石田嵩人・福井県新知事へ公開質問状を提出しました。
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関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」に関する公開質問状
2026年2月16日
福井県知事 石田嵩人 様
新知事へのご就任、おめでとうございます。
私たちは、脱原発をめざすボランティア市民ネットワークです。今年は福島事故15年の節目に当たりますが、福井県下においても原発7基が今なお稼働しており、「フクシマを繰り返さない」ために尽力することは、貴職を含めて共通の願いだと推察します。そこで、県内で当面する重要課題の一つである、関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」に関して、ここに公開質問状を提出させて頂きますので、真摯にご検討の上、文書回答とそれに関する質疑の場を設けて頂くようお願い申し上げます。県民との質疑の場については、これまで慣行となっていた大切な機会ですから、知事が変わられても堅持していただけるよう、あらためて強く申し入れたいとと思います。
福井県では、1996年に栗田知事(当時)が、原発内使用済燃料貯蔵プール拡張工事への事前了解の条件として、関西電力に「使用済燃料の県外搬出」と「中間貯蔵施設の県外立地」を求めましたが、30年もの長きにわたり実現できていません。関西電力の歴代社長が、「期限を切った中間貯蔵施設立地」を歴代県知事に5回も約束しながら、一方的に約束を破るという状況が繰り返されてきました。4回目の約束は「2023年末を最終期限として、中間貯蔵施設の計画地点を確定させ、確定できない場合は、確定できるまでの間、美浜3号、高浜1・2号の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨みたい」というものでした。関西電力は、この「不退転の覚悟で臨んだ」約束も破り、原発の運転停止には何も触れないまま、2023年10月に新たな約束として「使用済燃料対策ロードマップ」を出してきたのです。ところが、この5回目の約束も、六ヶ所再処理工場竣工時期の27回目の延期で脆くも破綻したため、6回目の現在の約束として出してきたのが、2025年2月の「使用済燃料対策ロードマップ」見直しです。この見直されたロードマップもすでに破綻していることが明らかであるにもかかわらず、福井県は関西電力の主張を鵜呑みにし続けています。
貴職には、新知事として、歴代知事のたどってきた経緯を反省し、約束破りの関西電力に対して、より厳しい姿勢で臨まれるよう期待すると共に、以下の質問項目に真摯にご回答下さるようお願い申し上げます。
1.関西電力の「使用済燃料対策ロードマップ」には、実現可能性がないことについて
① 六ヶ所再処理工場の機器・配管類、とりわけ高レベル廃液濃縮缶の耐震性評価で、不合格になる可能性が高く、審査遅延どころか28回目の竣工延期の可能性があること
六ヶ所再処理工場の新規制基準適合性審査が予定より延びているのは、基準地震動が450ガルから1.56倍の700ガルへ引上げられ、地盤モデルも区域別に3種類から10種類へ細別されたことに伴い、機器・配管類の詳細な耐震性評価結果が出されていないためです。とりわけ、高レベル廃液濃縮缶※は450ガルの旧・基準地震動ではギリギリ「合格」でしたが、700ガルの新・基準地震動には合格しない可能性が高く、仮に、不合格であれば、耐震工事が必要になります。しかし、再処理工場は2006~13年のアクティブ試験で極度に放射能汚染されていて、立ち入ることができません。つまり、耐震強化された別施設を作ってバイパスさせるなどの難工事が避けられず、28回目の竣工時期延期も免れません。折しも、中部電力の浜岡原発では基準地震動捏造事件が発覚していますが、この捏造を担った委託先コンサルタント会社は他の複数の原発や核施設でも基準地震動策定や耐震性評価に従事しており、日本原燃の委託先にも関係している可能性を否定できません。日本原燃による審査会合を中心で支えている関西電力は、この耐震性評価作業にも深く関わっているはずです。機器・配管系の耐震性評価、とりわけ、高レベル廃液濃縮缶の耐震性評価がどうなっているのか、中部電力で最近明らかにされた「耐震工事を回避するための不正行為」を防ぐための対策をどのようにとっているのか、について、福井県として、関西電力に確認し、県民に説明すべきだと、私たちは考えますが、いかがですか。
