若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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2024年8月20日「関電ロードマップ」に関する福井県原子力安全対策課との交渉報告—-福井県を「核の墓場」にしないため、関電を追及し、県政を問い質し、現世代の責任で、「乾式貯蔵はいらない」、「使用済燃料をこれ以上生み出すな」の声を!

2024年8月20日「関電ロードマップ」に関する福井県原子力安全対策課との交渉報告—-福井県を「核の墓場」にしないため、関電を追及し、県政を問い質し、現世代の責任で、「乾式貯蔵はいらない」、「使用済燃料をこれ以上生み出すな」の声を!

2024年8月20日「関電ロードマップ」に関する福井県原子力安全対策課との交渉報告

福井県知事への申し入れ書(pdfはこちら)
福井県交渉報告(pdfはこちら)
福井県交渉議事録(pdfはこちら)
福井県交渉資料(pdfはこちら)
若狭ネット第199号(2024/8/1)
○六ヶ所再処理工場は10%操業、40年で3,200トン処理に留まる!乾式貯蔵は老朽炉の60年運転を保障し、福井県を「核の墓場」に!
若狭ネット第197号(2024/4/1)
○乾式貯蔵施設を福井県内外のどこにも設置させるな!関電は原発サイト内設置計画を撤回せよ!
○関電の乾式貯蔵施設計画真の狙いは?! 美浜町松下照幸
○福井県下の8万世帯(全世帯の1/3強)に新聞折り込みを入れました 越前市 山崎たかとし

原安課は、関電ロードマップ破綻のリアルな実態を示されてもなお、「正式にはまだ決まっていない」、「国や事業者は努力すると約束している」との回答に終始!

福井県を「核の墓場」にしないため、関電を追及し、県政を問い質し、現世代の責任で、「乾式貯蔵はいらない」、「使用済燃料をこれ以上生み出すな」の声を!

私たち、サヨナラ原発福井ネットと若狭ネットは、連名で2024年8月20日、杉本達治福井県知事に「若狭を大量の核のゴミ捨て場にしないで下さい!」と申し入れ、関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」について、福井県原子力安全対策課(原安課)と質疑を交わしました。原安課側からは吉田参事と山本参事が主に回答、他1名が同席し、私たちは13名で、マスコミは福井テレビの撮影クルー、中日新聞、福井新聞、共同通信が取材、夕方にはその一部が放映されました。
私たちは、「2010年までに中間貯蔵施設が操業すれば2010年以降の使用済燃料問題は解決する」と原安課が2003年に回答した文書を示し、実際には21年間何も解決せず、当時2,600トンUだった使用済燃料が4,300トンUにも膨れ上がったことについて、県の無作為の責任を厳しく問い質しました。その上で、この核のゴミはもう行き先はなく、関電ロードマップはすでに破綻しているという事実を次のように具体的に示しました。
第1に、「中間貯蔵施設(2,000トンU規模)の2030年頃操業開始」は、むつ市中間貯蔵施設の共同利用案が青森県とむつ市からすでに拒否され、上関町中間貯蔵計画も周辺市町が反対や懸念の声を上げ、山口県も「過大な負担だ」と拒否の姿勢であり、中国電力も「設置には十数年かかる」(2023.9島根県議会防災地域建設委員会)と説明していて、わずか6年で実現する目処は全くありません。
第2に、六ヶ所再処理工場は、「2024年度上期の出来るだけ早い時期の竣工」が2026年度中へ2年半延期された(8月29日に日本原燃が青森県へ報告)ことから「2025年度から再処理開始、2026年度から使用済燃料受入れ開始」の可能性は消え失せました。竣工時期を27回も繰り返した日本原燃の技術的能力そのものが問われていて、六ヶ所再処理工場は「もはや操業できない」可能性の方が高まっているとさえ言えます。
第3に、たとえ、六ヶ所再処理工場が2027年度以降に操業開始できたとしても、高浜3・4号、伊方3号、玄海3号のプルサーマルによるプルトニウム消費の実績は高々年平均0.69トンにすぎず、六ヶ所再処理工場の800トンU/年のフル操業で回収されるプルトニウム量約6.6トン/年の10%程度にとどまります。原子力委員会は「六ヶ所再処理工場の操業はプルサーマルによるプルトニウム消費量と同程度しか認可しない」方針であり、六ヶ所再処理工場は10%程度の操業に留まらざるを得ません。使用済燃料の総処理量も40年フル操業時の10%、約3,200トンUに留まり、六ヶ所再処理工場のプールに貯蔵中の2,968トンUを250トンU超える程度に過ぎません。つまり、仮に、中間貯蔵施設や六ヶ所再処理工場へ搬出されても、そのほとんどが40~50年後に原発サイトへ送り返される運命にあるのです。
第4に、高浜3・4号のプルサーマルで発生する使用済MOX燃料は六ヶ所再処理工場の再処理対象外であり、美浜3号、高浜1・2号、大飯3・4号で使われている高燃焼度燃料(ステップ2)の使用済ウラン燃料は平均燃焼度が4.8~5.0万MWd/tUと高く、六ヶ所再処理工場の処理条件(平均4.5万MWd/tU以下)を超えていて、中間貯蔵施設や六ヶ所再処理工場へは搬出できません。しかも、これらはすでにプール貯蔵量の1/4を占め、今後はこれらの搬出できない使用済燃料がサイト内に増え続けるのです。
第5に、原発の運転中は、原子炉内の燃料体をいつでも保管できるよう、使用済燃料ピット(「プール」のこと)に1炉心分の空きを作っておくことが技術基準で義務付けられていますが、乾式貯蔵の容量は「1炉心+1取替分」相当の規模であり、1炉心分以上をピット外に設置するものと言えます。関電は、乾式貯蔵の目的は「中間貯蔵施設へのより円滑な搬出、搬出までの保管、将来の搬出への備え」だとし、「今後、原則として貯蔵容量を増加させない」としていますが、2024年6月26日の関電株主総会では「乾式貯蔵と使用済燃料ピットの貯蔵量の合計が、現在の使用済燃料ピットの貯蔵容量を超えないようにしてまいります。」と説明し、これがウソだったことが暴かれました。使用済燃料の貯蔵量の上限値は現在、「管理容量(=ピット貯蔵容量-1炉心)」ですが、乾式貯蔵量を含めた合計貯蔵量の上限値を「ピット貯蔵容量」まで、1炉心分増やすと言ったに等しいのです。その結果、美浜3号と高浜1・2号は60年運転終了まで県外へ使用済燃料を搬出する必要がなくなり、高浜3・4号と大飯3・4号も、「(ピット満杯で運転停止を余儀なくされて)日本全国のエネルギー安定供給に貢献できなくなる可能性がある場合は例外」として、乾式貯蔵を増設する余地が残されたのです。もはや、中間貯蔵施設や六ヶ所再処理工場に関係なく、乾式貯蔵ですべて解決できる環境が整えられようとしているのです。

