若狭ネット

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2025年1月17日「関電ロードマップ」に関する福井県原子力安全対策課との交渉報告

2025年1月17日「関電ロードマップ」に関する福井県原子力安全対策課との交渉報告

2025年1月17日「関電ロードマップ」に関する福井県原子力安全対策課との交渉報告(pdfはこちら)議事録(pdfはこちら)および交渉に向けた申し入れ(pdfはこちら)資料(pdfはこちら)を掲載します。動画はこちらからご覧下さい。

六ヶ所再処理工場と中間貯蔵施設に「実効性」はない!乾式貯蔵による「核の墓場化」を許すな! 現世代の責任で「使用済燃料をこれ以上生み出すな」の声を!

私たち、サヨナラ原発福井ネットと若狭ネットは、昨年8月20日に続き、2025年1月17日、杉本達治福井県知事に「使用済燃料対策ロードマップ」の虚言に騙されないで!!」と申し入れ、「過去の実績や現状を直視すれば、ロードマップが実効性を持ち得ないことは明らかだ」と具体的に示し、福井県原子力安全対策課(原安課)と次の5項目について質疑を交わしました。原安課からは前回同様、吉田参事と山本参事が主に回答し、私たちは9名で臨みました。マスコミは日刊県民福井、福井新聞、共同通信、時事通信、朝日新聞、毎日新聞などが取材し、原安課との質疑の後、数十分間、内容について、資料を使って、より詳しく説明しました。

「使用済燃料対策ロードマップ」の虚言に騙されないで!!

福井県知事 杉本達治 殿             2024年11月5日

1.「六ヶ所再処理工場は、プルサーマル実績等から高々10%操業に留まらざるを得ない」という現状を認識できていますか ?

2. 「六ヶ所再処理工場は、レッド・セル問題で耐震補強できず、新規制基準不適合で不合格になる可能性もある」という事実を認識できていますか ?

3.「PWRのステップ2高燃焼度燃料は再処理困難」という事実を認識できていますか ?

4.関電の説明「燃料プール内の乾式貯蔵による空きスペースは原則使用しない=管理容量は現状のまま」は、乾式貯蔵への事前了解を得たいがための虚言ではありませんか ?

5.「円滑な搬出等のために乾式貯蔵が必要」というのも、根拠のない虚言ではありませんか ?

前回の交渉を踏まえ、プルサーマルの新たな動き、六ヶ所再処理工場の審査状況、使用済燃料搬出実績、乾式貯蔵審査で明らかになった事実など最新情報を加えて、より深く追及した結果、次の成果を得ました。

六ヶ所再処理工場が仮に動いても10%操業程度で、使用済燃料の再処理工場への搬出はほぼ不可能!

第1に、六ヶ所再処理工場が仮に2年半後に竣工できても、「プルサーマルで消費できるプルトニウム量に応じて操業が許される」ため、せいぜい10%操業に留まらざるをえない現状だということを原安課も認めました。現在、プルサーマルを実施しているのは高浜3・4号だけで、年平均計0.32トンのプルトニウム消費に留まり、これでは、10%どころか、5%弱の操業度にしかなりません。原安課は、当初、原子力委員会が了承した「電気事業連合会のプルトニウム利用計画(2024年2月16日)」には、「2027年度2.1トン、2028年度1.4トン」と記載されていると主張しましたが、「それは不確実な見通しに過ぎない」と批判すると、「原子力委員会も不確定要素が大きくて予測は困難と仰っている」と認めました。実際には、2027年度2.1トンのうち0.7トンは高浜3号の16体で、残りの2027年度1.4トンと2028年度1.4トンが、英仏プルトニウム交換で可能になった伊方3号の24体(約1.0トン)と玄海3号の約40体(約1.6トン)のプルサーマル計画に対応します。しかし、これらは、発注先である仏MOX燃料加工工場の品質欠陥による操業度低下(約1/3に低下)で遅れていて、高浜原発も含めて計画通りに行く保障はないのです。その結果、2035年頃まで、これまでの実績と同様、せいぜい「10%操業程度相当」のプルサーマルが続き、その先は、玄海3号と伊方3号ではプルサーマル計画がゼロになるのです。最大のプルトニウム所有者である東京電力、日本原電、中部電力には原発再稼働の見通しもプルサーマルの見通しも全く立ちません。この現状を、原安課は認めざるを得ませんでした。これでは、六ヶ所再処理工場への使用済燃料搬出はほとんど不可能です。たとえ搬出できても、ほとんど再処理されず、工場閉鎖後に返送されてくるだけでしょう。

六ヶ所再処理工場は、レッド・セル問題で耐震補強工事ができず、設工認審査不合格になる可能性も!

第2に、六ヶ所再処理工場の設計工事認可審査で耐震補強工事が必要になっても、アクティブ試験に伴う「レッド・セル問題」(主工程が極度に汚染されていてセル内に立入りできない)で補強工事ができず、不合格になる可能性を指摘したところ、「我々は直接審査する立場ではなく、原子力規制委員会で審査中だと理解している」と回答を避けました。しかし、レッド・セル問題で不合格になる可能性については否定しませんでした。

ステップ2高燃焼度燃料は六ヶ所再処理工場では再処理できず、搬出もできない!

