルによる計算値だ」とか、「1340ガルの地震動は実際にはまだ観測記録として存在しない」とか、「1340ガルの地震動が川内原発を襲う確率は小さい」とかの理屈をつけて無視しようとしています。これでは、福島第一原発で15.7mの津波の可能性を計算しながら、全く同じ理由で無視した東京電力幹部やそれを容認した原子力安全・保安院と同じではないでしょうか。福島第一原発重大事故の教訓を踏みにじるのでしょうか。断じて許せません。

大飯3・4号運転差し止め訴訟の福井地裁判決(2014年5月21日)では、「大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利(人格権)が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である。」と断じています。「確率が小さいから人格権を侵害しても良い」という論理は成立たないのです。

姶良カルデラ噴火で川内原発は「立地不適」

火山問題では、「姶良(あいら)カルデラ噴火の予兆を捉えてから原子炉を止め核燃料を運び出す準備を始める」という九州電力の方針が妥当かどうかが問われています。その具体的内容が保安規定に記載される必要があり、田中俊一原子力規制委員長は10月1日の記者会見で「公開の場で議論されるよう」検討すると約束しています。川内1号の保安規定は10月8日に提出されましたが、2号の保安規定はまだ未提出で、10月中の予定です。その公開審査はこれからであり、福島第一原発事故をはるかに超える破局的な原子力災害が予想されるため、地元は元より国民的レベルでの公開討論会や公開説明会の開催が不可欠です。

御嶽山では、予知できないまま、9月27日正午前に突然、水蒸気噴火が起こり、登山者55名が死亡、69名が負傷、10月10日現在なお8名が行方不明です。菅官房長官は「今回は水蒸気(噴火)であるので、その予測は極めて難しい」(9月29日)と発表しましたが、マグマ噴火でも国内経験では早くて数日前にしか分からず、それも観測体制を整備して火山ごとに噴火情報を蓄積しない限り不可能なのが実態です。破局的なカルデラ噴火の場合には2~3ヶ月前から小規模噴火や火山性地震などの予兆が観測された例はありますが、5年以上も前に予兆を検出できた例はありません。この「5年」というのは、「原子炉を停止した後も核燃料を冷やし続ける必要があり、崩壊熱が十分下がり放射線量が少なくなり、輸送容器に入れて運び出せるようになるまでに5年以上が必要だ」ということです。

川内原発から約40kmの姶良カルデラが破局的噴火を起こせば、5~20分で川内原発に500℃程度の高温火砕流が層厚50cm以上で流れ込み、運転員は全員即死、原子炉や使用済核燃料貯蔵プールはコントロール不能に陥り、数日後にはチェルノブイリ事故をはるかに超える厖大な放射能が放出され、日本全国に極めて深刻な放射能災害がもたらされます。九州電力の「予兆を検出してから核燃料の搬出準備を始める」という方針では、姶良カルデラ噴火に対応できません。「5年以上前に予兆を検出できる」という科学的・現実的根拠がない以上、川内原発は「立地不適」にすべきです。

原子力規制庁に迫る住民の再稼働反対の声

鹿児島県では、10月9日から川内原発30km圏内の5会場(薩摩川内市9日、日置市10日、阿久根市14日、さつま町15日、いちき串木野市20日)で原子力規制庁による説明会が開かれています。鹿児島県は当初、薩摩川内市で2回、いちき串木野市で1回の計3回、人数限定で終えようとしましたが、鹿児島市長、日置市長、阿久根市議会が地元開催の要望書を提出し、5会場へ広げられた経緯があります。
これは、姶良市議会の「県民の安全が担保されない拙速な川内原発1・2号機の再稼働を認めない」決議(昨年10月)、出水市議会の「再稼働への対応は慎重に行うべきである」との県知事への意見書採択(昨年11月)、垂水・阿久根両市議会でも同様の決議が続き、今年9月末には日置(ひおき)・いちき串木野両市議会が再稼働の同意が必要な「地元扱い」を求める意見書を可決、出水市が周辺6市町首長による「地元」の範囲に関する協議を呼び掛けるなど隣接市町での活発な動きを反映しています。また、「実効性のある避難計画がない中での再稼働は反対」とする署名が6月末に15,464筆、いちき串木野市民の過半数に達するなど住民の反対の声も高まっています。

10月9日、10日の説明会では、「リスクをゼロにすることはできない」とする原子力規制庁に「住民は絶対の安全を求める」と迫るなど、本質的な問いかけが行われています。主催者の鹿児島県(9日のみ薩摩川内市も共催)は映像中継を拒み(後日録画公開)、9日の参加者を抽選で決め(1,345名の希望者から302名が外れる)、質問時間を30分延長しただけで打ち切るなどひどい運営をしました。残る3会場でも住民による再稼働反対の声は一層大きくなるでしょう。
川内原発の審査は終わっていません。火山モニタリングに関する保安規定の公開審議を契機に、公開討論会や公開説明会の開催を求め、地震と火山の審査をやり直すよう原子力規制委員会に求めていきましょう。

再生可能エネルギーの接続を拒否し原発再稼働?

