若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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若狭ネット第192号を発行:ALPS処理水の「春から夏の海洋放出」絶対反対! 文書確約違反、運用方針違反、実施計画違反を許すな! 「40年ルール」撤廃のGX脱炭素電源法案を廃案に!

若狭ネット第192号を発行:ALPS処理水の「春から夏の海洋放出」絶対反対! 文書確約違反、運用方針違反、実施計画違反を許すな! 「40年ルール」撤廃のGX脱炭素電源法案を廃案に!

第192号(2023/3/11)(一括ダウンロード5.0Mb
巻頭言–ALPS処理水の「春から夏の海洋放出」絶対反対!
文書確約違反、運用方針違反、実施計画違反を許すな!
「40年ルール」撤廃のGX脱炭素電源法案を廃案に!
1. 「あらゆる選択肢」を軽く求めるGX基本方針は、国民を奈落の底へ突き落とす
2. 原子力規制委員会は三条委員会の責務を放棄し、「規制の虜」へ戻るのか
3. トリチウム汚染水(ALPS処理水)は海洋放出できない!— 「サブドレン及び地下水ドレン」にまつわる3つの理由

政府がALPS処理水と称しているトリチウム汚染水は海洋放出できません。それには、「サブドレン及び地下水ドレン」にまつわる次の3つの理由があります。

第1に、原発事故後、大量に発生する汚染水を抑制するための「サブドレン及び地下水ドレン」の運用開始に向けて、政府は福島県漁連に対し、ALPS処理水は「関係者の理解なしには、いかなる処分も行いません」と文書で確約し、東京電力も「多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします。」と文書で確約しています。その最大の関係者である福島県漁連は「絶対反対」を堅持し続けていて、「理解」などしていません。海洋放出を強行すれば、政府と東京電力の文書確約は白紙と化し、今後、彼らが廃炉・汚染水対策で行おうとするいかなる「確約」も全く信用されず、協力は一切得られなくなるでしょう。

第2に、政府と東京電力の文書確約があったからこそ、福島県漁連は、苦渋の判断で、「サブドレン及び地下水ドレンの運用方針」に同意したのですが、そこには、「トリチウム濃度が1,500Bq/Lを超える場合には、排出しない、希釈しない、タンクへ移送する」と明記されています。排水されなかった「サブドレン及び地下水ドレン」の汲上げ水は、実は、地下水ドレン中継タンクからウェルタンクを介して2号機タービン建屋へ移送されていて、計約6.5万トンになります。これは、1~4号機建屋滞留水と混ざりあって、多核種除去設備ALPSで処理され、タンクに貯留されています。132万トン(2021/4/1時点では125万トン)のうちの約6.5万トンが「サブドレン及び地下水ドレン」汲上げ水なのです。そのようなALPS処理水を海洋放出すれば、「希釈しない、排水しない」と定めた運用方針に反するのです。サブドレンおよび地下水ドレンによる地下水くみ上げ・浄化処理後の排水は、建屋周辺地下水の水位制御の生命線として今も続けられていますが、トリチウム汚染水(ALPS処理水)海洋放出を強行すれば、運用方針そのものを破棄するに等しく、「サブドレン及び地下水ドレン」への福島県漁連の同意が根本から揺らぐことになります。

第3に、原子力規制委員会・規制庁は、脱原発福島県民会議など10団体との2月9日の交渉で、「『サブドレン及び地下水ドレン』の水が、建屋滞留水等と混在してALPSで処理され、ALPS処理水として混在したままタンクに貯留されているとすれば、『サブドレン及び地下水ドレン』の水が混在しているALPS処理水は海洋放出できない。」と断言しました。ところが、その後、「原子力規制庁としては、御指摘の『トリチウム濃度が1,500Bq/Lを超えるサブドレン及び地下水ドレンの水』はこれまで発生していないことを東京電力ホールディングス株式会社に確認しています。」との文書回答が届きました。実は、原子力規制委員会が認可し、東電が遵守すべき「実施計画」では、地下水ドレン汲上げ水は中継タンクから「集水タンクへ移送する」ことになっているのですが、東京電力は中継タンクでトリチウム濃度を測り、1,500Bq/Lをはるかに超える場合は「集水タンクへ移送せず、2号機タービン建屋へ直接移送」していたのです。原子力規制庁は、このタービン建屋へ移送された約6.5万トンを無視しようとしていますが、これは「実施計画」違反です。仮に、実施計画通り、汲上げ水を集水タンクへ移送していたら、6.5万トンをはるかに超える水が集水タンクやサンプルタンクから「タンク等へ移送」されていたことでしょう。しかし、実施計画のどこにも、移送先の「タンク等」や移送配管の仕様および移送ラインは全く記載されていないのです。他方、中継タンクからウェルタンクを介した2号機タービン建屋への移送ラインは実在し、実際に約6.5万トンが移送されたのです。ALPS処理水を海洋放出すれば、実施計画に違反してタービン建屋へ移送された約6.5万トンの「サブドレン及び地下水ドレン」汲上げ水の混在したALPS処理水を海洋放出することになり、実施計画違反を重ねることになるのです。

このような文書確約違反、運用方針違反、実施計画違反をさらに重ねるALPS処理水の海洋放出は断じて許せません。何としても阻止しましょう。

2023年2月9日ALPS処理水海洋放出方針決定に関する10団体主催・対政府交渉報告
交渉報告のpdfはこちら交渉議事録はこちら

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