第3に、「PWRのステップ2高燃焼度燃料は再処理困難という事実はご指摘の通りで、今は再処理できない」と認めました。この高燃焼度使用済燃料が約2,000体あり、関電の原発で1/4を占めていることも認める一方、「残りの6,000体のうちどれだけを出していけるのかということもあり、喫緊の課題ではない。」「ここをやる中で、六ヶ所再処理工場の事業変更許可が必要になるものだと理解している」と逃げました。しかし、再処理対象でない使用済燃料は六ヶ所再処理工場の受け入れ対象外で、中間貯蔵施設へも搬出できません。今は1/4程度ですが、今後はその割合が増えていき、搬出され得ない使用済燃料が増えていくのです。ましてや、六ヶ所再処理工場が10%程度の操業では、ステップ2高燃焼度燃料でない6,000体のほんの一部しか六ヶ所再処理工場へは搬出されず、その再処理条件が変更される可能性もありえないでしょう。

「乾式貯蔵を設置しても使用済燃料の貯蔵容量は増やさない」という関電の主張は虚言!

第4に、関西電力は、「今後、原則として貯蔵容量を増加させない」、「燃料プール内の乾式貯蔵による空きスペースは原則使用しない(=管理容量は現状のまま)」と主張していますが、乾式貯蔵の新規制基準適合審査では「使用済燃料乾式貯蔵容器貯蔵分の容量を含めて、全炉心燃料の約130%相当数の燃料集合体数に十分余裕を持たせた貯蔵容量を有する設計とする(=貯蔵容量を増強する)」と説明し、「円滑な搬出」や「将来の搬出に備える」という目的には一切触れていません。また、前回取り上げた関西電力株主総会(2024.6.26)での「具体的に申し上げると、乾式貯蔵と使用済燃料ピットの貯蔵量の合計が使用済燃料ピットの貯蔵容量を超えないようにしてまいります」(第100回定時株主総会議事録)との高畠勇人執行役常務の答弁については、関西電力によって未だに撤回も弁明もなされていません。福井県議会9月定例会全員協議会(2024.9.9)でも県議から、美浜3号に即して「管理容量の652体を超えないように管理するのか、貯蔵容量の809体を超えないように管理するのか、どちらか?」と問われて、水田関電副社長・原子力事業本部長は、どちらとも正確には回答できませんでした。この点について、原安課は「水田事業本部長は、トータルの(管理)容量は変わらない、技術基準に決められた1炉心分を空けての容量だと回答されている」と擁護しましたが、これは管理容量の説明であって、使用済燃料の貯蔵量の上限を管理容量と貯蔵容量のどちらで制限しているのかという県議の質問には回答していないのです。関西電力は最近、「サイトの管理容量に乾式貯蔵容量は加えない」と主張し始めましたが、そこには落とし穴があり、廃炉になった美浜1・2号や大飯1・2号の空きスペースが乾式貯蔵によって「利用可能」にみえるよう運用できるトリックがあり、「乾式貯蔵による空きスペースは原則使用しない」という約束も公然と破られる可能性があるのです。

「円滑な搬出のために乾式貯蔵が必要」という関電の主張は根拠のない大ウソ!

第5に、「円滑な搬出等のために乾式貯蔵が必要」という関西電力の主張について、原安課は、これまでの9,000体以上の使用済燃料搬出で、乾式貯蔵のようなものがないと円滑に搬出できないという例はなかったことを認め、「年間搬出量実績の数倍もの乾式貯蔵がなぜいるのか、搬出計画に合わせてキャスクを準備すればすむ」と追及すると、「計画が出て、容器があって、計画があれば、それはもっていくだけなのでその通りです」と認めました。さらに、高浜第1期工事審査で、乾式貯蔵できる使用済燃料はキャスク当り25年以上冷却が12体、32年以上冷却が12体の24体だと判明した一方、高浜原発の使用済燃料3,175体(2024年3月末)の大半の2,280体は24年以下冷却で、25年以上冷却は895体にすぎず、32年以上冷却はさらに少ないという事実を突きつけ、「最初の528体の乾式貯蔵分が搬出されたら、次に乾式貯蔵できるものがなくなり、円滑な搬出のためという論理は成り立たない。」と追及すると、「乾式貯蔵から六ヶ所再処理工場へ行くところは不透明だ」と言い出す始末でした。つまり、「円滑な搬出のために乾式貯蔵が必要」という関西電力の主張は虚言だったのです。

関電の使用済燃料対策ロードマップに「実効性をもたせる」ことは不可能! 乾式貯蔵が最大の焦点!

関西電力は、実効性あるロードマップを2月県議会までに提出すると主張していますが、六ヶ所再処理工場にも中間貯蔵施設にも「実効性」はありません。唯一「実効性」があるのは「乾式貯蔵=核の墓場化」だけです。そのことが今回、一層明らかになりました。乾式貯蔵設置を許すか否か—これがロードマップの最大の焦点であり、現世代の責任が今、問われているのです。原安課は、「福井県は国策に協力してきた立場だ」と繰り返しますが、「国策協力よりも子孫を含めた福井県民の命と健康を守る立場」を最優先すべきではないでしょうか。

サヨナラ原発福井ネットワーク・若狭連帯行動ネットワーク
(連絡先:越前市不老町2-24 山崎隆敏)

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