若狭ネット

福井と関西を結び脱原発をめざす市民ネットワーク

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若狭ネットニュース第154号を発行しました

若狭ネットニュース第154号を発行しました

若狭ネットニュース第154号(2015.3.16)を発行しました。(4.5Mb一括ダウンロードはこちら)

巻頭言:原発再稼働・電気料金再値上げ反対!関西電力は質問状から逃げず、回答せよ!公開質問状への賛同拡大のお願い
(1)電気料金審査専門小委員会への「3月3日の公聴会とその後の関西電力の対応を踏まえた申し入れ」(2015年3月6日)
(2)関西電力株式会社取締役社長への「3月5日の貴社原子力広報室による電話回答に関する公開質問状」(2015年3月6日)
(3)関西電力株式会社による電気料金値上げ認可申請等に係る公聴会(関連箇所のテープ起こし)
(4)関西電力株式会社取締役社長への「『貴社原子力広報室による回答拒否』問題に関する緊急公開質問状」(2015年2月26日)
(5)関西電力株式会社取締役社長への「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」(2015年2月12日)
(6)「いつか来た道」・・・美浜町長選を経て・・・森と暮らすどんぐり倶楽部 代表取締役 松下照幸
(7)原発再稼働と送電網地域独占が再生可能エネルギーの本格導入を妨げている!

原発再稼働・電気料金再値上げ反対!
関西電力は質問状から逃げず、回答せよ!
公開質問状への賛同拡大のお願い

私たちは、関西電力本社へ「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」を2月12日提出し、①原発依存で赤字に陥った経営責任を明らかにし、1,340ガルのM6.5の地震動に耐えられない原発を再稼働させないこと、②日本原電等への「受電なき電力購入費435億円(2013年度)」を撤廃すること、③全原発を即刻廃炉にし、原発維持費3600億円(2013年度)を削減し、電気料金を下げること、④発送電分離を早め、再生可能エネルギーの普及に協力することを求めています。公開質問状への賛同は43団体1,411個人(2015年3月16日現在)に達しています。しかし、関西電力は回答も面談も拒否し続けています。
私たちは、3月3日に経産省主催で開かれた「関西電力の電気料金値上げに関する公聴会」で意見陳述し、八木関電社長に直接問い質しました。
八木社長は当初、「基本的にはご意見に対してしっかりとお伺いをし、必要の都度、お客様とご相談しながら、丁寧にご説明をさせて頂く機会を得ているところでございます。とくに、個別に何かルールがあってですね、差別をしているとか、そういうことでは全くございませんで、お客様とご相談させて頂きながら対応させて頂いているところでございます。」とはぐらかしていましたが、説明会を開く気があるのかと迫ると、「今の公開質問状の件に関しましては、当社広報室から色々対応させて頂いておりますけれども、一度、社内、各状況の確認を再度致しまして、できるだけご要望にお応えできる形で対応させて頂きたいと思います」と約束したのです。(公聴会記録参照)
ところが、その2日後(3月5日)に関西電力原子力広報室は、「当社としてはお客様からの求めに応じ、都度説明や意見交換をさせて頂くよう努めているところではあるが、若狭連帯行動ネットワークに対しては、過去の面談における経緯等をふまえ、再度インターネット中継等がおこなわれるリスクがないと判断できる状況となるまで説明や意見交換の前提となる面談をお断りさせて頂くつもりである。」「当社では、これまでからお客様からの求めに応じて面談を実施しているものであり、当社主催の面談は実施していない。」と電話で一方的に通告してきたのです。八木社長の「公聴会での約束」とは全く異なるものでした。ひどすぎます。
私たちは3月6日付で即刻、電気料金審査専門小委員会安念委員長へ「公聴会意見陳述人」として申し入れ文を提出し、八木関西電力社長宛に3月5日電話回答への公開質問状を提出しました。3月13日に関電広報室から電話回答がありましたが、先の回答と変わらず、反省のかけらもありません。
原発依存・老朽石油火力延命の経営責任を棚上げにし、4年連続赤字のツケを消費者に回そうなんて、余りにもひどい!「原発が止まっているから値上げが必要」なのではなく、「原発を廃炉にしないから値上げが必要」なのです。逃げ回る関西電力に説明会を開かせ、原発再稼働中止と電気料金再値上げ申請の撤回を求めましょう。そのためには、公開質問状への賛同を増やし、美浜1・2号や敦賀1号廃炉決定時、敦賀2号直下の活断層に関する有識者報告書確定時、高浜1・2号40年延長申請時など、ことあるごとに関電本社へ押しかけ、回答を迫る必要があります。
3月8日に3500名が集った「さよなら原発、関西アクション—とめよう!高浜原発再稼働」集会でも、関電のひどすぎる対応を暴露し、賛同を呼びかけ、1日で476名の賛同が得られました。その後も増え続け、3月16日現在43団体1,411個人です。電気料金値上げと原発再稼働を許さない声を結集し、逃げ回る関電に説明会を開かせ、その責任を徹底的に追及しましょう。皆さんの一層のご協力をお願いします。  若狭ネットのデモ隊列

