若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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チェルノブイリ事故39年を迎えて、関西電力本社へ申し入れました

チェルノブイリ事故39年を迎えて、関西電力本社へ申し入れました

今年はチェルノブイリ事故39年、福島原発重大事故14年、加えて、広島・長崎原爆被爆80年に当たります。4月20日には、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西主催で、「チェルノブイリ原発事故39年の集い~被爆80年 核も戦争もいらない!~」の集いが開かれました。その集いで採択された決議文を4月25日に関西電力本社へ提出する行動が呼びかけられ、若狭ネットもこれに参加し、共に同決議文を提出すると共に、ヒバク反対キャンペーンや原発の危険性を考える宝塚の会に続いて、若狭ネットも独自の申し入れ書(pdfはこちら)を提出しました。

関西電力の原子力広報は、事前に電話連絡してあったにもかかわらず、「多忙」を理由に出てこず、総務課が代わりに出てきて、決議文と共に3団体の申し入れを受け取りました。昨年10月28日の「10.26反原子力デーの申し入れ」時には、原子力広報が出てきて、申し入れを受け取っていたにもかかわらず、今回は「昔の姿」に戻ったかのようです。

関西電力は、2023年10月に福井県知事へ提出した「使用済燃料燃料対策ロードマップ」が昨年夏に1年足らずで破綻したため、今年3月にその「見直し」版を福井県知事へ再提出したものの、その「実効性」には福井県議等から疑念が噴出していて、それを私たちに追及されるのを恐れているのでしょう。これだから、関西電力はいつまで経っても信用されないのです。

2025年4月25日

関西電力株式会社 取締役代表執行役社長 森 望 様

チェルノブイリ事故39年を迎えて、関西電力への申し入れ

若狭連帯行動ネットワーク

本年2025年は、広島・長崎の原爆被爆80年、核時代の幕開けから80年、被ばくの過小評価を繰り返してきた80年に当たります。また、旧ソ連のチェルノブイリ原発重大事故から39年、福島第一原発炉心溶融事故発生から14年になります。
1年4か月前の能登半島地震による甚大な被害は、30年前の兵庫県南部地震による直下地震の驚異や、14年前の東北地方太平洋沖地震による地震・津波による福島第一原発重大事故と今なお続く深刻な原子力災害を、改めて思い起こさせました。震源地の珠洲市高屋地区に貴社の計画通り「珠洲原発」を建設していたら、福島事故が繰り返されていたことでしょう。貴職は、それを肝に銘じるべきです。
にもかかわらず、貴社は、電力会社の先頭に立って7基の原発を再稼働させ、最古の高浜1号の50年超運転、高浜2・3号と美浜3号の40年超運転、高浜4号と大飯3・4号の30年超運転を強行し、高浜3・4号ではプルサーマルを継続しています。原発事故による被ばくを過小評価し、福島事故を顧みず原発・核燃料サイクルを推進する一方、カルテルを首謀しながら自主申告で課徴金を免れ、送配電会社の顧客情報を不正閲覧して顧客奪還に活用するなど、人々の命、暮らしよりも自社利益を最優先させる貴社の姿勢は目に余ります。
貴職が「実効性あり」と主張する「使用済燃料対策ロードマップ見直し」は、すでに破綻しています。
第1に、六ケ所再処理工場はアクティブ試験の結果、主工程のセル内が極度に放射能汚染されていて、耐震補強工事が必要になってもできません(レッド・セル問題)。現に、「高レベル廃液濃縮缶」は、450ガルの旧基準地震動Ssが弾性限界を超えたため、300ガルの弾性設計用基準地震動Sd(=2/3×Ss)による追評価で応力比0.89(詳細設計)でしたが、700ガルの新基準地震動Ssでは、350galのSd(=1/2×Ss:新規制基準で緩和された)でも単純計算で応力比1.04となり、不合格になります。今年9~11月の機器・配管系の耐震評価次第で、設工認審査不合格または代替工事検討のための28回目の竣工延期が避けられません。
第2に、仮に操業できても、「プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ再処理が実施されるよう認可を行う」との原子力委員会方針から、高々10%操業しかできず、フル操業など論外です。
第3に、高浜3・4号で生み出される使用済MOX燃料や他の原発5基で日夜生み出されるPWRステップ2高燃焼度燃料は六ヶ所再処理工場の再処理対象外のため、六ヶ所再処理工場は元より中間貯蔵施設へも搬出できません。搬出できない使用済燃料が、7基のプール貯蔵量の1/4を占め、増え続けているのです。
第4に、中間貯蔵施設の福井県外立地は、「関西電力の名前を出した途端に立地できなくなる」状況のため、全く進まず、2030年操業の目処は全くありません。また、福井県外への中間貯蔵施設に搬出する計画は、場所すら示さず、搬出などできないのです。そして、仏搬出も高浜原発のプール満杯時期を4年ほど延ばす程度の限定的なものにすぎません。
第5に、サイト内乾式貯蔵容量1,530体(700tU)は中間貯蔵施設(2,000tU)の1/3、六ヶ所再処理工場への累計搬出量1,954体の8割に相当する大規模なもので、貯蔵容量増強策にほかなりません。これを「中間貯蔵施設への円滑な搬出のため」とうそぶくのはもうやめ、断念し、撤回すべきです。
イギリスは、今年の1月末、プルサーマル計画を断念し、100トン超の民生用プルトニウムを固定化し地中処分すると発表しました。イギリスでのMOX燃料加工工場建設計画が消え失せた今、英保管中の日本のプルト
ニウム21.7トンをどう処分するかが問われています。これを機に、プルサーマルを中止し、政府に再処理・プル
トニウム利用政策の転換を求めるべきではありませんか。
フクシマを繰り返さないため、子孫に負の遺産=使用済燃料をこれ以上増やさないため、乾式貯蔵の導入をやめ、原発の再稼働を中止すべきです。
以上を踏まえ、次のことを強く申し入れます。28年前、1997年6月の福井県知事との約束以来、過去5回も約束違反を繰り返しながら、「使用済燃料プール貯蔵容量増強」、「プルサーマル実施」、「大飯3・4号再稼働」、「老朽3炉再稼働」などを強行してきたことを真摯に反省し、誠意をもって対応されるよう求めます。
1.「使用済燃料対策ロードマップ見直し」を撤回し、サイト内乾式貯蔵施設設置計画を撤回して下さい。むつ市や上関町への中間貯蔵計画を撤回して下さい。
2.イギリスのプルトニウム政策転換を機に、プルサーマルを中止し、再処理・プルトニウム利用政策の転換を政府に求めて下さい。
3.貴社の原発7基は、50年超1基、40年超3基、30年超3基と老朽化しており、福島事故を繰り返す危険が高まっています。これら老朽原発の延命を断念し、原発依存の経営方針を改め、「脱原発・脱石炭」、「再エネ拡大・優先接続・優先給電」へ大転換してください。
4.美浜1・2号と大飯1・2号の廃止措置を100年程度の密閉管理へ転換して、主な汚染源であるコバルト60の減衰を待ち、行き先のない放射性廃棄物の大量発生を防ぎ、クリアランス未満の放射性廃棄物の一般廃棄物扱いをやめてください。

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