関西電力は、私たちが6月22日付けで提出した公開質問状に全く応えるそぶりすら見せません。2週間以内の文書回答を求めていましたが、なしのつぶてです。
そこで、「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」に関する緊急申し入れを提出しました。新電力へ切り替えた方を含めて関電管内のすべての電力消費者へ、「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」(2年間で1,000億円相当)を還元することなく、新電力に対抗して電気料金を値下げするのは手前勝手すぎます。
2017年7月12日
関西電力株式会社 取締役社長 岩根 茂樹 様
電気料金値下げ申請時の「美浜1・2号等廃炉に伴う費用減少分」に関する緊急申し入れ
若狭連帯行動ネットワーク
貴社は7月6日、経済産業省へ「家庭向け3.15%、企業向け4.9%の電気料金値下げ」申請(変更届出)を行い、7月11日には経済産業大臣直属の電力・ガス取引監視等委員会料金審査専門会合で1回目の審査が行われました。しかし、その会合で示された貴社説明資料には、「(敦賀1号と美浜1・2号の)廃炉に伴う費用の減少分」に関する説明が一切ありません。
この「廃炉に伴う費用の減少分」は、前回原価2兆8,967億円(2015年6月値上げ時)と今回原価1兆9,538億円の差額9,429億円の内数に含まれているものと考えられますが、明示すべきです。前回値上げ時の「関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案の概要」(電気料金審査専門小委員会2015.4.21)には「関西電力からはこれらの費用の減少分を電気料金負担の軽減に活用するとの説明がなされましたが、関西電力においてはその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に活用することを求める。また、次回の料金改定に際しては、廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである。」と明記されています。貴社はこのとき「廃炉に伴う費用の減少分」を96億円と試算していますが、「敦賀1号の廃炉に伴う購入電力料の減少分」が84億円であり、美浜1・2号分は34億円(ここから廃炉費積立金22億円が減額される)しか含まれておらず、「※金額については、現在精査中」としていました。美浜1・2号の合計出力が敦賀1号の約2.6倍であることや美浜1・2号の年間維持管理費から見積もっても、「美浜1・2号の廃炉に伴う費用の減少分」は年間約500億円程度にはなると推測されます。敦賀1号分と合わせて600億円弱が毎年浮いてくるはずですが、2015年6月1日の値上げ以降、「廃炉に伴う費用の減少分」の精査結果は公表されず、電力消費者への還元もなされていません。
今回の値下げ申請に関する審査では、前回値上げ時の査定方針に従い、この「廃炉に伴う費用の減少分」について精査した結果を、貴職が自ら委員会へ提示し、今回の原価には織り込まれていないことを明示すべきです。新電力へ契約変更した電力消費者はその還元を受けていないのですから、その分を還元すべきです。
私たちは、この件について、6月22日付けで貴職宛に公開質問状を提出し、2週間以内の文書回答を求めましたが、なしのつぶてです。来週には2回目の審査会合が開かれますので、その会合に説明資料を提出し、「廃炉に伴う費用の減少分」の精査結果を公表するとともに、新電力へ契約変更した消費者への還元方策を説明すべきです。また、この件について、消費者に広く説明するため、公開の説明会を開くべきです。
そこで、以下の緊急申し入れを行います。
1.貴社電気料金値下げ申請に係る次の料金審査専門会合で、「敦賀1号と美浜1・2号の廃炉に伴う費用の減少分」の精査結果を明示し、新電力へ契約変更した消費者を含めて、その分の電力消費者への還元方策を示して下さい。
2.6月22日付で貴職へ提出した公開質問状に文書回答し、公開の場で説明会を開いてください。
以上