  電力自由化の下では生き残れない原発・・・
  無理に存続させるための新たな企みと負担が

電力自由化の下では原発は生き残れない—欧米の経験はそれを物語っています。現に、関西電力の2年前の電気料金値上げを機に、自由化されている大口分野(契約件数11万6千件)では離脱が急増し、2013年度に2,987件、2014年度には12月1日時点で4,263件、2015年1月1日現在の累計1万1,805件に達しています。2016年度の電力自由化で家庭用電力消費者が電力会社を選べるようになれば、離脱件数が一気にあがるでしょう。なぜなら、国民の多数は脱原発であり、原発再稼働に反対だからです。原発依存の経営を続ける関西電力がその経営方針を改めない限り、消費者はそっぽを向くでしょう。
関西電力の電気料金値上げは「動かない原発の代替燃料費」が高くつくからではなく、「動かない原発の維持管理費」が高くつくからです。2013年度で3600億円もの巨額の原発維持管理費が経営を蝕んでいるのです。それは電気料金値上げ理由の赤字分3240億円を超えています。全原発を廃炉にすればすむのですが、関西電力はあくまで原発を再稼働させ、重大事故の危険を顧みず、使用済核燃料という負の遺産を子孫に積み上げながら、老朽原発でもうけようとしているのです。そればかりか、電力自由化の下で原発が生き残れるよう、政府を通じて数々の企みを講じようとしています。
3月3日には、2020年の発送電部門の法的分離のための電気事業法改正案が閣議決定され、今通常国会に提出されました。今は地域独占状態の送配電網を開放させ、新規参入会社が自由かつ公正に使えるようになれば、悪質な電力会社は淘汰されてしまいます。そこで改正案では、「発送電分離」とは言っても、送配電部門を分社化するだけで、子会社または持株会社によるグループ会社として送電網利用への影響力が温存されており、どこまで中立で公正な管理がなされるか不透明です。さらに、発送電分離の前後等で「課題の検証」を行い、「競争条件や資金調達等の観点から必要な措置を講じる」ことになっています。これは、原発再稼働や再処理工場操業開始が進まない場合などには優遇措置をとるよう、関西電力などが働きかけた結果です。実は、発送電分離と送電網の公平な管理は、再生可能エネルギーの普及にとって死活問題になっています。

再生エネ普及を妨げる原発再稼働と送電網独占

太陽光発電は2014年10月時点で1,377万kWが設置され、設備認定量は2014年11月時点で7,000万kWに達しています(太陽光発電協会2015.2.18)。ところが、今年1月の省令改定で、太陽光・風力の接続可能量が制限され、接続可能量を超える場合は無制限の出力制御が義務づけられています。驚くべきことに、この接続可能量は、「40年超の原発を含めた停止中の48基と建設中の3基の全原発が東日本大震災前30年間の平均設備利用率で動いてベースロード電源になる」と仮定し、電力会社間の電力融通も限定された状態で算定されたものです。その結果、東京・関西・中部電力を除く原発保有6電力会社の接続可能量は計2,333万kWにすぎません。九州電力の場合、接続可能量は817万kWですが、これを300万kWまで超えて接続すると、出力抑制率が最悪の場合52%にもなると試算しています。これでは大きなブレーキになります。太陽光発電協会は独自の試算で「原発の稼働出力が約半分(210万kW)となるか、電力会社間をつなぐ連系線で210万kW分を関西圏に送電できれば、(接続可能量を超える接続契約申込507万kW接続でも)出力抑制率は7%になる」(朝日新聞3月6日)と指摘しています。
つまり、原発をやめれば、すでに認定され今後設置される太陽光発電や風力発電を接続しても、ほとんど出力制御せずに済むし、発送電分離を早めて送電網の地域独占をやめ、全国的に融通しあえば、さらに拡大できるのです。原発再稼働を阻止し、送電網を電力会社から切り離して公的管理に移すことが、再生可能エネルギーの普及にとって極めて重要であることがわかります。
また、電力自由化の下での原発優遇策の極めつけは、原発電力の「基準価格」買取制度の導入です。市場価格が原発の販売価格を下回ればその差額を電力会社が受け取れるというもので、それが託送料金で回収されようとしています。廃炉後の廃炉費積立不足金、廃炉時に損失計上すべき資産の減価償却費、事故賠償の一般負担金、再処理費や高レベル廃棄物処分費なども託送料金を通して回収され、見えないコストにされてしまう可能性があります。電力自由化の下で原発が存在する限り、たとえ、再生可能エネルギー事業者を選んで電気を購入していても、託送料金で原発のコストを払わされるようになる可能性が高いのです。この意味でも、送電網の公的管理と託送料金の透明化が求められるのです。

  関西電力もひどいし、東京電力もひどい

フクシマ事故から4年たっても汚染水は増え続け、雨が降るたびに、雨水が汚染され、海に垂れ流されていました。東京電力は、それを知りながら公表せず、黙っていました。フクシマ事故の責任を取らず、事故賠償金を電力消費者に転嫁し、汚染の実態を隠し、柏崎刈羽原発の再稼働すら目論んでいるような東京電力は、やはり破産処理・解体し、金融機関や投資者にその責任を取らせるべきです。それを契機に、発送電分離を先取りし、東電エリアの送配電網を切り離して公的管理へ移し、再生可能エネルギーの全面普及に向けた体制を整備すきです。
いよいよ原発廃炉と電力自由化の時代が始まります。若狭ネットは4月19日、「電力自由化と脱原発を考えるつどい」を開きます。福井の美浜町で「森と暮らすどんぐり倶楽部」を主宰し脱原発を志向する松下照幸さんを招き、これからの課題と取組について話し合おうと思います。ふるって、ご参加ください。

 

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