原子力規制委員会・規制庁に説明会で問いただそう
問①「規制基準を満たしていても安全は保証できない」、「重大事故の発生を前提に自分たちの責任で原発再稼働の是非を判断しろ」と?
原子力規制委員長は「世界最高水準の規制基準を満たしているが、安全は保証できない」と言います。原発の再稼働は、皆が重大事故の発生をリスクとして受け入れることが条件になっているのです。
問②規制庁報告にある「M6.5の直下地震による1340ガルの地震動」を取り入れないのは「15.7mの津波を仮想の計算」だと無視したのと同じでは?
原子力規制庁は自分たちが試算した「1340ガルの地震動」を「仮想の計算値であり、まだ観測されていない」から無視すると主張しています。福島の教訓を自ら踏みにじり、同じ過ちを冒すのでしょうか。
問③「耐専スペクトル」は近距離で地震動を過小評価する欠陥があり、日本電気協会で見直し中なのに、古いまま適用していいの?
原子力規制庁は、川内原発の基準地震動を定めるための「耐専スペクトル」が近距離では過小評価になることを認め、見直し中だと言っています。過小評価の古い手法をそのまま使うのは許せません。
問④九州電力による「断層モデル」を使った地震動評価では、耐専スペクトルの1/2~1/3で使い物になりません。このまま使っていいの?
九州電力が用いた断層モデルでは耐専スペクトルの1/2~1/3の地震動評価になっていますが、原子力規制庁は、「手法が違うからいい」と言います。これほど違っても「いい」というのは非常識です。
問⑤姶良カルデラの噴火は事前にわかるの? たとえ、事前に分かって私たちは避難できても、原発や使用済核燃料はすぐには避難できないじゃない! 火砕流で炉心溶融事故が起き、避難先で放射能災害に見舞われたり、ふる里がひどく汚染されて立ち入れなくなったりするんじゃない?
原子力規制庁は、カルデラ噴火にモニタリングで対処できると言いますが、「できない」方法で「できる」と言うのは無責任。核燃料は5年ほど冷やさないと熱が冷めず容器に入れて運び出すのは無理。
問⑥福島では3年半後も、溶融燃料塊から放射能が溶けだし、年に15万トンも汚染水が出続けています。いつになったら、皆が「ヒバクのない普通の生活」に戻れるの? 川内原発でひとたび重大事故が起きたら、避難途中や避難先でヒバクし、結局、ふる里に戻れないんじゃないの? 「その危険を覚悟して再稼働を認めろ」って、ひどすぎない?
原子力規制庁は「重大事故のリスクを覚悟して再稼働を認めるかどうかは自分たちで判断しなさい」と!しかも、250km圏まで被災するのに、隣接住民でさえ「判断に参加できない」なんてひどすぎる。
原発がなくても電気は余っています。電力会社など自分たちの私利私欲のため、不要な原発を無理矢理動かそうとするのは許せません。川内原発の再稼働をやめさせ、命と健康とふる里を売り渡さず、子や孫に誇れる「安全で普通の生活」を引き継ぎましょう。
川内原発の再稼働反対!地震動は過小評価されている - 直下の「見えない伏在断層」が動けば、炉心溶融事故は避けられない!
川内原発の再稼働などもってのほかです。九州電力の設定した基準地震動は甘すぎ、原子力規制委員会・原子力規制庁の審査はズサンすぎます。
「見えない伏在断層」が川内原発の直下で動けば、炉心溶融事故が避けられません。
原子力安全基盤機構JNESは10年前にそれを裏付ける報告を出していました。すなわち、「M6.5の直下地震が起こると震源近傍で1340ガルもの地震動」がもたらされ、川内原発で炉心溶融事故に至るギリギリの地震動=クリフエッジ(1号:1004ガル、2号:1020ガル)を超えるというのです。
JNESは今年3月に原子力規制庁へ統合されましたので、規制庁もこのことはよく知っています。ところが、規制庁はこれを基準地震動に反映させようとはしていません。「仮想の計算値だ」と無視しようとしています。
これでは福島第一原発事故から何も学ばなかったことになります。事故前に15.7mの津波を評価した際、東京電力幹部らは「仮想の計算値だ」と無視しました。これと同じ過ちを繰り返すのでしょうか。
「見える活断層」による地震動=市来断層帯市来区間M7.2の地震動も正しく評価すれば、クリフエッジを超える!
「見えない伏在断層」に加え、「見える活断層」による地震動についても過小評価されています。たとえば、川内原発の南にある市来断層帯市来区間M7.2による地震動を正しく評価すれば、クリフエッジを超えることは明らかです。
実は、地震動を評価する手法には、「耐専スペクトル」と「断層モデル」の2通りがあり、いずれにも問題があります。
耐専スペクトルは、日本国内で観測された地震データに基づいて平均的な応答スペクトルを求めるものです。しかし、地下岩盤の地震計で1078ガル(上部地層をはぎとる基準地震動の考え方で評価すると約2000ガルに相当)の地震動を記録した2008年岩手・宮城内陸地震など最近20年間のデータが反映されていません。原子力規制庁によれば、耐専スペクトルを作った日本電気協会で現在、見直し作業が進められているといいます。
今の耐専スペクトルは古すぎるのです。
急いで、耐専スペクトルを作り直し、最新の方法で地震動を評価し直すべきでしょう。
また、耐専スペクトルは平均的な地震動を求めるものであり、実際には、図2のように、2倍以上のバラツキがあります。これも地震学界の常識です。新しい耐専スペクトルで評価し直し、2倍のバラツキを考慮すれば、図3のように、「クリフエッジを超える地震動が川内原発を襲う」と言えるのです。原子力規制庁は、これをなぜ直視しないのでしょうか。
断層モデルによる地震動評価は耐専スペクトルの1/2~1/3にすぎない!欠陥だらけの断層モデルを根本的に見直すべき!
断層モデルによる地震動評価は、コンピュータ計算によるものですが、震源断層の特性を正しくモデルに組み込まないと過小評価になります。
実際、市来断層帯市来区間M7.2の場合には、図4のように、断層モデルによる地震動は耐専スペクトルの1/2~1/3にすぎません。原子力規制庁は「評価手法が違うから違ってもいい」と言いますが、これでは使い物にならないでしょう。
地震動は震源断層の固着域の特性値(「応力降下量」という)が大きいと大きくなります。九州電力はこれを小さく設定して地震動を過小評価しているのです。私たちがこのことを指摘すると、原子力規制庁は、「非公開のヒアリングで応力降下量を大きくした結果も評価している」と回答しました。そこで、資料請求したところ、図5が出されたのですが、肝心の「固有周期の短い領域での地震動評価結果」が描かれていません。規制庁は「先の発言は間違いだった」と言い訳をしましたが、こんなずさんな審査でいいのでしょうか。