2013 年6月9日
日本原子力研究開発機構理事長松浦祥次郎様
もんじゅを廃炉にし、今こそ日本原子力研究開発機構を解体すべきです
日本原子力研究開発機構(機構)の「もんじゅ」では、1万個近い機器の点検漏れが発覚しており、あまりにもずさんな体質に原子力規制委員会は、確認が済むまでの間、試験再開を認めないと決定しました。前原子力機構理事長である鈴木篤之氏は、自らの責任を明らかにすることなく、突然辞任しました。彼は、核燃料サイクルの専門家であり、2006年から内閣府の旧原子力安全委員長を4年間務めた人物です。在職中に、もんじゅの安全性にお墨付きを与えて2010年5月の運転再開へつなげ、同時に機構理事長公募に自ら名乗りを上げ、同年8月に理事長に就任し、もんじゅを推進してきた人物です。自らの責任を曖昧にしたまま、こっそりと理事長を辞任する無責任な態度は、原発を推進してきた人々の象徴とも言えます。鈴木氏に代わって現理事長となった貴職は、無責任きわまりない鈴木氏と共に元原子力安全委員長として、もんじゅをはじめ原発核燃料サイクルを推進してきたのではありませんか。それを真摯に反省すべきです。今度こそ、もんじゅを廃炉にし、年間200億円の予算を廃止すべきです。
茨城県東海村の加速器実験施設「J―PARC」の放射能漏れ事故では、管理態勢をめぐり、またもやもんじゅで示された問題を解決しないまま数々の問題点が浮上しています。もはや機構を解体するしかありません。
J―PARC事故とは、原子核素粒子実験施設で、陽子ビームを金にあてて、素粒子を発生させる実験をし、陽子ビームがあたると、金の原子核が壊れ、放射性のナトリウムやヨウ素なども生まれます。通常の実験では金の温度は300度程度までしかあがらないので、放射性物質は個体の金のなかにとどまるとしています。しかし、今回は装置の誤作動によって、ビームの強度が通常の約400倍になり、金が高温になって一部が蒸発し、周囲に漏れだし、研究者らが吸い込んだとみられています。
J―PARC事故で指摘されている問題点は、次のように列挙されます。
1.装置の誤作動で陽子ビームの出力が通常の400倍になった
2.施設内の放射線検出器の示す値が上昇し、警報が出たのに実験を続けた
3.放射線量が上昇している中、排気ファンを作動させて施設外に放射性物質を放出させた
4.放射性物質の放出を想定せず、排気ファンにフィルターを設置していなかった
5.施設内で通常より高い放射線量を確認したのに、簡易な検査で研究者らを帰宅させた
6.放射線管理区域外への放射能漏出に気づくのが遅かった
7.国や地元自治体に通報するまで、33時間かかった
これでは、放射性物質を扱う資格は機構にはありません。
何度国民を欺けば済むのでしょう。「しっかりと対応しなければならない」という反省ではすまないところに来ています。
もんじゅの再開準備凍結で機構はすでに死に体になっています。一連の不祥事を直視し、国民からの批判に真摯に向き合い、もんじゅを閉鎖し、機構を解体してください。私たちは、それこそが貴職の責任の取り方だと考えます。
2013年6月9日「敦賀原発廃炉問題と電気料金」学習会参加者一同