若狭ネット第165号を発行しました。
経産省の「このまま逃げ切り」を許さない闘いにご協力下さい。
第165号(2017/2/22)(一括ダウンロード1.3Mb)
巻頭言-福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!
2・8経産省に1万8,318筆の反対署名を提出
しかし、経産省は交渉に応じず、パブコメ回答(2月6日発表)の説明もなし!
2月15日に公開質問状を提出!経産省の「このまま逃げ切り」は、絶対に許しません
経産省は3月上旬の都合良い日で交渉に応じよ!
アベノミクスの原発推進をつぶそう!
東芝経営破綻を踏まえ、原発輸出の中止を!
脱原発に転換し、原子力予算の大幅削減を!
(1)東芝の経営破綻を機に、「原発輸出」を中止させよう!
(2)「もんじゅ」廃炉・東芝経営破綻・東電破産状態を直視し、
原子力予算を大幅削減せよ!電源三法を廃止せよ!
(3)福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!
経産省が直前になって、2・8交渉を拒否!
追撃の公開質問状を2月15日に提出!
経産省は逃げ回らず、質問に答えよ!
(4)経済産業省が直前に拒否した2月8日交渉に向け、2週間前に提出されていた「署名申し入れ事項に関連した質問項目」および経済産業省が2月6日に公表したパブコメ回答(「電力システム改革貫徹のための政策小委員とりまとめ」に対する意見公募の結果)
<巻頭言>福島事故関連費と原発コストを「電気の託送料金」に転嫁しないでください!
2・8経産省に1万8,318筆の反対署名を提出
しかし、経産省は交渉に応じず、パブコメ回答(2月6日発表)の説明もなし!
2月15日に公開質問状を提出!
経産省の「このまま逃げ切り」は、絶対に許しません
経産省は3月上旬の都合良い日で交渉に応じよ!
アベノミクスの原発推進をつぶそう!
東芝経営破綻を踏まえ、原発輸出の中止を!
脱原発に転換し、原子力予算の大幅削減を!
あきれかえる経産省のドタキャン!
私たち29団体は2月8日、経産省に「福島事故関連費と原発コストを『電気の託送料金』に転嫁しないでください」の1万8,318筆の署名を提出しました。
しかし、提出したのは交渉予定の会議室ではなく、午後1時半~3時の交渉予定時間帯でもなく、夕方の午後5時、参議院議員会館の福島みずほ事務所においてでした。
2週間前の1月23日に福島みずほ社民党参議院議員を通して署名提出交渉を申し出て、質問項目も同時に提出し、了承されていたにもかかわらず、経産省が直前になって突然、署名受取も質問項目に基づく交渉も拒絶してきたのです。
私たちは、経産省のこのままの逃げ切りを絶対に許しません。1週間後の2月15日には2月6日のパブコメ回答を踏まえた公開質問状を新たに作って経産省に提出し、「3月上旬で担当者出席のうえ十分質疑可能な午後1時半~3時とし、経済産業省の方で日をご指定ください。」と求めています。今度は逃がしません。国民に新たな負担を求める以上、経産省は逃げ回らず、キチンと説明すべきです。
この署名に関連する法案が今国会に提出されており、会期は6月18日まで続きますので、国会での追及も期待されます。経産省を追撃するためにも、署名を継続し、大衆的な声を結集していかねばなりません。
今なお、数千の署名が届き、署名数は2月20日現在、2万1千筆を超えています。第二次集約を3月末として署名を継続します。政策の具体化に合わせて署名用紙の前文の数値等を微修正しました。新しい署名用紙で署名を拡大して下さい。ただし、旧署名用紙も有効ですので、すでに取り組んでいる方はそのまま続けて下さい。
算定ミスと資料不整合の暴露を恐れる経産官僚
経産省は、なぜ、前代未聞のドタキャンをしたのでしょうか?それは、担当した経産官僚が重大なミスと瑕疵を犯し、それが暴かれるのを恐れたからではないかと推測されます。
経産省は福島原発事故に伴う損害賠償費の追加分2.4兆円を一般負担金「過去分」だと称して電気の託送料金(送電網使用料)のコストに上乗せし、新電力へ契約変更した電力消費者からも回収しようとしています。
しかし、第1に、一般負担金は原子力事業者が納付義務を負うものであり、電力消費者が負担すべきだとする法的根拠がないのです。
また、第2に、2010年以前の一般負担金「過去分」を正直に算定すると3.8兆円と過大になってしまうため、「過去分」に含まれていない2011~2019年度に電気料金を通して回収される一般負担金1.3兆円を「控除」して2.4兆円(丸め誤差有)にしているのですが、「控除できないものを控除する」というミスを犯しているのです。
