関西電力社長宛に追加の公開質問状を提出し、電気料金審査専門小委員会委員長宛に申し入れ書を提出しました。
○2015年3月18日付 関西電力株式会社取締役社長宛「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する追加の公開質問状」
●2015年2月12日付 関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状
○2015年3月18日付 電気料金審査専門小委員会委員長宛「3月3日の公聴会での陳述内容に関連し、関西電力の廃炉発表等を踏まえた申し入れ」
2015年3月18日
関西電力株式会社 取締役社長 八木 誠様
関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する追加の公開質問状
貴社は3月17日、美浜1・2号の廃炉を臨時取締役会で決定する一方、美浜3号と高浜1・2号の再稼働申請書を原子力規制委員会に提出しました。日本原子力発電も敦賀1号の廃炉を決定しています。また、日本原子力発電への「受電なき電力購入費」について電力5社が「2015年度は2割程度削減する」方針を固めたと報道されています(3月17日産経新聞)。
貴職宛の2月12日付「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」において、私たちはこれらを質問項目に挙げ、繰り返し回答を求めていますが、貴社は未だに回答も面談も拒否し続けています。そこで、追加の質問項目を下記の通り提出しますので、電気料金値上げを行う前に必ず説明会を開き、または、面談の場を設け、2月12日付公開質問状と合わせて真摯に回答して頂きたく、ここに強く要請します。
<追加質問項目>
1.美浜1・2号廃炉について
(1)原発の廃炉に関する会計制度が2013年10月と今年3月13日に次のように改定されています。
①廃炉費(解体引当金)積立不足金については、「運転期間40年+安全貯蔵期間10年」の引当期間内に定額法で電気料金原価に算入して回収する。
②「減価償却不足の固定資産」については、使用済燃料プールや格納容器など廃炉段階でも使う設備の残存簿価を定率法で引き続き減価償却し、電気料金原価に算入して回収する。
③発電設備や核燃料関係の資産等」については、廃炉決定後10年間に定額法で電気料金原価に算入して回収する。
④2016年の小売り全面自由化後、発電部門の総括原価方式は撤廃されるが、送配電部門の託送料金は総括原価方式になるため、③は託送料金に計上して回収する。①と②についても、費用回収が着実に行われるよう今後検討する。
この会計制度を貴社も利用すると考えられますが、廃炉費積立不足金は140億円(2013年度末)および減価償却途中の資産残存簿価は280億円であり、前者は6~8年、後者は十数年で回収予定だと報道されています(ロイター3月17日)。2015年3月末のこれらの金額を教えて下さい。また、これらを今後何年間で回収する予定なのか、2015年度から回収終了年度までの毎年の金額(電気料金や託送料金に加算される毎年の金額)を教えて下さい。
(2)美浜1・2号は廃炉段階へ移行しますので、2015年4月1日からの美浜1・2号関連経費は廃炉費を取り崩して賄われるはずです。したがって、その分は電気料金値上げ申請時のコストから削除すべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
(3)美浜1・2号に関係した再処理積立金や高レベル廃棄物処分費(第1種最終処分積立金および第2種最終処分積立金)の2015年3月末の金額を教えて下さい。これらについては積立不足金はないと考えてよいのでしょうか。それとも、積立不足金があるとすれば、それぞれについて金額を教えて下さい。また、これらをどのように回収するつもりなのか、教えて下さい。
2.敦賀1号廃炉について
(1)敦賀1号の廃炉に伴い「受電なき電力購入費」はゼロになるのですか。それとも、敦賀1号に関する廃炉費積立不足金や資産残存簿価を回収するために同様の「受電なき電力購入費」を払い続けるつもりなのでしょうか。もし、そうであれば、その金額を教えて下さい。また、敦賀1号の廃炉段階での関連経費は廃炉積立金から賄われるはずですので、それが今後の「受電なき電力購入費」に計上されないことを保障してください。
(2)敦賀2号は直下に活断層の疑いがあり、廃炉を余儀なくされるのは明らかだと私たちは考えますが、いかがですか。にもかかわらず、日本原子力発電が敦賀2号の廃炉を決定しないのは、「受電なき電力購入費」を受け取り続けるため、決定を先延ばしにしているだけだと私たちは考えますが、いかがですか。このような目的のために、私たちに電気料金を払わせ続けるとすれば、貴社は公益事業者として失格だと私たちは考えますが、いかがですか。
(3)日本原子力発電への「受電なき電力購入費」について、2015年度は電力5社で2割削減の方針だと報道されていますが、貴社の場合は支払額をいくらにするのですか。これとの関連で、北陸電力の志賀2号の「受電なき電力購入費」をいくらに削減するのですか。もし、削減しないのであれば、日本原子力発電では削減して、北陸電力ではなぜ削減しないのか、その理由を教えて下さい。
