2017年6月22日
関西電力株式会社取締役社長岩根茂樹様
電気料金値下げ申請に際して、美浜1・2号廃炉に伴うコスト減少分に関する公開質問状
若狭連帯行動ネットワーク
6月20日の報道によれば、貴社は、高浜3号が7月4日に営業運転入りした後、電気料金の値下げを国へ届け出て、審査会合で求められる説明などに素早く対応することで、2カ月程度かかる審査期間を1ヶ月足らずへ短縮し、新電力に対抗するため、規制料金契約者の電気料金を8月1日から値下げしようとしています。
その一方では、美浜1・2号の廃炉時に損失計上すべきコスト603億円(廃炉費積立不足金112億円と未償却資産491億円)を託送料金へ転嫁し、新電力へ契約変更した消費者からも回収しようとしています。しかも、廃炉に伴うコスト減少分については、今後「精査」の上、「お客さまの電気料金のご負担の軽減を図るべく、活用してまいりたい」との約束でしたが、未だに精査結果が公表されず、消費者への還元も行われていません。
関西電力は2015年4月21日段階で、この「廃炉に伴うコスト減少分」を、96億円と試算しています。このうち「敦賀1号の廃炉に伴う購入電力料の減少分」が84億円であり、美浜1・2号分は34億円(ここから廃炉費積立金22億円が減額される)しか含まれておらず、「※金額については、現在精査中」としています。美浜1・2号の合計出力が敦賀1号の約2.6倍であることや美浜1・2号の年間維持管理費から見積もっても、「美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分」は約500億円程度にはなると推測されます。敦賀1号分と合わせて600億円弱が毎年浮いてくるはずですが、2015年6月1日の値上げ以降、「廃炉に伴うコスト減少分」の精査結果は未だに公表されず、消費者への還元もなされていません。
電気料金審査専門小委員会による「関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案の概要」(2015.4.21)には「関西電力からはこれらの費用の減少分を電気料金負担の軽減に活用するとの説明がなされましたが、関西電力においてはその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に活用することを求める。また、次回の料金改定に際しては、廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである。」と明記されています。
ここに公開質問状を提出しますので、真摯にご検討の上、2週間以内に文書回答して頂くよう求めます。
<質問項目>
1.敦賀1号および美浜1・2号の廃炉に伴うコスト減少分について、貴社が2015年4月以降に精査した結果を公表してください。その上で、「その額及び算定の根拠」を明らかにし、精査した結果をどのように「還元」したのかを説明してください。
2.2015年6月1日の電気料金値上げの際、「廃炉に伴う費用の減少額(96億円程度)」については、経済産業省からの2015年5月15日の指示通り、料金に反映させたと思われますが、それに相違ありませんか。
また、同指示には、「認可が行われた場合には、消費者をはじめとする関係する方々全てに対し、丁寧な周知・説明を求める。」とありますが、私たちがこれまでに貴社へ提出した公開質問状には回答を拒否し続けています。たとえば、2015年2月12日「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」(賛同39団体500個人)、同年2月26日「『貴社原子力広報室による回答拒否』問題に関する緊急公開質問状」、同年3月6日「3月5日の貴社原子力広報室による電話回答に関する公開質問状」、同年3月18日「廃炉に伴う維持管理費減少に関する追加の公開質問状」(賛同43団体1,411個人)と立て続けに4回提出(詳細はこちら)しましたが、なしのつぶてでした。同年6月1日の値上げ後は、面会も拒み続けています。
今回の公開質問状へも同様に回答しないというのであれば、貴職には、7月に予定している「電気料金値下げ申請」を行う資格はないと私たちは考えますが、いかがですか。
3.貴社は、美浜1・2号の廃炉時に損失計上すべき603億円を託送料金の「コスト」に計上して、貴社から新電力へ契約変更した電力消費者からも回収しようとしていますが、値下げする余力があるのなら、撤回すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
以上
美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉について
平成27年4月21日 関西電力株式会社
美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉について
○美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉に伴い見込まれる費用の減少額に ついては、お客さまの電気料金のご負担の軽減を図るべく、活用してまいりたいと考えております。
○具体的な費用減少額は、96億円程度(現在精査中)であり、現行料金に含まれている当該プラントに関する費用から、廃炉後もプラントを安全に維持するために必要な費用を差引いた金額としております。
減少額とその説明
資本費・公租公課 ▲ 6億円:発電資産、核燃料等の減少による事業報酬の減少
修繕費 ▲22億円:発電資産にかかる修繕費用の減少
購入電力料 ▲84億円:日本原電敦賀発電所1号機に関する費用の減少
その他経費(消耗品費、廃棄物処理費など)▲6億円:補助ボイラ燃料費などの減少
原子力発電施設解体費 22億円:平成25年の会計制度の見直しにおいて原子力発電施設解体引当金制度を生産高比例法から定額法に変更したことに伴う増加
合 計 ▲96億円 ※金額については、現在精査中
関西電力株式会社の 供給約款変更認可申請に係る査定方針案
平成27年4月21日 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電気料金審査専門小委員会
8.美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉
検討の結果
•3月17日に美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉の意思決定がなされたことを踏まえ、 美浜発電所1・2号機の廃炉に伴い、修繕費や諸経費等の減少が見込まれ、また、日本原電敦賀発電所1号機の廃炉に伴い、購入電力料の減少が見込まれることを確認した。
•関西電力からはこれらの費用の減少分を電気料金負担の軽減に活用するとの説明がなされたが、関西電力においてはその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に活用することを求める。また、次回の料金改定に際しては、廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである。
関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針
平成27年5月15日 経済産業省
8.美浜発電所1・2号機、日本原敦賀の廃炉
3月17日に美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発所1号機の廃炉の意思決定がなされたことを踏まえ、美浜発電所1・2号機の廃炉に伴い、修繕費や諸経等の減少が見込まれ、また、日本原電敦賀発所 1号機の廃炉に伴い、購入電力料の減少が見込まれることを確認した。
関西電力からは第25回小委員会において、これらの費用減少分について、その全額を電気料金負担の軽減に活用すると説明があった。
関西電力は、美浜発電所 1・2号機、日本原電敦賀発所1号機の廃炉に伴う費用削減分を需要家に還元する方策を以下のとおり実施する。
なお 、次回の料金改定に際しては廃炉伴う費用減少分が原価に織り込まれいないことを厳格に確認する。
<廃炉に伴う費用の減少係る軽減措置の概要>
関西電力は、美浜発電所1・2号機、日本原電敦賀発所1号機の廃炉に伴う費用の減少額(96億円程度)について、新たな料金に反映する。
9.情報提供等
(1)認可が行われた場合には、 消費者をじめとする関係方々全て対し丁寧な周知・説明を求める。
(2)電気料金の値上げ実施時期については、6月1日とする。
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