その上、第3に、一般負担金「過去分」2.4兆円が、別の委員会に出された資料では「特別負担金と一般負担金を合計した2.5兆円(丸め誤差有)」として説明されており、不整合になっています。その結果、電力会社の負担分が新電力の負担分より軽くなるよう巧妙に細工されているのです。このようなミスと不整合を犯したまま、これを知りながら意図的に放置して、一般負担金「過去分」を託送料金に上乗せすることになれば、それは官僚が犯してはならない重大な瑕疵に転化します。
私たちが先に提出した質問項目では、この問題を含めて、経産官僚による電力消費者への不当な費用負担の転嫁を暴いており、これらを追及されるとこれまでの努力が根底から覆されてしまうため、交渉をドタキャンしたのではないかと思われます。
2月15日に提出した公開質問状では、2月6日のパブコメ回答を踏まえて一層具体的に質問していますので、対立点はより鮮明になっています。経産省はあの手この手で交渉から逃げようとするでしょうが、逃がさず徹底して追及し続けたいと思います。
2月20日現在2万1千筆を超えた署名のさらなる拡大を含めて、皆さんの一層のご支援、ご協力をお願いします。
来年度予算政府案でも国民負担による東電救済
経産省は何としても東京電力を破綻の危機から救済しようと、福島事故に伴う損害賠償費や事故対策・廃炉費の不足分を「電気の託送料金に転嫁する仕組み」作りにやっきとなっています。
原発再稼働と40年超運転のために必要な3.3兆円もの対策工事費を注ぎ込んで失敗しても廃炉後に託送料金で回収できる仕組みも導入し、電力自由化にあえぐ電力会社を支援しようとしています。
これは再稼働反対の国民の過半数の意思に背くものであり、撤回させねばなりません。
東電救済策は今国会で審議中の来年度予算政府案にも顕著に現われています。
原子力関係の来年度予算政府案は、経産省の電源開発促進勘定1,795億円と原子力損害賠償支援勘定469億円、文科省の原子力予算1,470億円の合計で3,734億円ですが、環境省の復興特会「原子力災害からの復興等」6,842億円、文科省の復興特会373億円を加えると1兆949億円にも達します。
環境省予算は福島原発事故に起因する除染・汚染廃棄物処理・中間貯蔵施設用地取得等の費用であり、2016年度補正予算までの累計で4兆124億円にもなりますが、本来、東京電力が負担すべきものです。国が負担するのであれば東電と国の責任を明らかにした上で、東電に負担させるべきはキチンと負担させてからにすべきです。
東電にはこれまで9兆円の交付国債を原資として損害賠償5.4兆円、除染2.5兆円、汚染土等中間貯蔵施設1.1兆円が資金援助されてきましたが、来年度予算から13.5兆円(損害賠償7.9兆円、除染4兆円、汚染土等中間貯蔵施設1.6兆円)に引上げられます。
うち損害賠償費の増加分2.4兆円が一般負担金「過去分」として電力消費者に転嫁されようとしているのです。除染費は当初7兆円規模と見積もられていましたが、政府は東電への除染費支援を4兆円に留める一方、それを超える数兆円の除染を国負担で2017年度から始めようとしています。
環境省復興特会に計上されている帰還困難区域の除染・解体事業事前調査費309億円がそれです。これは「帰還困難区域の除染費については東電に求償せず国負担とする」と閣議決定したことによるものです。政府は、除染費支援の4兆円分については事業終了後に東電に弁済を求める方針ですが、これを超える除染費については東電に求償しないのです。「福島復興」の名目で東電救済のために税金を使うのはやめるべきです。
東電が賄えないのなら、破産処理して東電に責任を取らせ、株主・金融機関に債権放棄させ、10兆円を吐き出させるべきです。その上で、福島事故に係る歴代政権の責任を明確にし、電気料金ではなく累進課税で賄うべきです。来年度政府予算は、なし崩し的に東電救済を図るものであり、抜本的に組み替えるべきです。
ところが、経産省のパブコメ回答では「破綻処理により資産を売却しても多額の売却益を見込めない一方、東電が将来の収益をもって責任を果たすべき廃炉・汚染水対策や賠償の費用相当が国民負担となります。
また、国が出資した東電株も無価値化するため、結果的に国民負担が増加することとなります。」と居直っています。これは国民だましもいいところです。株主や金融機関に債権放棄させれば10兆円が浮くにもかかわらずそれを隠蔽し、新潟県民や国民の声を無視して柏崎刈羽原発の再稼働によって福島第一原発事故の尻ぬぐいをさせようとしているのです。とんでもありません。