3.美浜3号の再稼働申請について
(1)美浜3号は1976年12月1日に運転を開始した老朽原発であり、2004年8月9には復水配管破断死傷事故(5名死亡・6名重傷)を起こした事故原発です。このような原発について、なぜ無理をして40年延長になる再稼働申請をするのですか。事故原発はこのまま廃炉にして死傷者とその家族を慰めるべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
(2)貴社は美浜1・2号について、規制基準を満たすには1000億円超の安全投資がかかるため、40年延長運転を断念したと報道されています(日経新聞3月17日)。美浜3号の場合には最低限1290億円の安全対策費が必要と報道されていますが(朝日新聞3月18日)、いくらかかると見積もっているのですか。また、そのような投資をして、40年延長運転が認められなかった場合、貴職は「改定された会計制度により廃炉後に投資額を回収できる」と安易に考えているのではないでしょうか。もし、そうだとすれば、モラルハザードにほかならず、このような安全投資は貴職の経営判断ミスとして一括損失計上で貴社がかぶるべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
4.高浜1・2号について
(1)高浜1・2号の場合には、1~4号の4基合計で最低限2840億円の安全対策費が必要と報道されていますが(朝日新聞3月18日)、いくらかかると見積もっているのですか。また、そのような投資をして、40年延長運転が認められなかった場合、「改定された会計制度により廃炉後に投資額を回収できる」と安易に考えているのではないでしょうか。もし、そうだとすれば、モラルハザードにほかならず、このような安全投資は貴職の経営判断ミスとして一括損失計上で貴社がかぶるべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
(2)福島第一原発では隣接する1~4号の4基が相次いで重大事故を起こしました。高浜1・2号の再稼働申請は集中立地の危険を改めてクローズアップさせています。貴社は、原発集中立地に伴う重大事故の危険をどのように考えているのですか。
(3)高浜3・4号のクリフエッジ(炉心溶融に至るギリギリの地震動)は973ガルにすぎず、原子力安全基盤機構JNES(昨年3月に原子力規制庁へ統合)が独自の断層モデルで解析した「M6.5の横ずれ断層による1340ガルの地震動」には耐えられないことが明らかになっています。原子力規制委員会・原子力規制庁は私たちとの話し合いの場で、この1340ガルの地震動について、「専門家を含めて改めて検討すべき」と回答しています。高浜1・2号については、ストレステストの評価はなく、クリフエッジも算出されていません。高浜1・2号のクリフエッジは3・4号の973ガルより小さく、1340ガルの地震動には到底耐えられないと私たちは考えますが、いかがですか。原子力規制委員会の再検討を待たずに、貴社自ら1340ガルの地震動を基準地震動に取り入れるべきだと私たちは考えますが、いかがですか。
以上
賛同団体・個人:43団体1,411個人(別紙一覧)(2015年3月16日現在)
賛同募集最終締切:2015年関電交渉日
連絡先:若狭連帯行動ネットワーク(藤井寺市林5-8-20-401久保方)
(pdfはこちら)
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2015年3月18日
電気料金審査専門小委員会
委員長 安念 潤司 様
3月3日の公聴会での陳述内容に関連し、関西電力の廃炉発表等を踏まえた申し入れ
意見陳述人 長沢啓行
意見陳述人 久保良夫
関西電力は3月17日、美浜1・2号の廃炉を臨時取締役会で決定する一方、美浜3号と高浜1・2号の再稼働申請書を原子力規制委員会に提出しました。日本原子力発電も敦賀1号の廃炉を決定しています。また、日本原子力発電への「受電なき電力購入費」について電力5社が「2015年度は2割程度削減する」方針を固めたと報道されています(3月17日産経新聞)。そこで、関西電力から直接その内容について説明を受けるべく、追加の質問項目を別紙の通り、関西電力社長宛に提出いたしました。しかし、関西電力は、2月12日付「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」に対しても、未だに回答および面談を拒否し続けています。
添付の追加の質問項目は3月3日の公聴会で私たちが述べた内容に深く関係していることから、電気料金審査専門小委員会における審議のなかでぜひ検討内容に組み入れて頂きたく、ここに謹んで要請致します。
添付資料:
2015年3月18日付 関西電力株式会社取締役社長宛「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する追加の公開質問状」(賛同団体・個人:43団体1,411個人(2015年3月16日現在))
2015年2月12日付 関西電力株式会社取締役社長宛「関西電力の電気料金値上げと原発再稼働に関する公開質問状」(賛同団体・個人:43団体1,411個人(2015年3月16日現在))