※ 「高レベル廃液濃縮缶」は、使用済燃料を剪断・溶解してウランとプルトニウムを分離・精製した後の高レベル放射性溶液を蒸発処理して濃縮する工程です。生成される濃縮廃液は使用済燃料1トン当たり約500リットル、放射能量は約1.9京ベクレル(福島事故で放出された放射能量は、セシウム137で約1.5京ベクレル:2011年6月政府報告)と高く、高レベル放射性ガラス固化体約1本に加工される。
② 六ヶ所再処理工場はプルサーマルによるプルトニウム消費量相当しか操業できず、高浜3・4号だけの現状では4.8%操業、玄海3号と伊方3号が加わる2029年度以降で10.3%操業、島根3号が加わっても、11.6%操業に留まり、2030年度50%、2031年度以降100%のフル操業など実現不可能であること
六ヶ所再処理工場が竣工しても、フル操業では約6.6トンのプルトニウムが回収されるため、これだけのプルトニウムを消費するためのプルサーマルが実施されていなければ、六ヶ所再処理工場をフル操業できません。ところが、現在実施中のプルサーマルは高浜3・4号の2基だけであり、しかも、MOX燃料16体を3サイクル装荷して運転しているにすぎず、2基・3サイクルでプルトニウム1.26トン、サイクル当り0.42トン/サイクル(13ヶ月本格運転+3ヶ月定検で16ヶ月)、年当りでは0.32トン/年に留まります。六ヶ所再処理工場の操業はプルトニウム消費量に見合う程度にしか認められませんので、フル操業で回収されるプルトニウム約6.6トン/年と比べると、0.32トン/年では4.8%操業しかできません。
プルサーマル中断中の玄海3号と伊方3号はMOX燃料が仏加工工場から予定通り到着すれば、2029年度以降に再開できますが、消費できるプルトニウムは玄海3号1.6トン(40体)、伊方3号0.95トン(24体)であり、これまでと同様の装荷(玄海3号:16体-16体-8体で計5サイクル、伊方16体-8体で計6サイクル)とすれば、年当りプルトニウム消費量は玄海3号0.24トン/年、伊方3号0.12トン/年にすぎず、高浜3・4号計0.32トン/年と合わせても、最大0.68トン/年、六ヶ所再処理工場の操業で言えば、10.3%にすぎません。この状態が2030年代後半まで続くのです。
ロードマップでは、六ヶ所再処理工場は2027年度以降、70トン、170トン、90トン(2028~29年度のガラス溶融炉リプレースによる操業度低下)、400トン(2030年度:2026.1.28暫定操業計画)とされていますが、高浜3・4号、玄海3号、伊方3号の4基によるプルサーマル実績・計画に基づけば、仮に、竣工できたとしても、2028年度まで40トン/年、2029年度以降80トン/年の操業しかできません。ロードマップは、プルサーマルの実績と計画から見て、非現実的な操業度を想定している、と私たちは考えますが、いかがですか。
また、島根2号の60体、約0.45トンによるプルサーマル運転が2029年度頃から4サイクル(沸騰水型原発ではMOX燃料の設計が加圧水型原発とは異なり、4サイクル運転となる)で実施されたとしても、サイクル当り0.11トン/サイクル、年当り0.084トン/年が追加されるにすぎず、操業度を1.3%(処理量で10トン)引上げる程度に留まります。これでは、ロードマップで計画されている六ヶ所再処理工場の操業計画は達成不可能です。
六ヶ所再処理工場がフル操業できる程度に大量のプルトニウム消費量(6.6トン/年)に相当するプルサーマルが、どの原発でどのように確保できるのか、それを具体的に示していないロードマップは絵に描いた餅だ、と私たちは考えますが、いかがですか。
③ 2,000トン規模の中間貯蔵施設については、「2030年頃操業開始」も「2035年度末までの中間貯蔵施設への搬出開始」も不可能であり、「乾式貯蔵で空いたプールの空きスペースを使われない」との約束が破られる可能性が高まっており、乾式貯蔵施設設置を事前了解すべきでないこと
関電ロードマップでは、2,000トン規模の中間貯蔵施設を2030年頃に操業開始、中間貯蔵施設への搬出開始時期は、最も遅いケースとして2035年と想定しています。2025年8月29日の「乾式貯蔵施設設置計画に関する福井県へのご報告」では、乾式貯蔵の運用開始時期を高浜原発で2028年度、美浜・高浜原発で2030年度とし、中間貯蔵施設への搬出期限を2035年末と定め、「2035年末までに搬出できなければ、乾式貯蔵された使用済燃料をプールへ戻す」と説明して、県・町議会で猛反発されました。