東電を破産処理すれば国民負担は減ります。
今でも、損害賠償費のほとんどが総括原価方式の下で電気料金から回収されており、電力会社は一円たりとも負担していません。
電力自由化の下では回収できない恐れがあるので、損害賠償費の増加分2.4兆円や福島原発廃炉費不足分6兆円などを託送料金に転嫁して回収しようというのです。国民負担を増やしているのは政府です。
原発輸出中止と脱原発への転換を
安倍政権は、原発輸出をアベノミクスの一つの柱にし、首相自ら原発受注に奔走してきましたが、東芝の経営破綻で原発輸出戦略が幻想にすぎなかったことが一挙に明らかにされました。これ以上、原発重大事故の危険に加えて、経済的破綻というリスクも高い原発輸出からは即刻撤退すべきです。
東芝は2016年12月末で債務超過に陥りました。
窮余の策だった半導体事業の20%未満の株売却もうまくいかず、今年3月末の債務超過も避けられず東証2部への降格がほぼ確定です。この原因は、東芝が買収したWH社による米国内原発4基の建設費高騰にあります。福島原発事故以降の規制強化で設計変更や追加工事が増えて建設費が高騰し、米国では約30年ぶりの新設で工期が大幅に遅れ、人件費が何倍もかかり、7,125億円の損失が生じたのです。今後も損失が増え続けるのは必至です。
東芝はABWR原発2基の建設計画をもっていますが、共同出資者が撤退し、着工できない状態です。
中国でもAP1000を4基建設中ですが、工期が3年遅れで建設費が高騰し、損失も増え続けています。
東芝は原発建設事業から撤退し、原発の設計・機器納入・メンテナンス・廃炉等に限定することで危機を乗り切るつもりですが、インドでの6基のAP1000計画を含めて建設工事を請負う出資者が出てくる見込みはないという泥沼状態です。東芝は、アベ政権が掲げた原発輸出で「蟻地獄」に陥っているのです。
東芝だけではありません。三菱重工は、2006年に仏アレバと業務提携し、新型PWRを共同開発、ベトナムで2基、トルコで4基の建設計画を進めていましたが、ベトナムでは白紙撤回され、トルコでも撤退機運が広がり、計画が漂流し始めています。
三菱重工自体も経営難を抱えています。米サンオノフレ原発で同社が納入した蒸気発生器で事故が起き廃炉になったことから約7千億円の損害賠償問題が起きています。係争中ですが、敗訴すれば巨額の損失が避けられません。
日立も英ウィルファ・ニューウィッド計画(ABWR、4~6基)を進めていますが、建設コストの高騰、再生エネによる発電コストが劇的に下がっていく中で、受け入れられないのではという懸念が出てきています。日立自体も新ウラン濃縮開発から撤退し、2月1日、700億円の損失を出しています。
原発建設計画を撤回・回避する動きは、米・英、ベトナム、トルコ、インドだけではありません。
台湾では2017年1月11日、「25年までに原発のない郷土をめざす」電気事業法が可決され、リトアニアでも、2012年の国民投票で原発建設反対が6割を超え、2016年11月には反原発を掲げるスクバルネリス政権が誕生し、建設は絶望的になっています。
安倍政権は、東芝の経営破綻を踏まえ、原発輸出から即刻撤退し、脱原発へ転換すべきです。
「もんじゅ」廃炉、東芝経営破綻を機に、政策転換を
福島事故から6年、改めて、事故を収束させることの困難さや、深刻さが露わになってきています。東京電力が2月に行った福島第一原発2号の原子炉格納容器内部調査は、そこに人が立ち入るとわずか1分で即死するほどの極めて高い放射線量のため、困難を極めています。福島原発廃炉費追加分が6兆円に留まらないどころか、溶融燃料のデブリを取り出す廃炉作業そのものが可能かどうかが問われる事態に陥っています。
ひとたび重大事故を起こせばどうなるか、原発再稼働を進める電力会社は改めて原発の底なしの恐ろしさを直視すべきです。
東芝の経営破綻は、重大事故のリスクに加えて、原発輸出に伴う経済的リスクの甚大さを警告しています。原発再稼働も原発輸出も断念すべきです。
原子力研究開発機構の「もんじゅ」は廃炉になりましたが、政府は高速実証炉計画を進めると主張しています。しかし、国内の「オールジャパンの高速炉推進体制」はすでに内部崩壊しており、実証炉建設主体も決められない有様です。これを機に脱原発・脱「再処理・プルトニウム利用」へ転換すべきです。
原子力機構は、「もんじゅ」だけでなく、全国88原子力施設のうち再稼働のために170億円を投じた材料試験炉JMTRを含めて42施設を廃止すると昨年10月に発表しています。負の遺産を処理しなければならない時代に突入したのです。
引き返すのは今です。