原子力安全対策課は、リアルな実態を示されても、「国と事業者が取り組んでいくものと承知している」・・・

ところが、原安課は、21年前と変わらぬ姿勢で、「国と事業者」に全責任を転嫁し、関電が文書確約を含め「期限を切った中間貯蔵施設立地の福井県知事との約束」を4回も踏みにじり、5回目の約束(ロードマップ)も全く見通しがないこと、高速増殖炉を基軸とした核燃料サイクルがすでに破綻し、政府のエネルギー基本計画は想定通りに実施できた試しがないことを十二分に認識しながら、6月7日に福井県が行った国への重要要望の中で「国が前面に立って主体的に取り組むよう強く要請」したことを挙げ、「国と事業者が取り組んでいくものと承知している」と平然と回答し、ロードマップ破綻の現実を直視した県の施策は全く示されませんでした。
中間貯蔵施設については、「むつ市の共同利用案は国と事業者の方で取り組んでいくものと承知している」、「上関町の中間貯蔵施設は今後の推移を見守る」、「関電にはロードマップに記載の通りにして頂く必要がある」、「国には、ロードマップ実現に向けて国が前面に立って主体的に取り組み、確実に実行してもらう必要がある」と、関電・国まかせの姿勢です。
六ヶ所再処理工場の竣工時期の2年半延期については、報道を知りながら、「日本原燃の方でまだ正式に公表しているわけではない。原子力規制委員会の審査会合の状況を確認していく」と、まるで傍観者でした。
プルサーマルの実施状況から六ヶ所再処理工場が10%操業程度に留まらざるをえない問題についても、「電気事業連合会は2030年度までに少なくとも12基でのプルサーマル実施を計画している」とオウム返しに述べ、「高浜3・4号、伊方3号、玄海3号の4基以外に可能性があるのは島根2号だけで、最大のプルトニウム所有者である東電をはじめ、日本原電、中部電力では全く見通しがないではないか」と追及されても、「エネルギー政策に責任をもつ国が対応していくものと承知している」との姿勢を貫きました。
乾式貯蔵を設置しても「原則として貯蔵容量を増加させない」とするロードマップと関電株主総会での取締役発言との食い違いについて、原安課は「株主総会発言の使用済燃料ピットの貯蔵量には1炉心が含まれており、貯蔵容量は変わらない」と関電を擁護しました。しかし、①株主総会では使用済燃料の貯蔵量について議論されていて、1炉心の燃料体の話は全く出ていません。②1炉心の燃料体は運転中の14ヶ月間(調整運転1ヶ月+13ヶ月運転)は原子炉の中にあり、ピットに保管されるのは「調整運転までの定検期間の2~3ヶ月」だけで、ピットの「貯蔵量」に「普段は存在しない1炉心の燃料体」が含まれると言い張るのは無理があります。③貯蔵容量を増やさないと言うのなら、「貯蔵容量」ではなく「管理容量」を超えないと言うべきです。原安課は最後には、「そうかもしれないけど、関電が原則言っていることはそうではない」、「関電に今朝、確認した」、「関電とやりとりしてくれ」と逃げたので、「あなたは完全に関電に騙されている」と忠告して終えました。
原安課がなすべきは、このような貯蔵容量のなし崩し的増強を許さないこと、具体的には、乾式貯蔵の設置を認めないことです。美浜3号はあと4回、大飯3・4号はあと各3回、高浜1~4号はあと各2回の燃料交換でピットが満杯になり、運転停止を余儀なくされます。運転停止が目前に迫ると、関電は必ず乾式貯蔵で満杯を回避し、運転継続へと動くでしょう。これまでの歴史がそれを物語っています。乾式貯蔵が設置されれば、ロードマップは、なし崩し的に単なる紙切れにされ、福井県は「核の墓場」へ一直線に進んで行かざるを得ません。乾式貯蔵設置を許すか否か—これが今、最大の分岐点です。現世代の責任が今、問われているのです。

サヨナラ原発福井ネットワーク・若狭連帯行動ネットワーク
(連絡先:越前市不老町2-24 山崎隆敏)

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