高浜1~4号ではあと1~2回の燃料交換でプールが満杯になり、大飯3・4号では2~3回、美浜3号では3回でプール満杯になります。サイト外へ使用済燃料を搬出できなければ、すべて運転できなくなります。乾式貯蔵で空いたプールの空きスペースを使わずには運転継続は不可能です。乾式貯蔵の運用開始時期が高浜原発で2028年度、美浜・高浜原発で2030年度となっているのは、まさに乾式貯蔵で空いたプールの空きスペースを使わなければ再稼働できなくなる時期に符合しています。空きスペースを使って再稼働するようなことがあれば、そもそも、2035年末までに中間貯蔵施設へ搬出できなくなった場合に、使用済燃料をプールへ戻すことなどできません。関西電力は「乾式貯蔵を設置しても貯蔵容量を増やさない」、「乾式貯蔵へ使用済燃料を移して空いたスペースは使わない」と「約束」していますが、これが破られる可能性がかつてなく高まっているのです。これを防ぐには、高浜発電所原子炉施設保安規定(2025年6月関西電力)を改定させ、「原子炉に全ての燃料が装荷されている状態で、使用済燃料ピットに1炉心以上の使用済燃料ラックの空き容量を確保することを(1ヶ月に1回以上の)巡視点検時に確認すること」(第98条1項(9)号)における「1炉心以上」を「1炉心および構内乾式貯蔵分を合算した体数以上」に書き替えさせるべきだ(原子力規制庁による検査でその遵守が確認される)、と私たちは考えますが、いかがですか。この保安規定改定で「約束遵守」が担保され、ロードマップの実現可能性が具体的に示されない限り、乾式貯蔵施設設置を事前了解すべきではない、と私たちは考えますが、いかがですか。
しかも、現状では、「中間貯蔵施設の2030年頃操業開始」は到底不可能であり、そもそも「2035年末までに中間貯蔵施設への搬出などできない」可能性のほうが高くなっています。
上関町の周辺自治体では中間貯蔵施設計画に反対が強く、田布施町議会で建設反対が決議され(2025.3.21)、柳井市議会選挙では反対派議員が9人と過半数(定数16人)を占めています(2025.12.4)。このように、上関中間貯蔵施設立地計画への反対の声が強まる一方、仮に、計画を強引に進めたとしても、「先行のむつの施設が約20年かかっているので、十数年はたぶんかかるのではないか」(長谷川千晃島根原子力本部長,2023年9月島根県議会防災地域建設委員会)とされているように、操業開始は2030年どころか、2035年度末にも間に合いません。
むつ市中間貯蔵施設における東京電力と日本原電の使用済燃料貯蔵計画では貯蔵量が計画の5,000トンに届かず、500~1,000トンの不足分について、他の電力会社との共同利用を模索しているとも伝えられていますが、青森県やむつ市では「施設の共用化・共同利用」には反発が強く、規模的にも2,000トンには及びません。
中間貯蔵施設の2030年頃操業開始のメドがないのにできるかのように装っていることについて、関西電力にその根拠を厳しく確認すべきだ、と私たちは考えますが、いかがですか。
2.毎日新聞で大きく報道されたように※※、高浜4号の2025年10月からの3サイクル目のプルサーマル運転では、「MOX燃料16体中8体について、燃焼度が制限値に近かったため、当該8体の継続装荷を中止し、他の8体だけ継続装荷」していますが、これは明らかに想定を超える「異常燃焼」により燃焼度が上昇したものであり、その原因を究明し、対策をとらない限り、現在継続装荷されている8体についても安全が保証されていないこと
① 今回の「異常燃焼(MOX燃料燃焼度の想定を超える急増)」について、関西電力は、「企業機密」を理由に安全上重要な燃焼度のデータを公開せず、四国・九州電力は公開しているMOX燃料の装荷パターンすら公開していません。これまでのプルサーマル実績から、私たちは、高浜4号でのMOX燃料装荷2サイクル終了後の燃焼度は、4.5万MWd/tの制限値の71~73%(燃焼度3.2~3.3MWd/t)と想定されたところ、実績は80%(同3.6万MWd/t)を超えていたと推定しています。これは1・2サイクルでの想定の1割超であり、1サイクル目に異常燃焼がなければ、2サイクル目の想定を2~3割超えていたと言え、決してバラツキの範囲内では済まされない「異常燃焼」だと言えます。関西電力に対して、安全上重要な当該MOX燃料の燃焼度およびMOX燃料集合体の原子炉内装荷パターンを公開させ、「異常燃焼」の事実関係を確認すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
