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7月23日 関電本社交渉で敦賀2号活断層・廃炉問題について追及

7月23日 関電本社交渉で敦賀2号活断層・廃炉問題について追及

7.23関電交渉 廃炉から日本原電経営破綻へ 関電の責任を追及

7月23日午後4時から約1時間、関西電力本社において、敦賀2号廃炉問題と電気料金に関する公開質問書の回答を求めました。今回も30名を超える参加者で部屋はぎっしり埋まりました。共同提出団体も37団体を数え、日本原電の原発を維持するために私たちの電気料金がどうして値上げされるのか、廃炉積立金不足額等も電気料金に転嫁しようとしているのではないか、という疑問が改めて大きな関心になっています。関電側は広報の担当者3名が対応しました。

敦賀2号の直下の活断層問題では、「日本原子力発電の解釈には技術的に合理性があると考えております」と回答し、「活断層でない」と主張する原電を支持しました。原子力規制委員会の判断には動揺しながらも、「日本原電の報告書をきちんと受けとめて、科学的・技術的な見地から十分な議論を行った上で、改めて結論を出していただきたい」と平静を装っていました。敦賀2号を「共同開発」した関電として、敦賀2号の廃炉などさらさら考えていない、考えたくもないという答弁でした。

浦底断層を日本原電とともに調査しながら、活断層であることを2008年まで評価できなかった関電の責任については、「断層の評価は我々がやる。(浦底断層は)原電さんのもの、関電がしたのか知りません。そんなことを聞かれても困る。」と逃げました。関電から日本原電への出向社員がいることについては、「出向社員は日本原電のチームとして働いている。それと、関電が行っているかとは全然別の話」だと世間には通用しない言い訳を繰り返し、反省の色などみじんも感じられません。これでは誤りは繰り返されます。こんな会社や法人(日本原電、関電、日本原子力研究開発機構)が寄り集まって敦賀半島に活断層があるかないかを共同調査しているとなれば、はじめから結論ありきで、不信感はますます高まります。誰も信じないでしょう。

敦賀2号の共同開発者として関電には責任が生じますが、そこを突かれると、次のように開き直る有様でした。

「将来にわたって、未来永劫にわたって、どこかで間違ったかもしれないことを判断をするならば、その判断はその時々においてどういう合理性を持っていようが、それぞれの合理性がどれほどの整合性を持っていようが、意味がないということを言っているわけですか。」

広報部には、本来、私たちにわかりやすく説明しなければならない使命があるはずです。その使命をかなぐり捨て、訳の分からないことを言い放つ不遜な態度であり、怒りが沸々とわいてきます。真摯な態度ではありません。

福島での事態を目にしてもなお能天気で居られる関電の精神が不可思議です。

関電の姿勢は無責任一色で、「何でそんな質問になるのかわからない」、「(質問の中身を)そこまでは読めていませんでした。」などの発言を連発しました。こんなひどい会社が原発の再稼働をめざすのです。開き直りを許さず、引き続き追及を強めねばなりません。

日本原電の原子力施設解体引当金総見積額不足分(2012年度末)237億円は損金処理し、電気料金への転嫁を避けるべきだとした質問項目については、「受電会社として応分の負担について考えていく必要があり、具体的には関係者間で協議して決定するものと考えております」と答えました。その中身については、「廃炉は仮定の話だ」としてはぐらかすだけでした。

3基廃炉にした場合の日本原電の982億円の債務超過については、「今後検討がなされるものと承知しております」、「発電から廃止措置の完了まで、円滑な事業運営ができるように、見直しの検討がなされることは望ましいと考えております」と、廃炉に伴う経済的負担が関電等から電力消費者や国民に転嫁されるのを心待ちにしているようでした。

「廃止措置」の中身を確かめたところ、「当該の発電所が更地になるまで」と限定し、使用済核燃料や高レベル廃棄物の処理・処分問題については、真剣に考えてもいない様子でした。その延長として、「日本原電の発電所で発生した使用済み核燃料の貯蔵・保管・処理・処分については、日本原電自身が責任をもって実施すべき事業であると考えております。」と人ごとのようです。関電は敦賀2号の「共同開発」者として原発維持費や廃炉費は「応分の負担」をするが、負の遺産である使用済核燃料等については関知しないというのです。

今後もフクシマ事故被災者への損害賠償・除染費や原発の維持管理費・廃炉積立金不足額の電気料金への転嫁問題が続きます。原発延命のための電気料金値上げを認めることはできません。引き続き、この問題を暴露・批判し、原発再稼働反対運動に繋ぎ、脱原発運動を拡大させましょう。