九州電力は9月25日から太陽光発電など再生可能エネルギーの送電網への接続を数ヶ月間中断すると発表しました。太陽光発電設備認定容量が今年5月末に1,782万kWに達し、今年7月末時点で接続済が約390万kW、接続申請中が約870万kW、残り約520万kWは未申請です。接続申請をすべて認めると約1260万kWになり、低需要期のピーク需要約800万kWを超え、今後申請される未申請分も加えると昨年夏期ピーク需要約1,600kWすら超えるためというのが「理由」です。発電容量に対する実際の出力率は3割程度なので、太陽光発電だけでピーク需要を超えるという主張はオーバーですが、九州電力管内では太陽光発電認定容量が関東の1,934万kWに次いで多いのは事実であり、関西(519万kW)の3倍以上です(スマートジャパン2014.9.25)。送電網を独占管理している九州電力は、本来、自主的に再生可能エネルギーの接続条件を整備すべきところ、それを怠り、送電網への接続を拒否するというあってはならない手段で自社の利益を守ろうとしているのです。再生可能エネルギーが急増すれば、電力供給過剰になり、原発再稼働を急ぐ根拠もなくなります。九州電力にとっては、それが一番怖いのでしょう。

この問題を解決するには、発送電分離と送電網の公的管理が不可欠です。そうすれば、原発を接続する余地はなくなるのですから。

原発なしの今夏、電力供給は、全く支障なし

電気事業連合会の10月10日発表によれば、今年上半期(4~9月)の発受電電力量(速報)は電力10社で前年同期比3.9%減、東日本大震災以降4年連続で前年実績を下回り、10社ともマイナスでした。気温低下もありますが、一番の理由は節電が深く浸透していることです。

関西電力の今夏需給実績報告では、7月1日~8月22日を2010年と比べれば、平均で約310万kW、約12%も減っています。最大電力需要は2,670万kWでした。夏前の5月16日時点での関電予想は2,873万kWでしたので、約200万kW減でした。

原発を再稼働しなくても電力を安定供給できることは明らかです。関電の高い電気料金に対抗して、企業や自治体が、関電との契約を打ち切り、新電力に切り替える動きも加速しています。たとえば、今年4月1日からの4カ月間で1,598件、約33万kWが契約解除されています。

他方では、電力全面自由化を目前にして電力会社間での競争が激化しています。関西電力は、東京電力に対抗して、首都圏での電力販売を拡大しようとしています。宮城県仙台市に約300億円をかけて石炭火力11.2万kWを新設し、2017年運転開始をめざしています。また、マンション向け中央電力と資本提携し、首都圏でオフィスビル向けなど大口顧客に電力を販売しようとしています。これらの電気料金は原発を抱える関西電力自身の電気料金より「安い」のです。また、「原発の発電単価は安い」と言いながら、電力自由化の下では、原発は生き残れないので高めの「基準価格」で買い取るよう要求しています。
何という矛盾でしょうか。

停止原発の維持・管理費がかさみ、3年連続赤字

フクシマ事故が起こるまでには、1兆4900億円あった関西電力の純資産は、3年間で8100億円にまで減少しました。そのなかには、将来の利益を見越して計上している繰延税金資産が5000億円含まれており、実質的な純資産は3100億円程度にとどまると見られます。つまり、実質的な純資産はすでに資本金(4900億円)を下回るレベルにまで毀損しているのであり、このままの状況が続けば、4年連続赤字になり、債務超過も視野に入れざるをえない状況です。

こうなった原因は原発にあります。関西電力は原発比率が高いため、停止原発の維持・管理費がかさむのです。そのため、関西電力は「再度の値上げか、原発再稼働か」というあり得ない対比で電力消費者に恫喝をかけようとしています。

私たちは、電力再値上げも、原発再稼働も拒否します。すべての原発を廃炉にし、再処理をやめ、電気料金を下げるべきです。原発を再稼働させるために9電力と日本原電を合わせると、原発の安全対策費に2兆2千億円以上、停止原発の維持・管理費に年間約1兆5千億円、電源開発促進税に年間約3,500億円、止まったままの原発に投入し続けているのです。無駄以外の何物でもありません。

さらに、関西電力は、日本原電と北陸電力に運転停止中の敦賀原発と志賀原発に対する「電気料金」を受電していないのに3年以上支払い続けています。この「受電なき電力購入費」は日本原電に対して3年間で1千億円近くになります。しかし、敦賀2号は、原子力規制委員会が直下に活断層があると判断しており、それが確定すれば、このような支払いは根拠を失います。

美浜1~3号、大飯1・2号、高浜1・2号を廃炉に!

9月6日の新聞は「美浜2基廃炉検討」と大きく報じました。原子力規制委員会の規制基準では、原則40年運転で廃炉になります。特例として20年間延長が認められるためには、原子炉圧力容器などの「特別点検」や大規模改修など数千億円規模のコストがかかります。老朽炉は出力が小さく、投資に見合う利益が得られないため、関西電力は地元に配慮し、言葉を濁しながら様子を見ています。

たとえば、岩根茂樹関電副社長は9月8日、福井県庁で会見し、「美浜1、2号機のように運転開始から40年以上たつ原発の運転期間を延長する場合、審査申請期限が2015年4~7月に迫っている。申請前に特別点検をするということもあり、どういう対応をしていくか検討している段階。」「万が一廃炉になった場合、地域の経済雇用に影響を与えないように、例えば(国の)交付金がどうあるべきかということを含め、われわれも汗をかいていきたい」と述べています。

私たちは、美浜1~3号は元より、老朽化した高浜3・4号、大飯3・4号についても即刻廃炉を求めます。

川内原発の審査書で浮上した地震と火山の問題はすべての原発に共通した重要課題です。姶良カルデラ噴火による川内原発破壊の危険は国民的課題だとも言えます。川内原発再稼働阻止の現地の闘いと固く結びつき、高浜3・4号や大飯3・4号をはじめ全国の原発再稼働阻止の闘いと結合して、脱原発へ進みましょう。

一括ダウンロード2.89Mb

このエントリーをはてなブックマークに追加

« »