② 私たちは、2025年12月25日に福井県知事(職務代理者 中村保博福井県副知事)宛の申し入れを行いましたが、原子力安全対策課は質疑応答に応じず、原安課室の前で申し入れ文を受け取っただけで、「関西電力は『異常燃焼はなかった。関西電力へ来てもらえれば説明する。』と言っている。」の一点張りで、「原安課としての見解が聞きたい」と詰め寄っても「関西電力に聞いて下さい」としか答えず、「原安課の見解を関電に聞けというのか」と迫っても、「関西電力に聞いて下さい」とオウム返しで、話になりませんでした。そこで、私たちは、関西電力宛の公開質問状を準備し、年明けに関西電力原子力事業本部と交渉しましたが、「交渉時間は30分、参加者は4名まで、マスコミの参加は認めない、録音・撮影も認めない」と言い張り、私たちの受入れられない条件に固執したため、交渉を断念せざるを得ませんでした。県は、私たちに、このような「録音さえ許されず(関電回答の証拠が残らない)、質疑も十分できないような、少人数での、一方的な説明で打ち切られる密室会合」に応じるべきだ、とお考えなのでしょうか。もし、そうであれば、県民の安心・安全より、関西電力の便宜を優先させる、県民無視の姿勢だ、と私たちは考えますが,いかがですか。
③ 知事宛申し入れ(2025.12.25)にも記載した通り、当該MOX燃料は、仏メロックスMOX燃料加工工場が品質不良で1/3操業に陥った2021年頃に製造されたものであり、プルトニウムスポットが形成されていた可能性があります。これを含めて、「異常燃焼」の原因を徹底究明すべきです。仮に、これが原因で「異常燃焼」が起きていたとすれば、現在運転中の8体についても、同様のプルトニウムスポットが形成されていないか、至急確認する必要があり、そのためにもプルサーマル運転を中止すべきです。高浜3号で現在装荷プルサーマル運転中の16体についても、高浜4号用の16体に続いて同じ仏メロックス工場で製造されており、同様の措置を取るべきです。関西電力に対して、安全確保のため、高浜3・4号のプルサーマル運転を停止し、「異常燃焼」の原因調査を徹底するよう求めるべきだ、と私たちは考えますが、いかがですか。
※※ 2025年12月18日の毎日新聞「MOX燃料燃焼度過剰恐れで使わず 高浜原発 専門家「品質調査を」には次のように記されています:
ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を原発で燃やすプルサーマル発電を行っている関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)で、継続して使用する予定だったMOX燃料の集合体16体のうち8体を、今年10月の運転再開時に一転して使用しなかったことが分かった。関電は、燃焼度(燃え具合)が制限を上回る恐れがあったとしている。原発問題に詳しい長沢啓行・大阪府立大名誉教授(生産システム工学)は「異常な燃焼が生じていたのではないか。燃料を製造したフランスでの品質管理についても調査すべきだ」と指摘している。
MOX燃料の燃焼度は、原子力安全委員会(現・原子力規制委員会)が了承した安全性の指標を基に、電力会社が最高燃焼度を原子炉の設置変更許可申請書に記載している。通常は原発の運転期間(13カ月以内)3回(3サイクル)の燃焼度を合計し、制限を超えないようにしている。
高浜4号機の16体はフランスのメロックス工場で製造され、2021年11月に高浜原発に到着。翌22年には原子炉に装着され、今年6月に始まった定期検査までに2サイクル使用されていた。関電はその際、3サイクル目となる次の運転期間でも16体全てを継続使用すると発表していたが、実際に装着したのは8体のみだった。関電は、残りの8体を3サイクル目で使用しなかった理由を、燃焼度の制限を超える可能性があったためとしているが「運用の範囲内で安全に問題はなかった」と説明。2サイクル終了時の燃焼度について「商業機密に相当する非公開情報となるため示せない」としている。メロックス工場では、高浜4号機のMOX燃料を製造していた時期に、プルトニウムの密度が高い塊「プルトニウムスポット」ができる不良品が続出。高浜3号機のMOX燃料の製造も、この影響で1年近く遅れた。関電は「必要な検査を実施し、問題ないことを確認している」としている。【大島秀利】
以上
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