********************** 関西電力への質問と回答 ************************

2013年6月21日

関西電力株式会社代表取締役社長 八木 誠 様

敦賀2号廃炉問題と電気料金に関する公開質問書

共同提出(7月23日現在、37団体): ①平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)、②原発ゼロ上牧行動、③ひこぱぱ、④福島の子どもたちを放射能から守ろう・関西、⑤脱原発で生きたい女たちの会・豊中、⑥吹夢キャンプ実行委員会、⑦STOP原子力★関電包囲行動、⑧風をおこす女の会、⑨原発の危険性を考える宝塚の会、⑩子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク、⑪京都原発研究会、⑫現代を問う会、⑬さよならウラン連絡会、⑭安全食品連絡会、⑮ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、⑯チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、⑰奈良脱原発ネットワーク、⑱地球救出アクション97、⑲大阪此花発!STOPがれき近畿ネットワーク、⑳全日本港湾労働組合関西地方大阪支部、㉑ヒバク反対キャンペーン、㉒シーダー関西、㉓さようなら原発生駒、㉔反原発奈良教職員の会、㉕環境フォーラム市民の会(豊中)、㉖I女性会議、㉗さようなら原発・北葛、㉘生活協同組合コープ自然派ピュア大阪、㉙ウータン・森と生活を考える会有志一同、㉚リーフ、㉛チャクラ、㉜どこまでも9条の会、㉝国際女性年連帯委員会、㉞吹田市教職員組合、㉟茨木市教職員組合、㊱ストップザもんじゅ、㊲若狭連帯行動ネットワーク

 貴社は5月1日、平均9.75%(家庭用)の電気料金値上げを強行しました。  今回の値上げは「原発停止に伴う石油等燃料費の増大」によると説明していますが、私たちが、昨年来本社交渉などで何度も指摘したように、原発に偏った電源構成で、老朽火力を長期停止したまま、高効率のLNGコンバインドサイクル発電への更新を先送りしてきた貴社の経営方針が根本的な要因であることは、誰の目にも明らかです。  貴社の動かない原発の固定的経費約3000億円が経営を圧迫しており、日本原電の敦賀1・2号や北陸電力の志賀2号への「受電なき電力購入費」466億円も加わっているのです。私たちは、貴社の経営責任を問い、「原発ゼロへ転換し、受電なき電力購入を止める」よう求めてきました。  しかし、貴社はあくまで原発偏重姿勢を改めず、電気料金を値上げして原発維持費を私たち電力消費者に押しつけているのです。  そういった中で、原子力規制委員会は5月22日、「敦賀2号の直下に活断層がある」との判断を下しました。敦賀2号の廃炉が見えてきました。敦賀2号が廃炉になれば、敦賀1号や東海第二も再稼働が見込めず廃炉になる可能性が高く、日本原電は破産する可能性が出てきます。そのため、廃炉費用の積立不足金や原発・核燃料資産の除却損の一部を電気料金から回収すべきだとの要求が貴社をはじめ電力会社等から出され、政府も審議会を開いて検討しようとしています。しかし、この問題は、これまでの原発推進の経営責任こそが根本的に問われるべきではないでしょうか。  私たちは、これまでの電気料金値上げに関する交渉を踏まえ、こに改めて質問書を提出しますので、2週間以内に誠意ある文書回答を行い、私たちにきちんと説明して下さるよう要望します。

1.原子力規制委員会は5月22日、日本原電敦賀2号炉原子炉建屋直下のD-1破砕帯が活断層であるという有識者会合の5月15日付報告書を了承しました。原子力規制委員会は、この判断を覆すような客観的なデータを日本原電が提示してきたときには再検討するとしており、日本原電も6月末までの追加調査で最終報告書を提出する予定だと伝えられます。しかし、そのようなデータを提示できる可能性は少ないと思われます。  日本原電が最終報告書を提出してなお原子力規制委員会の判断が覆らなければ、これ以上の抵抗をやめ、敦賀2号を即刻廃炉にすべきだと私たちは考えますが、いかがですか。敦賀2号を「共同開発」し、日本原電の有力株主であり、社長を2期連続して送り込んでいる責任ある企業として、貴社は、「原子力規制委員会の判断を受け入れ、敦賀2号を廃炉にする」よう日本原電に勧告すべきだと私たちは考えますがいかがですか。さらに、貴社は日本原電と共に、活断層の上に敦賀2号を建設し長期間運転してきたことの責任を明らかにすべきだと私たちは考えますが、いかがですか。

(関電回答)日本原子力発電はこれまでの追加調査等から得られたデータをもとに、問題となっている、D-1破砕帯は活断層ではないことを説明してきている。

私どもとしても、日本原子力発電の解釈には技術的に合理性があると考えております。

原子力規制委員会においては、この報告書をきちんと受け止めて、データに基づいて詳細に検討を進めていただき、科学的、技術的な見地から十分な議論を行ったうえで、あらためて結論を出していただきたいと考えております。

2.貴社は敦賀原発を日本原電と「共同開発」し、敦賀原発敷地内外の活断層調査についても、日本原電とともに長年にわたって行ってきています。結果として、日本原電が「浦底断層が活断層であることを長期間否定し続けてきた」ことおよび「原子炉建屋直下の破砕帯が活断層であることを否定し続けてきた」ことについて、貴社にも責任があると私たちは考えますが、いかがですか。  また、浦底断層を活断層だと認めた日本原電の2008年3月報告書および今回の破砕帯調査に関して、貴社のどの部署がどのような内容・期間・規模でどのように協力してきたのか明らかにしてください。

(関電回答)日本原子力発電はこれまでの追加調査等から得られたデータをもとに、問題となっているD-1破砕帯は活断層ではないことを説明してきており、私どもとしても、日本原子力発電の解釈には技術的に合理性があると考えております。原子力規制委員会においてはこの報告書をきちんと受け止めてデータに基づいて詳細に検討を進めていただき、科学的・技術的な見地から十分な議論を行った上であらためて結論を出していただきたいと考えております。

また、若狭湾周辺の活断層の調査にあたっては平成18年の地震に対する、耐震安全性確認など、一部で共同調査を実施しております。

中間報告書等の作成については各社で取りまとめております。また敷地内の調査では各社が個別に調査を実施しております。

3.日本原電が敦賀2号を廃炉とした場合、原子力施設解体引当金総見積額不足分(2012年度末)は237億円となりますが、この不足分は日本原電内で損金処理して賄うべきであり、「受電なき電力購入費」のような考え方で関西電力の電気料金に計上して徴収するようなことはすべきではないと私たちは考えますが、いかがですか。

(関電回答)当社としては敦賀発電所の再稼動を期待しており、廃炉については仮定の話となりますが、日本原子力発電が将来なんらかの理由により廃炉を判断し、万が一発電所の解体引当金が不足する場合の費用負担については、日本原子力発電の敦賀発電所は、当社を含む受電会社が全量を受電することを前提に開発された、共同開発に近い発電所であるという経緯を踏まえ、受電会社として応分の負担について考えていく必要があり、具体的には関係者間で協議して決定するものと考えております。

ただし、それが大幅な規制変更など政策的な意味合いで廃炉になる場合には、国とも協議しながら検討していく必要があると考えております。

なお今後の料金改定については経営効率化の進捗状況や、停止中の原子力プラントの再稼動の進捗状況を踏まえるとともに、収支状況や財務体質も勘案し、総合的に判断してまいりたいと考えております。

4.敦賀2号だけでなく、敦賀1号や東海第二も再稼働が困難であり、3基とも廃炉になる可能性が議論されています。経済産業省の試算によれば、廃炉に伴う原子力施設解体引当金総見積額不足分と原発・核燃料資産簿価を特別損失計上した場合、日本原電は982億円の債務超過になりますが、貴社としてこの事態にどう対処するつもりですか。  また、日本原電が廃炉措置に入っても、廃炉に関わる資産の価値を認め、それらの減価償却を可能とする方策を政府が検討していますが、これは投資リスクを電力消費者に転嫁し、投資家のモラルハザードを招くものだと、私たちは考えますが、いかがですか。

(関電回答)国において廃炉にかかる会計制度を検証するワーキンググル-プが設置されており、将来の廃炉に向けた手当てをより円滑にするため、原子力施設解体引当金の扱いを含め、今後検討がなされるものと承知しております。

事業者としては、新規制基準への対応や再稼動の問題など、現行制度では想定されていない環境変化が生じていることを踏まえれば、発電から廃止措置の完了まで、円滑な事業運営ができるように、見直しの検討がなされることは望ましいと考えております。

5.日本原電の全原発が廃炉になれば、行き場のない使用済核燃料の貯蔵保管・処理処分問題が浮上します。敦賀原発の「共同開発者」であり株主である貴社として、これにどう対処するつもりですか。

(関電回答)日本原電の発電所で発生した使用済み核燃料の貯蔵・保管・処理・処分については、日本原電自身が責任をもって実施すべき事業であると考えております。

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